No.822459

北郷一刀と新たな英雄が紡ぐ外史10話

あなたまさん

あけましておめでとうございます、こちらの方がはかどったので、こちらを先に投稿しちゃいました(*゚▽゚)ノ
今回は天和回です

2016-01-02 02:47:58 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:4644   閲覧ユーザー数:3468

曹操「で・・・その娘達が黄巾党の内部情報を握っていると」

 

一刀は今3人の少女を連れて連合軍の真ん中の設置した作戦会議を行う幕舎で黄巾党の情報を入手した告げる

曹操はつい先ほど会議を終えて陣に戻った一刀が時間を空けずに再び召集をかけた事に若干イラだっていたが、一刀が連れて来た3人の姿と黄巾党内部の情報を握ってきたと報告を聞いて目の色を変えた。

曹操の傍に控えていた諸葛亮、龐統もこの短時間で情報が入ってくると思っておらず、ビックリした表情を浮かべる。

そんな曹操陣営と対照的に、事情を知っている孫策陣営は笑いを堪えるの必死だ。特に一刀と共謀して翠イジリを行っていた孫策、参加はしていないが楽しい事が大好きの太史慈は、難しい顔をしている曹操達に背を向け、手を口元に当てて笑いを隠しいる

 

曹操陣営の視線を一身に浴びている一刀はというと……

 

??「えへへ~か~ずと~」

 

??「ちょっと姉さん!引っ付きすぎよ!」

 

??「そういう○○姉さんだって引っ付きすぎ、私が抱きつく場所が少ないわ」

 

 

軍議の場で3人の少女に抱きつかれていた

 

一刀「どうしてこうなった……」

 

 

曹操陣営からは睨まれ、孫策陣営からは笑われ、自軍(特に兵士から)同情の眼差しを向けられるこのカオスの状況を生み出した原因は少し前に遡る

 

 

 

 

 

 

 

門番「北郷様、3人を連れて参りました」

 

一刀「入ってくれ」

 

 

??・??「一刀!」

 

??「一刀さん!」

 

 

一刀「……へ?」

 

入室を許可した瞬間に飛び込んで来た3人の少女がいきなり一刀の胸目掛けて飛び込んできたのだ。

3人同時に受け止める事は流石に出来ず、押しつぶされる形で後ろに倒れこむ。倒れこんでも3人は一刀を離さず強く抱きしめる。離した瞬間居なくなってしまうのではないか……それを恐れるかのように絶対に離さないと力を込める

 

この状況にいち早く立ち直った孫策はすぐに行動を開始する

 

孫策「冥琳、梨曼、稟……なんだか邪魔みたいだし、陣に戻るわよ」

 

一刀「待って!この状況で1人置いていかないで!」

 

孫策は空気を読んで供3人に退室を促す、もちろん面白い方に空気を読んでだが。それが解った一刀はすぐに孫策達を引き止める、お願いだから見捨てないで助けて下さい!と訴えかける

 

孫策「だってその子達は貴方に会いたくて黄巾軍から脱走してきたのでしょう?」

 

太史慈「なら感動の再会の場に私達が居るのはちょっとね」

 

一刀「本当に待って!俺はこの子達の事知らないんだけど!」

 

ピク

 

この言葉を聞いた瞬間、一刀に抱きついて3人は勢い良く顔をあげる。一刀の放った言葉に驚愕して信じられないと……

 

 

??「一刀……私の事覚えてないの?」

 

??「ちょっと一刀!まさか○○の事を忘れたなんて言わせないわよ!?」

 

??「姉さん達落ち着いて。一刀さん本当に私達の事を覚えてないですか?」

 

一刀「ごめん、本当に心当たりが無いんだ」

 

3人の中で一番落ち着いてる末っ子が姉を宥めつつ一刀に問いかける。

そしてやっぱり一刀にはこの3人の心当たりは無く、謝る事しか出来なかった

 

??「まさか……別人なの?」

 

??「お姉ちゃんは一刀の事を間違えたりしないもん!」

 

??「○○だって一刀の事間違えたりしないわよ!でもじゃあなんで一刀は私達の事を覚えてないのよ!」

 

??「だから2人とも落ち着いて、今は私に任せて」

 

??「わかったよぉ、いまは○○ちゃんに任せるね」

 

3人の話し合いが決まったのか、先ほど一刀に覚えてないかと聞いていた末っ子が代表して一刀に顔を向ける。

一刀は自分にも大事な話しになるだろうと予想し、傍に居た孫策達には後で事情を説明するからと説得して陣に帰ってもらった。

この場に残っているのは一刀と飛び込んできた女の子を含めて4人だけとなった。もしかしたら必要になるかもしれないので、孫策達に帰る前に及川にこちらの幕舎に来るように伝言を頼んだのでそのうち来るハズだ

 

 

一刀「さて……多分俺の自己紹介はいらないと思うけど一応させてもらうよ、俺の名前は北郷一刀だ。君たちの名前も教えてもらえないかな」

 

張角「お姉ちゃんは天和だよ、一刀」

 

張宝「ちぃは地和よ」

 

 

門番の取次ぎで3人の名前は把握しているのだが、顔と名前が一致しないために名前を尋ねる。

その質問を聞いて3人は顔をしからめるが、一刀の要望通り一人ずつ名乗りをあげてくれたのは助かるのだが……名乗ってくれた2人は真名で結局誰が誰だか解らないままだった

 

張梁「天和姉さん、ちぃ姉さん、今の一刀さんに真名で自己紹介しても伝わらないです。ちゃんと名乗ってください」

 

張角「むぅ~やっぱり通じないのかな……私は張角です」

 

張宝「張宝よバカ一刀」

 

張梁「私が張梁です。私達の名前を聞いて何か思い出したりしませんか?」

 

ピンク色の髪でほんわかしてる子が張角、青色の髪で生意気だけど元気な子が張宝、紫色の髪で姉妹のまとめ役って感じの子が張梁……この3人が中国史にその名を残した大賢良師『張角』地公将軍『張宝』人公将軍『張梁』か。やっぱりそんな感じには見えないな、問題はなんで俺の事を知っているかだよな

 

一刀「張梁さんの質問に答える前に聞かせて欲しい、君たちの言う一刀は”北郷一刀”で間違いないか?間違ってなかったらその人物の特徴を教えて欲しい」

 

張梁「名前は北郷一刀で間違いありません。特徴は白く輝く服を着ていました、なんでもその服の素材はぽりえすてるとか言う物だと教えてくれました。」

 

張宝「一刀はちぃ達のマネージャー、警備隊隊長、未来からこの大陸を平和に導く存在『天の御使い』とか呼ばれてたわね」

 

 

ポリエステル素材に真っ白な服、未来から来た、そして名前が北郷一刀……か。

 

一刀「さっきの張梁さんの質問の返事だけど……答えは否だ、俺は君たちの知っている”北郷一刀”じゃない」

 

張宝「どういう……どういう事よ……あんたは北郷一刀なんでしょ!?なんでちぃ達の事を覚えないのさ!ちぃ達は”一刀が消えて”からずっと会いたかったのに!なんで会えたと思ったら……ちぃ達の事を覚えてないのよ……!」

 

張梁「ちぃ姉さん!」

 

目の前に居る一刀は自分達と共に過ごした一刀じゃない。捜し求めやっと見つけ出した人物から否定され、感情を抑える事が出来ずに張宝は泣きながら幕舎を飛び出す、張梁は飛び出して行った姉を追いかけるために続けて幕舎を飛び出し、一刀と張角の間には気まずい空気が流れていた

 

一刀「張宝さんには悪い事言っちゃったかな」

 

張角「ねぇ、一刀……本当に私達の事覚えてないかな」

 

一刀「ごめんね張角さん。でも君達が俺を知っていて、俺が君達の事を知らない理由ならなんとなくなら説明出来るよ」

 

張角「私は人和ちゃんみたく頭良くないけど、一刀が事情を説明してくれるなら聞きたいな。それと、私の事は天和って呼んでね」

 

一刀「君の事を真名で呼んでいいの?俺は君たちの知っている”北郷一刀”じゃないんだよ?」

 

張角「うん、それは解ってるよ。でもね、お姉ちゃんは一刀には姓じゃなくて真名で呼んで欲しいの」

 

 

張角……天和はほんわかした雰囲気をしているけど、しっかり芯が通っていて意思の強さが伝わってくる。

別れ離れになっていた大切な存在の情報が入り、会えたと思ったら一緒に過ごした存在とはまた別の存在。出て行った張宝みたく本当は泣きたいハズだ、それを表に出さずに現実を向き合っている。心が強い子だな

 

一刀「じゃあ天和って呼ぶね。推測になっちゃうけど説明させてもらうね」

 

この時代の人達はパラレルワールドは理解出来ないと思うけど、北郷一刀という存在が天和の中で2人認識されてるからなんとなくなら解ってもらえるかもしれない。

そんな期待を持ちながら俺がこの時代に来たきっかけ、なぜ俺が2人居たのか、そしてなんで天和達が記憶を持っていたのかを噛み砕いて説明する。説明している俺自身も理解するのは難しい事だから、説明が支離滅裂だったかもしれない……でも天和は俺が説明を終えるまで静かに聴いてくれていた

 

天和「そっか……やっぱり全部を理解する事は出来なかったけど……私の知ってる一刀とは別人なんだ」

 

一刀「こんな与太話を天和は信じてくれるのか?」

 

天和「もちろん信じるよ。だって私が理解しやすいように一生懸命考えて説明してくれたんだよ?そんな私の事を気遣ってくれる一刀の事を疑うなんて事はしないよ。それに……一刀はやっぱり優しいってのが分かって安心してるんだ、私達が知らない一刀でも本質は変わらないんだなって。私達が愛した一刀のままなんだって。それが分かっただけでも私は嬉しいんだ」

 

一刀「……良かったら天和達が過ごしてきた出来事を俺に教えてくれないかな?どんな事があったのか聞きたいんだ」

 

天和「うん、いいよ。一刀には聞いて欲しいんだ。私達やもう1人の一刀、それに魏のみんなと過ごしてきた事を」

 

 

最初は人気の無い旅芸人だった事、とある人物から太平要術の書を貰ってから人気が出た事、そこから信者が集まり始めて黄巾の乱に発展した事、曹操軍に助けられた後に俺が三姉妹の世話役に就任した事、男女の仲にまで発展した事、仲間を増やしつつ反連合・袁家・孫呉・蜀漢を倒し大陸を制覇した事、そして大陸を制覇したその夜に……”北郷一刀”が姿を消して天の国に帰還した事

 

天和「これが私が教えられる事の全部だよ。今回黄巾党を立ち上げたのは……こうすればまた一刀と会えるかなって淡い期待があったからなんだ。黄巾党に誘発されて盗賊が横行したのは申し訳ないと思ってるんだけど……どうしても一刀に会いたかったんだ」

 

それでか……それで天和達が居た青州黄巾軍を包囲した時に俺の情報を聞きつけて……処刑されるかもしれないのに単身乗り込んできた訳か……

これじゃあ張宝さんが泣いて出て行くのも無理はないよな

 

一刀「張宝さんに悪い事しちゃったな、もうちょっと言い方を選べばよかったか」

 

天和「一刀は知らなかったんだし仕方ないよ。それにしても……一刀の優しい所は変わらないんだね。私安心しちゃった」

 

俺が優しい……か

なんで天和達に記憶があるのかは正直解らないが……本当に優しいのは天和だよ。俺がもし天和の立場になってたら……そんな相手を気遣ったり笑う事なんて出来やしないよ

 

一刀「天和達はこれからどうするんだ?俺は君たちが捜し求めていた”北郷一刀”じゃない。俺を捜す旅に出るか?」

 

天和「ううん、他の場所は既に捜索済みなの。今回の黄巾党が最後の希望、そこの現れたのが目の前に居る一刀だけだったんだ。だからもう捜しても見つからないかな~って。えへへ、なんか色々ややこしい表現になっちゃうね」

 

一刀「……天和達が納得してくれるなら俺たちの陣営で保護するよ」

 

天和「いいの?自分達の私利私欲で大陸に迷惑かけちゃったし……違う一刀と照らし合わせたりしちゃうかもよ?」

 

一刀「それぐらい甘んじて受け入れるさ、どんどん比べてダメ出ししてくれて構わないから」

 

元はと言えば、彼女達の心を引っ掻き回した挙句に別れも言わずに消えた俺の責任だ。なら彼女達を助け、護るのは俺の役目だ。違う世界の俺と比べる?そんなのどんと来いだ!俺は彼女達が愛した”北郷一刀”にはなれないし、なろうなんて考えは傲慢だ。俺は俺のやり方で彼女達を護る

 

天和「ありがと、一刀。人和ちゃんはきっと納得してくれるハズだから、ちぃちゃんを説得してくるね。ちぃちゃんも落ち着けば一刀を信じてくれると思うから」

 

やっぱり優しい女の子だな。それとやっぱりほわわんとしているようで心はとても強い、彼女のそんな所は俺も見習わないといけないな

 

一刀「及川居るんだろ?入って来い」

 

及川「なんや、気がついてたんか」

 

一刀「気配を消さずにいれば普通に気がつくからな?今の話どこから聞いていた」

 

及川「張宝ちゃんが飛び出して行った後の会話からやな、せやから事の大きさは全部理解しとる……しとるけど……張角ちゃん達は転生者なんやろか」

 

一刀「それに関しては情報が少なすぎるから断言できんな。それよりも問題は」

 

及川「かずぴーが曹操の仕え、大陸統一の覇業を支えたって事やな。この調子やともしかしたら……」

 

一刀「違う世界の俺が同じような経験をしているかもしれないな」

 

及川「それはそうかもしれへんけど、そんな他の世界とかの事も考え始めたらそれこそかずぴーの身が持たんで?」

 

一刀「お前が政務を手伝ってくれれば、俺はもっとゆとりのある生活を送れるんだけど?」

 

及川「それはそれ、これはこれや!」

 

手伝ってくれる事に関しては全く期待してなかったからいいんだけど、この開き直り感が腹立つな

 

天和「一刀~!ちぃちゃんと人和ちゃんが納得してくれたよ!」

 

一刀「解った、それじゃあ曹操と孫策に事情を話さないといけないから着いて来て」

 

張三姉妹がこの陣に向かって歩いてる姿を曹操軍が見逃すハズがない。

後でその事を追求されるならば、こちらから言いに行った方が怪しまれずに済む。

もちろん彼女達の安全を確保する為に嘘は入れさせてもらう

 

3人を護る決意を固め、連合軍の作戦会議を行う幕舎へと向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

ハズなのだが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「それがなぜこうなってんだろ……」

 

ここで冒頭に戻り、状況は一刀に張三姉妹が引っ付いたまま。

なぜ引っ付いたままかというと……今まで会えなかった反動(本人談)

 

天和が一刀と話した内容を妹の張宝、張梁に伝えると、あんだけ感情剥きだしになっていた張宝もあっさりと落ち着いた。

なんだかんだ以前の一刀と過ごしているうちに、こういった不思議な現象に耐性がついたのかもしれない……

そして、天和から一刀の優しさ、人となりは変わらないと聞いた瞬間に張宝は一刀の下へダッシュ、すぐさま飛びついて離れようとしない。出遅れた張梁も姉の張宝が安心している姿を見て姉同様に抱きつく

最初の頃は一刀と天和は仕方ないな、という感じで眺めていたのだが……少ししたら、ちぃちゃんとれんほーちゃんばっかりずる~い!と、先ほどの姉の威厳はどこへやら……妹達同様に一刀に抱きついた

 

これには流石の一刀も堪らず、歩けないから離れて欲しいなと伝えると3人はあっさりとそれに承諾する。ほっと一息ついた一刀だが、幕舎に到着して歩く必要が無くなったと判断した三姉妹が再び一刀に抱きついてきたのだ。しかも名前で呼ぶと怒られるので、既に真名で呼んでいる。そんな出来事がありつつ、一刀に呼び出されて幕舎に来た孫策陣営からは笑いとジト目が、曹操陣営からはゴミを見る目を向けられて精神に傷を負った一刀である

 

 

曹操「それで……情報を握っていると言うのならば、それを早く提示してくれないかしら?それとも、あなたが女を囲っている姿を眺め続けなればならない苦痛をひたすら味わえとでも言うつもりなの?」

 

一刀「言います!言いますから覇気を出さないで下さい!」

 

自軍に戻り、夏侯姉妹と閨で楽しもうとしていた曹操の怒りはかなりのものだった。一刀は長引かせれば自分の身が危ないと察知し話しを進める。その間ひたすら孫策は我関せずと言わんばかりに腹を抱えて笑い続けている

 

 

一刀「まず敵の首謀者は張曼成・趙弘・馬元義の男3人だ」

 

曹操「こちらの調べていた名前と違うわね。敵の総大将は張角、張宝、張梁の3人だと聞いていたのだけれど」

 

一刀「張角、張宝、張梁の3人はこの子達の名前だよ。張曼成達は旅芸人として各地を回っていた3人を捕らえ、自分達の隠れ蓑に仕立てあげてたんだ。この子達は自分の名を悪事に利用されただけ、いわば被害者だよ」

 

諸葛亮「被害者ですか……その三姉妹はなんで北郷さんの下へ身を寄せたんですか?」

 

一刀「彼女達が涼州を巡っている時に出会ったんだよ、その時は異民族の西羌族に連れ去れそうになってたから助けたんだ。その時に顔見知りになったんだよ」

 

龐統「北郷さんに抱きついているのはその出来事も関係しているのですか?」

 

一刀「そうだね、その時に意気投合したのは確かだよ。その後彼女達は歌で民を笑顔にしたいと言って旅を続けて行ったから行方が解らなかったんだけど、黄巾党に捕らえられている時に俺の名前を聞いて、脱出する機会をずっと伺っていたんだ」

 

諸葛亮「そして先ほど出陣しようとしていた北郷さんの下へ脱出してきたと言う事ですか……」

 

 

やっぱり稀代の頭脳を持つこの二人は騙せないか?でも彼女達は案外情に脆い部分があるから案外大丈夫かもしれないが……問題はやはり

 

曹操「なるほど、出鱈目な話でもなそうね」

 

やはり曹操だな。曹操は情で流されたりはしないだろう。

自分が納得するまで疑ってくるに違いない

 

曹操「北郷の話は解ったわ。それを証明する事は出来るかしら……例えば、この場に居ない馬超達にこの3人を会わせて反応を確かめてみたりとかね」

 

 

っち、やはりそう話しを展開してくるか。

この事を知っているのは及川と門番と護衛で連れて来た兵士達だけだ。

拗ねて走り去った翠を含め、出陣の準備に追われて俺たちの事に気がついた将は居ない。心境が顔に出やすい翠に会われたら俺の負けだ……ここはあの|情報《切り札》を出すしかないか

 

一刀「それを実行する前に……曹操さん、君が探している太平要術の書がある場所を……俺が知っていると言ったらどうする?」

 

そう言った瞬間場の温度が一気に下がった感覚に襲われた。もちろん場の温度を下げているのは曹操だ

曹操が自宅から盗まれた太平要術の書を探しているというのは人和から事前に聞いていた、あまりこれは切り出したくなかったんだが、ここで張三姉妹を曹操陣営に渡す訳にはいかないからな

 

曹操「なぜあなたがその書の存在を知っているの!答えなさい北郷!」

 

一刀「三姉妹から情報を入手したから。ここまで言えば”聡い”曹操なら……理解してくれるよね」

 

曹操「……いいわ、今回はあなたの思惑に乗ってあげる。でも覚えておきなさい、私は他人から試される事は大嫌いなの。今度同じ事したら……潰すわよ」

 

曹操から先ほどとは比べ物にならない程の殺気がこの場を支配する。

曹操の傍に控えていた諸葛亮と龐統は、自分達に向けられていないとわかっていながらもそれに耐え切れずに体を震わせてる。孫策は文官である郭嘉を殺気から防ぐ為に、郭嘉の前に立ちつつも殺気を心地よさそうに浴びている。しかも獲物を狩る肉食獣のような獰猛な目を曹操に向けている。一刀も祖父との訓練で殺気を浴びているのには慣れているために動じはしなかった

 

一刀「肝に命じておくよ、それで太平要術の書は奴らが拠点にしている砦で厳重に保管されているみたいだ」

 

曹操「なぜ農民や盗賊達がここまで力を持ったのか解らなかったけど、あの書を悪用していたなら納得出来る……すぐに太平要術の書の奪還に動く!朱里、雛里はすぐに全軍に出陣準備の命令を出しなさい!」

 

諸葛亮・龐統「はわわ!(あわわ!)了解しました!(了解です)」

 

曹操「孫策、あなたの軍にも動いてもらうわよ。奴らを徹底的に叩き潰すわ」

 

孫策「了解、それでその太平なんちゃらって書は見つけたら貰っていいの?」

 

曹操「バカを言わないで、あの書は存在してはいけない物。確実に焼却処分して頂戴」

 

太平要術の書がどんな物なのか解っていない孫策は少し不満げな表情を浮かべていたが、幕舎から出る時にはようやく黄巾党を根絶やしに出来ると嬉しそうな表情に変わっていた

 

曹操「北郷、貴方はその娘達から黄巾党の詳しい情報を聞きだし、私達に知らせなさい」

 

一刀「わかった、聞いた情報の詳細をまとめて俺が直接知らせに行く。それじゃあ俺たちも出陣の準備に戻らせてもらうよ」

 

 

 

 

 

 

 

曹操視点

 

「わかった、聞いた情報の詳細をまとめて俺が直接知らせに行く。それじゃあ俺たちも出陣の準備に戻らせてもらうよ」

 

全員が幕舎から出て行ったのを確認してから私も自軍の下へ戻るべく幕舎を後にする。

北郷が連れてきた張角、張宝、張梁は怪しすぎる、必ず何か秘密を抱えている。でなれば今現れる理由が付かない、賊とはいえ女3人が脱走する機会を与えるほど愚鈍ではないはず

誰かが意図的に逃がしたのか、北郷が裏から糸を引いていたのか……問い詰めればいくらでもボロが出そうだが、太平要術の書を処分する方が優先。

今は見逃してあげるけど、次はこう上手く事を運ばせないわ

 

それにしても……

 

「私の殺気を浴びても平然としてるなんてね」

 

私の全開の殺気に耐えられるのは、私と同格の器を持つ孫策ぐらいだと思っていた。

傍に控えていた朱里と雛里、孫策の後ろに居た郭嘉、それに周瑜も辛そうにしていたにも関わらず……あの男は一切たじろく事なく、私に対峙し続けた

 

私を試す度胸、私を出し抜いた智謀、そして私の殺気を浴びても平然としている精神力………

 

「認めましょう北郷一刀、あなたは孫策同様必ず私の覇道に立ちはだかる強大な存在だと。そして誓う……あなた達を必ず倒し覇道を成し遂げると」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

改めまして、あけましておめでとうございます(*゚▽゚)ノ

 

去年一年はどんな年だったでしょうか?

自分はまさか執筆活動が1年続くとは思っておらず、我ながら驚いてます。こうして続けてこられたのは皆様の応援のお陰だと思っています、本当にありがとうございます

 

 

さて、挨拶はこの辺りにして

 

 

本編の話しですが、劉邦さんがコメで仰っていた通り、天和・地和・人和の3人は魏√の記憶持ちです。

なぜ記憶持ちにしたかと言いますと、寂しがりやの方では話しの展開上終始出す事が出来なかったので、こちらで記憶持ちの3人を描きたかったと言うのが主な理由です

 

結構強引に話しを作ったので、これはないだろ……って思う方もいるかもしれないですが、天和のお姉ちゃんとしての魅力を感じて頂けたら幸いです

 

一刀は一刀でも、魏√とは別人なのに懐きすぎじゃね?と言うのは……シリマセンネ~

 

ここで涼州陣営の恋姫キャラは8話で投稿したキャラに三姉妹を加えるので現在こうなってます

 

一刀 及川 翠 鶸 蒼 蒲公英 明命 香風 華侖 シャオ 天和 地和 人和 

 

ここまでくれば戦力UP…………してませんね

 

 

張三姉妹が加わって一刀の心労軽減に…………なりませんね

 

 

曹操軍や孫策軍に対抗出切る人材の宝庫に…………なるはずがないですよね

 

 

恋姫キャラが加入しても戦力が変わらない涼州軍が今作の持ち味?になってますねえw

兵士の士気は張三姉妹で上がりますが、それを率いる将の力量さが後々問題になってくる陣営です。

 

 

 

 

相変らず拙い文章しか書けない私ですが、今年度もお付き合いの程をよろしくお願いいたします

 

 

 

 

 


 
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