No.817801

九番目の熾天使・外伝 ~短編26~

竜神丸さん

未来のヒーロー その2

2015-12-08 16:20:02 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2673   閲覧ユーザー数:1291

「そんで、あのチャラ男はちゃんと捕まえてるか?」

 

「あぁ、もちろんだ! こいつの事だろ?」

 

「嫌だぁぁぁぁぁっ!? 岡島の旦那と絡むたびに俺、毎度碌な目に遭ってないっすよぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」

 

(…めっちゃ嫌がられてる)

 

天ノ川学園高等学校、正門前。

 

そこで教師を務めている若き青年―――如月弦太朗と出会ったokakaは予め弦太朗に確保を頼んでいた、情報屋も兼ねたジャーナリストの青年―――JK(ジェイク)とも出会っていた。しかしジェイクはokakaの顔を見た途端に即座に逃走を図るも、結局は弦太朗に捕まってokakaの前に引っ張り出されていた。泣き顔でokakaの手から逃れようとしているジェイクを見て、ディアーリーズは内心でジェイクに少なからず同情している。

 

「そんじゃ弦太朗。コイツ借りてくから、他のメンバーの召集は任せるぜ」

 

「おう、任せろ!」

 

「俺は任されたくないっす!! お願いマジで離して、俺まだ命は惜しいんすからぁ!!」

 

「HA☆HA☆HA、まぁ気にすんな! それより仕事だ、行くぜジェイク!」

 

「いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…」

 

その後、okakaはジェイクを無理やりトライドロンの助手席に放り込んでからトライドロンを発車。トライドロンが走り去っていくと共にジェイクの悲鳴もどんどん小さくなっていき、結果として正門前には弦太朗とディアーリーズだけが残る事になった。

 

「あ、えぇっと…」

 

「うし! じゃあウル、俺に付いて来てくれ。メンバーの召集も大事だが、そのついでにこの学園の皆も紹介してやる!」

 

「この学園の皆、ですか……そうですね。僕もこの学園については興味がありましたし、お願いします」

 

「よし、決まりだ! この俺に付いて来い!」

 

「え、あ、ちょ、そんな引っ張らなくても僕は逃げませんってば!?」

 

取り敢えず、弦太朗に付いて行く事になったディアーリーズ。弦太朗はその高いテンションでディアーリーズの手を掴んで引っ張り、ディアーリーズは思わず転げそうになるも何とか体勢を立て直し、彼に学園を案内して貰う事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、天ノ川学園都市の隣町である風都では…

 

「~…♪」

 

かつて仮面ライダースカル―――鳴海荘吉が所長を務めていた鳴海探偵事務所。そこでは黒スーツに黒い帽子で目元を隠している青年―――左翔太郎(ひだりしょうたろう)が、口笛を吹きながら椅子に座っていた。

 

「男の目元の冷たさと優しさを隠すのが、この帽子の役目。真のハードボイルドは決して、人前で涙を流さないもの……ってな」

 

彼は元々、ハードボイルドに憧れて鳴海荘吉に弟子入りし、今もハードボイルドな生き様を目指していた……今ではハーフボイルド(半熟卵)という不名誉な呼び名が付いてしまっているが。

 

しかし現在、彼は上機嫌だった。普段口うるさい事務所の所長は現在、エリート警視である夫と共に休暇を取って旅行に向かった事から不在。相棒は地下の格納庫に籠って色々な情報を検索している真っ最中。誰も彼のハードボイルドプランを邪魔する者はいない。

 

「依頼人が来ればクールに対応。俺と相棒の推理力で事件をスムーズに解決し、それでもって依頼人への精神面のカバーも忘れず、最後は依頼人に感謝されながら男らしく去る…………完璧だ。非の打ち所が無い」

 

彼は淹れたコーヒーの入ったカップを手に取りながら、今や今やと依頼人が来るのを待ち続ける。こういうのは始めの出会いが一番重要なのだと、翔太郎はそう自分に言い聞かせる。

 

(さぁ、準備は出来ている。俺はいつでもバッチ来いだ…)

 

-ガチャッ-

 

(!! よし来たぁっ!!)

 

こうして待ち続けてから数分後。事務所の扉のドアノブが捻られる音が鳴り、扉が開かれようとする。その瞬間を待っていた翔太郎はコーヒー入りのカップを手に取り、椅子を回転させて扉の方へと振り返る。

 

(行くぜ左翔太郎、今度こそハードボイルドに決めるんだ…!!)

 

「何かお困り事かな? 鳴海探偵事務所へようこそ…」

 

 

 

 

 

 

「左ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ仕事を持って来たぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

 

 

 

 

 

 

「ブフゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!?」

 

格好良く決めようとした翔太郎の前に現れたのは、扉を強引に蹴り開けながら飛び込んで来たokaka……と、ついでに彼に引っ張られて来た涙目のジェイク。

 

哀れ、左翔太郎。

 

想定外の来客に、ハードボイルドプランが一瞬にして崩れ去った彼は、口に含もうとしたコーヒーを盛大に噴く事しか出来ないのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゲホ、ゴホ……岡島テメェ!! せっかくハードボイルドに決めようと思ったのに、また邪魔しやがって!!」

 

「知らねぇよ、お前のハードボイルドプランなんて。というかお前は完成されたハーフボイルドだろうがよ」

 

「ハーフボイルドって言うんじゃねぇ!! つうか何でジェイクまで引っ張って来てんだ!! 何か見るからに吐きそうになってんですけどぉ!?」

 

「うっぷ……だ、旦那、ぶっ飛ばし過ぎっす……おぇ…」

 

「いや~すまんすまん、ここまで来るのにトライドロンで結構飛ばして来たからな」

 

「いつか照井に捕まっちまえテメェは!! …で、今回は何しに来たんだよ。生憎だが、今は亜樹子も照井もいねぇぞ?」

 

「あぁ、ちょっとな……また“時空の歪み”が発生したんだ。調査を手伝って欲しい」

 

「…何だって?」

 

吐きそうな状態で口元を押さえているジェイクの背中を手で摩りつつ、okakaに連続で突っ込みを入れ続けていた翔太郎。しかしokakaの口から告げられた“時空の歪み”という単語を聞いて、翔太郎の眉がピクッと反応する。

 

「フィリップはいるんだろう? また“地球(ほし)本棚(ほんだな)”を借りさせて貰うぜ」

 

「…あぁ。この町を泣かせるような事態は、放っておく訳にはいかねぇ」

 

翔太郎の了承も得て、okakaは翔太郎の相棒である少年―――フィリップがいるであろう地下の格納庫へ向かうべく扉を開ける。その先には巨大な装甲車―――リボルギャリーが展開した状態で待機しており、そこにフィリップもいる筈だったのだが…

 

「―――何じゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」

 

翔太郎とokakaの目の前に広がっていたのは、カウボーイハットやサボテンの置き物、拳銃の玩具やサラブレッドの被り物など、何故か西部劇に関連するグッズが大量に存在していた。しかもそのグッズを大量に集めた張本人も、ご丁寧にガンマンのような服装を身に纏っており、壁のホワイトボードに西部劇に関連する情報や知識を次々と書き記していっている真っ最中だ。

 

「あ、翔太郎。それに岡島一城も、久しぶりだねぇ」

 

「お、おう…………フィリップ、何やってんだ?」

 

「岡島一城……君は、西部劇を知っているかい? 19世紀後半、アメリカの西部を舞台に作られた映画ジャンルの一つで―――」

 

「まずはそのグッズを全部売り飛ばして来ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉいっ!!!!!」

 

今日もまた、翔太郎の絶叫は事務所の外まで響き渡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は戻り、天ノ川学園では…

 

 

 

 

 

「良いんですか? 僕が見学しちゃって」

 

「良いって良いって! 佐竹校長からも許可は貰ったしな!」

 

弦太朗の案内で、学園のあちこちを見学して回っていたディアーリーズ。これまでいろんな部活の見学をさせて貰っていたディアーリーズは、今度は体育館までやって来ていた。そこでは…

 

「ほら、もっと力を込めて蹴る!」

 

「はい!」

 

そこでは数人の生徒達がヘッドギア、グローブ、プロテクターなどを着用して蹴りの練習をしていた。そんな生徒達と同じ格好をしている黒い単発の女教師は、生徒達に対して楽しそうに指導をしている。

 

「これは、キックボクシング部ですか…?」

 

「あぁ、あそこで指導をしてるのが宇津木遥先生だ!」

 

「なるほど。では挨拶しなくてはいけませんね……すみませ~ん」

 

「あ、待てウル、後ろから行ったら―――」

 

キックボクシング部の顧問である女教師―――宇津木遥(うつぎはるか)に挨拶しようと声をかけに行くディアーリーズ。しかし話しかけた方向が彼女の真後ろだったのがいけなかった。

 

「―――ッ!!」

 

-ブォンッ!!-

 

「うわっと!?」

 

即座に反応した宇津木が両足でステップを踏み、瞬時にハイキックを繰り出しディアーリーズの顔面を狙う。ディアーリーズは慌てて後方にバク転し、彼女の蹴りを回避してから華麗に着地する。

 

「すげぇ、宇津木先生のハイキックを避けた…!」

 

「何者だ? あの人」

 

周囲の生徒達が驚いている中、ディアーリーズは宇津木から距離を取る。

 

「ふぅ、危ない危ない…!」

 

「? あなた、部外者かしら? どうしてこんな所に…」

 

「まぁまぁ待ってくれ宇津木先生!」

 

「え、弦太朗君?」

 

一触即発の空気になりかけたディアーリーズと宇津木。そんな二人の間に弦太朗が割って入った事で、その重い空気もすぐに解消されるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、あの岡島君の同僚なのね。ごめんなさい、急に攻撃しようとしちゃって」

 

「あぁいえ。後ろから話しかけようとした僕も悪かったですし……僕はウルティムス・マクダウェルです。ウルと呼んで下さい」

 

「私は宇津木遥。よろしくね、ウル君」

 

「おう、これで二人もダチだな!」

 

「ダ、ダチ…?」

 

「ふふふ、相変わらずね弦太朗君も」

 

その後、誤解が解けた事でディアーリーズは宇津木とも握手を交わす。その様子を見ていた弦太朗はウンウンと嬉しそうに頷き、ディアーリーズは弦太朗の言葉に首を傾げ、宇津木は面白そうに笑みを零す。

 

「それじゃあ、ウル君はこの学園の見学をして回っているだけなのね?」

 

「おう。今度は俺が顧問を務めてる、仮面ライダー部と少年同盟を紹介しようと思ってんだ!」

 

「? 仮面ライダー部に、少年同盟…?」

 

「あぁ、仮面ライダー部や少年同盟の子達なら、今は学園の外で活動中よ?」

 

「へ? あぁ、そうだった。すっかり忘れてたぜ」

 

弦太朗と宇津木の会話の内容がよく分からず、ディアーリーズは弦太朗に問いかける。

 

「…あのぅ、仮面ライダー部と少年同盟って…?」

 

「ん? あぁ、仮面ライダー部は俺が結成した部活だ。人知れず悪と戦う部活動、それが仮面ライダー部! そして少年同盟は、今の仮面ライダー部の部員と俺のクラスの生徒達が結成した、仮面ライダー部と共に戦うチームの事だ!」

 

「人知れず悪と戦う、ですか……会ってみたいですね。その生徒達に」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、宇宙京都大学の大学院では…

 

 

 

 

 

 

「よし、アストロスイッチの準備は完了。後はドライバーにコズミックエナジーを再チャージさせれば…」

 

白衣を着た青年―――歌星賢吾(うたほしけんご)。弦太朗の大事な親友の一人である彼は今、その弦太朗の為に“ある物”の開発を急いでいた。

 

「ふぅ……全く、弦太朗の奴も無茶な注文をしてくれる。幸い、スペアのデータがあったから良かったが…」

 

そんな彼の目の前には…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再開発されている真っ最中の、フォーゼドライバーが置かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued…

 


 
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