No.817430

孫権伝ー17

ユウヤさん

生存~~~報告~~~しませんか!!!

という事でしばらく間が空いてしまいましたね。

孫権伝第十七話はオバテクの嵐です。ご注意ください。文化でも、兵器でも、料理でもです。さて本編どうぞ。

2015-12-06 16:14:17 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:3741   閲覧ユーザー数:2872

 孫権伝第17話

 

 『反董卓連合―馬家との邂逅』

 

 

 

 

 柴桑城内中庭の一角

 

 

 一刀「さてと。それじゃあこいつをまずは見てもらおうか。」

 

 そう言って俺は懐から一通の書簡を取り出した。その書簡には玉璽の印が押してあった。

 

 蓮華「・・・これって勅令書?」

 

 一刀「さて、読みあげるぞ?『孫仲謀を柴桑、長沙、桂陽の三群の太守に任命する。少帝劉弁』・・・だそうだ。」

 

 蓮華「手回しが良いわね?一刀。」

 

 雷火「ちょっと待て!一刀はどうしてその勅を持っている!」

 

 一刀「実はちょっと前に皇帝陛下宛てに蓮華を袁家の下から外してほしい旨の手紙を出していたんだ。これは保険みたいなものだったんだけど、どうやらうまくいったらしい。どううまく行ったかは・・・明命。」

 

 明命「はい!」

 

 雷火「・・・いつの間に懐柔したんだ?」

 

 思春「あれは見事な手並みだったな・・・一言目には警戒心を解かせ、二言目には心を開かせ、三言目には完全に手なずけていた。」

 

 明命「思春殿、それでは私が動物みたいじゃないですか!?」

 

 蓮華達「「「「「違うのか?」」」」」

 

 明命「はぅわ!?皆さん酷いです!」

 

 一刀「さ、明命いじりは皆そこまでにしようか。明命。説明を。」

 

 明命「はい。手順は簡単です。洛陽に侵入→皇居に侵入→皇帝陛下に会う→手紙を渡す→お猫様と戯れる→返事を貰う→お猫様を皇帝陛下と共にもふもふする→真名を預け合う→帰還。の流れなのです!」

 

 全員「「「「「・・・・・・」」」」」

 

 全員言葉が出なかったようだ。俺も最初この報告を聞いた時は耳を疑った物だ。ちなみに少帝―劉弁はどうやら月と同じぐらいの女の子らしい。余談だが劉協は一つ下の女の子。明命曰く一刀様好みの可愛い方とのこと。後で明命には縛り上げて目の前でネコと戯れさせて貰った。

 

 一刀「えっと・・・言いたい事は分かるがとにかく此処は抑えてくれ。詰まる所俺達は今後長沙と桂陽を統治して行かなければならないと言う事になる。連合なんぞ参加してる暇は無いわけだ。ちなみにこの勅は時間差で各諸侯に届く事になっている。」

 

 蓮華「一刀の手回しの早さは今に始まったことじゃないわね。それで?“表向きは”参加しない事になるんだから、“裏では”参加するのでしょう?」

 

 蓮華もかなり頭がさえているな、流石だ。

 

 一刀「そうだな。とは言え新しい土地の統治を蔑ろに出来る訳もない。だからこそ三都市に加え、“董卓側に付く部隊”を編成し、戦力を四分割しなければならない。」

 

 雷火「さすがに手を広げすぎじゃないか?手が回らないように思える。」

 

 一刀「桂陽は実は予想外の土地なんだけどな。それでも俺には考えがある。聞くか?」

 

 雷火「勿論。聞かせてくれ。」

 

 その言葉を皮切りに此処に集まった全将は耳を傾ける。

 

 一刀「まずは柴桑居残り組は昴と藍里。これは街の守りと街の政を出来る奴を選抜した。兵数は5000。」

 

 昴「了解しました!隊長!!」

 

 藍里「輝理から離れるのは心配だけど・・・了承。」

 

 一刀「長沙には瑞樹、稟、星で頼む。此処は軍備を整えるのを集中して行うためこの人選にした。兵力は此処も5000だ。」

 

 瑞樹「なるほど、私が政治を稟ちゃんと星ちゃんで軍事面を整えるのですね?」

 

 稟「理にかなってますね。」

 

 星「暴れられないのは不服ですが・・・良いでしょう。」

 

 一刀「それと・・・これは軍備が整ったら開けてくれ。」

 

 俺はそう言うと瑞樹に手紙を一つ渡す。内容はちょっと秘密だ。今後の手回しの一つだと思ってくれ。

 

 一刀「そして桂陽だが・・・雷火と輝理だ。」

 

 輝理「少女左遷ですか!?」

 

 雷火「つまり私も左遷か・・・」

 

 一刀「二人には零陵を攻める準備を整えてもらいたい。」

 

 二人「「!?」」

 

 一刀「反董卓連合・・・これが終わったら俺達は大陸に喧嘩を吹っ掛ける。戦力は万遍なく行くぞ。兵力は此処も5000だ。いいな?むしろ予定外の所をしっかりと整える事が出来ると思って二人に頼むんだ。信じてるぞ?」

 

 二人「「そ、そこまで言うなら//////って同じ反応をするな!?」」

 

 仲良き事は良き事かな。さてと・・・

 

 一刀「最後に董卓軍への援軍は残りで往く。蓮華と俺が中心となって軍の指揮をする。蓮華を総大将として近衛に思春。軍師に雛里を置いて護衛に流琉、俺の騎兵隊と秋蘭の弓兵隊。風の輜重隊の編成で、兵力は50000だ。」

 

 風「風は後方支援ですか~?」

 

 一刀「今回は攻めじゃないからな。勿論意見があるならバンバン言ってくれ。それが有用なら採用する。」

 

 風「ふふふ、了解なのですよ~。」

 

 雛里「あわわ。風さんに相談に行くかもしれませんのでその時はよろしくお願いしましゅ!」

 

 風「雛里ちゃんにお願いされちゃいましたし、風頑張っちゃいますよ~。」

 

 蓮華「ふふふ。何だかんだで結束が固いわね。明命、配置に何も言われなかった理由は分かってるわね?」

 

 明命「はい!これより炎蓮様の元に戻り、内偵を遂行します!」

 

 蓮華「よろしくね。」

 

 一刀「ま、お猫様を追い掛けて南蛮まで行ってしまいましたって言えば皆信じるさ。」

 

 明命「・・・本当に大丈夫なのでしょうか?」

 

 一刀「大丈夫。」

 

 明命「断言ですか!?はぁ、分かりました。それでは行って参ります!!」

 

 これは余談だが、孫堅陣営では『あ~。なら仕方ないな。』で通ったらしい。明命マジ涙目。

 

 

 

 

 それから数日は慌ただしい物だった。そんな中でも俺はいつも通りだった訳だが・・・周りの皆曰く、『本当に一刀は化け物だな。』だそうだ。自分でもそう思うよ。

 

 一刀「さてと・・・秋蘭。感じはどうだ?」

 

 そう言って視線を向けた先には地面に伏せて、“ある物”を構えている秋蘭の姿が有った。

 

 秋蘭「ああ、いい感じだ。それにしても・・・約5里先(約2km)を狙える獲物があるとは思ってもみなかったな。」

 

 一刀「時代を先取りだな。必要になったらバンバン使ってくれ。」

 

 秋蘭「これでは戦に無らんだろうな。」

 

 そう言って自らの新しい得物の一つである『M1500』を見つめていた。

 

 M1500。これは日本製のスナイパーライフルだ。豊和M1500ベビーバレル。国内でも警察や特殊部隊に配備されているオーソドックスな狙撃銃と言えるだろう。秋蘭が5里と称したけど、秋蘭だからこそだ。すぐに癖を把握し、25射目以降のカウントでは5里先の的に7割の命中率を誇るまでになっていた。

 

 これは余談だが、俺が同じ獲物でやっても3.5里先(約1.4km)でやっと5割だ。

 

 一刀「量産体制が確立できればそうなる。今は所詮一人の狙撃手があり得ない距離から攻撃するだけさ。集団戦には向かないよ。それに・・・秋蘭はそれで大将を狙う気は無いんだろう?」

 

 秋蘭「人によるさ。そいつが気に食わなければ撃ち抜くのみだ。」

 

 怖い事を平然と言ってのける。秋蘭を怒らせるのはしばらくやめておこう。

 

 秋蘭「さて、こっちも確かめるか。」

 

 そう言って別のケースから取り出したのはバレットM82だ。

 

 そんな物必要なのかよ!?と誰かからツッコミを受けそうだが、作ってたら出来た。それだけだ。対物ライフルで何をぶち抜くかと言えば城の壁をぶち抜くぐらいだろうな。ちなみにM82は知る人ぞ知る有名な対物ライフルだ。

 

 ガゥン!!!・・・・・・

 

 一刀「・・・少し左に逸れたな。右修正0.4ポイント。」

 

 スコープを除きながらそう指示を出す。

 

 秋蘭「了解だ。」

 

 ガゥン!!!・・・・・・パァン。

 

 一刀「お見事。」

 

 ちなみにターゲットは風船だ。ゴムを作る事に成功したからな。作ってみた。作った後はアタッシュケースから順次袋詰めで取り出している。今ではそれで遊ぶ子供が増えたぐらいだ。

 

 一刀「最後だ。これは昨日出来たばかりの物だけど・・・本当に使うの?」

 

 そう言って俺はもう一つケースを取り出した。

 

 秋蘭「これでも弓兵の誇りはあるのでな。」

 

 そうなのだ。このケースには弓が入ってる。

 

 一刀「ま、そう言うだろうと思って再会したころから考えは巡らせていたよ。名は『爪刃弓牙(そうじんきゅうが)』ある機構を備えていて、接近戦にも対応してる。」

 

 秋蘭「これは・・・」

 

 手に持った弓は弦が張っていない状態の物だった。両端には弦を掛ける部分はあるが、その形状も特殊だった。そして何より・・・

 

 秋蘭「刃が付いてるな?まさかこれは双剣か?」

 

 一刀「御明察。持ち手をネジってみな。」

 

 カチン。という音と共に秋蘭の弓は二つに分かれ、それぞれ刀剣として使えるようになっていた。刃の部分は日本刀の技術を使ってるからよく“斬れる”のだ。

 

 秋蘭「まったく・・・この期に及んで私に双剣術を学べと?一刀も鬼畜だ。」

 

 一刀「目標が目標だぞ?鬼畜にもなるさ。華琳マジ鬼畜。」

 

 秋蘭「クスクス、それは後で報告させてもらおう。」

 

 一刀「ははは、それは怖いなぁ。」

 

 こんな笑い話が出来るのは俺が図太くなったのか、それとも成長した余裕が成せるのか・・・それでも心地いい時間ではあった。

 

 一刀「出発は明日だ。江陵、襄陽、宛を経由して武関、函谷関を経由する。長旅だ。」

 

 秋蘭「ああ。感慨深いな、あの頃は攻める側だったのに今度は護る側か。」

 

 一刀「そうだね。」

 

 その後俺と秋蘭はしばらく感慨にふけって空を見上げ続けた。

 

 翌日、俺達はそれぞれの配置先へ出発した。

 

 

 

 

 旅路は順調。本日も快晴なり。あー、あー、マイクテスマイクテス。

 

 一刀「俺の歌を聴けーーーーーーーー!!!!!!」

 

 現在俺は絶賛ファイアーでボンバーしている。どうやっているのかって?バッテリー開発して、自然エネルギーで発電して、マイクとスピーカーでやっているのですよ?はい、オバテクですねすみません。

 

 それはさて置いて。現在は武関を抜けて函谷関を目指している最中だ。しかし兵士の士気をどう上げたら良いかと思案していた所、こう、ピーン!と来た訳で・・・そう言えばバッテリーと発電機関係も作ってたなぁと思いだした訳で・・・マイクとかスピーカーも三姉妹用に作ったなぁと思いだして・・・やっちゃったぜ☆

 

 孫権軍兵士(女)「「「「「きゃーーーーーーーーーー北郷様ーーーーーーーーーー!!」」」」」

 

 効果は一部に絶大だ。どうしてこうなった?

 

 孫権軍兵士(一部男)「「「「「ボンバーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」」」」」

 

 おっと意外な奴等が歓声を上げている。なんか髪の形状が独特な方々(砲台みたいなのや乱舞しそうな長い人達)ですが・・・ま、士気が上がってるならいいか?

 

 孫権軍兵士(もう一部の男)(((((血涙)))))

 

 嫉妬の眼がコワイヨー。だがそれでも歌う!今、俺は、輝いている!!

 

 一刀「まだまだ逝くぞ!家畜共ーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

 

 あれ?ちょっと違うのが混ざったか?なんかこう・・・クリムゾン的な何かが・・・ま、いいか。楽しいし!!

 

 一刀「次の曲だ!dynamite explosion!!」

 

 

 

 思春「まったく・・・何をするかと思えば。しかし効果的ですね。」

 

 蓮華「ええ、そうね。一部の男性が嫉妬の眼で一刀を見ているけれど・・・いつもと変わらないわね。」

 

 思春「はい。それで蓮華様・・・」

 

 蓮華「何かしら?」

 

 思春「その手に持っているのはなんですか?」

 

 蓮華「一刀のぐっずよ!!団扇でしょ?たおるでしょ?すてっかーに、缶ばっじ!!直筆さいん、握手権付き相手の名前記入ばーじょんもあるわよ!!」

 

 思春「(あ、駄目だこの主、ちょっとなんとかしないと。)流琉、蓮華様を止める・・・ぞ?」

 

 流琉「ほわああああああ!!!!」

 

 思春「(なんかこっちも壊れてる!?)ひ、雛里?」

 

 雛里「あわわ、興行収入を考えるとこれは財政にも利用できるのではないでしょうか?それよりも握手権付き相手の名前記入ばーじょんの直筆さいん私も欲しいでしゅ。どこで手に入るのでしょう?」

 

 思春「・・・風。」

 

 風「にゅふふ~。お兄さんの手作りすとらっぷを風は手に入れましたよ~?限定50個なのでもう無いですよ~。」

 

 思春「・・・うん。私も楽しむか。」

 

 

 

 一刀「皆!今日は聴いてくれてありがとうな!!またいつか必ず歌う!その時はまたよろしくなーーーーーー!!!!!」

 

 こうして俺の単独ライブは成功をおさめた。途中思春達が目に入って良く見てみたら、思春が途中からなんとも言えない顔に移り変わって、最終的には諦めた顔をして、最終的に今まで見た事の無い笑顔で俺にサイリウム(に似た何か)を振っていた。思春さん・・・何がありましたですか?

 

 それから少しの食事休憩をはさみ、さてそろそろ出発しようかと思った矢先に斥候が慌てて俺の前に駆け寄ってきたのだった。

 

 一刀「どうした?」

 

 斥候兵「は!潼関方面より軍勢が接近、数は5万、旗印は馬の旗が五つ!」

 

 一刀「馬?五つ?馬って事は馬家の人達だろうけど・・・馬超さんと馬岱さん辺りかな・・・馬騰さんももしかしたら来たのか?五胡は良いのだろうか・・・とにかく分かったよ。他の皆にも伝えて俺の天幕まで来るように伝えてくれると助かる。それと・・・誰かある!」

 

 北郷隊兵士「は!」

 

 一刀「君は準警戒態勢で北郷隊を潼関方面に展開するように。あまり刺激するなよ?」

 

 二人「「はっ!」」

 

 そのまま一人は各将に伝令に、もう一人は北郷隊の部隊天幕に向かって走って行った。

 

 思春「呼んだか?一刀。」

 

 一刀「今しがた伝令出したばっかなんだけど!?」

 

 思春「すぐそこで会った。」

 

 ああ、なるほど。それなら納得だ。

 

 一刀「ただ・・・その・・・すごいね?格好。」

 

 正直、その格好で歩くの恥ずかしくないですか?と言いたくなる格好だ。俺の似顔絵付き団扇を持って、俺の名前が刺しゅうされたタオル、腰にはいまだにサイリウム(らしき何か)を数本差している。

 

 思春「・・・?・・・っ!?これはその!き、着替えて来る!!」

 

 そう叫んで思春は天幕から飛び出して行った。ちなみに俺の似顔絵に『我爱你』の文字が描かれているTシャツを着ていたのはどう受け取ったらいいんだろうか?

 

 

 

 

 その後、数分も経たない内に全員が集合した。皆ちょっとばかり息が上がってるのは別に慌てて着替えて来たわけじゃないと思う。そう思いたい。

 

 蓮華「はぁ・・・はぁ・・・で、『馬』の軍勢がこっちに向かってるって事でいいのよね?」

 

 一刀「あ、ああ、どうする?」

 

 蓮華「とにかく反連合に参加だった場合は此処で迎撃するしかないわよね?」

 

 一刀「ああ、そうだな。そうじゃないように願いたいものだ。」

 

 蓮華「代表して会う人間、相手の軍を警戒するために部隊指揮する人間と分けなければならないな。どうするか・・・雛里。」

 

 雛里「あ、はい。代表者としては蓮華様、ご主人様が適任かと。迎撃を念頭に入れるなら風さんを迎撃隊の指揮を任せるのが良いかと。」

 

 風「そうですね~。この陣営だとそれが一番ですね~。」

 

 思春「私は護衛か?」

 

 雛里「思春さんは先行して函谷関の偵察を。必要とならば身分を明かし通行許可を取ってきていただけるとありがたいです。」

 

 思春「分かった。」

 

 雛里「護衛は秋蘭さん流琉さんお願いします。」

 

 秋蘭「ああ。」

 

 流琉「はい、分かりました。」

 

 雛里「これでどうでしょう?蓮華さま。」

 

 蓮華「ああ、それで構わない。それではその様に皆動いてくれ。」

 

 全員「「「「「御意。」」」」」

 

 雛里の迅速な割り振りによって配置が決まり、それぞれが動き出した。さて、誰が出てくるか楽しみだな。

 

 

 

 

 一刀「・・・で、だ。まだ来ないのか??」

 

 蓮華「使者は問題無く帰ってきたから敵対行動はとらないみたいだけど・・・」

 

 一刀「ん~・・・・・・ちょっと様子を見てこようか?」

 

 ???「その必要は無いぜ。待たせたね。」

 

 思春「誰だ!」

 

 一刀「落ち着け思春。・・・馬家の代表の方ですね?」

 

 ???「ああ、俺は馬騰、字を寿成だ。すまんな遅れて。娘がちょっと突っかかってきてな。やれ怪しいだの、やれ此処に居る筈が無いだの、やれ気に入らないだのってな。」

 

 ???「最後は言って無いだろ、母様!!」

 

 馬騰「そうだったか?だが、そんな感じで言ってたじゃないか。というよりあんたも名乗りな。失礼だろう?」

 

 ???「それを言ったらそいつらだって名乗って無いだろう!!」

 

 馬騰「訪ねて来たのは俺達だ。俺達から名乗るのが常識だ。馬鹿か?・・・・・・ああ、馬鹿だったな、すまん。」

 

 ???「ちげーよ!?酷いな!?泣いても良いか!?!?」

 

 馬騰「良いから自己紹介しろ、馬鹿娘。話進まないだろうが。」

 

 ???「ぐすん・・・私は馬超、字を孟起だ。」

 

 ・・・なんだろう。一目見て親子だなぁと思ったが、酷い母親が居たものだ。というか一人称『俺』ですか?馬騰さん。

 

 蓮華「私は孫権、字を仲謀だ。」

 

 一刀「俺は北郷。黒騎兵の北郷で通ってる。以後よろしく。」

 

 蓮華、俺に続き、それぞれ自己紹介をしていく(秋蘭と流琉と雛里だけだけど)中で、馬騰さんだけは俺をじっと見つめて「へぇ」とか「この男がねぇ・・・」なんて呟いていたのが聞いて取れた。

 

 一刀「あの・・・俺に何か?」

 

 馬騰「ああ、いや。ちょっと俺の隊の中隊長の一人が北郷を知っている奴だったんだよ。それは置いておくとしてだ・・・仲謀、あんた炎蓮の命令で洛陽を攻めに来たのか?」

 

 蓮華「母様の真名を!貴方は母様と面識があるのですか?」

 

 馬騰「ああ、面識も何も俺と炎蓮は戦場で背中を預け合った戦友だ。とは言え・・・今回は剣を合わせることになるだろうがねぇ。」

 

 その言葉を発した瞬間、天幕内が尋常じゃない覇気で満たされるのを感じた。正直、華琳なんて目じゃないくらいの覇気だった。秋蘭も顔をこわばらせていた。蓮華も正面でそれを受けたせいか完全に言葉を失っていたのだ。ならばこそ、俺の出番である。

 

 一刀「寿成殿、文台殿とコトを構えるからと言って我等が貴方の敵だとどうして言える?まだ事実確認もしない内からその様な覇気をだだもれにして我が主に叩きつけるのは止めていただきたい。確かにこの方は我等の主だが、いまだに未熟なのは隠せない。何より孫家の王と長女が健在で現役故に未熟なのはいた仕方ないことだが、それを鑑みても貴方のやっている事はいたずらに敵を増やしかねない行動と覚えておいていただきたい。」

 

 俺はすぐにでもこの覇気の飽和状態から解放されたくて仕方がなかったが、それで覇気を治めてくれるほど、馬騰さんは優しくないらしい。

 

 馬騰「へぇ?それを証明できるってのかい?」

 

 今度は覇気の矛先が俺の方へと向いていた。息が出来ない、言葉が出てこない、苦しい。だが・・・何故か此処は負けられないとも思った。

 

 一刀「・・・簡単です。俺が董卓を知っていて、なおかつ俺達が孫家の命令で動く事が無いと証明できる書簡が此処にある。これを踏まえたうえで俺達は董卓の味方だと証明しましょう。」

 

 馬騰「どれ・・・見せてみな。・・・・・・・・・っ!?これは本物か!?」

 

 ぃよし!驚きに染まって覇気が一瞬だけど晴れた!

 

 一刀「漢の忠臣たる貴方がその玉璽の印を見違えるとでも?そんな事、ありはしないでしょうね。それは少帝劉弁様が出した勅令書になりますよ。各諸侯にその知らせが行き届かないのはおそらく先代皇帝陛下が崩御された時期が重なったせいもあるのでしょう。行き違いという訳です。」

 

 馬騰「・・・くくく・・・あ~はっはっはっは!!こいつはしてやられた!なるほど、これは確かに本物だよ。俺も生まれてこの方驚いたのは数回しかないが・・・此処までのとなると本当に三番目くらいに驚いたね!」

 

 どうやら気に入ってくれたらしいな。この悪戯めいた勅令書は。そして覇気が消えた。助かった。マジ助かった。華琳さん、貴方の求めた馬騰さんは貴方にきっと手に負えない方でしたよ。いやマジで。

 

 一刀「信じてもらえたでしょうか?それではこちらからも質問を。漢の忠臣を明言する貴方達が、反董卓連合に参加してる筈の文台殿と剣を交えると言う。つまり大陸の敵として語られる董卓に与する理由をお教えいただきたい。」

 

 馬騰「・・・そこであんたを知る中隊長が出て来るのさ。」

 

 一刀「は?」

 

 一瞬、何を言われたか分からなかった。俺の反応を見た馬騰さんはしてやったりといった感じでドヤ顔をしていた。

 

 馬騰「あいつは言ってたぜ?北郷様には素晴らしき考えを教えられました。自分は間違っていた。あの時、北郷様に出会い、董卓様の可愛らしさを教えられ、過去、現在、未来において、この大陸以外の全ての国や、人種に関わらず共通の正義を教えられたとね。」

 

 それを聞いて俺は合点がいった。あの変態紳士め・・・意外なところで伏線になりやがった!どうやって馬騰さん説得したんだよ!

 

 馬騰「あんたも董卓の可愛らしさに目がくらんだか?」

 

 一刀「馬騰さん、はっきり言ってそれは無いですよ。確かに彼女は可愛いの一言で語りつくせるほどに愛らしく、愛おしく、もうお持ち帰りして市井の広場でこの子が董卓です、可愛いでしょう?可愛いよねぇ?なでなで、もふもふ、あぁ、癒されるぅ~。となりそうな子ですが。」

 

 ふむ?何やら話が脱線してるような?気の所為か??

 

 蓮華「ごほん!一刀?」

 

 ・・・うん、蓮華の目を見て自分を取り戻せたようだ。自重しろ俺のリビドー。

 

 一刀「・・・失礼、ちょっと欲望がだだもれでしたね。それは置いておくとして。大陸諸侯に罪なき身ながら生贄にされそうな者を見過ごせないと思うのは間違っているのでしょうか?もちろん正しい事だけが世の中の理だとは思ってはいません。ですが、大陸全体を見た時、此処で連合を打倒し、我等が力を示せれば、この後に起こる群雄割拠の時代に先手を打てるのですよ。義を取り、徳を得、未来を先取りする。何を置いても彼女の味方をする事はいいことだらけなんですよ。たとえ、この戦いが不利にまみれた戦いであったとしてもです。」

 

 馬騰「ふむ・・・なるほどな。翠、こいつらは味方のようだ。これから一緒に董卓の所に行くからな。いいな?異論も反論も認めないし、聞かない。」

 

 馬超「それって何を言っても無駄って事じゃないか!?」

 

 馬騰「その通りだが何か?」

 

 馬超「・・・もう・・・いいよ。」

 

 なんだろう、馬超さんとても悲しそうな眼をしているよ。俺も弄り倒してやろう。フフフ♪

 

 一刀「孟起殿。信用してくれとは言いません。愛してください。」

 

 馬超「★■※@▼●∀っ!?いいいい、いきなり何言ってんだ、お前!?」

 

 蓮華「・・・(ぽんっ)一刀、ずるいぞ。私も愛してほしい。」

 

 俺の言葉に過剰反応する馬超さんを眺めていた蓮華は何かを思いついたのか、納得したのかは分からないが、俺の方に手を乗せ引っ張りながら、そのまま俺の言葉に悪乗りしてくれた。

 

 馬超「★■※@▼●∀っ!?」

 

 雛里「・・・(キラン☆)ご主人様、駄目でしゅよ、孟起しゃんは女の子が大しゅきなんでしゅ。」

 

 蓮華の言葉にまた過剰反応する馬超さん。すぐに雛里は片目を光らせたかと思うととんでもない爆弾を投下した。

 

 秋蘭「・・・(ギラン★)一刀、孟起殿は私が頂く。私が弄り倒して、愛でると決めた。」

 

 その爆弾に反応して秋蘭は両目が正しく(◆ω◆)こんな感じに光ったと思うと爆弾の追加投下を行ってきた。というよりも春蘭弄り成分が足りなくなっていたんですね?わかります。

 

 馬騰「・・・(にやり)良かったな翠。それで婿と嫁の二つがもらえるぞ?むしろ嫁として嫁ぐか?男でも女でも一向に構わん。」

 

 最終的に地雷を爆発させたのは馬騰さんだった。

 

 馬超「・・・・・・・・・も・・・・・・もういやだああああああああああああああああ!!!!!」

 

 全員「「「「「ちっ、逃げられたか!」」」」」

 

 くそぅ、ちょいとやりすぎたぜ。もうちょっと弄って楽しみたかったのに。

 

 流琉「あ、あの、あれぐらいでいいのではないでしょうか?すごく・・・見ていて可哀そうでした。」

 

 流琉は馬超さんの扱いを見て苦笑いしながら諭してくれる。だがしかし、だがしかしだ。此処に居る全員の意見は一致している。その意見とは・・・

 

 全員「「「「「可愛いから嫌だ。」」」」」

 

 である。むしろ可愛いから苛めたくなるのだ。小学生か?心は中学生だ。悪いかこの野郎。

 

 流琉「あ、そうですか・・・ま、否定はしません・・・出来ません。(と言うよりもこれ以上食い下がったら今度は私が標的に・・・)」

 

 馬騰「ま、兎にも角にもそっちが軍としては規模がでかいしな。俺の所が傘下に加わる方向でいいな?」

 

 天幕内のなんとも言えない空気をとんでもない意味でぶち壊したのは馬騰さんのこんな言葉だった。正直驚きを隠せない。

 

 一刀「え!?そ、それは願っても無い事ですが・・・いいんですか?」

 

 馬騰「ああ、かまわない。ちゃんと後ろから見ててやるぜ。」

 

 うん、なんともはや。歴戦の勇士に後ろから観察されてるってのは緊張するな。だが、これはこれでいい経験になるだろう。こうして俺達は馬騰軍を加え、約10万という大所帯になった訳だ。そして場所は函谷関へと移動する。

 

 

 

 

 一刀「で?洛陽からの使者が来るまで待っててくれってのが、向こうの言い分なのか?」

 

 思春「その様だな。無理に通る事も無いだろうし、そんな事をしたら敵だと言ってるように見えるからな。いた仕方ないだろう。」

 

 一刀「だなぁ・・・」

 

 と、言う訳で、函谷関で俺達は足止めを喰っている。とは言え、後数日もすれば使者が来るらしいので此処は待っている事にしよう。

 

 ???「ねえねえ、貴方が北郷さん?」

 

 思春とのんびり今後の事を話そうかと思ってた矢先、唐突に声を掛けられた。なんというか・・・馬超さんに似てるような・・・何処となく似てないような。えっと・・・?

 

 ???「たんぽぽは馬岱!錦馬超の従姉妹の馬岱だよ!」

 

 一刀「君が馬岱さんか。はじめまして、北郷です。黒騎兵隊を率いてるんだ。」

 

 馬岱「うん、知ってる。有名だよ?柴桑付近の邑を襲っていた賊徒を単騎で蹂躙した黒騎兵。その槍捌きは驚天動地の技のキレって。」

 

 一刀「とんでもない尾ひれが付いてるな!?俺の得手はどっちかと言えば刀剣の類ですよ!?」

 

 馬岱「そうなの?ならなんで槍?」

 

 一刀「あ~~~・・・」

 

 なんて説明した物か・・・騎士甲冑を想像したら出て来たのが黒天槍な訳で・・・

 

 一刀「ま、俺の得物は特殊で作るのが大変なんだよ。」

 

 銃を作り上げる人間が何言ってんの?って話ですね。分かります。ごめんなさい。ついつい他の物を作っていて日本刀作るの忘れてました。てへ☆

 

 思春「一刀、一瞬お前を殴りたくなったんだが?」

 

 一刀「すんません調子のってました!」

 

 馬岱「あはは~。北郷さんって面白い人だね~。でね?こっちに居るのが・・・って隠れてないで。さあさあ!!」

 

 一刀「ん?ああ、あそこで隠れてるのは?」

 

 馬岱「鶸姉さま、蒼。北郷さんに挨拶するんでしょ?たんぽぽばっかり仲良くなって良いのかなぁ~?」

 

 そう言って馬岱ちゃんは俺の腕に絡みついて来た。その腕には確かな二つの大きくなくそれでいて小さくない、程よい柔らかさを持ったいい感じの双丘が存在を主張していた。もっと押し付けてもらおうか?そうそう、ぴょんぴょん跳ねる動きに合わせてぐいぐい押しあてられながらも上下運動が加わってなんとも言えない至福の時が今俺の腕の中に・・・

 

 思春「一刀?」

 

 自重だ!自重するのだ俺の大罪よ!!

 

 一刀「馬岱さん!離れようか!このままだと色々まずいのですよ!!」

 

 馬岱「ん・・・?・・・(ニヤ)へ~?何がまずいんですか、北郷さん?な・に・が、まずいんですか~~?」

 

 この子、分かった上でさらに押し付けて来ただと!?というか今度は挟み込んできた!?

 

 思春「か・ず・と?」

 

 一刀「思春、これはなんともしがたい!至福です!!・・・じゃなくて無実です!?」

 

 ???「な、何やってんのたんぽぽ!!おおお、男にそんな事をして!」

 

 ???「・・・うへへ、そのまま路地裏に連れ込まれたたんぽぽは北郷さんの猛りそそり立つ槍に突き上げられて悲鳴を上げながら昇天して・・・ずるいよたんぽぽちゃん!私も混ぜて!」

 

 一刀「思春!その鈴音をしまおうか!?今それどころじゃないの分かってるよね!そうだよねぇぇぇぇぇ!!!」

 

 思春「問答・・・無用!!」

 

 一刀「うぎゃあああああああああああ!!!!」

 

 ああ、あの世界の華琳が『自業自得よ』と白い目を向けながら俺を非難してる姿が思い浮かんだよ・・・

 

 

 

 

 一刀「・・・んで、君達は?」

 

 思春の折檻・・・もとい、お説教を空気投げでかわした俺は後ろで投げられ疲れた思春を放置しておき、名も知らぬ、けれど馬騰さんや馬超さんに似た二人の少女に目を向けた。

 

 馬岱「この二人はお姉さまの実妹の二人だよ!こっちの真面目一辺倒なのが馬休お姉さま。こっちはたんぽぽと気が合う妄想大好き女の子、馬鉄ちゃんだよ。」

 

 ふむ、馬鉄ちゃんはけしからんおっぱいだ。実に眼福眼福・・・って最近俺の内なる獣が自重しないな。ストレスか?致していないストレスが遂に爆発する寸前か?秋蘭・・・連れ込むかなぁ・・・

 

 一刀「えっと、生真面目馬休ちゃんと妄想馬鉄ちゃん、悪戯っ子馬岱ちゃんでいいのかな?」

 

 馬岱「そうだよ~!」

 

 馬休「生真面目って何よ!」

 

 馬鉄「そんな妄想癖を盾に無理難題を吹っ掛けて人気のない所に連れ込んだ北郷さんは私にあんなことやこんな事をして最終的に私達全員を手篭めに・・・えへへ~。」

 

 一刀「・・・ウチの変態軍師と気が合いそうだな。」

 

 兎にも角にも、これで馬家の全員と顔見知りになった訳だ。さて・・・どうしたものか・・・

 

 一刀「ちょうど良い時間だし、お昼を一緒にどうかな?思春はどうする?」

 

 思春「わ、私は・・・蓮華様の・・・お傍に居るさ・・・」

 

 一刀「・・・うん、なんかごめん。」

 

 思春「あやまるな。余計・・・みじめになる。」

 

 一刀「あ、うん・・・頑張って。」

 

 そのまま思春はふらふらと蓮華の所へと歩いて行った。なんか申し訳ないな。

 

 一刀「で、三人はどうする?俺の奢りだよ?」

 

 馬岱「奢り!行きます!!」

 

 馬休「え、でも悪いんじゃ・・・」

 

 馬鉄「なら鶸お姉ちゃんはお留守番だね。精の付く物をたくさん食べて2人で可愛がってもらおうかなぁ。」

 

 馬休「ななな//////何言ってんのよ!!心配だから私も監視で付いて行くわ!!」

 

 そんなこんなで四人で食事をする事になりました。馬休ちゃんは馬超さんみたいに弄りが居があるこだと言う事が判ったな。さすがにしないけど。

 

 一刀「じゃ、すぐそこの酒家に入ろうか。」

 

 そのまま俺達は酒家へと入って行く。その後からこそこそと付いて来る人影に気が付きながらも・・・だ。

 

 

 

 

 一刀「さ、注文しようか。俺は炒飯ギョーザ、ラーメンで。」

 

 馬休「同じでお願いします。」

 

 馬岱「私はね~。麻婆茄子と炒飯で。」

 

 馬鉄「私はたんぽぽちゃんと同じで~。」

 

 給仕「畏まりました。少々お待ち下さい。」

 

 席に着いてすぐに注文をし終えて俺達はちょっと歓談を始め、何だかんだで三人は俺の事を信用してくれているようだった。

 

 一刀「さてと、それじゃあ本題に入ろうかな?馬岱ちゃん達はどうして俺に接触してきたかだけど・・・寿成殿の差し金かな?」

 

 三人「「「っ!?(ビクッ!)」」」

 

 隠すつもりないのか?隠すのが苦手なのか?

 

 一刀「あ~、その・・・まあ、別に良いけど。三人だけなら気が付かなかったよ?人選失敗してるよね?そうだよね?」

 

 馬岱「あ、あはは~。や、やっぱり気が付いちゃうよね?だから言ったのに。」

 

 馬休「で、でもそう言うの得意な人は陣営内探してもいないし・・・」

 

 馬鉄「え?何の話?私は純粋に北郷さんに手篭めにされてほしくて来たんだけど??」

 

 馬鉄ちゃん歪みねぇな!

 

 一刀「孟起さん後ろですんごい睨んでるの丸わかりですよ。」

 

 馬超「んな!?何で分かった!?」

 

 いや、なんでって・・・そりゃあねえ。

 

 一刀「言っていいの?馬岱ちゃん。」

 

 馬岱「お姉さまの為にも言わないで上げてほしいかな。」

 

 馬超「なんだってんだよ!?」

 

 一刀「ま、とにかく・・・席移動しなよ。奢るよ?それとも奢られたくない?」

 

 馬超「ぐ・・・奢りと聞くとどうしても行きたくなる・・・」

 

 一刀「ふむ・・・今なら俺が作った甘いお菓子が付いて来るよ?」

 

 そう言って俺はアタッシュケースからシュークリームを取り出した。サクサクシューにこってり甘々濃厚クリームがあり得ないくらいびっしり詰まった正しく手作りならではの物だ。大量生産品とは違うのですよ。

 

 一刀「お一つどうぞ。馬休ちゃん。」

 

 馬鉄「私!?・・・い、いただきます。・・・・・・・・・(パァァァァァァァ)」

 

 お堅い馬休ちゃんを懐柔する目的も含めて食べさせたのだが、どうやら何処か遠い場所にトんでおられるようです。やりすぎたか?

 

 馬岱「北郷さん!たんぽぽも欲しいな!」

 

 一刀「え?あ、あぁ。でもご飯があるだろう?楽しみは後でとっておこう。孟起さんは要らないようだしね。さ、注文した料理も来たようだしね。」

 

 その言葉を皮切りに次々と注文した料理がテーブルの上に所狭しと並べられていく。うん、うまそうだ。

 

 馬超「ま、待てって!い、要らないなんて言って無いだろう!!欲しいです。奢ってください!!」

 

 プライドも無いのでしょうか?まあ、さっき弄って泣かせたお詫びにこれぐらいはしてあげないとね。という訳で馬超さんの追加注文をして、出て来た料理に舌鼓を打ちながら、さすがに店内での持ち込み飲食は悪いと思って広い場所に移ってシュークリームを四人に差し上げたのだが・・・馬休ちゃんは二個でずるいと言う話になってしまったので他の三人に追加で一個ずつ渡す羽目になった。在庫が無限にある訳じゃないから自重してほしいなぁ。

 

 

 

 

 馬岱「は~、美味しかった。やっぱ北郷さんって不思議な人だね。どうしてそんなにいろんなものを持ってるの?その箱に何かあるのかな?」

 

 一刀「ん?まあ、そうだね。それは機会があれば説明してあげるよ。」

 

 馬超「おいたんぽぽ。もうそろそろ戻るぞ。母様が待ってる。」

 

 馬岱「あ、待ってよ翠お姉さま!じゃ、北郷さんまたあとで~~!!」

 

 そのまま馬岱ちゃんと馬超さんは走って行ってしまった。さて、何を探ろうとしてたのやら。ちなみに馬休ちゃんと馬鉄ちゃんは先に戻って行った。他の野暮用があるとか何とか。なんだったんだろうね?

 

 一刀「結局、なんだったんだろうな?・・・・・・どう思うよ、思春?」

 

 俺が声を掛けると物陰から思春が顔を出した。

 

 思春「そうだな・・・見た所お前の人となり、どんなことが得意かとかを調べていたんだろうな。」

 

 さて、蓮華の元に言った筈の思春がどうしているのかというと?そんなのウソに決まってるからである。蓮華の元に行くと見せかけてずっと馬家4姉妹(正確には三姉妹と従姉妹なのだが、別に良いよね?)を探っていたのだ。

 

 一刀「まったく、自分でも対した人間じゃないと思っているのに、他人に過大評価されるのは何時になっても馴れないよ。はい、シュークリーム。」

 

 思春「ああ、頂こう。あむ・・・そうは言うがな。結果が伴っている以上、それは実力と取られても仕方ないだろう。私達はお前という存在がどんなものか分かっているからな。もぐもぐ。」

 

 一刀「ま、そこは誤解してもらえればいい方向に持ってけるだろう。もしかしたら・・・なんて思考の凝り固まった動きになればこちらも対処がしやすい。」

 

 思春「あむ。敵になる前提で話を進めているが、大丈夫か?もぐもぐ。」

 

 一刀「大丈夫だ、問題無い。と、思春?」

 

 思春「むぐむぐ・・・ん?」

 

 一刀「クリームが付いてる。」

 

 思春「そうか?どこ(ひょい)んな!?」

 

 一刀「ん(ペロ)ま、味方になってくれるに越したことは無いけどな。って、どうしたの?思春。」

 

 思春「////////こ、この・・・」

 

 一刀「ん???」

 

 思春「無自覚男が!!」

 

 ゴスン!!

 

 一刀「おうふ!?な、なぜだ・・・?あ・・・そうか・・・ご、ごめ・・・ん。」

 

 一連のやり取りを思い返し、自分が何でボディブローを喰らったのかを理解しながら謝罪を述べたが、そこで俺の意識は無くなった。

 

 

 

 


 
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