No.816723

宝城双斗のIS学園生活 第10話祝賀会と姉妹の和解

destinyさん

不器用な姉妹

2015-12-02 12:31:43 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:482   閲覧ユーザー数:480

 side双斗

 

 クラス対抗戦は、4組の優勝で幕を閉じた。

 

 そしてその日の放課後、食堂を貸し切らせてもらって4組の優勝祝賀会が行われていた。

 

 「それでは、4組のクラス対抗戦の優勝を記念して・・・乾杯!」

 

 「「「かんぱーい!!」」」

 

 僕がそう言うと、全員が飲み物を掲げ、笑顔で叫ぶ。

 

 そしてそれぞれが用意したお菓子などを食べながら、今回のクラス対抗戦のことで4組のみんなは盛り上がっていた。

 

 「更識さん、本当に凄かったよね!」

 

 「あの48発のミサイルは圧巻だったわ」

 

 4組のみんなは簪を称賛していた。

 

 「簪、優勝おめでとう」

 

 「ありがとう、双斗」

 

 そう言い、僕たちは優勝の余韻に浸っていた。すると、クラスメイトの明石さんが話しかけてきた。

 

 「宝城君、更識さん」

 

 「うん? どうかしたの?」

 

 「2人に聞きたいことがあるんだけど・・・」

 

 と聞いてきたので何かなと思っていると

 

 「2人ってどういう関係なの?」

 

 「「えっ?」」

 

 「2人ともいつも一緒にいるから、もしかして付き合っているのかなと思って?」

 

 明石さんがそう聞くと他のクラスメイトも僕たちに注目する。

 

 「(簪、どうする?)」

 

 「(4組のみんなには言っても大丈夫だと思う・・・)」

 

 簪に耳打ちで聞くと、簪は4組のみんなになら大丈夫といったので、僕はみんなに話すことにした。

 

 「うん、明石さんの想像通りだよ。僕は簪と付き合ってるよ」

 

 僕が簪と付き合ってることをみんなに言うと

 

 「ちょっとショックだけど、更識さんならしょうがないか」

 

 「うん、宝城君と更識さん本当にお似合いだもんね」

 

 「みんな・・・」

 

 「私たち4組は応援するからね宝城君、更識さん!」

 

 僕と簪は4組のみんなに感謝してもしきれなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 祝賀会が終わり、僕と簪は部屋に戻るため廊下を歩いていた。

 

 「どうしたの双斗?」

 

 僕は食堂を出たあたりから人の気配を感じていた。

 

 僕自身、最初は無視していようかとも思ったけど、ずっと僕と簪を尾行してきていたので立ち止まって、後ろを振り返る。

 

 「・・・・いい加減出てきてくれませんか、後ろにいるのは分かっていますから」

 

 「え?」

 

 簪は驚いて、後ろを振り返る。

 

 「・・・・・」

 

 出てきたのは簪と同じ水色の髪にルビー色の瞳で、簪とは逆に髪の毛が外側にはねている簪に似た少女だった。

 

 「久しぶりですね刀奈さん・・・、いや今は楯無さんと呼ぶべきですね」

 

 「双斗君・・・」

 

 「お姉ちゃん!?」

 

 そこにいたのは簪の姉である更識刀奈こと更識楯無さんだった。ちなみに楯無というのは更識家の当主を受け継いだ者が名乗る名で、本当の名前ではない。

 

 簪は楯無さんが出てきたのを見てびっくりしていた。

 

 「とりあえず、ここだと目立ちますから僕たちの部屋に行きましょうか」

 

 そう言い、僕は2人と一緒に部屋に向かった。その間刀奈さんと簪は無言だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 1050号室の部屋内

 

 「「・・・」」

 

 僕は簪と刀奈さんを座らせた。

 

 「(さて、どうしたものかな・・・)」

 

 僕は以前に簪から刀奈さんとうまくいっていないということを聞いていた。そのため僕は何とか2人には和解をしてほしいと思った。

 

 僕が何かいい考えがないか考えていると、刀奈さんが口を開いた。

 

 「・・・簪ちゃん・・・今日のクラス対抗戦、優勝おめでとう」

 

 刀奈さんが簪の顔を見てそう言うと簪は・・・

 

 「お姉ちゃん・・・。ありがとう・・・・・、でも私にとってはお姉ちゃんは今でもやっぱりまだ大きな壁だと思っている」

 

 「・・・・・」

 

 「でも、前のようにお話をしたい。またあの時の様に普通に話せるようになりたい・・・」

 

 そう言う簪は、震えながらもしっかりと刀奈さんを見ていた。

 

 「私もよ簪ちゃん」

 

 楯無さんはそう言って、簪を抱きしめた。

 

 「お姉ちゃん・・・ごめんね。でもこれからは少しずつでも話していきたい。いい・・・かな」

 

 「勿論よ。今はまだ急すぎて無理かもしれないけど、昔のような仲に私も戻りたいから」

 

 今までの仲違いが大きすぎて、すぐにはその関係を修復することはできないかもしれない。だけど、この2人を見ていたら必ずもとの仲の良い姉妹になれる。僕はそう思う。

 

 そして、静かに抱きしめ合う2人に気づかれぬよう、僕は静かに部屋を後にした。

 

 

 

 僕は部屋を出ると、これからどうしようか考えていた。

 

 すると、ポケットに入ってる携帯電話が鳴りだした。

 

 「誰だろう?」

 

 僕はポケットから携帯電話を取り出し、着信相手を見る。

 

 「珍しいね・・・、束さんから電話なんて」

 

 束さんから電話をかけてくるのはかなりまれだ。だいたい1年で2回あるかないかだ。

 

 「もしもし、束さん?」

 

 『ソウ君、元気~?』

 

 相変わらずの口調で束さんはそう聞く。

 

 「はい、元気ですよ。それにしても束さんから電話なんて珍しいですね? 何かあったんですか?」

 

 『うん、実は今、久しぶりににソウ君以外の『全員』が揃っててね。明日にでもソウ君もラボに戻ってこれないかな? せっかくだし久しぶりにみんな揃っていろいろと話したいな~っと思ってね。どうかな?』

 

 「はい、もちろん行きますよ」

 

 『うん、それじゃあ明日の朝に私のラボの座標を送るから。絶対来てね!』

 

 「はい!」

 

 『それじゃあ、また明日だよ~』

 

 束さんがそう言って電話は終わった。

 

 「久しぶりだな、全員が揃うのは」

 

 僕は久しぶりにみんなに会えるのが楽しみで仕方なかった。  

 

 


 
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