No.815734

がちゆり~千鶴v楓

初音軍さん

前々から書きたかったカップリング。アニメでも流れたので書くタイミングとしてはちょうどよかった気がします。このカップリングだと千鶴は年の差とか気にしてすごく奥手になりそう。カップルになったら楓が主導権握りっぱなしかもですねw千鶴にクラスメイトの友達できて以降の話だと思ってもらえればイイです・v・

2015-11-25 22:11:21 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:913   閲覧ユーザー数:913

がちゆり~千鶴v楓

 

【千鶴】

 

 最近公園のベンチに座っていることが多くなって来た。

以前はそんな頻繁に来ることはなかったし楽しみもなかったけれど。

あの子がきっかけでよく通うようになっていた。

 

「あ、ちづるお姉ちゃ~ん」

「楓ちゃん…」

 

 休みがある度にここに来ては楓ちゃんに話を聞いてもらっている。

楓ちゃんは私の話を聞いては嬉しそうに答えてくれるから私も嬉しい気持ちになる。

 

「…そういえばさ、楓ちゃんのアドバイス。がんばったら友達できたよ…」

「え、ほんとう!? やったぁ!」

 

「…ふふっ」

 

 喜ぶ言葉を表すように動きでもバンザイをしたりして嬉しそうにしている姿が

まるで天使を見つけたような気持ちでいた。

 

 こんなに穏やかな気持ちにさせてくれるのは姉さんの他にはいなかったから

このまま…いつか会うきっかけがなくなってしまったらと思うと怖くなって

つい楓ちゃんの手を掴んでいた。

 

「ちづるお姉ちゃん?」

「あ、ごめん・・・!」

 

 不思議そうな顔で見られたことに気付いて私は慌てて手を離した。

恥ずかしいことをしたと思うとどんどん顔が熱くなっていくことに気付く。

 

「い、痛くなかった?」

「うん、大丈夫」

 

 私の不審な行動に嫌な顔一つせずに微笑んでくる楓ちゃん。

この子の笑顔を見てると胸の辺りが熱くなって心音が強く聞こえてくる。

 

「大丈夫、お顔赤いよ?」

「だ、大丈夫だから・・・」

 

 私の言葉に心配そうな顔をしながら楓ちゃんは私の額に自分の額を押し付けてくる。

その間、仄かに楓ちゃんからいい匂いがしてきて、ドキドキが強くなる中どこか

気持ちが少し落ち着いているような不思議な感覚を私は味わっていた。

 

「ちづるお姉ちゃん?」

「大丈夫だから…」

 

 そう言って少しだけ力を込めて楓ちゃんの手を握る。

 

「これは…楓ちゃんが好きっていう気持ちからくる熱さだから」

「え…」

 

「いきなりこんなこと言うのも変だと思うけど…」

「ううん、楓もちづるお姉ちゃん大好きだよ」

 

 えへへ、と少し顔を赤らめながら照れくさそうに笑っていた。

これだけ年にも差があるし出会ったばかりだし楓ちゃんは本当の好きじゃないかも

しれないけれど。その言葉をもらっただけで私は満足しなくちゃいけない。

 

 ちょっとだけもやっとしたまま、さよならする時間が訪れた。

 

「あ、楓帰らなくちゃ…」

「うん…そうだね…」

 

「あ、ちづるお姉ちゃん!」

 

 急に焦らすような声で楓ちゃんが私の隣に指を差すから咄嗟にそこへ振り向くと

次の瞬間、私の頬に暖かくて柔らかい感触がした。

 

 驚いて振り返るとそこには楓ちゃんの姿はなくて、周りを見渡すと私から離れようと

走っていた。少し走った後、私の方に振り返って手を振りながらこう言った。

 

「またね、ちづるお姉ちゃん!」

 

 私も何とか手を振り返すと、目の前から楓ちゃんがいなくなった後。

おそらくキスされた頬の部分に指を当てて今更ながらキスしてくれたことを意識して

心臓が破裂しそうなほど激しく動き始めた。

 

 どくん… どくん… どくん…

 

「またね…か」

 

 あの子の声を頭の中で反芻しながらその場にいると。

 

「あ、千鶴~。ここにおったんか~」

「姉さん…」

 

「もうすぐ暗くなるから迎えにきたんよ」

「え、もうそんな時間!?」

 

 言われてみればもう辺りが薄暗くなっていることに気付いた。

そんな私を見て姉さんは苦笑してから私の顔をよく見て少しだけ驚いていた。

 

「千鶴、いい笑顔するようになったやん」

「え・・・」

 

「千鶴にそんないい顔させてくれるような子、できたんやな」

「・・・うん」

 

 姉さんは嬉しそうに私に言ったから私も強く頷いた。

 

「大切にせんとな~」

「うん、大切にする…」

 

 お互いにどこまで本気かわからないけれど、ずっと一緒にいたいから…。

私はこの気持ちを強く持ってい続けることを心に決めた。

 

 楓ちゃんの気持ちに応えられるようなしっかりした人間になろうと思ったのだ。

 

 そして私はまた時間ができたらベンチで楓ちゃんを待つ日々をこれまで以上に

楽しみに待っているのであった。

 

お終い。

 


 
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