No.811727

九番目の熾天使・外伝 短編 蒼崎夜深過去編

蒼崎夜深さん

す、すみません!
やり過ぎましたああ!
主に最初らへん!

2015-11-03 22:21:45 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:760   閲覧ユーザー数:740

『…………302………………303……………………304………………305…………………306…………………307………………………308………………………309…………………………310………………』

 

暗い暗い太陽の光もマトモに差し込まない暗闇の中から水滴が落ちる音と共にか細い何かを数える声が聞こえる。

 

その声は水滴が落ちる音と共に聞こえており、水滴が落ちる音を数えていた。

 

突如真っ暗な暗闇に松明の炎が灯された。灯された炎の光により、中が見えるようになった。

 

そこは岩でできた牢屋だった。

 

松明を持っていたのは一人の男だった。その男はゴツゴツの鎧を身に着けていた。

 

男は次々と壁に付けてある松明に炎を移し、牢屋を灯していった。

 

牢屋の松明に炎を移しながら移動している男が奥にまで歩いていると水滴を数える声とは違い何かを打ち付ける音が響いていた。

 

『352………………353………………354……………355…………………………356…………………357………358………359………………360…………361…………362…………363……………364……………365………………366…………………367…………368…………369………………370………………』

 

「………………ッ!」

 

『………………37………………371…………372……………373……………374………375……………376…………377……………』

 

『……………………………382……………383………………384………………385……………386………………387…………………』

 

松明を持った男が声と響く音が聞こえる一番奥の牢屋にたどり着いた。

 

そこには裸の男と痩せ細った少年がいた。

 

「おいおい、まだやってんのかよ」

 

「こんなヤツの牢屋番なんか素直にやってやれるかよ。それに、こんな風貌ならまだいいほうだ……!」

 

松明を持っていた男は笑っていると、その後ろから男達が三人来た。

 

「おーおーヤってんな」

 

「俺達も混ぜろよ」

 

男達はそう言うとおもむろに鎧を脱ぎ捨て裸になった。

 

「いいぜ。入れよ」

 

男が一人そう言うと牢屋の鍵が開けられた。

 

『………………………………401………………402……………403……………………404…………………405…………………406…………………407…………………408…………………』

 

―――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――

 

かれこれ数時間以上が経ち、松明の炎が灯す牢屋には少年一人……

 

少年は何も食べていないのか身体は痩せ細り、少しでも力を加えたら容易く折れそうな腕や足がわかるぐらいに……。

 

「………………………………こ、殺さないでく、くれぇ…………………」

 

少年が入っている牢屋の奥にどうやら男がいた。しかし、男はとても弱っていた。

 

松明の炎が牢屋の入り口から吹き込む風により大きく燃えた炎が牢屋全体を灯すとそこには手足が無く血を垂れ流している男がいた。

 

そして大きく燃えた松明の炎により少年が灯された。

 

ボロボロの着物を着た少年がいたが灯された少年の身体には付いているはずがない物が付いていた。

 

それは少年の全身を染めるほどの血だった。

 

そして少年の身体に付いている血はどこか妙だ。

 

血が"動いていた"まるで"意思"を持っているかのように。

 

「や、やめて……くれぇ……」

 

それを見た男がそう言うと少年はゆっくりとゆっくりと子供をあやすように笑顔を浮かべた。

 

「だーめ♪」

 

その直後牢屋の入り口からその外付近一帯に聞こえる程の悲鳴が響いた。

 

悲鳴が響いた後、ボロボロだった着物は意思を持って動く血が直し、そして着させていた。

 

「………六年と九ヶ月………そろそろ行こう。ここともおさらばだ」

 

少年はそう言いながら牢屋の柵を見つめているだけで何もせずに破壊した。

 

直後、牢屋が破られた警報が鳴り響いた。

 

「式様。衣服を持って参りました」

 

「ありがとう。静」

 

静と呼ばれた少女は式と呼ばれた少年に綺麗な新しい着物とブーツを用意していた。

 

用意された着物を血で直した着物の上に羽織るように着て、ブーツを履いた。

 

「式様。兵が集まってきております。いかがなさいますか?」

 

「そうだね。久しぶりに外に出るんだ。準備運動をしようか」

 

そう言って少年・式は歩き出し、牢屋から外へ出た。

 

「……眩しいね。久しぶりに見る太陽の光だ」

 

式がそう言っていると、牢屋が破られた警報を聞いた兵が集まって来た。

 

「おい!貴様!牢屋に戻れ!今戻ればこんか………」

 

「うるさい。黙れ」

 

一人の隊長らしき兵が喋っていた時、式はそう言って目を見開いた瞬間兵が破裂した。

 

「うわ~~。胃の中身まだ消化してないよ~。あっ、でも美味しそうなのがまだ残ってる♪」

 

そう言い、式はしゃがんで破裂した兵の内臓を口にした。

 

「グチュ……バキッ!…ジュルルル……ゲフッ………」

 

いや、内臓だけではなく兵の骨までも食べたのだ。

 

しかし……

 

「まだお腹一杯にならないや。と、いうわけで君達僕のゴハンになってよ♪」

 

そう言った直後兵士達が次々に破裂していった。

 

「静」

 

「はい。すでに細かく切り刻んでおります」

 

静がそう言うと破裂した兵士達の内臓や骨が細かく切り刻まれていた。

 

「静。ありがとう。それじゃいただきます」

 

式は静に御礼を言って、兵士達の亡骸を食べた。

 

それから五分もせず食べきった式は歩き出した。

 

「さあ、行こう。スベテをオワラセ、スベテをハジメルために」

 

「はい。式様!」

 

式と静の二人は何処かへ向かう道中ずっと兵士達を殺しては食べ殺しては食べを繰り返しながら進んだ。

 

そして、二人が歩みを止め到着した場所には大きな邸があった。

 

邸の表札には『黒鐘』と書いてあった。

 

「さあ、ハジメヨウ!スベテを!」

 

式が叫んだ直後、邸が半壊した。

 

「な!し、式様!」

 

「君に式って呼ばれたくないな~~。死んで」

 

「なっ!?」

 

一人の中年男性がパァンと破裂した。

 

式はそれを気にせず歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

邸が半壊させられた黒鐘家現当主「黒鐘朱國」は自室でその報告を笑っていた。

 

「くく………く………アッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!!!!!!」

 

その笑い声を聞いた黒鐘家に仕える男達は頭を下げ、汗を垂らしていた。

 

「そうかそうかそうかッ!!!ついにあやつが動き出しおったか!」

 

「は、はっ!し、式様は現在兵士達を殺しながらこちらに向かっておるとの事です!」

 

一人の中年男性がそう言うと朱國はまたしても大きな笑い声をあげた。

 

そして―――

 

「貴様達はワシの生け贄になれ」

 

『…………へっ?』

 

男達の間の抜けた声が聞こえた直後そこには『死徒』と呼ばれる異形の者達がいた。

 

しかし、この死徒はまだ食屍鬼と呼ばれる物でしかない。

 

男達が死徒に変わった直後、朱國の部屋が半壊した。

 

「クッハハハハハッ!もう来たか!式よ!」

 

「ああ。そうだよ。くそったれの死に損ない。俺が殺してやるよぉ!」

 

式は自分の左腕を引きちぎって飛び立った。

 

「ククッ!あの出来損ないにこれほどの力があったとはな!」

 

「貴様を殺し。スベテをハジメル!」

 

引きちぎった左腕は骨と血で大きな大鎌に変わり、背中からは血でできた六つの翼が生えた。

 

自分の下に群がっている食屍鬼を式は血骨鎌になった左腕を一閃しただけで葬り去った。

 

「ほう……。これはおかしい!ではワシを殺してミセロォォォォォォ!!」

 

朱國は自分が魔術師黒鐘家現当主としてではなく一つのライオンや色々な動物等が集まった化け物になって式に迫った。

 

それを見た式は血骨鎌を構えた。

 

『Gaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!!!!!!』

 

「ッ!!??」

 

形もわからない朱國の動きはとても早く、式の翼が二つむしりとられた。

 

むしりとられた所からは血が噴き出したが、噴き出した血がすぐに翼を形成した。

 

『ほほう…………何という回復力!これぞワシが求めていた力だ!貴様を牢に放り込んだ意味があったわあああ!!』

 

朱國は目にもとまらぬ速さで動き出し、式を巨大な竜巻の中に閉じ込めた。

 

閉じ込められた式は一度上を見上げると血骨鎌となっている左腕を変化させた。変化した左腕は今度は血骨刀になった。

 

血骨刀となった左腕をおもむろにふりかざすと、何も起きていない右腕を一閃し切り裂いた。

 

切り裂かれた右腕からは勢いよく血が噴き出した。

 

噴き出した血はすぐさま集まりだし、右腕に血で出来た機関銃を形成した。

 

『――――ぬう?』

 

朱國のその一言だった。

 

直後右腕が甲高い音と共に回転した。

 

機関銃となった右腕から放たれた血弾が正確に朱國に命中した。

 

『Baaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!!!!!!!!!!!!!』

 

命中した朱國は悲鳴のような雄叫びを出しながら邸に墜ちた。

 

邸に墜ちた朱國へ、回復の暇を与えないように式は血骨刀で切り刻んだ。

 

『Gaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!!!!!』

 

「………ハハッ…………………ハハッ…………………ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッッッッ!!!!!」

 

切り刻まれた朱國は逃げようと大きな竜のような翼を出した。

 

しかし、式は逃がさないように左腕の血骨刀から瞬時に変化させ血骨チェーンソーに変化させて生えた翼と共に肉を切り刻んだ。

 

『GBaaaaaa……………!!!』

 

「ハッ!長年待ち望んだ事がこんなにも呆気ないとは!」

 

式は動けなくなった朱國を血骨刀にまた変化させて切り刻んだ。

 

『こ、これぞ……ワシの……ワシの…………!!』

 

切り刻まれた朱國は何かが致命傷となり死んだ。

 

死んだ朱國の亡骸を式は食べることもせずただ分子レベルまで切り刻んだ。

 

「終わった……。呆気なく…………」

 

式は満点の星空となっている夜空を見上げると高笑いをあげた。

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

その日・魔術師として名門の黒鐘家はその存在を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして

 

 

 

 

 

黒鐘家当主・黒鐘朱國の息子・黒鐘式は蒼崎家に養子になり、蒼崎家の子供として蒼崎橙子、蒼崎青子と平和な日々を過ごし出した。


 
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