No.808114

IS ゲッターを継ぐ者

第二章、始まります。

2015-10-15 01:56:37 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:857   閲覧ユーザー数:849

 突如としてパワードスーツ、IS<インフィニット・ストラトス>パワードスーツにより女尊男卑となった世界へ転移してしまったゲッター戦士、滝沢光牙。

 

 戦いの中に身を置いていた光牙は、学校やその中での暮らし、自分に関わってくる人物に戸惑いながらも、少しずつ前に進んでいた。

 

 その最中に現れるは宿敵、恐竜帝国。

 

 尖兵たるメカザウルスを辛くも撃破した光牙。果たしてこれから、光牙は、世界はどう進むのか?

 

 第二幕の幕が、今上げられる……。

 

 

 

 

「……って、この前降りなんなのよさ」

 

 

 整備室にて、光牙は一人突っ込みながら手を動かす。

 目の前には愛機ゲッターロボベーオ。だが先日の戦闘で、機体の至るところが破損してしまっている。

 

 

「うーん……」

 

 

 機体状況を確かめ思わず唸る。

 

 手にしたタブレットに表示されるベーオの状態。間接や内部、推進機関の部分が真っ赤に染まっていて、特に損傷が酷い事を表している。

 

 炉心が無事なのが幸いだが、問題はこれだけでない。武装面では愛用していた葵が完全に砕け散ってしまったのだから。

 

 これでは転移してきた直後と大差ない。

 

 

「どうしたもんかね」

 

 

 愚痴りながらも手は休めない。根本的問題が解決する訳でもないが、出来る範囲で修理をしておく。

 この間のメカザウルス一機との戦闘。その結果がこれ。

 

 ボロボロになったベーオを見た時は心が傷んだ。なんてバカだったのかと。

 

 ゲッターロボと言えど一機。しかも万全でなく、扱う自分も一人で、結局1でしかないのだ。

 

 対し恐竜帝国はまだまだ戦力がある事だろう。

 

 この先、更に強力で、複数のメカザウルスが来ることだろう。間違いなく。

 

 それを相手に、ベーオが、自分の力が何処まで通用するのか……。

 

 

「……せめて炉心を直せれば」

 

「――あ〜、こーくんだ〜」

 

「ん?」

 

「わあ」

 

「ドワォッ!?」

 

 

 考えていると、後ろからの呑気な声に振り向く。けど誰もいなくて、おかしいなと思いきや、下から女子がヌッとこんにちは。

 

 思わずシェーで腰を抜かしたぞ!

 

 

「あ、あぁー。びっくりした……」

 

「大丈夫?」

 

「もう、本音が変な風に言うからだよ」

 

「あれ〜? ごめーん」

 

 

 整備室の入り口付近に三人の女子、一組のクラスメイトがいて光牙に歩み寄ってきた。

 

 一人は谷本。一人は紫ショートカットの女子『相川清香』。ちなみに出席番号一番、ソフトボール部所属。これは授業で班を組んだ時に何故か教えてくれた。

最後の一人は袖がダボダボの制服と眠そうな表情が特徴の女子『布広本音』。通称『のほほんさん』。意味は全く持ってその通り。『こーくん』と呼んだのものほほんさんで、親しい者には独特なあだ名をつけるのだという。(谷本談)

 

 ちなみに、光牙のあだ名は最初名字からとった『○ッキー』だったのだがそれは色んな意味で不味いので今のに変わった。

 

 

「どしたのさ、三人共」

 

 

 光牙はさりげなくベーオを身で隠す様に立つ。

 

 ベーオはゲッターロボ。この世界では未知の機体。この三人が……とは考えたくないし可能性は薄いだろうが、万が一だ。

 

 

「いや〜。授業以外で滝沢君と触れ合う機会って殆どないなーって思って」

 

「休日も全然会わないから、何してるか気になっちゃってさ」

 

「ほうほう、これがこーくんのISかー。うーむ、近くでみるとやっぱり違うなぁ〜」

 

「それでか、ってて何ナチュラルに凝視してんだっ!?」

 

 

 谷本、相川に答える隙に、本音がいつの間にかベーオを間近で見ていた。

 

 思わず間に割って入る。

 

 

「えー。専用機だからって見る位いいじゃないのよさー」

 

「ベーオは見世物じゃないっつーの」

 

「ぶぅ〜」

 

 不満気にぷぅっと頬を膨らませる本音。その隣にいた相川が聞いてくる。

 

 

「ところで滝沢君は何してるの?」

 

「機体の整備と修理だけど」

 

「「「えっ」」」

 

 さらりと言う光牙に、三人は揃って目を丸くした。

 

 

「なんじゃいその反応」

 

「……いや、ちょっと意外って思って」

 

「? 自分の機体を自分で整備したりするのは変なの?」

 

「いや変じゃないけどさ」

 

 

 三人は訝しげに顔を見合わせている。

 

 光牙にはそれが不思議でならない。何故そんな反応をするのか?

 

「自分の機体なんだ。自分で直すのは当たり前だろ」

 

「でもそれなら企業に頼めば? 本格的な場所で整備して貰った方がいいと思うけど」

 

 

 相川の言う事は最もだ、普通なら開発企業に頼むのが手っ取り早い。

 

 でも普通、なら。一応ベーオは表向きや書類上は某企業が開発した専用IS、という扱いになっているが実際は無所属。

 

 やろうとしても出来ないのが正しい。

 

 

「そりゃそうだろうけど、ベーオは何があろうと僕の相棒だ。自分でやるのが一番いいし、おざなりには出来んよ」

 

 

 間違った事は言ってない。 そう言い聞かせ、光牙は作業を再開する。

 

「ふ〜ん。なんかこーくん、かんちゃんみたいだね」

 

「かんちゃん?」

 

「あー、確か本音が仕えてる子だっけ」

 

「そ、ねー。かんちゃーん?」

 

 

 そう言うと本音は、誰もいない場所にトテトテと歩いていくと、

 

 

「うんしょ。こらしょ。よいしょー」

 

「わ、わぁっ!」

 

 

 まるでカブでも抜くみたいに部品やら機材を掻き分け、見えてきた水色を引っ張る。するとどうだろう、一人の女子生徒がスポッと出てきたではないか。

 

 

「ほ、本音……何するの」

 

「かんちゃんが隠れてるからだよ〜」

 

「(……いつからいたんだ?)」

 

 

 女子が潜んでた事にちょっとショックを受ける光牙。隼斗や竜馬は……うん、絶対に分かる。気配に鋭すぎるから。

 

 

「紹介しまーす。私が使えてるかんちゃんで〜す」

 

「いや本名で紹介しようよ」

 

「さ、更識……簪です」

 

 

 水色髪で眼鏡をかけた女子こと簪。大人しそうな感じの少女だ。

 

 

「本当にメイドだったんだ」

 

「あー、酷いぞキヨちゃん。友達を疑ってたの?」

 

「ゴメン。僕も」

 

「え〜!?」

 

 

 いやだって、普段ののほほ〜んとした感じから想像がつかない。by光牙。

「この布広本音、家事に洗濯、身の回りの世話。月曜から木曜まで完璧メイドなのですよー」

 

「……後の三日は?」

 

「休みだよー。あと祝日」

 

「休み過ぎだ」

 

 

 ポカン。かるーい拳骨を本音へコツンとな。

 

 週休三日で祝日もとかうらやましいなオイ!by作者。

 

 

「作者の嘆きは放っておき。更識さん……だっけ」

 

 

 言いかけてあれ? と思う光牙。

 

 

「更識、更識……もしや」

 

「っ……私は」

 

「あの熟女使いか!」

 

「……え?」

 

 ピコーンと閃いた光牙。更識と言う単語に簪は何か言おうとしたが、このバカ(光牙)は思いっきりボケをかまして、簪や他の皆の目を点にさせた。

 

 

「じ、熟女?」

 

「そう。生徒会長のISだ。霧纏いの熟女だ!」

 

「霧纏いの……」

 

「熟女……」

 

 

 少女四人、想像中……。

 

 

「「「「ぶーっ!!」」」」

 

「な、面白いだろ?」

 

「じ、熟女って……」

 

「それ淑女、ぷっ!」

 

「く、ふふっ……」

 

 

 四人へドストライクしたのか笑いが止まらない。真実を知る本音や簪まで堪えているくらい。

 きっと明日には女子ネットワークで伝わっているだろう……。(遠い目)

 

 

「だから熟女ちがぁぁぁぁぁぁう!!!!」

 

 

 ドゴォォォォッ!!

 

 

「ふぁるこぉ!?」

 

 

 それを何処で聞いてたのか。楯無が熟女……いや霧纏いの淑女を纏って整備室に現れ、ぶっ飛ばされた光牙はなんか言いながら壁にドーン。

 

 これぞ壁ドン。

 

 

「光牙君ッ! また熟女って言ったわね、違うったらもー!」

 

「………………」

 

「あっ、か、簪ちゃん?」

 

 

 壁に半分埋まった光牙へ怒る楯無であったが、思わぬ人物がいた事に驚いた。二人の間に気まずい空気が流れる。

 

 すれ違いが、また……。

 

「霧纏いの……熟女」

 

「えっ」

 

「……ブッ」

 

「簪ちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!??」

 

 

 原作主人公が別世界で絶叫してるんじゃないかってくらいに叫ぶ楯無。

 

 最早顔芸レベルだ。

 

 

「熟女違うんだってー! 淑女!」

 

「え、小さくなるんですか?」

 

「それは縮小(しゅくしょう)!」

 

「戦艦の武器?」

 

「それは主砲(しゅほう)!」

 

「日本で偉い人?」

 

「それは首相(しゅしょう)!」

「あ、でも熟女って年上でエロイ女の人って意味だよね。……更識さん(楯無)一年より年上で原作でエロエロだから……意味間違ってない!」

 

「「「「……確かに!」」」」

 

「納得するなぁぁぁぁ!!」

 

 

 まあ学園も平和だ。……多分。

 

 

 

 

 ――某所にて。

 

 

『では……後はお前に任せた』

 

『はい』

 

『お前の双肩には、我が社の命運がかかっている』

 

『分かっています』

 

『……頼んだぞ』

 

 

 執務室の様な部屋で、仏語で会話する男性……彼の前には、中性的な顔立ちで、IS学園“男性用制服”の入った袋を抱えた金髪の子が。

 

「……では、任務は分かっているな?」

 

「……はい」

 

「ならば良い。手続きは済ませておく」

 

 

 ある所の殺風景な一室では、男性と少女が会話をしていた。

 

 少女が部屋から出ると、黒みがかった茶髪のオールバックの男性が、少女に話しかける。

 

 

「行くのか?」

 

「はい」

 

「……本当にすまんな。俺は、親失格だ」

 

「そんな事を言わないで下さい。……私は、大丈夫ですから」

 

「……すまん。本当に、すまん……」

 

 

 少女を抱きしめ、男性は涙を流しながら、本当に申し訳なさそうに謝りつづけた……。

 

 

 

 ……そして、極寒の地でも。

 

 

「おい、ちゃんとやっているか?」

 

「見れば分かるでしょ、精一杯やってるっての」

 

「ならば急がせろ。置かれた立場と意味を忘れぬ様にな」

 

「はいはい……」

 

 ライフルを構える兵士へうんざりとした表情で答える。目の下には大きな隈がある、ボサボサの黒髪ロングヘアーで大きな丸眼鏡ををかけた女性。

 

 

「レベルを4に設定し再調整しろ。AP、ODのダウンロードを済ませておけ。武装の方も開発を急がせろと伝えるのだ」

 

「ハッ!」

 

 

 そして……その地の奥深くには、液体で満たされたシリンダー。

 

 ――その中に、一つの存在がケーブルに繋がれ、機械や鎧を取り付けられていた。

 

 

 

 

 物語は動く。

 

 ゲッターを継ぐ者の、物語が。


 
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