「この夜が明けるまで」

この手を離さないでくれ。

この夜が明けるまで、この手を離さないでくれ。

太陽は必ず沈む。

日は暮れる。

そして再び、長い長い夜が訪れる。

この暗闇の中、俺の魂は彷徨い続ける。

見えない未来、宛の無い希望、回り続ける時間、尚生き続けるこの身体。

全てが憎悪だ。全てが恐怖だ。

この手を離さないでくれ。

この夜が明けるまで、この手を離さないでくれ。

この夜は暗黒だ。何も見えない。星すら瞬かない。

声も視界も遮られ、息は詰まり、かと言って死ぬ事も出来ず、信じられるものは何もない。

唯一残るは肢体の感触、唯一残るは温もりだけだ。

だから、この手を離さないでくれ。

どうかこの夜が再び明けるまで、この手を離さないでくれ。