No.78343

真・恋姫SS 【I'M...】6話

華琳の過去の世界へ飛んだ一刀。
そこでこれからどうするかを決めたのだが、ある日華琳の暇つぶしのためにかくれんぼを提案。
しかし、それが間違いであったことに気づいたときにはもう遅かった…

真恋姫・魏編SS第6話です。

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2009-06-10 23:36:26 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:9001   閲覧ユーザー数:7156

 

 

はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…

 

 

「まてえええええぃ!!」

「―――ちっ!」

「はっ!」

 

ビシュ!

 

「うぉ!」

 

矢が俺の肩のスレスレのところを掠める。

すでにかくれんぼが開始して1時間半。

なんとか、あれから30分は隠れて見せたのだがさすがに見つかってしまい、今は逃走中である。

しかし、この武器だけは何とかならんものか…

 

茂みを駆け抜け、木々の間を交差するように走る。

直線的な秋蘭の攻撃をさけるなら木を利用するしかない。

少しでも茂みの深いところを選んで走る。

 

「……」

 

しばらく逃げていたところで秋蘭からの攻撃が無くなった。

覗いてみれば、周囲をキョロキョロしている。

こちらを見失った様だ。

 

「…ふぅ~~~」

 

できるだけ気づかれないように安堵する。

見つかったときはまじで終わったと思ったが、案外逃げられるものだ。

この3人から逃げると言うのは森でトラや熊に出会ったのとほぼ同じと認識すべきだな…。

 

 

秋蘭が行き過ぎるのを確認して、音を立てずに移動する。

後ろに秋蘭がいるのだから、戻ることはできない。

だが、この先歩いていけば誰がいるのか…

どっちがいても苦労するな・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

/ANOTHER side

 

 

「お、おい…これ抜かなくてもいいのか…?」

「い、いや、下手に手を出すくらいならむしろこのままのほうが…」

「しかし、気を失っているからいいものの、起きたときが怖いぞ・・・」

「何言ってんだよ。こんなもんさっさと抜いちまおうぜ」

「あ、おい!まてよ!」

「ほらよ!」

 

グリュっと音を立て強引に突き刺さった矢を引っ張り上げるC。

 

「ぎゃあああああああああああああ!!」

『『Dいいいいいいいいいいいいい!!!』』

 

Dの悲鳴に動揺するB~E(C以外)

 

(だめだ、こいつら…はやくなんとかしないと・・・)

 

心の中でつぶやくA。

 

 

 

 

/華琳side

 

 

はぁ…はぁ…

 

「どこにいるのよ…」

 

秋蘭が見つけたことは知っている。

だからこちらだと思ってきてみたが、一刀の姿は見えない。

このまま一刀を見つけられなければ私達の負け。

それは嫌だ。

絶対勝ちたい。

 

「はぁ…はぁ…」

 

汗を拭う。

暑い。

今日は随分蒸し暑い。やはり森の中というのもあるかもしれない。

少し、休憩しようと木にもたれる。

一刀はこの近くにいるはずなのに、見つけられない。

休みながらも、周囲を注意してみる。

さっさと見つかってしまえばいいのに…

 

 

「うわぁぁ!春蘭お前、それはだめだろ!」

「うるさーい!見つかったんだからおとなしくつかまれーー!」

 

―――!?一刀?

 

こっちへ来ている。

春蘭が追っている。

だったら、それに合わせて回り込もう。

 

「一刀!!」

「げぇ!華琳!」

「…その言い方はあんまりじゃない?」

「すまん、なんか言わないといけない気がしたんだよ」

「ほんごおーーー!!」

「うわぁ!!」

「逃がさないわよ!」

 

 

 

 

 

/一刀side

 

くっ…

春蘭に見つかったと思ったら今度は華琳もか・・・。

 

「てやーーー!!」

 

鉄剣を振り上げ襲い掛かる春蘭。

だからそれはだめだって言ってるのに…

 

ガキッ

 

「あ、あれ?」

「お前…振り回すなら場所考えろよ・・・」

「春蘭・・・」

 

俺と華琳が呆然とする。

振り上げた剣が木に刺さったまま動けないでいるのだ。

 

「とりあえず、今のうちに!」

「あ!」

 

春蘭がドタバタしている間に華琳をかわして逃走。

 

「まちなさい~~」

「逃げないとゲームにならんだろうが!」

「え?げえむ?」

「あああ!もう、こんなときにめんどくさいな!」

「ものすごくバカにされたきがするーー!!」

「うっさい!!ていうか、今更だが武器はだめだろ!」

「ほんとに今更ね!制限しなかったのは一刀でしょ!?」

 

ああ、そういわれると思ったよ!まったく…

子供のくせに妙に狡いんだから…

 

「今またバカにしたわね!?」

「思っただけだ!」

「おもったんじゃない!!」

 

そのまま森の中を激走する俺と華琳。

 

 

 

 

「あ、姉者……」

「しゅうらん~~、ぬけないんだ~~」

「(…か、かわいい……)」

 

 

 

 

 

 

さらに、走り続けること10分。

 

「はぁ…はぁ…」

 

追いかけられた俺はかなり絶望的な状況にきた。

行き止まり。ここだけ崩れた跡があり、かなりの段差がついて、上に地面が見える。

ほとんど壁だ。

それに…

今日は随分汗をかくと思った。

それに蒸し暑いとも思った。

そのはずだ…

 

ポツ…ポツ…

 

よりによって森の中で雨に遭遇するとは…

当然ながら天気予報なんてものがこの世界にあるはずもなく、

さらにこの気温のせいで森に霧がかかり始めた。

蒸し暑いとは言っても気温そのものが高いわけではない。

むしろ空気が乾燥していれば涼しいと言えるくらいだろう。

 

「一刀!」

「華琳…」

「まだ、時間はすぎてないわよ」

「ああ、俺の負けだよ」

 

華琳が俺の体に触れる。

 

「捕まえたわ」

「ははは。もうちょっとだったのになぁ」

「ほんとよ…すごくあせったんだから」

 

俺の負け。

まぁ、これは仕方ないだろう。

ここまで逃げれたのでもかなりいい結果じゃないだろうか。

ただ、もう俺の意識はそこにはなかった。

この霧…

 

「華琳、お前帰り道わかるか?」

「え?」

 

突然何をって顔をしている。

 

「帰りって走ってきた道を………」

 

後ろを振り返った華琳の顔色が変わる。

その視線の先には俺達が走ってきた道があるのだが、

それは真っ白な霧で覆われていた。

さらに言えば、俺達は必死で逃げ、追っていた。

それ故に道などはっきりと覚えているはずも無い。

せいぜい目印をつける程度。

でもその目印が見えないのでは意味が無い。

 

ポツ…ポツ…ザァァ…

 

「やばいな、本格的に降ってきた」

「………」

「華琳?」

「春蘭と、秋蘭、大丈夫かしら…」

 

その声は震えていた。

その感情はよくわかる。

俺も昔、経験した覚えがある感情だ。

だから――

 

「…ん」

「大丈夫だろ、あの二人は入り口に近いところにいたし、雨が見えたら人を呼んできてくれるさ」

「…うん」

 

髪をなでてあげた。

できるだけ安心できるように。

 

 

 

 

 

とりあえず、雨宿りできる場所を探して、俺達は少し移動した。

あまり動いても今より迷うだけだが、あのまま雨に打たれっぱなしというのもまずい。

そこでさっきの切り崩れた土の壁沿いに木の根で支えられた洞穴のような場所があったのでそこに入った。

 

 

ザアァァァ…

 

 

さっきより雨が強くなった。

 

「華琳、寒くないか?」

「大丈夫…」

「じゃあ、その肩が震えてるのは怖いからか」

「そんなわけ!……さむいのよ」

「……ほら」

「な、これ…一刀はどうするのよ」

「俺暑いんだよ」

「……嘘つくの下手なんだからつかないほうがいいわよ」

「うるさい。子供はだまって甘えとけ」

「………」

 

俺の上着を華琳にかけてやり、俺も腰掛ける。

 

「一刀」

「何?」

「……近い」

「何が」

「………体が近いのよ!」

「そんなこと言われても狭いんだからしょうがないだろ」

「そうだけど…」

「……ふぅ、わかったよ」

「え?」

「俺少し外に出るから、その間に寝ろ」

「え、え?」

「さすがに寝てる間まで意識できんだろ。お前が寝るまで外にいてやるから」

 

立ち上がる。

 

クィッ

 

「ん?」

「………」

 

華琳が俺のシャツを指でつかむ。

 

「何だよ」

「……ないで」

「え?」

「一人にしないで!」

「おわっ…え?」

「………近くてもいいから…ここにいなさい」

「あ、ああ…」

 

少し、ふたりともしゃべれなくなる。

少し忘れていたかもしれない。

こんなにえらそうでわがままでも、この子は女の子なんだ。

どんなに自分より強くても、独りでいれば寂しくなる。

まして、まだ自分よりもずっと年下の子。

あの春蘭や秋蘭がこの子をどれだけ尊敬し、偉大に語っても、

同じ、女の子。

 

「…………」

 

少し体を寄せてやった。

 

「…………」

 

すると向こうも寄せてきた。

近いと嫌がっていた子はその距離を受け入れた。

顔が少し赤いのはたぶん気のせいじゃないんだろう。

 

「一刀って」

「え?」

 

急に話しかけられ少しとまどう。

 

「女なら誰でもいいの?」

「い、いや……誰でもってわけじゃないけど…」

「最初に会った時にはすでに母様に色目つかってたし、次の日には麗羽にまで」

「れいは?って誰だ…。…あぁ、あのやたら派手な子か」

「えぇ」

「ん、なんだやきもちか?」

 

なんてな…

 

「ち、ちがうわよ!!」

 

また華琳の顔が赤くなる。

あれ…?

 

「べ、別にやきもちなんかじゃ…………ゴニョゴニョ……」

「お、おい…」

「うるさい!」

「おわぁっ」

 

なんなんだか…

 

 

…………………。

 

 

ほんと、なんなんだろうな。

 

 

また、しばらく二人とも黙り込んでしまう。

 

 

 

 

/華琳side

 

 

寒い…。

この霧に雨だ。

帰り道なんて覚えててもわかるわけない。

なんで、こんな雨なんて気づかなかったんだろう。

そんなに夢中になっていたんだろうか。

 

この人はどうして、こんなに私を動揺させるのが上手なんだろう。

年上なのに、呼び捨てにされることになんの嫌悪感もみせない。

私は昔からこういう育ち方だったから、ついいきなり一刀と呼んでしまった。

でも、この人は特に気にするでもなく受け入れた。

どうでもいいなんて言ったけど、すごく気になってた。

 

「…………」

 

!??

一刀が体を寄せてきた。

な、なんで?

さっき近いのが嫌って言ったのに…

………

 

「………」

 

不自然だったかな…。

気づかれたかな…

でも、もういいわよね。

先に寄ってきたのは一刀なんだし

肩が触れ合う位置まで近づく。

 

あぁ…なんだか、暖かい。

気持ちいい…。

 

 

 

………。

 

 

 

 

/一刀side

 

 

「華琳…?」

「すぅ…すぅ…」

「寝たか…」

 

ほんとに大変なお嬢様だ。

でもこの顔を見れば、少し休まるな…

普段でも整った顔立ちだが、寝顔というのはまた別だろう。

これが、あの曹操だなんて信じられない。

乱世の奸雄とよばれた英傑。

その人が今…こうして、俺の肩で眠っているなんてな。

 

 

 

 

 

あれ?

なにかおかしくないか?

ここに曹操がいる。

曹嵩さんはこの子達が戦乱に巻き込まれないようにこうして邑を転々としている。

だが、曹操は乱世の奸雄と呼ばれるほど、乱世において活躍する。

 

……曹嵩さんは、どこへ行った?

彼女が願っていることはどうなった?

なぜ、乱世を避けようとしている曹操が乱世を治めようと戦うんだ?

どうして――

 

 

――ズキィッ!!

 

 

「ぐぁぁ!!」

 

頭痛。

こっちへ来てから、1度しか起きていないもの。

だが、それも弱いものだったが

今度のは、向こうでいたときのものより…

 

 

「ぁ…ぁ…」

 

そして、やがて意識が遠くなり目の前にさっきの洞穴とは違う景色がひろがる。

 

 

火が燃え広がり、空気が緋に染まる。

兵士が何人も死に、何人も殺す。

焼け爛れる邑の中で女性の声が広がる。

 

「逃げなさい華琳!はやく!」

 

「いやぁ!お母さん!お母さん!!」

 

「…そう呼ばれるのも久しぶりね…。春蘭、秋蘭、華琳のこと頼んだわよ」

 

「はい…」

 

「“琳音様”も後で来て下さいね!」

 

「えぇ…はやく行きなさい」

 

「絶対、死んじゃだめよ…“母様”!」

 

「もちろんよ」

 

その女性がそう言うと、子供達は走り出した。

炎の中で、彼女が何かをつぶやいた。

その小さな声は少女達に届くことは無い。

 

 

「かならず、生き抜きなさい…。華琳」

 

 

 

 

 

 

 

 

/ANOTHER side

 

 

「無理よ。」

「そんな!」

 

二人の帰りが遅いために、曹嵩の下へ助けを呼び言った。

だが、その答えは望んだものとは正反対のもの。

 

「どうして!」

「霧でろくに視界もきかない上にこの雨では、かえって危険だからよ」

「でも…」

「華琳には一刀さんもついているんでしょう?彼を信じてみなさい」

『………』

 

とても、信じられるようには思えない。

そう考える二人だった。

彼が頼れるとはとても思えないのだ。

それは曹嵩も同じはずなのに、なぜ彼女は彼を信頼しているのだろうか。

疑問と不安が姉妹二人の頭を埋める。

 

「どうして…北郷を信じられるんですか?」

 

疑問を口にしたのは妹のほうだった。

 

「ん~。勘かしら」

「勘って、そんな!」

「貴女には言われたくないわねぇ、春蘭」

「あぅ…」

「ふふ…。いいから待ちなさい。それに私が信じているのは一刀さんだけじゃなくて、華琳もなんだけど・・・二人は華琳も信用できない?」

「そんなはずありません!」

「なら、待ちましょう。ね?」

 

華琳の名前を出されては二人に反論することは出来ない。

 

『………はい』

 

あきらめた二人は天幕をでて、自分の天幕へ戻る。

 

 

 

「…………華琳…」

 

 

 

 

 

 

/一刀side

 

 

 

あの雨は結局その日の夜まで降り続け、俺が眠りから覚めた後も降っていた。

華琳がまだ眠っていたこともあり、俺はそのまま洞穴の中で一晩を過ごした。

暇つぶしと言う名目で始まったかくれんぼは、まさかの天候急変により、

隠れるものと鬼が一緒に隠れたまま一晩を過ごすというエンディングを迎えた。

 

昨日見た夢は、イマイチぼやけて覚えていない。

頭痛のせいか眠る直前の記憶もすこし曖昧だった。

ただ、朝イチで見た華琳の寝顔ははっきりと覚えている。

 

晴れさえすれば、森の中を戻るのも容易く。

朝のうちに邑へ帰った。

まぁ、そのときの春蘭の歓迎をうけたのは言うまでも無いが。

秋蘭もいまいち納得がいっていないのか視線での攻撃を加えてきた。

それがある意味一番つらいんだよ、秋蘭…まぁわかってやってるんだろうけど。

 

ただ、そんな中で妙に華琳の機嫌がよかったのは不思議だった。

それに気づいたときには俺をいじめるのを放置するほど春蘭と秋蘭も疑問に浮かべていた。

 

曹嵩さんはなにか知っているような顔で、ニヤニヤしていたが。

 

心当たりが無いこともないが…今は自重しておこう。

 

で、その後結局曹嵩さんに呼び出し。

どんな事情があろうと、事実だけを挙げれば

 

仕事をサボリ⇒子供をつれて森へ⇒兵数人を巻き込んでハンティング⇒そのまま帰らず森で一晩(華琳を巻き込んで)

 

ということになっていた。

当然あの笑顔での説教が待ち受けていたわけだ。

ただ、その後で

 

「今度は私の相手もしてくださいね♪」

 

と、言われた。

何の相手かは…考えないほうがいいな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

/ANOTHER side

 

 

「俺、もう婿にいけない………」

 

『D………』

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

というわけで、かくれんぼを無事終えました。

めっちゃ思いつきのネタだったのでほとんど短編みたいになっちゃいましたねw

 

で、前回のコメント見させていただいたんですが、この話を意外にも待ってくれてる人がいてるようでΣ(’’

ボクもこの話は自分的にも進めたいものなんで、まずこっち優先にはなると思います。

どう考えても新しいほうが長くなりそうですしね・・・w

それで、新しいほうなんですが、う~ん・・・とりあえず近いうちに1話はUPして、そこから先をどうするかはもう少し考えてみることにします!

とにかく、まずはこの話ですね!

 

ということで兵士Dにはあとでたくさん慰謝料わたしておくとして、この辺で!

では!

 

 


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