No.779599

真・恋姫無双~孫呉空

あかさん

久々の孫呉空の方です

項羽伝を楽しみにしている方には申し訳ありません

2015-05-25 19:51:56 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:2599   閲覧ユーザー数:2205

序章 4話 巣立ち

 

 

 

 

 

 

 

光が一刀に殴り飛ばされて寝込んでいる三日間の間に一刀と鷹は岩しかない山を回っていた

 

一刀「鷹、この山は如何だ?」

 

鷹「ふむ・・・・・今までの中では一番ましだな。それに、期限も近い事だからそろそろ決めてしまいたいな」

 

一刀「そうだな・・・・・・よし、これに決めた。鷹、悪いがこの山に生息している生き物を全て違う場所に移動させてくれ」

 

鷹「は~~、相変わらず無茶な命令だな」

 

一刀「だが、無理じゃないのだろう?それに俺がすると、何割かは死んでしまうからな」

 

鷹「解っているよ。二、三時間待ってろ。それぐらいには全て移動させる」

 

鷹は嫌々そうにしながらも生物の移動に取り掛かったのだった

 

一刀「さて、鷹が済ませるまで俺はアレを作って一眠りするか。ふぁああ~~~」ノビ~~~

 

一刀は欠伸をしながら、チョイチョイとある物を作って眠り出したのだった

 

 

 

 

 

鷹「お~~い一刀、すんだぞ・・・・・って、俺を働かせておいて自分は昼寝か・・・・結構なご身分だな!!!」ゴツン

 

鷹は一刀の顔に拳を落としたのだが

 

鷹「グッ・・・・イッタ~~~~~~!!!」

 

一刀を殴ったほうの鷹が拳を抱えて痛がりはじめたのだった

 

一刀は元々石から生まれたため、体の堅さは普通の生き物とは違い鋼の様な堅牢さを持っていたのであった

 

一刀「はぁあ~~~~あ、うるさいぞ鷹。人がせっかく気持ちよく眠っているときに邪魔をするな。それに、お前の仕事は終わったのか?」

 

鷹「(ビキビキ)ああ、終わったよ!!お前のためにせっかく生き物を移動させたのに、その本人が鼾をかきながら寝てるなど・・・・・・・人を何だと思ってる!!」

 

鷹は一刀の態度にとうとう切れてしまった

 

一刀「ハイハイ、すまなかったな。それじゃあ、次は俺の仕事だ。怪我をしない様に離れていろよ」

 

一刀は全く悪気も無く適当に返事をして、耳から如意棒を取り出し頭上でブンブンと振り回し始めた

 

鷹「チッ、わかったよ。それより、この山以外には被害を出さない様にしろよ。お前の力ではこの辺り一帯が簡単に崩壊していまう」

 

ブンブンブン・・・・・グオングオングオン・・・・ゴーーーーーーー

 

一刀「ああ、解っている。それじゃあ行くぞ」

 

一刀が頭上で回していた如意棒は次第に速さと太さが太くなっていき、一刀はそれを思いっきり地面に叩きつけた

 

ゴン!!!

 

最初はただ鈍い音のみが響いただけだった

 

だが次第に一刀が打ち付けた場所から山を覆いこむ様に地割れとゴゴゴゴと地震の様な音が起き始めたのだった

 

そして地割れは山の周りを覆い終わると

 

一刀「ん、無事被害が出なかったな。さて」

 

一刀はそのまま地割れに手を突っ込むと

 

一刀「ハッ!!」

 

ガコン

 

その音と供に山が浮き上がり・・・いや、持ち上げ始めたのであった

 

鷹「相変わらずの馬鹿力だな」

 

一刀「それほどでもない。それよりもこれからが大変だから。この山を圧縮していって一つの剣を作らないといけないからな」

 

鷹「ああ、解っているさ。それに、圧縮するのには繊細な技術がいる。お前だけじゃ絶対失敗する」

 

一刀「解っているならサッサと手伝え。普通に見えても結構重いんだぞこれ」

 

一刀はそう言いながら仙術を山に掛け始めた

 

するとバシュンとかなり大きな音と供に一刀が持っている山を中心に風が吸い込まれるように吹き込まれ、山は元の大きさより小さくなっていた

 

鷹「一発目から飛ばし過ぎだ。徐々に圧縮して行け。そうしないと脆くなるぞ」

 

一刀「ああ、わかった。これ位か?」

 

バコン

 

さっきより小さな音と風が吹き、圧縮も小さめになっていた

 

鷹「ああ、それでいい。それを、そうだな・・・・・後、七十回位で良いだろ」

 

一刀「そうか、ならさっさと済ませよう」

 

そう言って鷹が一刀の力の調整をしながら圧縮を続けていった

 

そして最後の圧縮を終わらせた時、一刀の手元には一本の剣の大きさをした物体が浮いていた

 

一刀「よし、うまく言ったな。鷹、最後の調整頼めるか?」

 

一刀はそう言って手元にある物体を鷹に渡そうとしたが

 

鷹「渡されても俺は持てないぞ。形は小さくとも重さは山一つ分と何ら変わりないのだからな」

 

一刀「ん、そうだったな。それじゃあ、どうやってこの武器を研ぐ?」

 

鷹「それなら考えがある。そのまま持ち帰って、紅に渡す時に調整してやる。どうせそのままじゃ紅も持てないしな。それじゃあ帰るぞ」

 

そう言って鷹はその場から浮いて、堂に向かっていった

 

一刀「そう言われてみればこの重さは普通の奴には持てないな・・・・・」

 

今更ながら一刀は自分が今作ろうとしていた武器の事を考えたのだった

 

 

 

 

 

 

 

二人は堂に戻ったのは、堂を出て三日目の夕方になっていた

 

紅「お父さん、やっと帰ってきた。どこに行ってたの?私心配したのよ」

 

一刀「ああ、紅か。少しな・・・・・それより、お前のか・・か・・・かれ・・・・ゲホンッゲホンッ。紅、お前の友達は目を覚ましたか?」

 

一刀の体は光の事を未だ彼氏と認めていなかったのであった

 

紅「あ、うん。光ならさっき起きて、今ご飯食べさせているわ」

 

一刀「そうか・・・・・なら飯を食べ終えたら二人で外に来てくれ。俺と鷹は先に待っているから」

 

紅「何かするの?」

 

一刀「・・・・・ああ」

 

紅「お父さんお願い。もう光に酷いことしないで!」

 

一刀「大丈夫だ。手は出さない、ただ・・・・・紅、お前も覚悟だけはしておけ」

 

一刀は目を瞑り意味深に言葉を紅に投げかけたのだった

 

紅「覚悟?」

 

一刀は紅の言葉に答えることなく外に向かっていった

 

紅は一刀のその後ろ姿を見ると何も話すことが出来なかった

 

その後、紅は光の下に行き食事が終わった後外で父と小父さんが待っている事を伝えたのだった

 

 

 

 

 

 

鷹「一刀、決心はついたか?」

 

一刀「ああ、紅は人間だ。これ以上俺たちの元に居ても仕方がない。それに、・・・・グッ・・・お・・おと・・おとこ・・・ああああああ!!俺は認めんぞーーーーー!!!!」

 

鷹「そこは認めてないんだな・・・」

 

げんなりした顔で一刀を見つめるのであった

 

一刀「んん、取りあえずだ。紅は俺たちの元から巣立とうとしている。それを引き留めることは出来ない。だから俺は紅に贐しかできない」

 

鷹「そうだな・・・・・・しかし、俺もあの子にはかなり関わってきたからな・・・・・・これから居なくなるかと思うと少し寂しくなるな」

 

男二人はらしくない気落ちした雰囲気を醸し出していた

 

そしてその二人の元に光に肩を貸しながら紅が歩いてきた

 

紅「お父さん、小父さん来たよ」

 

光「何のご用でしょうか?」

 

一刀は伏せていた顔を起き上がらせて一度二人の顔を見つめた

 

一刀「来たな。お前たちに話すことがあってな・・・・・ただその前に、闔閭と言ったな?」

 

光「はい」

 

一刀「闔閭、確認だ・・・・・お前はこの戦乱に名乗り上げると言ったな?」

 

光「はい」

 

一刀「それに、紅を守れる強さも欲しいと」

 

光「はい」

 

一刀の質問に光は毎回ハッキリと意思を込めて答えていった

 

一刀「そうか・・・・・わかった。なら紅・・・・お前にはここから出て行ってもらう」

 

紅「え!?何でお父さん!!」

 

一刀の言葉が信じられなく紅は驚きの声を上げた

 

一刀「落ち着け紅。それにこれはお前が、お前たちが願った事だろう?」

 

紅「え?」

 

一刀「お前は闔閭について行くのだろう?ならここから出て行くのは当たり前の事だろう。それでだ、紅。お前には俺の元から巣立っていく事の贐を渡そうと思う」

 

紅「贐?」

 

紅は不思議そうな顔で聞き返すと

 

一刀「ああ、まずは剣だ」

 

そう言って一刀は小さくして持っていた剣のような形の物体を取り出し元の大きさにした

 

紅「お父さん、これが剣?」

 

一刀「まあ待て。鷹頼む」

 

鷹「ああ、紅すまないがお前の血を一滴貰うぞ」

 

そう言って鷹は針を取り出し紅の指にさして血を出した

 

鷹「紅、血を一刀が持っている物にたらしてくれ」

 

紅「??わかった」

 

紅は不思議そうにしながら言われた通りに血を剣の様なものにたらして

 

鷹「よし、では始めるぞ」

 

そう言って鷹は一刀が持つ剣の様な物に両手をかざして緑色と紫色の光を出し始めた

 

光「これは?」

 

鷹「俺の仙術と妖術を混ぜた物だ。よし、出来たぞ」

 

鷹がそう言ったのを聞いて皆は剣を見るとそこにはさっきまで在った剣の形をした岩では無く、ちゃんとした剣が一本存在した

 

そしてその剣には腹の部分に南海覇王と言う文字があり、鞘には斉天大聖の文字が刻まれていた

 

一刀「紅、振ってみろ」

 

紅「う、うん」

 

紅は半信半疑で剣を受け取り素振りしてみると

 

ヒュンヒュンヒュン

 

まるで羽の様に軽く振り回していた

 

紅「お父さん、この剣こんなに軽くて大丈夫なの?」

 

一刀「そうか、軽く感じるか・・・・それなら闔閭に持たせてみろ」

 

光「え!?・・・・解りました。紅ごめんけど持たせてもらっていいか?」

 

光は遠慮したそうにしたが一刀の得も言わせぬ眼力で渋々と紅から剣を受け取ったが

 

ドスン

 

ズズズズズズズ

 

光は剣を持つことが出来ずに地面に落とし、そのまま剣は地面に沈んでいった

 

紅、光「「え!!」」

 

一刀「見てわかるようにその剣はかなり重い。重さで言うと山一つ分だ」

 

紅「え!!山一つ?・・・・・どうしてそれがあんなに軽いの?」

 

鷹「それは俺が答えよう。さっき紅に血をたらしてもらっただろう?それでこの剣に紅を主と認めさせた。もし、この剣を使いたいなら一刀の様な力を持つか紅の血が必要になる」

 

紅「そうか・・・・私の血が・・・・うん、お父さん、小父さんこの剣『南海覇王』?『斉天大聖』?気に入ったわ。本当にありがとう」

 

紅は地面に沈んでいた南海覇王を抜き取り頭を下げた

 

一刀「別にいいさ。それと、その剣の名は『南海覇王』だ。斉天大聖は名じゃない、称号みたいなものだ・・・・その・・・何だ」

 

一刀は斉天大聖の事を説明しようとするとテレだし上手く説明できなかった

 

それを見かねて

 

鷹「紅、斉天大聖は昔一刀を表していた言葉だ。そしてその剣にそれが刻まれていると言う事は、自分の代わりに常にその剣が傍に居ると言うことを表している」

 

その言葉を聞いて紅は少し呆けて

 

紅「・・・・傍に居ない?・・・・・それってさっき言っていたことと・・・」

 

一刀「ああ、その通りだ。紅、もうお前と俺たちは一度以外会う事は無いだろう」

 

一刀の言葉を聞いて紅が言葉を発することが出来ない事を察して光が疑問に思ったことを口にした

 

光「一度とはどういうことですか?」

 

一刀「ああ、それは紅。贈り物はもう一つある」

 

そう言って一刀は剣と一緒に作った真ん中に一つの紅玉が嵌った首飾りを出し紅に賭けてやった

 

一刀「これは俺の力が籠めてある。これを付けている限り大抵の危険を避けることが出来る。所謂、虫の知らせみたいな物を感じると言う訳だ。そして、これにはもう一つ力がある。これを空に向けて願いを込めろ。一度だけ俺が助けに行ってやる」

 

光「つまりその一度が・・・・・」

 

一刀「ああ、そう言う事だ。だから本当にヤバイ時に願え」

 

光「解りました」

 

一刀「それと闔閭、お前は鍛えても有る一線以上は強くならない」

 

光「え・・・・」

 

光は一刀の言葉を信じられないと言う顔で答えになってない声を漏らした

 

一刀「だから闔閭、お前は武以上に智を鍛えろ。智なら紅が調度いい物を作っているはずだ」

 

光「・・・・・・」

 

一刀「納得のいかないと言う顔をしているな」

 

光「はい・・・・」

 

一刀「だが俺は鍛えるなとは言っていない。最低限の力、武は必ずいる。それ無くして戦場は生き残れない」

 

光「はい・・・」

 

一刀「お前は自分の力を信じて鍛えろ。お前は・・・・かなり、かなり遺憾だが紅が認めた男だ。それくらい遣って退けて当たり前だ」

 

光「はい!!」

 

光は一刀から認めてられてないと思っていたのでこの言葉が大変驚いた

 

一刀「いいな、必ず紅を守れ」

 

光「命に代えても」

 

一刀「ならいい。紅、何時まで呆けている。これで最後なのだ、何か俺に言葉を送ってくれ」

 

一刀は今までの強張った顔から一人の親の顔に成り紅を呼びかけた

 

紅「え・・・・で、でも・・・・急に最後だって言われても・・・」

 

一刀「紅、人は必ず親から巣立っていく。それは絶対だ。それが紅にとって今日だったと言う訳だ」

 

紅「でも・・・でも・・・・・私・・・お父さんと会えなくなるなんて・・・・・」

 

紅は目に涙を浮かべ言葉も浮かんできてはいなかった

 

一刀「それでもだ。紅、お前は決断したはずだ。闔閭について行き手助けをすると。その言葉は偽りだったのか?」

 

紅「ううん」フルフル

 

紅は首を横に振り意思を主張した

 

一刀「ならこれはお前が選んだ道だ。しっかりと誇って歩め。お前は斉天大聖、美猴王と恐れられたこの父、孫空のただ一人の娘なのだから」

 

紅「お・・とう・・さん・・・うええええええええええん」

 

紅は一刀の胸に顔を押さえつけ泣き出し

 

紅「お父さん・・・・・今まで・・・グス、本当にありがとう・・グス。私頑張るから・・・・・お父さんの娘であることを誇りに・・・・・頑張るから!」

 

一刀「ああ、頑張れ。俺の誇り高い娘よ」

 

一刀は紅の頭を撫でながら優しく声をかけ続けた

 

そして話が終え、紅が落ち着きを取り戻して

 

鷹「紅、お前の荷物は此処にある」

 

紅「ありがとう、鷹小父さん。それと小父さんも今までありがとう」

 

鷹「ああ、俺も今まで楽しかったぞ」

 

紅「うん・・・・・それじゃあ光、行こう」

 

後ろに立っていた光に呼びかけた

 

光「もういいのか?」

 

紅「うん。これ以上話すと行きたくなくなるから」

 

光「そうか・・・・・・・それでは、華佗様、孫空様これで失礼します」

 

一刀「ああ、紅を頼む」

 

一刀の言葉に色々の気持ちを感じながら二人は山を下っていった

 

そして最後に紅は育った山を見ようと振り返ったがそこには山が無くなっており、ただの平地となっていたのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき??

 

 

呉空編は久々ですね

 

項羽伝を待っていた方はすみません。自分の作品を読み返していたら呉空編の続きを書きたくなりまして・・・・・項羽伝も良いくぐりだったので此方を書かせてもらいました

 

後、二、三話でこの話も序章が終わると思うので、こちらの序章を優先させて書こうと思います

 

項羽伝をお待ちの方は大変すみません

 

此方の物語も楽しんでもらえると恐縮です

 

では待て次回

 


 
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