No.775684

艦隊 真・恋姫無双 54話目( 居酒屋編 )

いたさん

なぜか、こんな結末に。 5/7 マルハチマルマル 色々と訂正しました。

2015-05-06 17:53:06 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1505   閲覧ユーザー数:1337

【 続 覇王さまとの賭け の件】

 

〖 洛陽 居酒屋 鳳翔 店内 にて 〗

 

華琳「良い顔付きね? 勝負は……私たちに関係無い物を選ばせて貰うわ! ────その方が平等でしょう?」

 

鳳翔「そうですね。 それで───その勝負とは!?」

 

秋蘭「………私から説明させて貰う。 確か、今日は予約客が居ない……これは間違いないか?」

 

鳳翔「えぇ……今日は普通の営業日ですから……大丈夫です。 でも、よくそんな事が………私が予定管理しているのに!」

 

秋蘭「これくらい……聞き取り調査をすれば、すぐに分かる。 さて、通常の営業なれば……その中で行わせて貰いたい。 観客の居る中で、両方不正が無い事を見て貰うのだ! 数十の目を誤魔化す事は、出来んからな!」

 

流琉「(た、確かに──平等と言えば平等。 だけど、勝ち戦を望む華琳さまの事、必ず勝つために……何か策を………)」

 

鳳翔「裏を返せば、お客様を利用した情報操作。 私に勝負を挑み、負ければ当然の結果、勝てば大殊勲! 弱者が強者に勝った話は、興味を持って聞きたがるもの! そして、名声の拡大に一役買う……ですか?」

 

流琉「────えっ!?」

 

華琳「………本当に惜しい。 そこまで分かっているのに、私の軍に参入してくれないなんて。 鳳翔が居れば……我が軍は、天を握る事ができるのに! だけど──貴女が勝てると思うの? この『覇王 曹孟徳の才』にッ!!」

 

鳳翔「───勝ちます! 勝って、貴女の思い上がりを、叩き潰して上げますッ!!」

 

流琉「………鳳翔先生ぃ!!」

 

秋蘭「さて、勝負は……これだ!!

 

★☆ー★☆ー★☆ー★☆

 

・勝負は、三つのお題

 

『水墨画』

 

『彫刻』

 

『得意な物』を観客の前で行い、審判を請う!

 

・結果の判断は、観客の判定に任す! 

 

・勝負は三回戦、『二勝』先勝した方が勝ち……とする。

 

・材料は、店内の品物で開始する事。 

 

・今から外で、新た調達し持ち込みのは厳禁。

 

・公平を期すため、今より関係者の店内外への出入りを規制。 

 

・客は、その限りでは無い。 

 

・ただ、双方の関係者が混ざっていたら、分かった時点で外す。

 

★☆ー★☆ー★☆ー★☆

 

秋蘭「……これらの制約に則り実行する! ───以上だ」

 

武蔵「ならば──我々給仕が、出入り口で警戒するのは……構わないな? お前たちの将、私たちの仲間が来たら、双方確認する事だ!」

 

秋蘭「うむ……此方の要求を呑んでくれたのだ! そこは認める!」

 

北上「あぁ……私に任せて貰おうと思ったのに。 サボれる理由がねぇ……」

 

大井「北上さんは、私と給仕をする事になってるんです! ねぇ~北上さぁ~んッ!? 『……う~ん、やっぱぁ……こうなっちゃうんだよね~私~』 きゃあぁぁ~北上さん大好きぃいいいッ!!」

 

鳳翔「…………………」

 

吹雪「鳳翔さん! この勝負、勝てますよね? 絶対に勝てますよね!?」

 

秋蘭「勝負は、今から四半刻後(約30分後)だ。 私と華琳さまは、奥座敷で休ませて貰う。 それまでには──準備を頼んだ!」

 

鳳翔「………わかりましたわ!」

 

 

◆◇◆

 

【 鳳翔さんの秘策 】

 

〖 洛陽 居酒屋 鳳翔 店内 にて 〗

 

華琳たちが、奥座敷に入るのを確認すると、鳳翔たちは、別の部屋に入り込む。 奥座敷は、宴会とか多いため、防音、耐久性が遥かに高く設定。

 

例えば……どこかの猫化した恋姫が暴れても、ちっとやそっとの事では壊れないし、音も漏れない。 だけど、それ以上のモノは……当然……無理!

 

要は、普通に使用して貰えば、大丈夫と云うワケである。

 

ーーー

 

流琉「───鳳翔先生ッ! ごめんなさい! ごめんなさい!!」

 

武蔵「どうしたんだ……チビッ子? 急に謝り出して?」

 

吹雪「『流琉』さんです! 武蔵さん!! 大切な真名を預けて貰ったのに、間違えるなんて失礼ですよ!」

 

鳳翔「………どうしたんですか? そんな悲痛な顔で謝られて……」

 

ーーー

 

皆が不思議そうな顔をして、流琉を見守る。

 

一応……曹操軍配下だが、心情的に鳳翔側ゆえ、華琳が残した結果。 

 

見方を変えれば……流琉を向かわせても、勝機はあると云う余裕を示すように見える! いや、それしか見えない!(確信)

 

ーーー

 

流琉「グスン、グスン! か、華琳さまぁは、何でも器用にこなす凄い人なんです! 一度習えば、教えてくれた先生よりも上手くなる『先生泣かせの生徒』だったと! 秋蘭さまに教えて貰ったんです! それを聞いていたのに!」

 

北上「何それぇ~? まるで戦艦レ級が、人の振りして生活しているようじゃん。 って言うかぁ~私……艦娘だけど~何気に曹操より劣ってるよねぇ? こんなんじゃ……提督に必要とされないんじゃないのかな~?」

 

大井「私の北上さんに、そんな事を言わすなんてぇ! 提督と曹孟徳……許さないぃいいいッ!」

 

ーーー

 

流琉「昔……兄様が、華琳さまの事を『完璧超人』と評して………」

 

吹雪「あぁ……なるほど。 でも、どちらかと言えば……貂蝉さんの方がそれっぽいけど………」

 

大井「ふんッ! 完璧超人の割には、私に胸の大きさで負けているわ!」

 

北上「……んんぅ、私は大井っちより小さいしな。 ……まぁ、別に……」

 

大井「北上さん! 心配いらないわ……私がぁ何時もしているマッサージを続ければ……必ず大きくなるわぁ! ハァハァハァッ!!」ワキワキワキ

 

北上「や、やめぇ~~! わあぁ~~~ッ!!」

 

ーーー

ーーー

 

武蔵「重雷装巡洋艦を二隻、別の部屋に押し込んできたぞ! ───お前たちには、まだ早い!」

 

流琉「───はッ、はいッ//////」

 

吹雪「───ハ、ハァーッ! す、凄かったあぁあああッ!!」

 

★☆☆

 

武蔵が……気落ちしている鳳翔に声を掛ける。 

 

いつも、笑顔で対応する鳳翔にしては珍しく、シュンボリしている。

 

流琉も吹雪も、声を掛けれないのだが、武蔵は実に……無造作、直球、傷口に塩を塗り付けて、力一杯擦るように──問い掛けた。

 

武蔵「………で、鳳翔よ! 勝算はあるのか……!?」

 

鳳翔「それが………絵も彫刻も……した事がなくて……」

 

吹雪「そ、それなら……試しに私を描いて下さい!」

 

鳳翔「ふ、吹雪ちゃんをですか?」

 

流琉「そうですね! 筆と硯、あと紙を用意しました……一度描いて、実力を確認するのが大事だと……思います!!」

 

鳳翔「そ、そうですね! まずは試しに描いて……! 皆さん、批評をお願いします! ────ではっ!」

 

ーーー

ーー 数分経過 ーー

ーー★

 

鳳翔「…………………………」

 

吹雪「え、えぇ~とぉ~」

 

流琉「こ、これは───?」

 

武蔵「正直に言って───いいか?」

 

鳳翔の絵を見て、判断する者たち。

 

鳳翔曰わく『吹雪型 1番艦 駆逐艦 吹雪の図』

 

しかし、これは…………

 

───バタン!

 

北上「やれやれぇ、酷い目にあったよ。 ……おっ!? 描けたの? 見せて見せてぇ~! おやっ! 意外と上手いねぇ『潜水艦カ級』かい! ………にしても……足があるねぇ? 『潜水艦』に足なんて……あったかなぁ?」

 

大井「う~ん、壊滅的ですね! ───諦めましょうか?」

 

鳳翔「 (つ﹏<。) 」

 

重雷装巡洋艦の二隻が、痛烈なダブルクリティカルを放ち──鳳翔が轟沈寸前。 味方を攻撃してどうするんだ! この二隻はッ!!

 

吹雪「そ、そんな簡単にぃ─『ガッ!』──あっ! 墨がッッ!」

 

流琉「だ、大丈夫ですから。 紙の上に墨が掛かった状態ですから。 このまま、動かさないように処理しましょう!!」

 

吹雪が、持ち前の優しさを発揮し、鳳翔の傍に近寄ろとしたら、硯に軽く当たり、中の墨が……紙に飛び散り、黒色に染まるッ!!

 

墨と云うものは、一度……物の上に落ちると、色が染まり派手に目立つ! しかも、それを完全に取り除く事が出来ない厄介な物。

 

今回は、描いた紙の上に付いただけで、部屋の床に付いたわけでは無い!

 

鳳翔「────あっ! そうだわッ! この手でぇ!!」

 

鳳翔は、この様子を見て叫ぶ! 

 

難題だった『水墨画』に対する作戦が、頭に浮かんだようで、まるで綺麗な華が咲いたと思わせる、美しい笑顔を……浮かばせていたのだった。

 

 

◆◇◆

 

【 応援する者たち の件 】

 

〖 洛陽 居酒屋 鳳翔 店内 にて  〗

 

 

ザワザワ……ザワザワ………

 

あれから、僅かな時間に……何故か知れ渡り……『居酒屋 鳳翔』は満員御礼の旗を入り口に出した。

 

ーーー

 

青葉「さあてぇ、やって参りました! 今、最も注目される軍閥第一候補、陳留太守『曹孟徳』、対するは、我らの居酒屋女将『鳳翔』による三本勝負が開始されます! 実況は、私『青葉型 1番艦 重巡洋艦 青葉』と……!」

 

霧島「艦隊の頭脳こと『霧島』が、解説をさせて頂きます!」

 

『うおおおぉぉぉ─────ッ!!!』

 

ーーー

 

盛り上がる店内! 

 

そして、何時もは主に、鳳翔の補助をする流琉が、料理を作り上げてカウンターに乗せて行く。 

 

いつも、横で見る鳳翔の様子をイメージしながら。

 

流琉「(鳳翔先生ぃ! 私、頑張ります!! だから、だからぁ!!)」

 

★ーー★ーー★ーー★

 

始め、鳳翔より店を任すと云われ、身体が固まった。 何時もは、鳳翔が切り盛りする店であり、流琉は鳳翔を助けて、料理を手伝っていたのだ。

 

名店『居酒屋 鳳翔』の名を、自分が汚す事になるかもしれない!

 

─────そう思うと、身体が震えて止まらない。 

 

数々の戦場を生き抜いた猛将が、たかが……こんな事で思われるが、流琉に取っては……とても重いものだったのだ。

 

しかし、鳳翔より手を握りしめられ……『お店を、お願いしますね!』と云われた途端、ある事を悟る。 

 

流琉『これは、卒業試験だ!!』

 

店を任されられるのは、『暖簾分け』をして大丈夫かの試しをする事。 つまり、先生と同じ立場、店を『鳳翔の支店』と名乗れるかの瀬戸際! 

 

そう思い直し、気合いを入れて、調理と指図をしていたのだった。

 

★ーー★ーー★ーー★

 

───ガタッ! ガタン! ゴトッ!

 

流琉「『胡瓜の漬け物』『おでん』『卵焼き』できました!」

 

武蔵「よし、持って行こう! 北上よ! 出入り口の見張り頼むぞ! (ふっ! 鳳翔……頑張るんだぞ!)」

 

ーーー

 

北上「この勝負……既に見えたねぇ。 おっと、兄ちゃんは……曹操軍の兵士さんか。 ワリィね、今回だけ出入り禁止になってんの! また、来て貰った時に、色々付けるからさ! うん、ごめんよ! ……頑張れぇ、鳳翔さん!」

 

ーーー

 

大井「あぁ~ん! 北上さんと給仕やるつもりだったのに! 采配が悪いのよ、采配が──『すいませぇ~ん!』はぁ~い! 今、いきまぁす!! ………負けたら、北上さんと文句言わせて貰いますからね、鳳翔さん!」

 

ーーー

 

そして、カウンターの席には………

 

客「最後まで決して諦めない。 いかなる窮地でも成功をイメージする……それが成功の秘訣だ……。 頑張れよ、女将!」

 

仕事に付いて、直に応援出来なかったが……仲間たちは、陰ながら応援していた。

 

客「( ▼ω・)у- ……おっと……禁煙だったな……いかんいかん!」

 

 

◆◇◆

 

【 第一戦 開始 の件 】

 

〖 洛陽 居酒屋 鳳翔 店内 にて 〗

 

青葉「はい! 青葉です! 霧島さん、本日は、お忙しい中、此方に来て頂き──ホントッ恐縮ですぅ!」

 

霧島「いえっ! 私も世紀の一戦、是非見たかったので、呼んでいただきありがとうございます!」 

 

青葉「では、早速ですけどぉ……どう思います? この戦いの行方は……?」

 

霧島「えぇ……この勝負、ハッキリ言って分が悪いですね。 相手の曹孟徳は多芸多才の『完璧超人』……つまり天才芸術家に喧嘩を売っているようなもの。 果たして……鳳翔さんが、どこまで善戦できるのか……心配です」

 

青葉「はいっ! ありがとうございます! ………おっと、手元に資料が。 えっ!? コレッ! 鳳翔さんが描いたやつ!? 嘘ぉ! これじゃ……勝負にならないんじゃ……! あ、霧島さんにも見て貰って……」

 

霧島「これですか………。 なかなか上手い『戦艦ル級』じゃないですか? はっ!? こ、これが……吹雪!? 正攻法では、全く勝ち目は無いじゃないですか! これで──よく勝負を受けたモノですよ………」

 

青葉「あはははっ。 私たちは立場上、中立的位置になるんですが……鳳翔さんを、全面的に応援したくなる心情ですね。 あぁ……観客からも、憐れみの眼差しと絶望の表情が! 分かります、分かります! 私も同じですから!」

 

霧島「………勝敗が分かっているのに、全員席を立たないのは、鳳翔さんの仁徳に寄るものか? それとも、溜まっているツケの請求を恐れているのか? どちらかでしょうね…………」

 

青葉「はいっ! 以上、青葉からでしたぁ!!」

 

★☆☆

 

いつも、来店者には笑顔で迎えてくれる鳳翔だが、今回は緊張した様子で、奥座敷に座っている。 そして、対面の部屋では……勝利を確信したとばかりに笑みを浮かべる華琳の姿があった。

 

華琳「ふ~ん、そうなの。 ならば、私の方に分があるわね?」

 

鳳翔「いえっ! 勝負は、まだ……わかりませんよ!!」

 

華琳「あの絵で、貴女の技量……全て覚ったわ! この勝負! 私が勝たせて貰うわよ!!」

 

その部屋を挟んで、通路が真っ直ぐに伸び──その通路に、吹雪と秋蘭がそれぞれの違う陣営を監視していた。

 

吹雪「まず、規則を説明します。 ───制限時間は、四半刻(約30分)! その間に紙へ描いていただく事になります。 終わりは、銅鑼の音が響くまでですよ。 質問は、何か……ありませんか?」

 

『…………………』

 

吹雪「では──双方とも、準備は良いですか? 『──コクリ』 で、ではっ! 始めて下さい!!」

 

────サッ!

 

ーーー

 

青葉「おぉ~と、さすがは完璧超人『曹孟徳』! 筆に墨をタップリ付けて、紙に迷い無く走らせたぁ────ッ!!」

 

霧島「絵画としては、かなり難しい水墨画を、あれほど迷うなく筆を進める。 これは、曹孟徳の頭には、ハッキリと完成図が出来ているのでしょう。 あれが、ほんの手慰みだとしたら……やはり恐るべき人物ですね!」

 

青葉「そして、対する鳳翔さんは───あれ? 何も手を付けていないッ? 筆を硯にチャプチャプ入れて、墨を含ませているだけじゃないですか! しかも、何本も何本も……!!」

 

霧島「───早々に、曹孟徳の軍門に下るのを良しとしない抵抗? それとも、艦隊の頭脳たる私にも解明できない作戦? 何にしても、あの鳳翔さんの事! このままで終わらせるワケ──ありませんよね!?」

 

ーーー

ーーー

 

青葉「制限時間も後少し───ッ! 曹孟徳、仕上げに取りかかった!」

 

霧島「………こ、これは! 私の頭脳を持ってしても、勝算はゼロに近い!」

 

青葉「す、素晴らしい! まだ完成していないのに関わらず、感嘆の声が思わず漏れてしまう水墨画です! あぁ──っと、手の動きが更に早くぅぅぅ!! これで、曹孟徳に勝敗は傾くのかぁ────ッ!!」

 

霧島「─────! ほ、鳳翔さん!? いったい何を!?!?」

 

青葉「な、なんだぁこれはあぁぁぁ!? ほ、鳳翔さんは、紙一面に──墨をメチャクチャに塗り潰しているッ!? 負けるのが怖くて、とうとう自棄(やけ)を起こしたかぁあああッ!!!!」

 

霧島「でも……なんで? 墨で紙が真っ黒……はっ! ま、まさかぁ!!」

 

バァ────ン!

 

秋蘭「────制限時刻だ! 双方、筆を置いて欲しい!!」

 

 

◆◇◆

 

【 結果…… の件 】

 

〖 洛陽 居酒屋 鳳翔 店内 にて 〗

 

青葉「では……曹孟徳さまにインタビューしてみたいと思いますぅ! これは見事な『水墨画』ですね? 川へ浮かぶ舟に釣り人、迫る奇岩に雄大な山並み!! わぁあああッ! ……は、迫力ありますねぇ!!」

 

華琳「ふふふっ、貴女……なかなか解るようね。 陳留の近くの景色よ。 遠出した時に、ふと見かけたのよ。 いつか描きたい題材だったから、丁度良かったわ!」

 

青葉「ふぇ~! すると、遠出なら……気分転換しに出掛けたんですか? 結構、お忙しい孟徳さまの事ですので、こういう機会は大事なんでしょうね~!? 仕事を束の間、忘れて精神を解放する事も……」

 

華琳「確かに……気分転換は大事。 だけど、私は国を預かる者よ? 時を少しでも無駄には使いたく無い。 その時は、視察も兼ねて動くようにしているわ! 民の生活に不便は無いか、困った事は無いかを……確認しながらね!」

 

青葉「───えっ!?」

 

華琳「考えても御覧なさい。 民は、為政者に不満を伝えにくい。 少し辛くても我慢する。 そんな生活していては、生きる希望も無くなってしまうわ! 民あっての国、民あっての私たちなのよ!」

 

青葉「それじゃ……じっくり見て記憶したんじゃなく……」

 

華琳「そんな時間は無いわ。 ほんの少し眺めて、視察に戻っただけ。 景色は好みだったけど……民の方が大事だわ!」

 

青葉「み、皆さんッ! 聞きましたかッッ!? 曹孟徳さまは、自分の事よりも民の生活を優先される方だそうです! そして──御覧下さいぃいいい! この水墨画の完成度、これが少し見ただけで描ける物でしょうか!?!?」

 

『おぉ───上手いぜぇ!!』

 

『オレんとこのガキに比べりゃ、遥かにスゲェ───!!』

 

『曹孟徳さま───万歳ぃいいいッ!!!』

 

華琳「この曹孟徳は、民を大事にして、この世の中を平和に導きたいの! 二度と戦乱や天意で、人々を苦しめさせたくないのよ! だから、その為に私は戦い続ける! ───大陸に平和が訪れるまで!!!」

 

★☆☆

 

青葉「次は、えぇ~とぉ………言いにくいんですが。 ほ、鳳翔さんにインタビューを! ほ、鳳翔さん……この墨で真っ黒な水墨画?は、何なのでしょうか? どう見ても……真っ黒な紙にしか見えませんが?」

 

鳳翔「………ボソボソボソ」

 

青葉「は、はいっ!? 今、聞こえなくて………」

 

鳳翔「や、『闇夜に潜む黒牛と鳥(カラス)』です………」

 

ーーー

 

華琳「───なっ!?!?」

 

秋蘭「──────!?」

 

吹雪「へっ!?」

 

霧島「────やっぱりッ!!」

 

ーーー

 

青葉「こ、これは───私には、同意も不定も出来ません! ほ、報道は平等に行わなければ。 しかし、私見を交えれば……納得するしかありません! 実際描けば……こうなりますから! 非常に写実的としか言えません!!」

 

鳳翔「ふ、吹雪ちゃんが墨を飛ばした折に……提督の話される『頓知話』を思い出しまして………」

 

霧島「………私も司令よりお話を伺っています。 まさか、鳳翔さんが……あの『暗殺拳』を伝承されているとは───」

 

鳳翔「───き、霧島さ……ん?」 

 

霧島「司令が話してくれました。 私も──ただの昔話だと聞いていたのですが……実在するなんて………」

 

華琳「面白そうな話ね! 聞かして貰っても?」

 

霧島「構わないわ。 ………遥か昔、謎の格闘技『モンド』なる暗殺拳があり。 その破壊力は凄まじく……数々の敵を『頓死』させ、時の権力者さえ手玉に取り、その威力を天下に知らしめたそうよ!」

 

華琳「………………」

 

霧島「特に……山奥深くに居る『闇黒師』より伝授された『年端の行かない男の子』が、その奥義を極め……立ちはだかる者達を次々『頓死』させ滅したと……。 しかし、その子の亡き後……伝承は途絶えた……と聞いていたのですが!!」

 

鳳翔「ち、違います! ご、誤解! 誤解です!」

 

霧島「えっ? 違うんですか? だって……それは『モンド』の奥義の一つ『闇夜の黒牛』では。 『使い手の意見に賛同しない場合、闇の世界に引きずり込むぞ?』と云う警告の絵だと………」

 

『ザワァ──────!!』

 

鳳翔「違いまぁーす!! そんな話じゃありません!!!」

 

青葉「と、とにかく……決めて貰うのは、これを見ている観客の皆さんですから! 霧島さんも鳳翔さんも、席に座って!!」

 

華琳「(鳳翔……ただ者では無いと思っていたけど……とんでもない人材だわ。 これは是非、私の軍に来て貰わなくては………)」

 

青葉「せ、静粛に!! それでは、採決を取りますぅううう!!!」

 

ーーーー

ーーーー

 

結果ーーー圧倒的多数で、鳳翔に票が入る。

 

観客の皆が皆……怯えた子犬のような顔をして………

 

これにより、鳳翔の必死の弁明も虚しく……第一戦は、鳳翔に分が上がった。

 

ちなみにーーーこの勝負の後に……正しい話を鳳翔が伝え直したそうだ。

 

 

 

続く

 

ーーーーーー

ーーーー

 

あとがき

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

 

調子に乗って書いたら……とんでもない話に仕上がりました。

 

関係者の方たちに御迷惑かけないように、名前や設定を変えましたけど……。

 

ついてに、鳳翔さんが、絵を描くのが苦手というのは、この中だけの話です。

  

また……続きます。

 


 
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