No.774885

真・恋姫無双 覇王伝 第五話

ZSANさん

一刀達の元にやって来た使者

2015-05-02 23:25:44 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:4546   閲覧ユーザー数:3810

~揚州・寿春にて~

「おお~、孫堅さんの背が怒りに燃えてますね~」

「『燃えてますね~』じゃないのじゃ

 妾は恐ろしくて仕方なかったのじゃ!」

袁術は張勲に対して文句を言うが

「あれれ~、もしかしてお嬢様

 恐怖のあまりお漏らし何て事は・・・」

「してないのじゃ!

 そんな恥ずかしい事!」

張勲にうまく逸らされてしまう

これがこの二人の日常なのだが・・・

 

「御二人共、何を莫迦なやり取りをしているんです?」

やって来たのは魯粛だった

「あれ?魯粛さん

 来てたんですか」

「来てたんです

 ちゃんと門番の方に案内されて来たので、報せも来てる筈です」

呆れた声で魯粛が答える

「そうですね~

 で、わざわざ世間話をしに来たわけじゃないですよね?」

張勲が話を振ると

「表向きはね」

この言葉で張勲は察する 直接言えない要件が有る事を

「呉郡の太守、許貢様が最近黄巾党に敗れましてね

 建業も安泰と行かないんですよ」

「それだけだと愚痴ですね~」

張勲は本題を促す

「建業の近くに紙造りをする村が有る事を知っていますか?」

話が飛んだように聞こえるが、この二人には問題は無い

「知らないですね~

 そんな村、有るんですか?」

「つい最近、始めたらしいです

 紙造りを教えた者達がいるんです

 そして、その者達は一騎当千と言える程の武を持っている

 更にその者達は村では『天の御遣い』とも呼ばれています

 その者達が場所を得れば虎にも龍にも化けるかもしれません」

此処まで聞くと張勲は魯粛の言いたい事を察した

呉郡の太守をその者に変えたいのだ しかし商人である魯粛は表立ってそんな事は出来ない

その為、助力を得に来たのだ

袁術達にしては味方を増やす為には良いかもしれない

「その人達の事を詳しく聞きたいですね~」

 

 

その様なやり取りが行われてから、10日程が過ぎた

~一刀視点~

今日も普段と変わらぬ一日が始まった

だが、昼過ぎには変わった一日となった

「一刀さん、千人程の軍隊が向かって来るの~」

沙和が慌てて報告に来た

「軍隊?野盗じゃないんだな?」

「間違いないの~」

軍が来る事に心当たりは無い

ならば、静観して向こうの言い分を聞こう

 

「この村に北郷一行は居るか?」

村にやって来た軍の指揮官がやって来るなり大声で告げて来た

俺と鞘姉と巴が進み出ると

「お前達か?

 我が名は紀霊 お前達に寿春まで来るようにとのお達しだ

 我々はその護衛として来た

 直ぐに用意せよ」

随分一方的だな

断ってやりたいがそうもいかないので従う事にした

捕えようととしないと云う事は悪い話では無い可能性が高い

同行するのは、俺、鞘姉、巴、静里、沙和(連れて行けと一番食い下がった)

 

道中紀霊に理由を訊いたが

「知らん!」

と取り付く島もなく、寿春に到着した

 

街に入り、城に向かう途中

「一兄、この街 なんか妙だね」

と巴が小声で話しかけて来た

「活気が無いのは悪政をしていればあり得る事なんだけど・・

 それにしては貧乏街(スラム)見たいのは無いし、流人も溢れていない

 そうなると考えられるのは殆どの役人は腐ってるけど、まともなのがギリギリ踏ん張ってる

 それも中枢の少数がね・・・

 だから街に活気は無いけど、荒みきってはいない そんな感じだね

 まあ、他にも考えられるけど、取り敢えずは一例としてね」

 

そんな事を話しながら進んで行くと、城に到着した

謁見の間に通されると華美な衣装を来た少女とその側近らしき女性 それに豪奢な服を着た役人らしき人物がいた

取り敢えず片膝を付いて礼を取ると

「北郷一刀、汝に呉郡太守を命ずる

 これが命令書と太守の印綬だ」

役人が進み出て発した言葉に混乱したが、反射的に受け取ってしまった

「では、私はこれで」

その人物は去って行った

 

「え~と」

事態が呑み込めない俺達に

「先ずは自己紹介しますね

 此方は袁術様 私は張勲と申します」

話し掛けて来た女性はなんとなくバスガイドを彷彿させた

「で、貴方達を呉郡太守に推挙した張本人です」

とんでもない事言いやがったな

「まあ、頑張ってください」

勝手に話を纏めるな!と思っていたら

「のう、お主らは『天の御遣い』と呼ばれておるそうだが真か?

 真なら天の国とはどんな所じゃ?」

袁術が好奇心の塊のような表情で訊いて来た

その対応は巴に任せた

なんとなく話が合いそうな気がしたからだが、正解だった

巴の話に袁術は釘付けとなった

 

「え~と、一刀さん そう呼ばせてくださいね

 北郷さんだと三人もいますから

 で、一刀さん 二人で話したい事が有るので来てもらえますか」

俺は張勲の言葉に頷き、

「鞘姉、巴を頼む」

そう告げて、張勲に付いて行った

張勲に付いて行くと一室に通された

「この部屋は私の居室ですので楽にして下さい」

そう言うや否や、張勲は自分の服の前をビリッと破る

結構大きな胸だなって違う!何をしているんだ?

「この状態で私が悲鳴を上げればどうなるかは分かりますよね?

 例え逃げ切っても、村に多大な迷惑が掛かる事も

 ですから、これから訊く事に答えて下さい

 嘘を付いたり、はぐらかそうとしたら直ぐに悲鳴を上げますから」

脅迫して来たか 此方に選択肢は無いな

俺が頷くと

「先ず、今回貴男が太守に就任した件ですが、これは魯粛さんの提案なんです

 貴方達と魯粛さんの関係は?」

「只の、取引相手だよ 

 俺達が紙を売る ね」

正直に答える

「しかし、今回魯粛さんは前々から賄賂を要求していた中央の役人に手を回してまで貴男を推挙しました

 それと袁家の推挙が有ったから太守になれたんですよ

 只の取引相手にそんな事をしますか?」

「分からない 魯粛さんに訊いてくれ」

本当に、魯粛さんは何を考えているんだ?

「嘘は言ってないようですね~

 本題ですが、今回の件は先程言った通り私達のおかげでもあります

 正直に言いますと私達には味方が必要なんです

 孫家が牙をむかないよう、むいても袁術様を守れるよう

 だから貴方達には私達の味方になって欲しいのです

 味方になってくれますか?」

「脅迫しておいての問いじゃないな

 でも、味方だよ 俺達は

 袁術も張勲も可能な限り、守る事を約束するよ」

張勲が驚いたような表情をする

「あっさり了承しましたね

 それに私は含まなくても良いんですけど・・・」

「この街で善政が行われていない事は解ってる

 でも荒みきっていないのは、張勲の頑張りによるものじゃないのか?」

俺の問いに

「まあ、お嬢様の為ですから・・・」

「理由は何でもいいさ

 結果、民の為に頑張って来た

 それなら張勲も守るさ 可能な限り」

~張勲視点~

まいりました

これは不味いです

予想外です

 

予定では決断しかねる一刀さんを籠絡する方策を考えていたのですが、全て無駄になりました

ましてや私も守る、なんて事を言うなんて・・・

あ~、もう此処まで予想外だと対応に困ります

今の私、どんな表情してるんでしょう

ついでに、顔が赤くなってないでしょうか

 

「どうかした?」

一刀さんの声で我に返ると、直ぐ前に一刀さんの顔が!

近い!近すぎます!!

この人、分かっててやってるんですか?

それとも天然なんですか?

天然なら性質が悪すぎます!

天然の女誑しですよ!

お嬢様もいずれは・・・

って考えたらなんかむかつきました

でも変ですね お嬢様を取られるからむかついただけでしょうか?

なんか、一刀さんが他の女性を誑したからむかついたような・・・

え?じゃあ私も?既に誑された?

え~、違います 私はお嬢様一筋です

でも、お嬢様と二人で一刀さんの傍にいられたら・・・

この想像が一番、幸福そうだった

つまりは・・・

 

「本当に、どうしたの?」

この鈍感男!

貴男の所為なんですから!

責任取って貰いますよ!

逃がしませんから!生涯・・・

「私の真名は七乃です

 受け取ってくださいますか?」

~一刀視点~

七乃と話も終わり玉座に戻る

袁術と巴はまだ話していた

「あ、一君

 戻って来たん・・・」

鞘姉が硬直する

何故?しかも視線は俺の後ろの方を見ている

「一君!

 張勲さんの服装はどういう事!?

 何で服が破れてるの!?」

あ、しまった 話の方に夢中でその事忘れてた

って云うか七乃!気付けよ!

「あはは~

 大丈夫ですよ

 別に一刀さん無理やり襲われた訳じゃありません」

「そうなの?」

七乃の説明で落ち着くかと思ったら

「同意の上でしたから~」

七乃~!

「一君 ちょっとO☆HA☆NA☆SHIがあるわ」

「私も一緒に・・・」

「二人共待て 誤解だ

 七乃、ちゃんと言ってくれ」

俺が助けを求めると

「ちゃんとと云う事は一刀さんにされたあ~んな事や、こ~んな事をですか?

 人に言うのは恥ずかしいですよ~ 一刀さんの鬼畜♡」

更に悪化させた

「一君、O☆HA☆NA☆SHIはもう良いわ

 悪・即・斬」

冤罪だ~

「あはは~

 本当は一刀さんに色仕掛けで脅迫しようとしたけど通じなかったんですよ

 脅迫の内容は秘密ですけど、解決策も見つかりましたから」

七乃の言葉でやっと鞘姉が落ち着いてくれた

その場にへたり込んだら

「一刀さん、大丈夫ですか?」

静里が心配そうに話しかけて来た

「静里は心配してくれるんだ」

「はい、張勲さんの最初の言葉が嘘なのは直ぐ分りましたから」

冷静に分析してくれたんだ

感極まって

「ありがとう、静里」

と、抱き付いてしまった

「あ、あ、あの一刀さん」

静里が慌てふためいた所で

「何してるの!」

と、鞘姉の踵落としが俺に決まった

「鞘華さん、その技は下着が見えてしまうのでは・・・」

「鞘姉は口より先に手では無く足が出るから見られても大丈夫なスパッツを履いてるよ

 尤もそんなに直ぐ蹴りを出すから、足が細くならない・・・」

言葉が終わる前に、更に蹴られた

自分で以前言ってたくせに

「細くは無いけど、特に太い訳じゃないからね!

 静里と比べたら、太いのは認めるけど・・・」

そんなやり取りをしていたら

「袁術ーーー!」

怒声と共に飛び込んで来た女性が居た

~あとがき~

 

私の話の恒例、急展開です

 

呉の太守に任命されましたが、あの人達が黙っていないでしょう

最後に怒鳴り込んできましたから

 

張勲が誑されました

簡単すぎるかもしれませんが、七乃って耳年増で初心な感じがしましたので

策を弄したら、逆に心根で応えられて、始めての事なので耐性が無かった こんな所でしょうか

一刀は無自覚なんですけど

 

更新はゆっくりになるかもしれませんが続けるつもりです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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