No.76339

真・恋姫無双外伝~覇王の願い~星詠編13

真恋姫無双(魏ED)AS.
なんか段々ここの説明文が雑になってる気がする。
まぁ、それはともかく、

前回はかなり急ぎすぎましたねw

続きを表示

2009-05-30 14:13:15 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:8671   閲覧ユーザー数:7590

―――13話『司馬懿と薫』

 

 

 

 

 

 

 

 

大広間。

 

あの後薫からあふれていた光がおさまり、薫は倒れた。

それを寝台に移し、私たちは大広間へ移動した。

 

 

 

―華琳と出会ったからな―

 

 

【華琳】「どういうこと?」

 

私と別れた後、薫に何があったのか。

突然聞こえてきた叫び。そして、行ってみればそこには見たこともない光景。

何があったのかまったくわからない。

隣にいる一刀に聞いても、青ざめた顔で黙っているだけ。

 

 

そして、その直後に現れたばけm・・・・もとい妙な男。

彼は淡々と話し始めた。

一刀が話すべき話を代わりに述べているのだと言わんばかりに。

 

そして、その話。

まず、薫の現状。

あれは、薫の体内にある、あるものが暴走しているようなもの・・・らしい。

そして、そのあるものと言うのがこの世界にあるすべての記憶。

全て・・・というのがどの範囲のものか。

いや、それ以前に・・・・私にそれを信用しろと?

ありえない。

まだ、不治の病だと言われれば納得できるものだ。

だが、彼は言った。

これは彼女が生まれ持った素質なのだと。

散々わけの分からないことを並べられたが、理解できたことは

薫は今、苦しんでいるということ。

 

・・・・・馬鹿馬鹿しすぎて話にならない。

そもそも、記憶なんて他人が共有できるものじゃない。

 

否定するしかない。こんななんの現実性もないものを認めてしまえば、

今までの曹孟徳としての自分が自分ではなくなる。

だが、

 

 

華琳と出会ってしまったから。

 

そう、言われた。

何?私のせいなの?

自分と出会ったから、薫は苦しんでいる。

まったくもう、わけが分からない。

つい2日前に出会ったやつが今苦しんでいる。

その責任が何故自分にあるというのか。

いや、責任がどうというより、自分が彼女に関っているというのが理解できない。

出会ってからの時間が短すぎるのだ。

関わるも何もあったものではない。

 

 

そして、次の一言。

 

 

―本来なら薫は生まれてくるはずではなかった―

 

 

 

【霞】「・・・・・は?」

 

【沙和】「どういうこと、なの?」

 

【一刀】「それは―――」

 

一刀が、何か言いかけた。

でもその続きは声に出ることはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

―――ガチャ

 

 

 

 

【薫】「はぁ・・・・はぁ・・・・」

 

【一刀】「薫!?」

 

先ほど倒れた薫が扉を開けていた。

 

 

 

 

【薫】「それって、こいつと・・・関係、あるんだよ・・・ね?」

 

そう言って自分の頭を指さす。

 

【薫】「さっき色々見えたときに・・・・・皆の、ことも・・・みえてたんだ・・」

 

【華琳】「・・・・皆?」

 

【薫】「でも・・・・一番多かったのは華琳のことだったよ。はは・・・・あんたって意外と、女の子・・・なんだ・・・っ!?」

 

【霞】「っと!・・・・自分、フラフラやんか。寝といたほうがいいんちゃう?」

 

【薫】「だいじょぶ・・・ありがと、霞」

 

 

倒れそうになる薫を支える霞。

 

 

 

【薫】「華琳がきっかけって・・・・こういうこと、だよね・・・?」

 

【貂蝉】「そうねん。確かに他人の記憶までみちゃう力なわけだけど、ほとんどはご主人様やここの皆の記憶のはずだから・・・・その中心にいる曹操ちゃんとの記憶や曹操ちゃん自身の記憶がもっとも仲達ちゃんの頭に残っているはずなのよねん」

 

だから、華琳と出会うことが、その大半を占める記憶を奮い起こす原因となった。

 

 

【華琳】「・・・・・・・本当に見えたというの?」

 

【薫】「・・・バッチリね。今桂花がはいてるパンツの色も知ってる。」

 

 

【一刀】「なんだって!!?」

【霞】「なんやて!!?」

 

 

【桂花】「な、ななななな、!!あ、貴女!こんなときに何言ってるのよ!・・・ていうか、その変態はともかくなんで霞まで反応してんのよ!?」

 

【薫】「あ、よく考えれば、ここにいる全員の身長とか体重とかスリーサイズとか、思い出せそうだわ」

 

 

 

 

【色々と気になる年頃の叫び】「「「「「なにいいいいいいいいいいいいいい!!!!??」」」」」

 

 

 

 

【霞】(あ、あかん・・・身長とかスリーサイズとかはともかく、体重はまずい!)

 

【華琳】(・・・・・・・皆のは今更だけど、自分のが知られるのは不愉快ね・・・・)

 

【凪】(な・・・どうする・・・・隊長には知られないようにしないと・・・・くっ・・・)

 

【桂花】(こうなったら薫の口を封じるしか・・・・・)

 

【稟】(・・・ということは私だけではなく、華琳様の体のことまで・・・・・ブハァ)

 

【風】「頭の中まで鼻血ふいてどうするんですか~。稟ちゃん~トントンしますよー」

 

【沙和】(いや~~~~、体重だけはだめなの~~~~)

 

【真桜】(最近ちょっと増えてきてるんよなぁ・・・・・)

 

【貂蝉】「いやだわん、恥ずかしい♪」

 

 

(オメーのは気になんねえよ・・・・)

 

 

【春蘭】「そんなことより!!さっきのはどういう意味だ!」

 

春蘭が叫んだ。

・・・・・・・そうだね。春蘭にはそんなことだよね。

 

【秋蘭】「薫が・・・生まれるはずではなかったと言ったな?」

 

 

 

【薫】「・・・・・・・」

 

【貂蝉】「そうねん・・・・」

 

【薫】「あ・・・・・・私、部屋にもどってるね・・・」

 

【桂花】「え?あ、ちょっと!」

 

薫は広間を出て行った。

 

【貂蝉】「仲達ちゃんは、もう知ってるはずよん」

 

 

【華琳】「・・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【薫】「はぁ・・・・」

 

 

部屋に戻って、ため息をつく。

さっきまで暴れていた熱も、今はおさまっていた。

昨日は意識が飛ぶほどだったのに。

 

広間にはいられなかった。

これから何を話そうとしていたのか、分かっていたから。

うん、知っちゃったから。

 

さっき見た、数多の記憶。

そのほとんどが先生と皆の乱世での記憶。

でも、その中にあった。数少ない記憶。

そこに映っていたのは母の姿。

そして、妹の姿。

 

 

【薫】「嫌になるなぁ・・・・私じゃなかったら自殺ものだよ・・・・」

 

 

そして、その妹の姉の姿。

見知った家族の中に、知らない人間。

司馬の長女。

そこにいたのは、私のはずだった。

ずっと、私だった。

司馬懿は私だったんだ。

 

【薫】「・・・・・だれなのよ・・・・」

 

 

そこにいる貴女は誰?

貴女が司馬懿なら、私はだれ?

司馬仲達は・・・・誰の名前なの?

ほんとは、ずっと・・・・・わからなかった

昔から、私は覚えていただけ。

家族のこと。生まれてからここまで育ってきたことを覚えていた。

でも、私が経験したのは、2年だけ。

そう思い知らされた。

 

 

自分の記憶が自分のものではなくなっていく。

残ったのは、2年分の、学校とこの街での記憶。

 

 

【薫】「・・・・・はぁ」

 

だから、理解せざるを得ない。

自分は・・・・・この頭のためにうまれたんだと。

何のためにこんなものが体にはいっていたのか。

一刀が持っていない記憶を私が持っている。

華琳がわすれた感情を私が持っている。

だから、わかるんだ・・・・

何故・・・・私は生まれたのか

そして、その役目のために、自分はどうなるのか。

 

 

【薫】「先生も・・・・ひどいよね・・・」

 

 

星を見ながら、つぶやいた。

 

 

【薫】「なんで・・・こんなの・・・・・・・・っ・・・・・」

 

 

 

【一刀】「・・・・ごめん、な・・・薫」

 

 

【薫】「なっ・・・せ、先生!?いつから――」

 

 

気づくと後ろに一刀の姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

薫の部屋にはいった時、その子は窓をみていた。

 

俺が入ってきたのにもきづいていないようだ。

 

 

【薫】「い、いつから・・・」

 

そういって、こちらに気づく。

 

【一刀】「・・・みんなに、話したよ」

 

【薫】「・・・・・・・・そう・・・皆おどろいてたでしょ?ありえないもんね」

 

その顔をみて、どういうことを考えていたのか、すぐ分かる。

 

【一刀】「そうだな・・・華琳なんかはこういうことをまず信じないタイプだから、今でも信じられないって感じだな」

 

【薫】「あはは・・・そういえば、そうだね」

 

変な言い回し・・・・だと思ったが、気づいた。

 

【薫】「なんか、変な感じなんだ。皆のこと今日知り合ったのに、さっきからずっと懐かしい感じがとまんないの」

 

この子は知っているのだ。俺が失った記憶を。

 

【一刀】「そう、か・・・・」

 

【薫】「うん・・・・・」

 

 

 

 

少し、沈黙が流れる。

 

 

 

 

【薫】「先生ってさ」

 

【一刀】「ん?」

 

それをやぶったのは、薫の方。

 

【薫】「華琳のこと、好きだよね」

 

【一刀】「・・・・・・・・・・ああ」

 

唐突で、一瞬まよったが、俺は答えた。

 

【薫】「ほんとに、好きだよね・・・・・・・忘れたくない・・から、私みたいなの・・・・作っちゃうんだもん・・・」

 

【一刀】「・・・・・・」

 

この子に対して・・・・俺はどんな顔をすればいい・・・・

 

星詠なんて、大層な名前はどうでもいい。

 

【薫】「だまらないでよ・・・・・・・」

 

【一刀】「・・・ごめん」

 

ただ、俺は・・・・忘れたくなかった。だけど仕方なかった。

 

でも、忘れたくない。

 

その願いが・・・・外史を作り変えてしまった。

 

その結果が・・・・この子だ。

 

 

【薫】「謝らないで・・・よぉ・・・っ・・・・・・っ」

 

 

言い訳をするなら、早すぎた。

 

全てが。

 

だけど、それは言い訳。

 

 

【一刀】「薫・・・・・・」

 

【薫】「・・・あはは、こんなときに・・・・抱きしめるとか、ずるいよ先生・・・。だから、種馬なんてよばれちゃうんだよ・・・」

 

俺は耐えられず、薫を抱きしめた。

 

【薫】「ほんと、にずるいよ・・・・この気持ちだって、自分のかどうか・・・・っ・・・」

 

そしておそらく、これは最低の行為だろう。

 

そして、もっと最低なことを考えるなら、

 

『こんなつもりじゃなかった』

 

『こんなことになるなんて』

 

今にも言いそうになってしまう、自分を戒める。

 

苦しいのは彼女なんだから。

 

 

【一刀】「・・・・・ごめん・・・」

 

【薫】「・・・・・・・・・ふふ。・・しょうが、ないね・・・・種馬さん・・だからね・・・」

 

【一刀】「・・・ああ」

 

【薫】「・・・・・・・私ね・・・」

 

【一刀】「・・・ん?」

 

【薫】「・・・・・・・わかんないけど、これは、たぶん・・・自分の記憶だから、信じて・・・ね?」

 

【一刀】「・・・・ああ」

 

 

 

【薫】「・・・・私、先生のこと・・・・たぶん好きだよ」

 

【一刀】「俺だって・・・お前のこと、好きだよ」

 

ほんとうに、最低だ。

 

【薫】「・・・あ、あはは・・・・嬉しくないな~~・・・・」

 

【一刀】「なんだと~~~」

 

抱きしめる腕に力を入れる。

 

 

 

 

 

【薫】「ほんとに・・・・・っ・・・・全然、うれしくない・・・・よ・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
107
6

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択