No.760505

真・恋姫†無双 -五虎騒動- 2

ぽむぼんさん

五虎大将たちは、いったいどんな騒動を巻き起こしてしまうのか。
まだ騒動は起こっておりませんが、次第に事が大きくなっていきます。

4話あたりから、街中を巻きこんでいく予定です。

2015-02-24 19:14:37 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2521   閲覧ユーザー数:2078

 

 翌日、昨日の一件とほぼ同じ時間。

 酒を飲みながら話す星と、同じ円卓につきながら興味津々と話を聞いている四人の姿があった。

 

 「―――とまぁ、主殿にこんな事を言われてな?いやはや、困ったものだ。『我らの中で誰が一番優れているか』などと、今まで一緒にいて分からないとは」

 「まったくだ。ご主人様も、まだまだ見る目がない。誰が一番優れているか、など問うまでもないだろう?心・技・体、全てを兼ね備えた人間など一人しかおらんではないか!」

  

 星が“やれやれ”と言わんばかりの口ぶりで話す言葉に、愛紗は同意する。愛紗の発言を聞き、他の四人も同意するようにコクリと頷く。

 愛紗、鈴々、星、翠、紫苑。この場にいるその全員が一番優れているのは自分だという確固たる自信があった。故に、同意したのだ。

 

 「―――で、何て言ったんだ?」

 「何、とは?」

 「知らばっくれるなよ。あたし達の中で誰が一番優れてるってご主人様に言ったんだ?誰が一番優れているか分かってはいるんだけど、ご主人様に何て言ったか気になるだろ?」

 

 もちろん自分が一番だと、翠はそう思っているための発言である。

 

 

 『もちろん、翠と言ったに決まっているではないか』

 『え?あたしかー?』

 『その通りなのだ!誰よりも強くて、誰よりも奇麗で、誰よりも聡明なのは錦馬超以外にありえないのだ!』

 『そうよ、悔しいけれど翠ちゃんが私たちの中で一番よ』

 『紫苑、私など悔しいという気持ちが湧き出ないぞ。何せ翠だからな。翠が優れているのはご主人様がカッコイイのと同じくらい当たり前なのだぞ?』

 『おいおい、よせよ愛紗!ま、あたし程じゃないにしてもお前も中々だと思うぜ?』

 『……す、翠……!!』

 『まぁ!羨ましいわ愛紗ちゃん!あの翠ちゃんから認められているなんて!』

 『うー!ずるいのだ!鈴々も認められたいのだ!』

 『落ち着けよ。あたしは……全員認めてるんだぜ?』

 『『『『す、翠さま……!』』』』

 

 

 “―――ふ、照れるぜ!”

 

 

 などとニヤケた顔をし、妄想を膨らましている翠に便乗して、紫苑も同意する。

 

 「そうね。誰を一番って言ったのか気になるわ」

 「おやおや、お主達までそのような事を。愛紗、どうやら分かっているのはお主と私だけらしい。どう考えても、一番優れているのはこの私に決まっているだろう。なぁ愛紗?」

 「え?」

 「ん?」

 

 

 愛紗から思わぬ返事が返って来たので顔をあげると、眉間に皺を寄せた軍神の顔があった。目と鼻の先に。というか、鼻はもう触れ合った。

 

 

 「ちょっと待て星。すまないが聞き逃してしまった。もう一度だけ聞きたい」

 「そうだな、あたしも何か耳に詰まってたみたいだ。……よし、もう大丈夫。聞き逃さないぜ」

 「鈴々は聞こえてたのだ!でも、納得いかないのだ!一番は」

 「まぁまぁ、鈴々ちゃん。きっと星ちゃんも言い間違えちゃったのよね?そうよね?」

 

 “―――近い”

 

 愛紗、翠、紫苑。鈴々以外の皆が星の顔に可能な限り耳を近づけて声を聞こうとしていた。そこまで近いと暑い。ここまで言い寄られるのも、まぁ別に嫌いではない星であった。

 

 

 「―――愛紗、髪の毛が私の顔にかかっているから少し下がってくれないか?」

 「すまない、好戦的な髪の毛だからな。何せ、一番優れた髪の毛なものでなぁ」

 

 “どういう髪の毛だそれは!?”

 

 

 「もう一度言うが、一番優れているのは、この私。常山の昇り龍、趙子龍だと答えたのだ」

 

 愛紗の髪の毛を顔の前から除けながら、腹に力を込めて言いきる。

 数秒だったのだろう。しかし、その数秒は数時間と感じられる程の重さと冷たさを孕んでいた。そのあまりにも重い数秒間を打ち破ったのは

 

 「ありえねええええーーー!!なんであたしじゃないんだよ!!」

 

 と頭を抱えて絶叫する翠だった。

 

 「っば、馬鹿者!こんな近くで声を出すヤツがあるか!」

 

 愛紗は耳を塞ぎ、左目を瞑りながら抗議の声を上げる。愛紗は既に常人の域ではなく、達人である。多少大きな音が耳元で鳴ろうと、動じない程には鍛えてあるのだ。しかし、相手が悪かった。その音を出した人物も、また常人の域を越えた者。達人であった。流石の愛紗も自身と同等の力量を持つ相手が発する音には耐える事は出来ない。

 余談ではあるが、この時の翠の叫び声は城を越え、城下町にまで響き渡った。この時の声量を称え、町人からは『声将軍』と称えられたが、呼ばれる間翠は一切城の外に出る事は無かった。

 

 
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