No.753289

少年少女達の幻想物語 第十話 少年少女と友達の正体

四姉妹さん

大変遅くなってすみません!
最早、忘れられていると思いますが投稿します。

2015-01-23 23:18:22 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:395   閲覧ユーザー数:395

 

黒人side

 

正直、言っている意味が分からなかった。

今まで、一緒に過ごしてきた友人が人間じゃない?

確かに、この「幻想郷」では妖怪が多く生きているのは知っている。

しかし、俺達の元いた世界には妖怪なんて空想の産物で昔の人の悪ふざけが広まっただけのように思われているような世界だ。そんな世界で人に紛れて過ごしている空想の産物が二人も近くにいる?しかも、俺の友人?有り得ない。どんな確率だ。きっと、間違いに決まっている。

そうとしか思えなかった。

 

 

リーナ「・・・何かの悪い冗談ですか?」

 

阿求「いいえ。冗談ではありません。」

 

 

阿求が真剣な表情で間髪入れずに答えた。

 

 

阿求「では、私が麻喜さんが人間でないと思った要因を述べます。」

 

 

阿求が続けて言った「人間ではない」という言葉に対して、麻喜は口を開こうとしたが、取り敢えず、話を聞くようで、口を閉じた。

その様子を阿求が横目で確認しながら、話を続ける。

 

 

阿求「単刀直入にいうと、無縁塚を無傷で切り抜けるなんて、人間には不可能だからです。あそこには、迷い込んだ人間を襲う妖怪が数多く生息してますから。」

 

リーナ「た、たまたま妖怪が少なかったとかは、ないんですか?」

 

阿求「無いでしょう。」

 

 

また、阿求が間髪入れずに答える。

 

 

阿求「あそこは、妖怪でさえ、力が弱ければ危険を伴う程、凶暴な妖怪が多いですから、運がどうこう言う話ではないんですよ。今まで、あそこから逃げ切れた人間は聞いた事がありませんし。」

 

阿求「それに、さらに不利な状況で麻喜さんは無縁塚を抜け出しています。」

 

黒人「不利な状況?」

 

阿求「はい。それは魅月さんと麻喜さんが被っている帽子です。」

 

阿求「先程も申し上げたように、無縁塚には数多くの妖怪がいます。走って逃げるとなると、かなりの速度で走る必要があります。しかし、そうなると帽子を風で落としてしまうでしょう。では、帽子を落とさないように走るにはどうしますか?」

 

黒人「そりゃあ、普通手で抑えるだろ。」

 

 

リーナも、それに頷く。

 

 

阿求「そうです。しかし、麻喜さんには気を失っている麻喜さんよりも体格の大きい魅月さんがいます。魅月さんを背負うとなると、両手が塞がってしまいます。その場合、どうやって帽子を落とさないように走ったのでしょう?」

 

リーナ「・・・?黒人君、わかる?」

 

 

一つ答えを思いついたが、正直、正解する気はしなかった。何故なら、その状態で逃げ切るという事は、それこそ人間業ではないからだ。まあ、リーナに聞かれたし、ダメ元で答えてみるか。

 

 

黒人「片手で魅月を担ぎ上げ、片手で帽子を抑える・・・か?」

 

阿求「・・・・・正解です。」

 

 

思わぬ正解に驚く。しかし、それでは・・・

 

 

リーナ「でも、それだと麻喜ちゃんは、魅月さんを片手で担ぎ上げて、片手で帽子を抑えて、普通の人より格段に速く走ったって事ですか?そんなの出来るわけないじゃないですか!」

 

 

リーナが否定するが・・・

 

 

紫「でも、それ以外に方法はない上に、今、その子はそれをやり遂げているわ。」

 

 

確かにそうだった。それしか方法が無い中、麻喜は帽子を被り、魅月を連れてここにいるのだ。

 

 

リーナ「麻喜ちゃん、本当にそうなの?」

 

 

リーナが麻喜に聞くと、麻喜は目線を下げ、目を泳がせている。叱られている時や嘘がバレて必死に言い訳を考えている時など、考え事をしている時の仕草だ。この仕草の後は下手な嘘や言い訳が多い。

どうやら正解のようだ。

 

 

阿求「話を続けます。」

 

 

麻喜の答えを聞かずに、阿求が話を続ける。

 

 

阿求「そして、外の世界にいながらも、これ程の力を維持しているという事は、元々はかなり強い部類の種族だと思われます。」

 

黒人「俺達の元いた世界では力の維持が難しいのか?」

 

 

確かに、こちらの世界に来てから、羽が動かし易く感じるが、それと関係があるのだろうか?

 

 

紫「ええ。妖怪とは人に畏怖される程、力が強くなるもの。外の世界では、ほとんど妖怪は信じられてはいないから力の弱い妖怪はさらに弱くなり力の維持は難しなるわ。維持出来る妖怪は、昔、力の強かった、今でも恐れられているごく少数の妖怪という事になるわ。幻想郷は、外の世界と違って、ここ、人里の人々に恐れられているから妖怪が住みやすく、妖怪が多い分、霊力も扱いやすくなっているけど。」

 

 

霊力云々はリーナを納得させる為でだろうが。成る程、どおりで羽が動かし易いわけだ。力が少し強くなっていたのか。

 

 

阿求「さて、何故帽子をそこまでして守るかですが・・・」

 

 

阿求が本題に戻り、話を続ける。

 

 

阿求「これは、単純に頭を隠したいと考えていいでしょう。」

 

阿求「では、まとめます。

   人間を軽く上回る身体能力。元々はかなり強い、つまり有名な種族で、頭に特徴のある妖怪といえば・・・」

 

 

ここまで要素が絞られれば、答えは一つ。

 

 

リーナ&黒人「「鬼・・・。」」

 

阿求「正解です。では、麻喜さん、失礼ですが帽子を取っていただけませんか?」

 

 

麻喜が観念したようで、被っていた帽子を取った。

そして、その頭には・・・・・・って、あれ?

 

 

リーナ「角・・・無くない?」

 

 

その言葉にカチンときたのか、麻喜が頭を前にだし、頭を指差しながら近付き、叫んだ。

 

 

麻喜「ココ!よく見て!ちゃんとあるから!!」

 

 

確かによく見ると小さな角があった。しかし、これは・・・

 

 

リーナ&黒人「「小っさ!!」」

 

紫「プッ・・・。アッハハハハハ!」

 

 

瞬間、横まで来ていた紫が大爆笑する。

しかし、対する麻喜は顔を真っ赤にして激怒している。

 

 

麻喜「小っさい言うな!!これでも立派な角なんだからなぁ!!」

 

紫「アーッハハハハ!」

 

麻喜「そこっ!笑うなぁ!!」

 

麻喜「これでも大変なのよ、これ!伸ばしすぎたら、鬼ってバレるから、毎日、毎日痛い思いしながら削ってんだから!」

 

黒人「成る程。だから可哀想なくらい貧相なのか。」

 

麻喜「貧相とか言うな!胸はまだ発展途上なだけや!」

 

黒人「いや、別に胸の話はしてないんだが・・・。」

 

 

興奮し過ぎて、少しおかしくなっているようだ。なんか微妙に関西入ってるし・・・。

 

 

紫「ヒー、ヒー、あー、おかしいわぁ。・・・プッ・・・クククッ」

 

麻喜「そこ!さっきから笑いすぎじゃああぁぁ!!」

 

 

麻喜が捕まえようとすると紫はするりと足元の「裂け目」に入っていってしまう。

そして、その「裂け目」が閉じたかと思うと空中に、また「裂け目」ができ、中から紫が逆さまに上半身だけ出した。

 

 

紫「いやー、久々に笑わせて貰ったわ。またどこかで会いましょう、「貧相な鬼」さん。・・・プッ」

 

麻喜「くぉらぁーーー!!待てぇぇーーい!!」

 

 

麻喜が紫に向かって飛びかかると、紫はまた「裂け目」へと入っていき、消えてしまった。

この後、麻喜を落ち着かせるのに夕方まで掛かることになったのだった。

 

 

~夜~

 

リーナside

 

麻喜ちゃんは落ち着いた後、急に疲れがきたらしく、ぐったりしていたので慧音先生の所へ魅月さんと一緒に泊まらせて貰う事になり、今はぐっすりだ。

私は阿求さんの所に泊まらせて貰う事になり、黒人君は、既に住む場所を見つけているらしい。

黒人君、この世界に馴染むの早くない?ていうか、実は黒人君も妖怪で天狗だったし・・・。半妖らしいけど・・・。

天狗の新聞記者さんと一緒に羽を生やして飛んでった時は度肝を抜かれたけど、その後、阿求さんに説明して貰った。てっきりもう知っているかと思われていたらしい。

とにかく、今日は色々と驚く事が多くて疲れた。まさか、この流れで魅月さんまで妖怪なんて言わないよね?あったら、泣くよ?私。割とマジで。

うん、考えないようにしよう。考えずに今日の所は、もう眠ることにしよう。

そう思い、私は寝床についた。

 

 
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