No.752617

がちゆり-綾乃誕生日SS-2015

初音軍さん

結綾というあんまりない組み合わせ。個人的に笑いのツボがお互い突きすぎてるから相性いいと思うんですけどね。二人の間にある緊張とか遠慮がなくなればある意味最高のカップルになれそうな気がする。と思えるようなお話。

2015-01-20 09:31:03 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:446   閲覧ユーザー数:444

がちゆり 杉浦綾乃 誕生日SS 2015

 

 船見さんとはあまり接点がなかっただけで別に嫌とか気まずい感じはしなかった。

たまたま着替える時に二人きりになったとき、私はガチガチに緊張していたけれど。

家に戻って落ち着いた時、不思議な感覚が残っていた。

 

 歳納京子に抱く気持ちに非常に近いけどちょっとだけ違うような感じが。

 

「これは何なのかしら・・・」

 

 ちょっともやっとしながらベッドの上に寝転がって天井を見ながら振り返っていた。

生真面目で面白いことを言わないと思っていたけど意外な面も見れたし、

面倒見も良くて優しくて。歳納京子とはまた違った魅力があった。

 

「って・・・!べ、別に歳納京子のことなんてそんなに思ってないんだから!」

 

 とかいいつつも、歳納京子と船見さんの顔が頭からちらついて離れなくて

もどかしい思いで胸がいっぱいになった。

 

「もしかして私って気が多いのかしら・・・」

 

 顔を火照らせながらちょっと言い訳気味に溜息を吐くようにそう言葉を漏らした。

 

 

**

 

「あ、おはよう。綾乃」

「お、おはよう! 船見さん!」

 

 なんということでしょう。昨日結局もやもやしてあまり寝れてない状態で学校へ来て

眠れなかった原因の一人に声をかけられてしまった。

 

 船見さんはもう忘れているように微笑みながら私に声をかけてきた。

自然に返そうとしたら声がうわずって変な声を出してしまった。

普通に死にたい…。

 

 そんな恥ずかしさに打ちのめされている私の心配そうに船見さんは覗き込んできた。

 

「どうしたの、大丈夫?」

「え、えぇ。心配はノンノンノートルダムよ」

 

「ノ・・・!」

 

 息を整えて船見さんの方に視線を戻すと何だか苦しそうに体をぷるぷるさせているのを

見てしまった。

 

「だ、大丈夫? 体をそんなに震わせて…体調悪い?保健室行く?」

「い、いや・・・。だ、大丈夫」

 

 心配して聞いてみると私と同じように息を整えて顔を赤らめながらうっすらと

涙目になっていた。ちょっと赤くなってるとこを見ると熱でもあるのかしら。

 

 でも本人も大丈夫だと言っているしこれ以上聞くのはちょっと失礼よね。

 

「わかったわ、無理はしないでね」

「うん、ありがとう綾乃。お互いにがんばろバロブルック」

 

 不意に来た船見さんのダジャレが私のツボに強烈に突いてきて一瞬足に力が

入らなくなって壁に手を当てて動きを止める。船見さんは気付かなかったのか

そのまま教室に入っていって私は乱れた呼吸を整えてから後に続いて教室に入った。

 

 船見さんのダジャレ…面白すぎる…!

 

 

**

 

 授業は特別何かあるわけでもなくいつも通りに時間が過ぎていき、放課後を迎える。

今回は珍しく生徒会の仕事が早めに終わったから千歳を誘って帰ろうかなと思ったら

千歳は用事があって一緒には無理だと言われた。

 

 一人だとちょっと寂しいかなと思って生徒会室を出た先にこれまた珍しく船見さんが

目の前を通っていた。私に気付いた船見さんは朝のように微笑みながら声をかけてきた。

 

「綾乃も帰り?」

「え、えぇ・・・」

 

「よかったら途中まで一緒に帰る? 何なら送っていくし」

「う、うん」

 

 返事をして二人で昇降口で靴に履き替えてから外へ出ると、ごく自然に船見さんは

私の手を握ってきて一瞬ビクッと反応してしまった。

 

「あ、ごめん。ついちっちゃい子とか面倒見ていたときの癖が」

「ううん。全然!でも船見さんのそういう優しいところ好きかな」

 

「え・・・?」

「ううん!なんでもないわ!」

 

 私ったら何さらっととんでもないこと言ってるのかしら。

でもこれも本心といえば本心なんだけど、相手に伝えてしまうのはどうかと思うし。

伝えるにはそれなりの順番が必要だと思うしってまた何を考えてるの私!?

 

 そんな風にもわもわ、ふわふわとした気持ちで悶えていると再び船見さんは私の手を

握ってきてくれた。柔らかくて温もりが私の手から伝わってくる。

 

 そうなるとまた胸のドキドキが強くなってきて頭が真っ白になってしまいそうになる。

これは歳納京子といたときくらい。いえ、それ以上の激しさがあった。

 

「私も綾乃のこと好きだよ」

「え!?」

 

「・・・同じ意味かどうかはわからないけどさ」

「うっ・・・」

 

 確かに確認しあったわけじゃないからそうかもしれないけど。でも・・・でも・・・。

嬉しさと不安で涙が出そうになるけれどそんなの見せたらまた心配かけさせちゃうし。

私はぐっと堪えながらも船見さんの手を握り返した。

 

 多分、同じ意味で好きかもしれないけど。こんな急じゃなくてもっとちゃんとした時に

言いたいことだってある。

 

 だから期が熟すまでちょっとだけ曖昧にして相手に伝えることにしよう。

 

「さぁ・・・どうかしらね。同じかもしれないし、そうじゃないかもしれないわ」

「綾乃・・・」

 

「でも、そうね。私達もう少しお互いのこと知ってからでもいいかもね」

「そうだね」

 

 声を震わせながら言うと船見さんは優しい眼差しを私に向けて頷いた。

ホッとした私は気づけば自宅前まで来ていたことに気付く。

 

 いつの間にか歩いてここまで来ていたことにびっくりした。いつもは少しくらいは

長く感じる道も船見さんと一緒にいたら驚くほど早くついていたではないの。

 

 千歳と一緒でも早く感じることはあったけれど、今回はまた特別に違って感じた。

それだけ彼女に夢中になっていたということだろうか。

 

 振り返ると船見さんは私の手を離して微笑みながら呟いていた。

 

「また明日ね、綾乃」

「うん・・・ありがとう」

 

 今までにそうないほど心が満ちていったような気がした。

嬉しくて嬉しくて、私はその一心で背を向ける船見さんに向けてちょっと大きめの声で

返した。

 

「また明日・・・!これから・・・もっと色々話しましょ」

「うん」

 

 私の言葉にちょっとだけ振り返って大きく頷いてからまた再び歩を進めて

帰っていった船見さん。私の中で何かが変わりつつあった。

 

 それはとても暖かいもので心が震えるほど、喜びに溢れていく。

まるでパズルのピースが嵌ったかのような感覚に包まれていた。

そう・・・もしかしたら私達の相性はとてもいいんじゃないかって思えるくらいで。

 

 あの固くなりながら話していたのが嘘みたいに私の頬は今緩みきっていた。

私の目の前にあった世界の色が変わる、それは貴女のおかげかもしれないわね。

そう思いながら私は一息吐いてから家の中へと入るのだった。

 

お終い

 


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