~~第三者視点~~
「キリエ…本当にこれで大丈夫なんですか?」
「勿論よん♪それとも何?アミタは私の言う事信じられない?」
海鳴市の臨海公園。
バラバラに逃げ回っていたアミタ、キリエのフローリアン姉妹は公園内で偶然合流し、身を隠す場所を模索していた。
そんな折に
「だって……
「大丈夫だって。これは某有名な人が潜入する際に用いる必須アイテムだし、絶対に安心出来るから」
キリエはそう言って自らダンボールの中に入る。
臨海公園に何故か人1人が入れるサイズのダンボールがいくつかあったのだ。
それを有効活用し、ハンターに気付かれない様に隠れられるという絶対の自信がキリエからは溢れていた。
「う~……」
「…そんなに信用無いならお姉ちゃんは自分だけで逃げ回れば?私は体力回復の意味も込めてしばらくここでこうしてるから」
「……はぁ、分かりましたよ。キリエの言う事を信じます」
小さく溜め息を吐いてアミタもダンボールの中に身を隠す決意をする。
ゴソゴソと身を潜め、ダンボールの上を閉じた瞬間
「ディバイーーーン……バスターーーーーーーーー!!!!」
1体のネオ・ナノンゾンとブラスタービット4機から放たれた砲撃が臨海公園を蒸発させ、姉妹は揃って脱落した………。
残り時間=41分59秒。
『アミティエ・フローリアン』
『キリエ・フローリアン』
残りの逃走者=12人。
「むぅ…私とした事が若殿とはぐれてしまうとは……護り刀として失格ではないか」
若干気落ちしてる緋鞠。
護るべき対象である優人が傍に居ないため、いつ彼がハンターに捕まるか不安で仕方が無いのだ。
「若殿、私が向かうまで無事に生き残ってくれ」
緋鞠はホテル・ベイシティの入り口前で主の無事を祈っていた。
クイクイ
「ん?」
緋鞠の服の裾が引っ張られたので、視線を服の裾に向けると青い髪の小さい女の子がいつの間にか立っていた。
「(私が気配に気付かず、ここまで近付かれただと?)…お主は何者じゃ?私に何か用か?」
「……お姉ちゃん、いないの…グスッ…」
緋鞠の顔を見て言う青髪の少女は目元に涙を溜め、ぐずりながら言ってきた。
「そうか…それでお主の姉上と私に何の関係があるのじゃ?」
「お姉ちゃんに会いたいよぅ…うぐっ…えぐっ…」
「むぅ……これは私も一緒に探せという事なのか?」
このままでは少女は泣いてしまうだろう。
本来なら一緒に探してやっても良いのだが、今は『逃走中』というゲームに参加している。
ハンターの数も増えた以上、迂闊に動けないのだ。
緋鞠が悩んでいる間にも少女は声を出していないものの涙がポロポロと頬を伝い始める。
「…しょうがないのぅ…お主の姉上を探すのを手伝ってやるから泣き止め」
「グズッ……ほんとぅ?」
「うむ」
子供の涙に負けた緋鞠はハンターに見付かるリスクを覚悟の上で、少女のお姉ちゃんを探す決心をした。
「そう言えばお主と、お主の姉上の名は何と言うのじゃ?」
「私はスバル…お姉ちゃんはギンガって言うの」
青髪の少女…スバルが自分と姉の名前を言う。
このスバル…勇紀と初めて出会った時の年齢に設定されている。しかし当時のスバルと違い、人見知りはしない様だ。
緋鞠はスバルを引き連れ、ホテル・ベイシティを後にする。
スバルと共に行動する事数分…
「は、離すのだ!!」
「行っちゃやだぁ!!」
緋鞠はスバルにしがみつかれていた。
「頼むから離してくれ!ハンターが!ハンターが迫って来よる!!」
「やああだああぁぁぁ!!!!」
懸命に引き剥がそうとする緋鞠に対し、スバルは首を左右に振りながら叫ぶ。
「……………………」
ダダダダダダダ!!!
そんな緋鞠とスバルの前方からは
逃げようにもスバルのせいで逃げられない緋鞠。
結果…
ポン
「しまったああぁぁぁぁっっっ!!!!!」
スバルのせいで思う様に身動きできなかった緋鞠。計算外の結末である。
ガシイッ!!
「ぬあぁぁっ!?」
すかさず拘束された緋鞠。
上空では3体いるネオ・ナノンゾンの内の1体が緋鞠にレイジングハートを向けていた。
ブラスタービットも4機、既に緋鞠の周囲に配置されている。
「全力…全開ぃ…」
「ま、待て!!今お主が攻撃すれば何の罪も無い子供まで巻き込まれるのだぞ!!」
そう言って緋鞠はスバルの方を見る。
…が、スバルはそこにいなかった。
「スバル!!」
「お姉ちゃん!!」
少し離れた所で聞こえた声。
見たらスバルが、彼女と似た容姿の女の子とひしっと抱き合っているではないか。
「おい!!私の現状を差し置いて何をやっておるのだ!!?」
ナカジマ姉妹感動の再会です。
「スターライトォ…ブレイカーーーーーーーーー!!!!」
「わかt…」
最後まで発声する事が出来ず、緋鞠は光に包まれた………。
残り時間=37分44秒。
『野井原緋鞠』
残りの逃走者=11人。
「全く…何処の馬鹿よ?ハンターを増やすなんて面倒な事してくれたのは…」
ブツブツと文句を言いながらクルミは街中を移動する。
アリア、禅と別れてからは1人で逃げ回っていた彼女。今の所、ハンターや他の逃走者達と出会ってはいない。
まさかハンターを増やす事になった原因の大元がつい先程まで一緒にいた
「もうすぐゲームが始まって1時間かぁ」
ゲーム終了というゴールが徐々に見えてきた。
「あと30分強。これだったら本当に逃げ切れるかもしれないわね」
特に賞金で何かを買いたいとは思っていないクルミ。
だが自首するつもりはなく、最後まで逃げ切る気満々だ。
「ふっふっふ。ツインエンジェルの一員としてやれるって事を知らしめてやるわ」
…遥と葵のコンビにクルミが加わったら3人なのに『
ていうか
そんな逃げ切る気満々で気合を入れているクルミのすぐ近くに
「……………………」
「さて、これからどこに身を隠そうかしら?」
周囲を物色しながら歩くクルミ。
徐々にネオ・ナノンゾンに住宅や施設を破壊され、身を隠す場所が減ってきているのでこうやってハンターに見付かりにくい隠れ場所を探すのも一苦労なのだ。
だが…
「げっ!」
クルミの姿を視認するとすぐさま駆け出してくる
「何で気付くのよ!」
即座に身体を反転させ、来た道を引き返すクルミ。
しかし運が無い。引き返して少し走っていると前方に
「嘘ぉっ!?」
現在クルミがいるのは住宅街へと続く一本道。左右に道は無い。
最早状況は絶望的…
「くっ!こんな所で、こんな所で捕まる訳にはいかないのよぉぉっっ!!」
クルミを己を身を捻り、小さな体躯を上手く利用して迫り来る
背後からは
「ハァ…ハァ…こ、これぐらい…朝飯前よ……」
息も絶え絶えになりながら逃げ切ったクルミは速度を落としてゆっくりと歩き始め、十字路に差し掛かった所で
「……………………」
クルミの姿を見た
「ほえ?」
まさかの展開に間抜けな声を上げるクルミ。
何が起きたか理解する前に刑は執行される。
「ひっ!?」
クルミの周囲には4機のブラスタービットがセットされ、一斉砲撃が放たれるその瞬間を待つ。
「全力…全開ぃ…」
そして慈悲無き断罪の光は頭上、そして四方から
「スターライトォ…ブレイカーーーーーーーーー!!!!」
同時に放たれた………。
残り時間=35分01秒。
『葉月クルミ』
残りの逃走者=10人。
「もう逃走者は半分にまでなったのか…はぁ…」
確保情報に乗っている残りの逃走者数を見て優人は呟く。
既にゲーム終了までの残り時間も半分を切っているのだが、ハンターの増員と街の破壊、ネオ・ナノンゾン3体降臨といった鬼畜ゲーと化しつつある現状に優人の肉体、精神は疲労を増してきていた。
自分の身近な者達である緋鞠、凜子、静水久は既に
「俺達もいつ捕まるか分かったもんじゃないよな」
キンジは常に周囲に気を配りながら、会話に加わる。
「そもそもこんな現状を作り出した張本人は一緒に居る訳だが…」
「「うぐ!」」
リインフォースの言葉に反応するのは2人。
勇紀と禅だった。
「何で勇紀も反応するんだよ?」
「いや…この夢を見たのは俺ですから」
確かにその通りである。
しかし約1名が突っ走ったりしなければこの結末は回避出来た可能性がある訳で。
「まあ、嘆いても始まらないよ。今は逃げ切る事だけを考えようよ」
「「…うっす」」
理子の言葉に短く返事しながら、気を取り直す2人。
「っ!!来た!ハンター来た!!」
キンジが見る視線の先には
「全員散開!!高町の
リインフォースの言葉を皮切りに、勇紀、優人、キンジ、理子、そしてリインフォース自身も蜘蛛の子を散らす様にバラけて逃げる。
3体のハンターもバラけ、それぞれ
その内の1体、
「にゃ!?理子りんを追って来るの!?」
峰理子だった。
2人共小柄で通行人の合間をするすると抜けていく。
だが、制限を設けられ体力が多少落ちてる理子と制限が全く無い
徐々に差は埋まっていく。
「つ…捕まってたまるかああぁぁぁぁ!!!」
ここが正念場とでも言う様に自分の底力を発揮する理子。
しかしそんな現状を嘲笑うかのように
「……………………」
前方から
「んなあっ!?」
驚きつつも咄嗟に身を屈め、
これで逃げ切ったかと思った瞬間
「「……………………」」
今度は
「ふ、ふざけんなあああぁぁぁぁぁっっっ!!!!」
男口調気味になる理子。
しかし吼えても現状が変わる事は無い。
4体ものハンターに追われ、遂には
ポン
残り時間=33分27秒。
『峰理子』
残りの逃走者=9人。
「ひゃうううぅぅぅぅっっ!!!」
一方…理子が捕まったとほぼ同時期に1人の人物が街中を逃げ回っていた。
「兄さん助けてええぇぇぇぇ!!!!」
ジークである。
彼女の背後には
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」
走ってる内に息が切れ始め、撒くどころか距離が縮まっていく。
せめて遮蔽物があるか、通行人がいれば多少は
「も…もうアカン…」
走り続けて体力が限界に達したジーク。
遂には
その場で激しく息を切らせるジークに
「スターライトォ…ブレイカーーーーーーーーー!!!!」
ブラスタービットと共に集束砲撃が放たれた。
「ひうっ!!」
小さく悲鳴を上げ、砲撃に呑み込まれる運命を覚悟した瞬間
パアアァァァァッ
ジークのポケットが光り出す。
いや、ポケットの中にあった物が光り出したのだ。
それは先程那美に貰ったカードであり、カードはひとりでにジークのポケットから出て来ると、光の強さが増し、迫り来る
ジークは思わず目を瞑る。
……しかし、目を瞑っても一向に自分が
すると自分の周囲を淡い光の膜が形成され、
凄まじい砲撃が5ヶ所から放たれているというのに、光の膜は一向に破られる気配が無い。
「ど、どうなっとんの!?」
ジークは何が何だか未だに理解出来ていない様だ。
ジークが那美から受け取ったカード…それは勇紀がハマっているカードゲームにおいて
故に、このカードの効果はいかなる攻撃からも絶対に身を守ってくれる。
それは
やがて砲撃の光が収まると同時に光の膜も消え去っていく。
こうしてジークは
残り時間=30分09秒。
『ジークリンデ・E・長谷川』
残りの逃走者=8人。
「ふぅ…ここまで来れば平気だな?」
リインフォースは海鳴市駅前にやって来ていた。
人通りはそこそこ、ハンターの姿は見えない。
「む…あれは?」
駅前では何やら街頭演説の様なものが行われていた。
「次の海鳴市長選挙には私、レジアス・ゲイズに清き一票をお願いします!!」
1人は髭を生やした小太りの男性…レジアス。
「この海鳴市をより良い街にする事を約束します。せやからわたし、八神はやてに皆さんの一票をお願いしますー」
もう1人はリインフォースにとっては別世界とはいえ、主であるはやてが演説を行っていた。
演説している2人の間には投票箱が置かれており、通行人の人達が投票用紙を箱の中に入れていた。
演説している市長候補の付き人にはレジアス側がオーリス、ゼスト、クイント、メガーヌ。はやて側には守護騎士の面々にアギトが手伝っている。
「そこの貴女、もし良かったら投票していってくれないかしら?」
そう言って投票用紙を持ち、リインフォースに話し掛けて来たのはシャマルである。
「私か?しかし今私は多忙の身でな」
「大丈夫よ。向こうで演説してる人の名前を書いて箱に入れるだけだから」
「だが、そんな事をしてる最中にハンターが来たらマズいんだ。だから済まないが…」
「そこを何とか!次期海鳴市長の座が掛かってるのよ!」
やんわりと断るリインフォースだが、シャマルはしつこく迫ってくる。
「別にはやてちゃんに入れてっていう訳じゃないの!!どちらかに一票入れてほしいだけなの!!お願いします!!」
「「「「「「「「「「お願いします!!」」」」」」」」」」
「増えてる!?」
頭を下げ、懇願するシャマルの言葉に続く様に、いつの間にかリインフォースを取り囲んでオーリス、ゼスト、クイント、メガーヌ、シグナム、ヴィータ、ザフィーラ、リンス、リイン、アギトが一斉に頭を下げた。
このままでは離れてくれそうも無いし、帰してくれそうもない。
そう感じ取ったリインフォースは軽く溜め息を吐き、シャマルから投票用紙を受け取って、どちらに投票するかを記入し、すぐに投票箱に入れる。
「これで良いだろう?私はもう行くぞ」
「ありがとうね。これ、わざわざ手間をとらせたお礼よ」
シャマルが手渡したのは1枚のカードだった。
リインフォースは頭上に『?』マークを浮かべているが、カードを見てやがて納得したのか懐に仕舞う。
と、同時にリインフォースに支給された携帯から音が鳴る。
メールを受信した様だ。
「(まさか…ゼンが捕まったんじゃぁ…)」
一抹の不安を胸に抱きながらメールを開くとそこには…
『『星伽白雪』自首成立。獲得賞金=734000円』
と、短い一文が綴られていた………。
少し時を遡る。
白雪は逃げに逃げまくり、気が付けば喫茶翠屋の前にいた。
「ここって確か…自首する時に立ち寄ればいい店だよね?」
チラッと時計を確認する。
「…これだけ稼げば充分かなぁ」
既に残りの逃走時間は30分を切っている。
上手く逃げ切れば108万円を獲得出来るが、白雪はそこまでの大金を得られずとも良いと思っていた。
捕まって0円になるよりかは、もう自首して今まで稼いだ賞金を獲得しようという堅実な考えをしており、素直に翠屋の店内に足を踏み入れた。
「いらっしゃいませー」
入店した白雪に声を掛けたのは、従業員としてスタンバイしていた高町家の長女である美由希だ。店内に客はおらず
「すみません。ゲームの
「
美由希は店内の奥へ消えていく。
白雪は美由希の指示に従い、カウンター席に腰を下ろす。
「お母さーん!
「はいはい。じゃあコレ持っていって」
「りょうかーい」
店の奥から会話が聞こえ、すぐに美由希が戻って来た。
美由希の手にはシュークリームが3個乗った皿とオレンジジュースがある。
「どうぞ。コレを完食すれば
「分かりました」
白雪の前に置かれるシュークリームとオレンジジュース。ジュースの方は別に飲み干さなくても良い決まりだ。
1つ目のシュークリームを手に取り、早速頬張り始める。
「むぐむぐ………むぐっ!?」
突然白雪を襲う強烈な辛味。
シュークリームの中のクリームは甘くはなく、激辛だったのだ。
それは嘗て勇紀とヴィータが参加した海鳴スタンプラリーにて、翠屋で出されたタバスコ入りのロシアンシュークリームと同等の物であった。
「んぐんぐんぐんぐんぐ!!!」
急いでオレンジジュースを飲み、口内の辛味を紛らわす。
「ぷはっ!辛っ!辛いよこのシュークリーム!!」
普通シュークリームと言われて想像するのは程良い甘みのカスタードクリームであり、辛いクリームなど予想出来る訳が無い。
「ただのシュークリームを食べるだけなら誰にでも出来ますから」
全くもって美由希の言う通りである。
「う~……」
オレンジジュースを飲んでもまだ辛さは相殺し切れない白雪は涙目だ。
しかし自首すると決めた以上、激辛シュークリームを再び口に詰め込み始める。
「うぐっ……むぐむ……ううぅ~~……むぐ…むぐ…」
必死に辛さに耐え、オレンジジュースでシュークリームを体内に流し込みながら白雪は頑張る。
コップのオレンジジュースが空になるとすぐさまお代わりを頼み、飲み出す。
その行為を何度と繰り返し、ようやく皿の上に乗っていたシュークリームを完食し終えたのだ。
「が……がんじょぐ……じまじた……」
「はい!確認しました!自首成立でーす!!」
美由希が皿の上にシュークリームが無い事、白雪の口の中にまだ残っていない事を確認し、電話を掛け始める。
こうして1人の逃走者、星伽白雪は自首が成立し、ゲームが終わる前に賞金を獲得したのだった………。
残り時間=28分50秒。
『星伽白雪』
獲得賞金=734000円。
残りの逃走者=7人。
「うううぅぅぅぅ…」
アルフは今、全力で疾走していた。
理由は言わずもがな…
「……………………」
住宅街を抜け出た所で運悪く
通行人が逃走の邪魔になったり、逆に
アルフとしてはさっさと
「……………………」
アルフの進行方向…その先には逃走者を探している
「ちょ!?挟まれたってのかい!?」
「こうなりゃ……でい!」
ゲシッ!!
「っ!?」
あろうことかアルフはすぐ側の通行人を蹴り飛ばして、前方から来る
通行人をぶつけられ、体勢を崩した
別に『通行人を利用してはいけない』というルールは無いので特にペナルティも発生せず。
「あっはっはぁ。あたしゃ頭が良いねぇ」
上機嫌で逃げるアルフ。しかし…
「「「……………………」」」
「はあぁぁぁっ!!?」
今度は通行人もおらず、避ける事も叶わない。
先程の行為に対する自業自得…因果応報とも言える。
悪あがきも出来ず、ついには
「うぐぐ……卑怯だよ!!そんな大勢で迫られちゃ逃げられる筈ないじゃないのさ!!」
女々しく吼えるアルフだが、ハンターが増えたのはお前が好意を抱いている想い人のせいだとは知らない。
バインドで拘束され
「見て下さいアルフさん!これが私の全力全開です!!!」
特殊台詞入りましたー。
ネオ・ナノンゾンが収束態勢に入り、ビットからも桃色の輝きが出始める。
「スターライトォ…ブレイカーーーーーーーーー!!!!」
「ゼ…ゼーーーーー………」
一瞬にして桃色の光がアルフを呑み込み、大爆発を起こす。
着弾地点には目を回し、その場に仰向けで倒れているアルフの姿が確認出来たのだった………。
残り時間=27分58秒。
『アルフ』
残りの逃走者=6人。
「何つーか…俺達よく顔合わせますよね」
「「「「いや全く」」」」
禅の言葉に頷くのは勇紀、優人、キンジ、リインフォース。
狙ってる訳でも無いのに何故か集合してしまう。
「それはそうと禅。アルフさん…捕まっちまったな」
「そうなんスよ。フェイトに続いてアルフまで守れなかった自分が不甲斐無いッス」
しょぼーんと肩を落とす禅の周囲にはどんよりオーラが漂っている。
「ゼン、そう落ち込むな。世の中どうしようもない事だってあるんだ」
そんな禅をリインフォースが慰める。
残り時間はもうすぐ25分を切るってところだろうか。
「この時間帯だと…後ミッションが1回あるかもしれないな」
「面倒臭い内容じゃないと良いけど…」
商店街の出入り口付近まで移動しながら皆、残り時間を確認し、周囲を警戒する。
通行人で溢れかえる商店街。
人が多いという事は自分の身を紛らわせ易いが、逆に視界を遮られるとハンターの発見が遅れるし、逃走する際邪魔になる事も有る。
「ふえええぇぇぇぇっっ!!!」
そんな中、1人の女性……水無月遥が悲鳴を上げながら商店街の方へ逃げてきた。
その背後には
「「「「「ハンター多っ!!」」」」」
思わず目を見開く5人だが、やるべき事は1つ…。
先程終結した時同様に散開して逃げる……のだが
「「「「「「「「……………………」」」」」」」」
各々が逃げた先からも次々とハンター達が現れていた。
「「「「「嘘ぉっ!?」」」」」
ハンター大集合。
戸惑いと混乱を隠せない逃走者一同。
1体のハンターから逃げようとしても、別のハンターが立ち塞がり、皆次々に肩を叩かれる。
そして全員がバインドで拘束されると1ヶ所に集められる。
上空にはネオ・ナノンゾン3体。周囲にはネオ・ナノンゾン3体が操るブラスタービットが合計で12機。
このままだと
だが…
パアアァァァァッ×6
彼、彼女等の服の中にある何かが光り出す。
それは……カードだった。
「……ひょっとして、皆市長選挙の一票に協力した?」
勇紀の問いに皆、頷く。
そう…ここにいる面子は全員一票を投票し、カードを受け取っていたのだ。ヴァ〇ガー〇のカードを。
そのカードの効果はジークの時同様、完全ガードであった。
勇紀、優人、キンジ、禅、遥は光の膜に包まれる。これで
そしてリインフォースは
「カウンター
何故か1人だけ遊〇王のカードを発動していた。
「…それ、カードゲーム自体違うんですけど…」
さりげなく優人が指摘するが、リインフォースは気にせず言葉を続ける。
「ドゥー〇ルパッ〇の効果発動!相手モンスターの攻撃をダイレクトアタックとして受け、攻撃対象になったモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える!!」
「???この場合、モンスターって俺達の中の誰かを指すのか?」
キンジが首を傾げると、どこからか現れたオレンジ髪を黒いリボンでツインテールにした少女が手に持っていたノートパソコンの画面を見せてくれる。
『相手モンスターはネオ・ナノンゾン3体、対象モンスターは逃走者達を示します』
「待て!!
「てか完全ガードの効果はどうなるんだよ!?」
『完全ガードは無効化され、直接攻撃を受ける事になります』
「「「んな殺生な!!」」」
「???」
「これもまた運命か…」
優人、キンジ、禅はドゥー〇ルパッ〇の効果優先に納得がいかず、カードゲーム自体『?』な感じの遥は首を傾げ、勇紀は抗えぬ運命に対し、既に諦めていた。
『捕まった逃走者は乙。プギャーm9(^Д^)』
「「「顔文字が超ムカつくんですけど!!?」」」
逃走者の面々は完全になめられていた。
そしてノートパソコンを抱えた少女が立ち去るのと同時に
「「「これが私の…全力全開!!!!!」」」
物騒な言葉が3体分飛んできた。
「「「スターライトォ……ブレイカーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」」」
3体のネオ・ナノンゾン、12機のブラスタービットから一斉に桃色の集束砲撃が解放…放たれる。
「「「い…嫌あああぁぁぁぁぁっっっっっ!!!!!!!!!」」」
あっという間に光の奔流に呑み込まれ、姿が見えなくなる逃走者達。
こうして『逃走中』は自首1人を除いて誰1人逃げ切れる事無く終了するのだった………。
残り時間=25分00秒。
『長谷川勇紀』
『天河優人』
『遠山キンジ』
『水無月遥』
『橘禅』
『リインフォース』
残りの逃走者=0人。
「やぁ、おかえり」
「あ、グランツさんじゃないですか」
ゲーム終了後、
勇紀達がダイブゲームで夢の中に潜り込んでいる間にゴットバルト家にお邪魔していた様だ。
「???どうしたんだい?後ろの彼、彼女達は?」
「はは…色々ありまして」
苦笑いを浮かべる勇紀。
彼が浮遊魔法を使って運んでいるのは
今、気絶していないのはほんの一握り……勇紀、ルーテシア、ジーク、白雪、葵、禅の6人である。
ここにいる面々は気絶してる連中も含め、勇紀が魔法を使える事を知っているので気絶した連中がフワフワ浮いていても可笑しくは思わない。
正確に言えば気絶してる遥とクルミは勇紀が魔法を使えると言う事を知らないのだが、ツインエンジェル組で唯一起きている葵には先に話し、葵から遥とクルミが目を覚ました時に伝えて貰う算段である。
ツインエンジェルの正体同様に、他人には話さない事を約束させた上で。
「てかお兄ちゃんと禅は何で意識を保ってられたの?」
ルーテシアの疑問ももっともである。
回避も防御も出来ず、15発の
「昔から結構シュテル達の理不尽なO☆HA☆NA☆SHI受けていたからなぁ…」
「俺もしょっちゅうフェイト達にされてるし…リインが放つ砲撃ならともかくなのはさん
「「見た目は迫力あるけど食らった感想としては正直、あの程度なら余裕かな」」
「「「「……………………」」」」
勇紀と禅の何気ない告白に黙るルーテシア。ジーク、葵、白雪はポカーンとしていた。
この2人、これで何の影響も無い以上、精神面ではヤバいくらいに強くなっているのではないだろうか?
「あ、白雪さん。報酬の現金は手渡しと振込み、どっちがいいですか?」
「え!?……あ、振込みにしてくれるかな。大金だから持ち歩いて落としたり、スリに遭ったりしたくないから」
「了解です」
突如尋ねられた白雪は一瞬返事に送れるも賞金の受け取りを手渡しではなく振込みを希望したので、勇紀は白雪から口座番号を聞き、後日振込む事にした。
で、次の問題は……
「「「「「「「「「「きゅううぅぅぅぅぅ…………」」」」」」」」」」
未だに目を回して気絶してる連中の対処だ。
目を覚ました時、トラウマが植え付けられているかが問題なのである。
「もし植え付けられてたらどうすんの?」
「愚問だなジーク。記憶を操作するか封印でもすりゃ良いんだよ」
「「「「……………………」」」」
サラリと言う勇紀の発言を聞いて引き気味のルーテシア、ジーク、葵、白雪。
「…一体君達はダイブゲームで何をしてきたんだい?」
グランツも気絶してる自分の娘達を見て気になった様だ。
「それはアミタかキリエに直接聞いて下さい」
気絶してる連中を1人、また1人と起こし、軽くカウンセラーを行う。
幸いにも精神に深刻なトラウマを持つ者はいなかったが、今回の一件で勇紀と禅を除いた
「んにゃ?綺麗だったよねぇ、桃色の光。また見たいなー」
………約1名、トラウマを受けなかった
~~第三者視点終了~~
~~結果~~
ゲーム終了時の残り時間 25分00秒
ゲーム終了時の賞金額 780000円
逃走者成功数 0/20人
自首成立者数 1/20人
長谷川勇紀(大☆爆☆殺)
ルーテシア・アルピーノ(確保済み)
ジークリンデ・E・長谷川(確保済み)
アミティエ・フローリアン(爆☆殺)
キリエ・フローリアン(爆☆殺)
天河優人(大☆爆☆殺)
野井原緋鞠(爆☆殺)
九崎凜子(爆☆殺)
静水久(爆☆殺)
遠山キンジ(大☆爆☆殺)
神崎・H・アリア(爆☆殺)
星伽白雪(自首成立)
峰理子(爆☆殺)
水無月遥(大☆爆☆殺)
神無月葵(確保済み)
葉月クルミ(爆☆殺)
橘禅(大☆爆☆殺)
フェイト・テスタロッサ(爆☆殺)
アルフ(爆☆殺)
リインフォース(大☆爆☆殺)
~~あとがき~~
更新遅くなって申し訳ありません。
年末年始に向けての仕事の追い込みがキツくて残業が増え、中々執筆する時間が取れませんでした。
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神様の手違いで死んでしまい、リリカルなのはの世界に転生した主人公。原作介入をする気は無く、平穏な毎日を過ごしていたがある日、家の前で倒れているマテリアル&ユーリを発見する。彼女達を助けた主人公は家族として四人を迎え入れ一緒に過ごすようになった。それから一年以上が過ぎ小学五年生になった主人公。マテリアル&ユーリも学校に通い始め「これからも家族全員で平和に過ごせますように」と願っていた矢先に原作キャラ達と関わり始め、主人公も望まないのに原作に関わっていく…。