No.740959

魔導師シャ・ノワール 闇の書偏 第三十八話 車椅子の少女 前偏

ertiさん

神様などに一切会わずに特典もなくリリカルなのはの世界へ転生した主人公。原作知識を持っていた筈が生まれ育った厳しい環境の為にそのことを忘れてしまい。知らず知らずの内に原作に介入してしまう、そんな魔導師の物語です。 ※物語初頭などはシリアス成分が多めですが物語が進むにつれて皆無に近くなります。 ※またハーレム要素及び男の娘などの要素も含みます。さらにチートなどはありません。 初めて読む方はプロローグからお願いします。

2014-12-01 21:00:01 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1800   閲覧ユーザー数:1707

 

 

 

 

 

「そんな目で見るな!俺は職員じゃねぇ!本くらい取ってもらえ!」

 

「またまた~♪ノワールくんは優しいからそう言いつつ取ってくれるんやろ?」

 

 

 

安息の地を求めて辿り着いた図書館では。また別の出会いが待っていた。

 

最近は、すずかにアリサも良く俺に構ってくるせいか。

 

時々、アリスとなのはの目が笑っていない・・・。

 

 

手に取った本を隣の少女に手渡す。

 

「チッ!・・・ほらよ」

 

「わー!ありがとう!」

 

 

手渡した本を大事そうに両手で抱きしめ。お礼を言ってくる車椅子の少女。

 

名前を八神 はやて。足が不自由で関西弁で、明るく振舞う少女だが

 

時折見せる、寂しげな目が俺の心をざわつかせ。ついつい相手をしてしまう。

 

 

今思えば、団長の言葉に乗らなければ良かった。

 

あれが全ての始まりだった.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日前....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はいよ。コーヒー」

 

「おうよ!・・・って!?砂糖とミルクは!?」

 

「唯でさえあんたが店に来て迷惑なのに。団長に出すシュガーとミルクは無いね。というか、帰れ」

 

 

 

未だに期間は短いが高町士郎が経営する喫茶店『翠屋』で

今日も今日とてウェイター(ウェイトレス)として家のお手伝いと称して仕事をしている。

 

すでに常連と言ってもいいくらいに頻繁に来客するエングレイブ傭兵団の団長が今日も店に来ていた。

 

「アホが!コーヒーなんて砂糖とミルクが無かったら唯の泥水だろうが!」

 

「マスター(士郎)。クレーム対応お願いしまーす」

 

「ノワール。一応はお金貰うお客さんだから砂糖とミルク付けてあげて」

 

「チッ・・・了解だ、マスター」

 

店主であり。今では保護者でもある高町士郎の命令となれば仕方が無く。

 

団長のコーヒーに直接、砂糖とミルクを投入した。

 

《ちゃぽん・・・ちゃぽん・・・》

 

「おい、なに入れたんだノワール?」

 

「なにって。頼まれた通りに砂糖とミルクだが?」

 

「どこの世界にコーヒーに黒砂糖と赤ん坊用の粉ミルクを入れる人間が居るんだよッ!!」

 

「ここに居たら悪いか?というか、帰れボケ団長」

 

 

黒砂糖はお菓子用に置いて合った物で。粉ミルクは倉庫に眠っていた賞味期限を過ぎた。

対団長用として俺が用意していたものだった。

 

 

「ノワール。あんまり意地悪をしてはいけないぞ。こちら新しいコーヒーです」

 

いつの間にか用意されていた新たなコーヒーが士郎の手で団長に出された。

 

「おっ!流石、色男!ノワールもこれくらいならねぇとなあ」

 

「ケッ・・・」

 

胸糞が悪くなり。キッチンへ引っ込もうとするが。

 

「そんなに俺の顔が見たくないなら図書館にでも行ってみたらどうだ?」

 

「図書館?」

 

「図書館は俺が嫌いな場所の一つだ。かび臭くて。文字が沢山で頭が痛くなるような場所だし。しかも禁煙だ。」

 

「いや、それはあんたの馬鹿な思考と行動の問題だろ。というか俺には仕事もあってだな」

 

「ん?いいんじゃないか?行って来たら」

 

「は?」

 

士郎がなにやら変な方向へと話を進める。

 

「君はまだ子供だし。店を手伝ってくれるのは嬉しいけど。二学期くらいからは君も学校に通ってもらう予定だから。多少は図書館とかで勉強して置いたほうがいいと思うんだ。

 もちろん、外で遊んで来てもいいけど。平日の昼間に一人で居ると、青い服の人に捕まっちゃうからね。その点、図書館なら安全だ。事情があってそこで勉強する子も多いからね。行って来なよ」

 

「そうそう、いい子は図書館で勉強でもしてなって」

 

おかしい・・・というよりも。何か企んでいそうで行きたくない。

団長が行き成り図書館の話とは不自然すぎる。それに士郎までがそれを援護していた。

 

だが、団長なら兎も角。士郎の言い分なら確かに行ったほうがこれからの為になりそうだ。

 

実際、この世界にはこの世界の歴史や文化があり。俺の持っている前世の記憶との差異は必ずあるだろう。

それが裏目に出る日も近くあるかもしれない。

 

「・・・わかった。忙しい昼のランチタイムを過ぎたら行ってみる」

 

「よしよし。いい子だ」

 

「ええい!撫でるな!!」

 

「くっくっく・・・(上手く行ったもんだなぁ)」

 

 

士郎に頭を撫でられるのに抵抗していた為、不自然に笑う団長の姿を俺は見ていなかった。

その姿を見ていたら図書館へ行かなかったかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、ランチタイムの昼を回ってから図書館へ向った俺は。

当ても無く気になる題名の本を手に取って開いては閉じて戻し。

無数に規則正しく並んだ背丈を有に越えた本棚が並んでいる図書館を彷徨う。

 

「ファンタジー系の小説か・・・」

 

魔法を実際に使う俺が魔法が出てくるファンタジーを読めば愉快だなと思い。

棚へ足を運ぶと先客が居た。

 

車椅子から賢明に手を伸ばし。手の届かない本を取ろうとしていた。

 

車椅子の主はなのはと同じほどの年齢。つまりは俺と同じほどの子供

 

ダークブラウンの髪にクロス模様の髪飾りをつけているその少女

 

それを見た、俺は第六感が告げていた。《この少女と関わると面倒が起こると》

 

しかし、運命には逆らえないようだった....

 

丁度、数日前にすずかから話に聞いていた小説の本が

その少女が手を伸ばしている本のすぐ隣にあったのだ。

 

まるで、俺は運命の糸に引きづられるように少女の横に立った....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はやてside

 

 

わたしの名前は八神はやて

小さい頃に発病した原因不明の病気で足が不自由で。さらに両親も居らへん。

自分で言うのもあれやけど不幸な美少女や。

 

それに最近は居らへんようになったけどストーカーまでされてたし。

 

まあ、そんなことはどうでもええな。

 

普通に学校に通えないわたしは、図書館でいつものように勉強と既に趣味の域まで達してしまった読書に励んでいた。

通信制の学校で勉強もしているので最近はもっぱら読書はかりやけど。

 

だが、図書館には大きな壁があった。

子供の背丈を優に越える。所狭しと本が詰まった本棚は文字通り壁や。

同い年くらいの子供でも届かない本がたくさんある本棚に

足が不自由で車椅子に乗っているわたしが好きな本を選ぶのは難しい。

 

すっかりと図書館の常連になっているわたしに親切にしてくれる職員さんは多いんやけど。あんまり仕事の邪魔をしたくないし。

 

いつも簡単に手の届く本を一人で手にとって読んでいた。

 

でも現実はそう上手く行かへんもんや。

 

ついさっき読み終わったファンタジー小説の続きが

車椅子に座ったわたしからギリギリ手の届かへん一つ上の棚に仕舞われていた。

 

負けてなるものかと車椅子から体を乗り出して必死に手をのばし。

 

指先に本の表紙が当たるがあと一歩、手が届かない。

 

「あと、ちょっとやのに・・・」

 

そんな時、スッと手が伸ばされる。

左横を見ると綺麗なやや癖の入った黒髪を首後ろで結んだ。

瞳が赤く目つきがやや鋭い。わたしと同い年か上くらいの美少女が立っていた。

服装が黒いYシャツに紺色のジーパンという男の子ような格好。

その服装が凛として凛としてボーイッシュでかっこいい少女という印象を周りに与えていた。

 

 

その子のは迷わず本棚から本を取り出し。そして...

 

 

 

そのまま立ち去ろうとする・・・・。

手にはわたしが読もうとしていた本の隣にあった本が握られていた。

 

「・・・え?取ってくれるんやないの?」

 

まさか、自分の読みたい本を取りに来ただけ?わたしの自意識過剰?

 

たしの呟きがその子の耳に入ったようで、後ろを振り向き口を開いた。

 

「俺は見ての通りの一般客だ。本が取れないなら職員を呼べ」

 

正論であり、尤もな意見やけど、わたしだってそれくらい理解している。

気を使わせたくないから一人で何とか取ろうとしていたのに・・・なんか悔しい。

 

「うう・・・」

 

容赦の無いその言葉に思わず言葉を漏らして睨んでしまった。

 

「ったく・・・」

 

その子はわたしの言葉で不機嫌そうに眉を顰め。真っ直ぐに目を合わせてすぐ隣まで近寄ってきた。

なにかされると思って腕を頭の前で組んで身を縮めるが。意外な言葉が返ってきた。

 

「どの本が読みたいんだ?」

 

「えっ?」

 

「どの本が読みたかったのか聞いてるんだ。二度は無いぞ」

 

「あっう、うん!君が取った本の左隣のやつやけど・・・」

 

わたしがそう言うとその子はわたしの手が届かなかった本棚から読みたかった本を抜き取り。徐に

 

《トンッ!》

 

「アイタッ!?」

 

「フンッ」

 

頭のオデコ目掛けて、本の腹で叩き渡してきて。鼻を鳴らしてスタスタと歩いて行ってしまった。

 

意外といい音がしてしまい。恐らくオデコは赤くなっているだろう。

 

「な、なんやあの子はーっ!」

 

 

 

親切三割の不親切七割の。その子相手では、流石のわたしでも少しイラついてしまった。

 

その事が頭から離れず。集中して本が読めなかった。

 

その為、いつもよりも早い時間に図書館から家に帰ることにした。

 

 

だが....

 

《ウイイィィィン・・・》

 

「え?」

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

車椅子少女との関わりも最低限に行ない。読みたい本も無事に手元にあり。

 

その本も中ごろまで読むと。すでに日が傾いていた。

 

そろそろ帰らないとな。あいつらが待つ家に。

 

 

本を本棚へ戻し。赤く染まった町へ向って歩き出し。

 

少し歩いた。緩やかな勾配の付いた坂道で。図書館に居た車椅子の少女がゆっくりとした速度で上っていた。

 

少女の乗っている車椅子はバッテリーが詰まれた電動であり。

速度は確かに遅いが。毎秒1センチも動いていないのは異常だ。

 

よくよく見ればサイドに取り付けられた車輪の取っ手を必死に掴み。動かしている

 

厄介事の気配しかしないが。同じ道を歩いているからには、すぐに追いついてしまう。

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

 

少女は息を荒くして顔に大粒の汗を掻いて。力が入っていない。

震えた手で車椅子を前に進めようとしていた。

 

「あっ!」

 

そんな時、小さな小石が車椅子の車輪に引っかかり。その衝撃で手が滑ったのだろう。

車輪が逆回転を始めようとしたので。横に居た俺は思わず

車椅子の後ろに付いたハンドルを握って、ブレーキを掛け。

後ろに下がるのをすぐに止めた。

 

電動車椅子で安全装置なども付いているのだろうが過信は出来ない。

止めなければ大事故に繋がる可能性もあっただろう。

 

「きゃあああッ!・・・ぁ?」

 

「はぁ」

 

「えっ!な、なんで君が!?」

 

仕方がないとは言え。またも関わってしまった。運命なのだろうか?

 

「偶然、近くに居ただけだ。ほら、さっさと上るぞ?」

 

「え?ちょっと!?」

 

事態が飲み込めていない少女の車椅子を押し歩き。

道が平らになったところで。ハンドルから手を離す。

 

「で?なんであんなところに居たんだ?それに電動車椅子じゃないのか?」

 

「ば、バッテリーが切れたんや!わたしかて、好きでもたついてたんやない!」

 

「あっそう。で?家はどこなんだ?」

 

「君には関係ないやろ!」

 

そう突き放すように少女は叫ぶが。相変わらず息は荒めであり。

こんな状態で一人で帰らせれば車に引かれかれない。

 

関わりたくはないが。家に送るくらいなら別にいいだろう。

 

「そんな疲れ果てた体で家まで帰れんだろう。送ってやる」

 

「き、君には関係ないやろ!ほっといて!」

 

なにを意地になっているのやら・・・あの件か

 

図書館でこの少女に叩くように本を渡した事が轢きづられて居るらしい。

 

「はぁ・・・図書館の事は悪かった。悪気はなかったんだ。

 ちょっと気が立っていてな。許してくれないか?」

 

実はあの時に本を叩きつけたのは事故で。普通に受け取ってくれる物と思って押し付けたのだが、

失敗した結果によりあの自体を招いたのだった。

 

「え?・・・う、うん。あの事やったら、わたしもちょっと悪かったし・・・こっちこそ、ごめんなさい」

 

なんだ。案外、素直な子供じゃないか。

 

「改めて、家まで送らせてほしい。」

 

「う、うんっ・・・じゃあ、お願いします~」

 

 

少女の案内の元、車椅子を押していく。モーターやらバッテリーなどが積まれているので意外と重い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあ?」

 

「なんだ?」

 

黙って指示通りに進ませていると唐突に話しかけてくる。

 

「そういえば名前なんていうんや?」

 

「ノワールだ」

 

「やっぱり外人さんか~。ファミリーネームは?」

 

「高町だ」

 

やや、不本意ながらだが。高町 ノワールとか語呂が悪い。ノワール・高町とでも名乗るか今度から

 

「ハーフなん?また、すごいギャップのネームやね。ああっごめん!貶してるわけやないで!」

 

「別に気にしてない。俺もそう思う。ちなみにハーフではないぞ。養子だ」

 

「そっか・・・。ああ、わたしの名前は八神 はやてっていいます。よろしゅうな」

 

車椅子の少女改め、八神 はやて。この名前を聞いた瞬間、すごく嫌な予感がしてしまうのはなぜだったか?

 

「ノワールさん。そこを右に入ってか~」

 

「了解」

 

夕日に染まる道をゆっくりとしたスピードで歩みを進めて行った。

 

 

 

 

 

 

 

ものの十数分で住宅街の立派な一軒家に辿り着いた。

 

道中では図書館で読んだ本の話をしながら意外にも楽しく会話が続いた。

 

 

 

「着いたな」

 

「着いた・・・ね」

 

「呼び鈴を鳴らせばいいか?家族は家にいるか?」

 

「ううん。わたし、一人暮らしやから居らへんよ」

 

「は?」

 

足が不自由な少女が一人暮らし?そんな事がありえるのか?

 

「ヘルパーとか来ているのか?」

 

「う~ん・・・。大抵のことは一人でできるし。

 掃除とかの業者の人には偶に入ってもらってるけど?」

 

立派な一軒家で一人暮らししているからお金はあるのだろうが

複雑な事情がありそうだ。いろんな人が世界には住んでいる。おいそれと深入りするつもりはない。

 

「・・・そうか。じゃあな」

 

「あ・・うん。ありがとうな・・・」

 

別れを告げて家に帰ろうとするが

 

「あ、まって!」

 

「なんだ?」

 

「よかったら晩御飯でも食べていかへん?も、もちろん!都合が悪く無ければやけど・・・」

 

 

俯きつつこちらの顔色を伺うように八神はやては、俺を見つめてくる。

 

その瞳は昔のフェイトが見せていたような寂しげな目で。とても俺の心がざわついた

 

 

「あっ、ごめん!急にこんな事言われても困るわな!ごめんな!」

 

「いや、別に構わないが。それよりいいのか?知ったばかりの人間を家に上げても」

 

「知ったばかりの人間やけど。なんかノワールさんは大丈夫やって思うし」

 

 

俺の生まれた場所では一切通用しない考えだ。喰うか食われるか。

それは傭兵団に入ってからも戦いの中ではそれは変わらない。

 

 

「随分と簡単に人を信用するんだな。俺が危険な奴だったらどうする?」

 

少し前まで俺は確実に危険な奴だったのは間違いない。

 

 

「下心がある人間やったら。最初から優しくしてくれる。

 ノワールさんにはそれはないやろ?最初は助けてくれへんかったし。

 最終的には取ってくれた本で頭叩かれたもんな~」

 

「そ、それは悪かったって言っただろ!」

 

「フフッごめんなさいや~。でも、結局は、本を取ってくれた。

 危ないところを助けてくれた。悪い人やないって理由はそれだけでいいんやない?」

 

はぁ・・・やっぱり気のせいじゃなかった。こいつはあいつら(高町家)と同じ分類の人間だ

 

「そうか。なら、お呼ばれに預かろうか」

 

「うんっ!狭いところやけど。ゆっくりしてってな~」

 

 

 

 

八神はやての家を詳しく言えば。二階建て、さらにテラスや庭まで付いている。

豪邸にはやや届くか届かない程度だ。

 

はっきり言うと大きい。

 

「言葉の絢や。気にしたらあかんで」

 

「心の中にツッコミを入れるな」

 

「フフッ当たってたんやね」

 

八神はやては笑いつつ。玄関へ向い鍵を開けた。

俺が扉を開けて車椅子が入りやすいように保持して。

先に彼女を入れさせる。玄関には室内用の別の車椅子が置いてあった。

 

「一人で乗りかえれるか?」

 

「う~ん・・・正直、ちょっとクタクタや」

 

「わかった。補助に付こう」

 

はやての乗る車椅子を室内用の車椅子の横につけて。徐に正面から抱きつくように背中に腕を入れた。

抱きついたのはそのほうが持ち上げるのに力が要らないからだ。

 

「わっ!?ちょ、ちょっと!?」

 

「暴れるな。大人なら兎も角、子供の俺の力は知れてる。じっとしていろ」

 

「あぅ・・・なんかめっさはずいんやけど///(なんや?このいい匂いは)」

 

そのままはやてを持ち上げてすぐ横の車椅子へゆっくりと下ろす。

 

「大事ないな?」

 

「う、うん...ありがとうやけど。めっちゃ恥ずかしいわ!(女の子に抱っこされていい匂いがして

 ドキドキしたらわたしってただの変態やんか・・・)」

 

「アホか。補助してくれた人間が恥ずかしがってないのに。された人間が恥ずかしがったら意味無いだろ」

 

下心などが無いのなら態度に出ることは無い。

もし感じて居たとしても相手の礼儀として顔にも口にも出さないものだ。

 

「でもな~」

 

「はいはい。それはそうと、飯より先にどうにかしたほうがいいと思うぞ」

 

「なにを?」

 

「服だ。着替えるか風呂に入ったほうがいいんじゃないか?」

 

季節は5月後半、気温はそこそこ高くなっており。

八神やはてが坂を上っている時は汗だくだった。

抱えた時に確認してしまったが未だに服は少し濡れている。

 

「え・・・な、なんで早くそれを言わへんねん!」

 

「俺はべつに気にしないが?」

 

「わたしが気にするんや!」

 

「フ~ン。ま、もう終わったことだし。いいだろ」

 

「よくない!」

 

永遠とループが始まりそうなので決着をつけることにした

 

「わかったわかった。俺が悪かった。悪かったから風呂の準備しとくから。着替えとか準備しとけ」

 

「うう~・・・八神はやて、一生の不覚や」

 

ぼやきつつも、早く汗を流したいのか。車椅子で自分の部屋に向う八神はやて

 

そして、俺は間取りから風呂の場所を探して。お湯張りの準備を始めた。

 

と、言っても。綺麗に掃除されていた風呂場でやることと言えば。お湯張りのボタンを押すぐらいだった。

 

そこで、一つ忘れていたことを思い出す。

 

「おーい。家族に連絡を取りたいんだが、電話を借りていいか?」

 

大声で八神はやてが入っていった部屋に向って声を上げると。「かまへんで~」という間の抜けた声が返って来たので

廊下に設置されていた固定電話の受話器を取って。ダイヤルを入れる。

 

「えっとたしか....」

 

入力を終えると発信が始まり。3コールほどで電話が繋がった

 

〔もしもし?高町ですが〕

 

「ああ、士郎か?俺だ、ノワールだ」

 

〔どうしたんだい?青い服の人にでも捕まった?〕

 

「バカ、そんなヘマはしない。それよりも今日は遅くなる」

 

〔ん?どうかしたのかい?〕

 

「なんて言えばいいのか・・・。図書館で知り合った子に夕食に呼ばれた」

 

〔・・・それって相手の年齢は?〕

 

態々そんな事を聞くってことは相手が怪しげなお姉さんだとでも思われたのか?

 

「想像を裏切るようで悪いが。同い年くらいの女の子だ」

 

〔うん。なら別にいいんだ。いや、アウトかもね・・・〕

 

「なにがだ?」

 

〔いや、こっちの話だ。もし、あんまり遅くなるなら迎えにも行くけど?〕

 

「結構だ。一人で帰れる」

 

〔わかった。気をつけて帰って来るんだよ。にしても〕

 

「なんだ?」

 

〔ノワールもすっかりこの世界に馴染んで来たんだと思ってね。家の番号も覚えてくれてたし

 友達まで作るようになって「言ってろバカ野郎」〕

 

《ガチャ!》

 

受話器を電話に押し付け。通話を切った。

 

 

「フンッ」

 

「どないしたん?もしかして迷惑やった?」

 

隣を見ると服を膝に乗せて八神はやてが心配そうに顔を覗かせていた。

 

「いや、俺に友達が出来たとか言って、馬鹿が喜んでたからムカついただけだ」

 

「フフッ変なの~。ってことは夕食、食べて行けるやね?」

 

「ああ、問題ないが・・・。それは?」

 

明らかに一人分の着替えにしては多い服を見て疑問を口に出す。

 

「ん?それはって。ノワールさんの着替えやけど?サイズがちょっと大きめの持ってきたんや

 これなら一緒にお風呂入っても大丈夫やろ?」

 

「俺も入るのか!?」

 

「さっきクタクタや言うたやん。案外、一緒に入ってくれたらいろいろ楽できそうやし。夕食作る元気残しとかんとな」

 

「はぁ・・・わかった。わかった一緒に入ってやるよ」

 

「うんっ♪ちゃんと今来てる服を入れる紙袋も用意してあるねんで」

 

準備がいい事だ。それにしても最近は誰かと風呂に入ることが多い。

元々一人で入ることも多くないと言えばそうなのだが。

 

そういえば、はやてはまだ子供とは言え。異性と一緒に風呂に入っても平気なのか?

 

って待てよ?まさか、また

 

「どないしたん?」

「あ、いや、入ろうか」

 

一度OKを出したものを覆すことも出来ず。脱衣所へと二人で入った....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、なあ・・・」

 

「なんだ?」

 

「それって・・・もしかして」

 

 

ああ、やっぱり間違えてたか。

今日の服装は至って普通の男物だ・・・。

 

よく着せられるヒラヒラな服では間違えられても文句は言わないんだが...

 

そしてこの後、住宅街のとある家では関西弁の少女の驚きの悲鳴が上がった....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気がついたらもう12月....。

先月モ休みがあまり無かったとです。

 

今年は、あとどれだけ更新できるか分からないので上げれる分だけでも上げようと思います。

 

細かい文章の突っ込みもあったらコメントでお願いします。

 

作者は関西辺りの出身なので、はやての方言は案外書きやすかったりします。

 

関西弁もいろいろあるので難しいんですけどね。

 

次回は、テストも兼ねて予約で一日更新してみます。

文章はこの話の後半なので短めですけどね。

 

 

 

 

 

※読んでくれてありがとうございます!感想などなどはお気軽に!

 

 

 

 

 

 

 

 

※誤字脱字などの指摘もどんどんお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

 

※また誤字脱字や妙な言い回しなど見つけ次第修正しますが特に物語りに大きな影響が無い限り報告等は致しませんのであしからず。

 

 

 

 


 
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