「準備が出来たようだな。では、向かうとしようか」
レジスタンスの隊員達と共に、生存者の捜索に向かう事となった旅団メンバー達。しかし…
「あり? アンタも来るのか、レイモンズさんよ」
「当然だ。皆が必死になって動いてるのに、私一人だけのんびりしてる訳にはいかないからね」
「へぇ~、そりゃ立派な考えな事で」
そんな彼等に、レジスタンスのリーダーであるレイモンズ、そして彼の助手と思われる銀髪の女性魔導師と金髪オールバックの男性魔導師、その三人まで同行する事となったのだ。
「北部は昨日の内に見回りを終えている。今度は西部の方を見て回る必要があるな」
「西部の方には、既にイザベルさんにジョージさん、それから真優ちゃんも一緒に先行しています」
「なら、早いところ合流しなければいけないね。彼女達も強いけど、それ以上に強いモンスターが現れたりすれば大変だ」
レイモンズやダニー達が話をしている中、ロキとディアーリーズ、Blazの三人は互いに顔を見合わせてから小声でヒソヒソと会話する。
(ロキさん、あの人は…)
(あぁ。正直、俺もイマイチ反応に困ってるぜ…)
(冗談じゃねぇよ。何でよりによって、平行世界のアイツがいるんだか…)
ロキ達の言うアイツとは…
「? あの、私の顔に何か…」
「「「あ、いえ、何でもありません」」」
そう、フェイトの事だ。自分達の知っているフェイト・T・ハラオウンと同姓同名、おまけに容姿も全く同じ存在である彼女を見た三人……特にロキとディアーリーズは過去の経緯から、複雑な気分になっていた。そんな三人の様子に気付いた刃が、会話の中に割って入る。
(三人共、彼女がどうかしましたか?)
(あぁ~…すまん、話すと色々長くなる)
(えぇっと、簡単に言えば…)
(別の世界では彼女と敵対してるんです。僕達は)
(あぁなるほど、そういう事ですか……しかし、それなら別に気にする必要性は皆無なのでは?)
(いや、それはそうなんだが…)
(何というか……イマイチ割り切れないんですよね…)
(だよなぁ~…)
「おーいお前等、早く来ないと置いてくぞ」
「ん? あぁ、悪い悪い。今行く」
ダニーから声をかけられ、ロキ達は慌ててレイモンズ達の下に駆け寄って行く。そんな彼等の後ろ姿を、刃は不思議そうな表情で見つめていた。
「分かんねぇな……人間、何でそんな簡単に割り切れねぇんだ…?」
地上本部、とある地下牢…
「―――ん…」
モンスター達に捕らわれていたルカは意識を取り戻し、その瞼をゆっくりと開けていた。
「お、やっと起きたかアキヤ」
「ん……ハルトさん…?」
「よっ。アキちゃんにこなたちゃん、アンジェさんも一緒だ」
「はぁ、もう嫌になるわこんな場所…」
「うぅ~手首が痛いよぉ~…」
「ムゥ…手錠がとっても窮屈デ~ス…」
牢屋にはルカだけでなく、ハルトやアキ、こなたにアンジェも同じように捕らわれていた。彼等以外にも多くの生存者が捕らわれており、その全員が両手を鎖付きの手錠で拘束されてしまっている。
「ハルトさん、ここは一体…」
「ヴァリアントの城だとよ」
「…ヴァリアント?」
「このミッド中にいるモンスター共の事よ」
ハルトの口から告げられた聞き慣れない単語にルカが首を傾げ、そんな彼の為にアキやアンジェが説明する。
「何でも、人類を滅ぼしてミッドチルダを支配するのが目的だそうデス」
「人類を?」
「ただ、目的がサッパリ分からないのよね。何でわざわざ滅ぼすべき人類を殺さずに、こんな風に捕らえたりしてるのか…」
「まぁ目的自体はどうだって良いんだが……とにかく、俺達はこうして捕まってる訳よ。お分かり?」
「えぇ、シンプルイズベストで大助かりです。それなら早く、ここから出た方が良さそうですね」
「あ、ちょっと待…」
ルカは牢屋から早く脱走するべく、自身の手錠を無理やり引き千切ろうとする。その瞬間…
「アビャバリャララララララッ!?」
「!? アンジェさん!?」
「あちゃあ、遅かったか…」
突如、アンジェの全身に強力な電流が襲い掛かった。いきなりの事態にルカは驚いて飛び退き、アキは思わず頭を押さえて溜め息をつく。
「アババババババ……シ、痺れビレ…痺れるデェス…」
「ア、アンジェさん!! どうしたんですか!?」
「原因はこの手錠だ」
何が起こったのか認識が追いついていないルカに、ハルトが自身の手錠を見せつける。
「どういう仕組みかは知らないが、手錠を外そうとすると別の捕虜がダメージを受けちまうみたいなんだ。脱走しようとする動きを少し見せただけでこうなる」
「私もさっき、こなたが手錠を外そうとした所為でエラい目に遭ったわ。こんな風にね」
「あ、ちょ…ノババババババババッ!?」
「ね? よく分かるでしょ」
「え、えぇ、確かに…」
アキが手錠を引き千切ろうとする動きをしただけで、こなたの全身にも強力な電流が襲い掛かった。手錠の仕組みを理解させる為とはいえ、容赦なくこなたにダメージを与えるアキの笑顔を見たルカは思わずゾクリとしていた。
「とにかくだ。俺達はこの手錠の所為で出ようにも出られない状況だ。それに…」
「それに?」
「…みゆきちゃんと美空ちゃんが、奴等のボスの下に捕まってる」
「!!」
「体の良い人質扱いだ。俺達の動きを封じる為のな」
「そんな…」
「今の私達じゃどうしようも無いわ。ウルや他の皆が助けに来るのを待つしかないわね」
想定していた以上に厄介な状況に置かれている事を知り、思わず歯軋りをするルカ。何とかこの状況を打破する手段は無いものか。必死に策を練ろうとするが、どうにも上手い方法が思いつきそうにない。
そんな時…
「おやおや、目が覚めたようじゃのう…」
「!」
ルカ達の下に、年老いた男性が話しかけてきた。
「お、ゲン爺さん」
「ゲン爺さん…?」
「私達に、この手錠の仕組みを教えてくれた人よ」
「ホッホッホ。無事に目覚めたようで何よりじゃ、少年よ」
「あ、どうも…」
「あぁ、良い良い。こんな老いぼれ相手に、そこまで行儀良ぅせんでも」
「いや、しかし…」
気楽に話しかけて来るゲンに、ルカは礼儀正しくお辞儀をしてみせる。ゲンは特に気にしてない様子でルカの顔を上げさせる。
「ゲンさんも、あのモンスター達に…?」
「儂だけじゃない。他の皆もずぅっと怖い思いをしてここにおる……見てみぃ、皆の顔を」
ゲンが指差す方向には他の生存者達もいた。不安で二人一緒に寄り添っているカップルや、今にも泣きそうな表情の子供、既に諦めたかのような様子の老夫婦もいたりと、皆が絶望に陥った表情をしている。
「捕まってる人が、こんなにも…」
「…奴等は、私達を捕まえて何をする気なの…?」
「それは儂にも分からん……じゃが、儂等がこうして絶望しているのを奴等は目で見て楽しんでおるのじゃ。ここにいる全員が、希望のある未来を見失いかけておるのを見てな…」
「酷ぇ話だ…」
「お爺ちゃん…」
「む?」
ゲンの下に、一人の少女が歩み寄って来た。
「おぉ、ミカヤ。どうしたのじゃ?」
「ねぇお爺ちゃん……私達、死んじゃうの?」
「…!」
「私もお爺ちゃんも、お兄ちゃん達も……皆、アイツ等に殺されちゃうの…?」
「…どうなるかは、儂にも分からん。せめて、死なない事を祈るしかないんじゃ…」
「ッ…」
少女―――ミカヤの瞳には、既に希望の光が消失しかかっていた。そんなミカヤの頭をゲンが優しく撫でている光景を見たルカは、無意識の内に拳を強く握り締める。爪が肌に食い込んで、その掌から血が流れようとも。
「…怒っとるかの? 少年」
「当たり前ですよ。この人達をこんな目に遭わせている連中が、そして何より……こんな状況で何も出来ない自分に一番腹が立ちます」
「…そう言ってくれる若者がいてくれて、儂ぁ嬉しく思うわい」
ゲンは嬉しそうな表情をしつつ、ルカ達に振り返る。
「そんなお前達を見込んで、頼みたい事があるんじゃ」
「「「「「?」」」」」
場所は変わり、ミッドチルダ西部…
「うっはぁ、やっぱデケぇなここのショッピングモールは…」
捜索部隊の面々は、巨大ショッピングモールの前に到着していた。
「ロキ、ここ来た事あんのか?」
「あぁ。リリィと一緒に暮らしてた時、たまに立ち寄る事が何度かある」
「あら、まるで自分達もこのミッドに住んでたかのような言い方ね。こことは違う世界かしら?」
「あぁ~どう説明すっかな……話すと少し長くなるんだが…」
元々平行世界のミッドチルダで過ごしていた時期が長かったからか、ロキはこの巨大ショッピングモールにも見覚えがあり、久しぶりに見るかのような様子で眺めていた。葵から問いかけられて説明に困っているロキを他所に、レイモンズとダニーはデバイスに組み込んでいた地図データを見ながら話し合っている。
「こんなに大きいんじゃ、全フロアを探すのは手間がかかりそうだな」
「全員一緒だと効率も悪いし、ここはチームに分かれて動いた方が良いだろうね……さて。キリヤ君、Blaz君、ウルティムス君、刃君、それから葵ちゃん、少し良いかな? これからの行動について話し合っておきたいんだ」
「はい、何でしょうか?」
「私を一番最後に呼ぶなんて良い度胸ねレイモンズ。良いわその度胸、少しだけ認めてあげる!」
((((あぁもう面倒臭いなこの人…))))
葵の変わらないテンションにロキ達は同じ事を考え、レイモンズは苦笑しながら五人にも地図データを見せようとしたその時…
-ドガァァァァァァァァンッ!!-
「「「「「!?」」」」」
突如、ショッピングモールのある方角から爆発音が聞こえてきた。
「何だ…!?」
「!? モンスターの反応あり、かなり近くです!!」
「邪魔だよ、このウスノロ野郎がぁっ!!」
『アァァァァァァァァ…』
「よいしょおっ!!」
『ウゥ~…』
ショッピングモール屋上にて、二人のレジスタンス隊員が戦闘を繰り広げていた。女性魔導師はゾンビの顔面に魔力弾で風穴を開け、男性魔導師は接近して来たゾンビの首を掴んであらぬ方向へと力ずくで捻じ曲げる。それでもゾンビの数は減らず、二人は少しずつ追い詰められていく。
「ジョージ、真優ちゃんは!?」
「もう先に行ってる頃だ、でもこんな数じゃ真優ちゃんも危ないかもしんねぇ!!」
「あぁもう、コイツ等がしぶと過ぎて…ッ!?」
『グァウッ!!』
「あだっ!? く、離せ!! この…」
「イザベル!! くそ、退けやゾンビ共がぁっ!!!」
一体のゾンビが真上から飛びかかり、女性魔導師―――イザベルを床に押し倒す。イザベルはゾンビに噛まれまいとゾンビを引き離そうとし、男性魔導師―――ジョージはイザベルを助けるべくゾンビ達をデバイスで一体ずつ薙ぎ倒していくも、数が多過ぎてどうにもならない。
「くそ、このままじゃ…!!」
「そこの、動くなよ」
「え…うわぁっ!?」
-ズドォンッ!!-
その時、イザベルを押し倒していたゾンビの頭が、一発の銃撃によって木端微塵に吹き飛ばされた。ゾンビが射殺されたのを見て呆然としているイザベルにロキが駆け寄る。
「ほら、ボサッとすんなよ。まだ奴等は残ってる」
「え? あ、アンタは…」
「説明は後な。コイツ等の始末が先だ」
「うぉらあぁぁぁぁぁっ!!!」
ロキがそう言っている中で、ジョージを囲んでいたゾンビがBlazの振るう大剣で薙ぎ払われていた。ディアーリーズや刃達もゾンビ達を駆逐していく。
「ヴィシュ・タル・リ・シュタル・ヴァンゲイト…
≪グラビティ・ナウ≫
「跪きなさい、屍共よ」
ディアーリーズが石化魔法でゾンビ達を石化させ、そんなゾンビ達を刃が重力魔法で強引に押し潰し粉砕。その横ではフェイトや楓もゾンビ達を圧倒していた。
「プラズマランサー!!」
「いぃ~よいしょっとぉ!!!」
フェイトが放った電流魔法がゾンビ達を次々と撃ち抜き、楓は黒い剣と白い剣の二本を構えてゾンビ達をすれ違い様に切り裂いていく。そうしている内に、ゾンビの数も残り少なくなってきた。
「さぁて、アンタ等も伏せな」
「「え…ギャァァァァァァァァァァァァッ!!?」」
トドメとしてロキが一発の手榴弾を投擲し、それを見たイザベルとジョージは慌ててその場に伏せる。その瞬間に爆風がゾンビを纏めて吹っ飛ばし、ゾンビの集団をあっという間に全滅させてしまった。
「あ、あ、あ、危ねぇなオイ!? こっちの事も少しは考えろよ!?」
「おいおい、せっかく助けてやったのに文句は酷いな。それに危なくなったところで、どうせ葵さんが防ぐから問題ないだろうに」
「あら、よく分かってるじゃない。今回は必要なかったみたいだけど」
「ははは、凄いな皆。あっという間に全滅しちゃったよ」
「全く、心強いんだかイマイチ不安なんだか…」
「あ、レイモンズさん、ダニーさん!」
ロキ達がゾンビを全滅させた為、全く出番の無かったレイモンズは純粋に驚き、ダニーは危なっかしい事をする彼等を見て溜め息をつく。
「お前達だけか? アレクシーの話じゃ、真優もここに来ていると聞いたが」
「あ、そうだった! 真優ちゃん一人で先に行っちゃったんだ、早く合流しないと!」
「アレクシー、場所は特定出来るかい?」
「はい、その事なのですが…」
「居場所の特定が出来ない、だろ?」
「! はい、その通りです」
「? どういう事ですかロキさん」
「お前なら分かるだろディア。この建物、何故か生体反応が察知出来ないんだ。何かにジャミングされて、上手くサーチが出来ない」
「! だったら急いだ方が良さそうですね、僕は先に行きます!! 何人か僕に付いて来て下さい!!」
「テレンス、楓、同行してやれ」
「「了解!!」」
ディアーリーズの転移にテレンスと楓も同行する事になり、三人が転移しようとしたその時…
「テレンス……ステンレス?」
-ズザザザザァーッ!!-
ロキの発言に、テレンスが思わず顔面からスライディングしてしまった。
「うぉい!? 人の名前を間違えんじゃねぇよ!?」
「あ、すまない。つい癖でな」
「「「ス、ステンレスって……プクク…!」」」
「楓も笑ってんじゃねぇ!! イザベル、ジョージ、テメェ等もだ!!」
「良いわね、ステンレス! あなたは今日からステンレスと呼ばせて貰うわ!!」
「ちょ、葵さんまで悪ノリしないでお願いだから!?」
「…さっさと行け」
「「「イ、イエッサー!!」」」
(…何故にディアさんまで?)
ダニーからギロリと睨まれた為、ディアーリーズ達は恐怖で思わず敬礼してから転移する。何故ディアーリーズまで敬礼しているのかまでは謎だったが、それだけダニーの睨んでいる目が怖かったのだろう。
「さて、私達も早く向かうとしよう」
「そうだな」
「おいおい、それなら俺達も纏めて転移した方が良かったんじゃねぇのか? 何でアイツ等だけ先に行かせたんだよ」
「あぁ、それなんだが…」
-ボガァァァァァァァァァァンッ!!-
「「「「「!!」」」」」
Blazの疑問にレイモンズが応えようとしたその時、彼等のいた床から巨大な植物が何本も出現。ロキ達が一斉に構える中で、一番巨大な植物が花を開き、その中から人間のような姿をした緑色の上半身が飛び出す。
『ケケケケケケケケ……いたいたぁ、愚図な人間共が集まってるぜぇ…♪』
「コイツ、マンドレイクか…!?」
「またデケぇのが来やがったなぁオイ…!!」
『んん? 見覚えのある奴もいりゃ、見慣れないのもいんな……まぁ良いや、そんな奴等の為に自己紹介してやる。俺様の名前はラディチェス、ヴァリアント幹部の一員だ。そんな訳でよろしくだぜ☆』
(((急に可愛らしい自己紹介して来おった…!?)))
(((しかも普通に気色悪い…!!)))
突如現れた巨大なマンドレイク―――ラディチェスは一同に向かってウインクして自己紹介する。最も、その醜悪な容姿が原因で気色の悪い事になってしまっているが。
「ヴァリアント…」
「それが奴等モンスターの名称らしい。そのヴァリアントを従える幹部達が…」
『そう、この俺様もその一人って訳。お分かり?』
「へぇ…なら、コイツもとっととぶっ倒してやりゃ良いって事だよなぁ?」
『…はぁ?』
Blazの言葉に、ラディチェスは思わずそんな声が飛び出した。
『何? お前ちゃん、今何か言ったかぁ?』
「聞こえなかったのか? とっととぶっ倒してやりゃ良いっつったんだよ」
『…あぁ~はいはい、ぶっ倒してやりゃ良い、ねぇ。なるほどなるほど、そういう事…』
『―――調子乗ってんじゃねぇぞ愚図でゴミクズな人間共がよぉっ!!!!!』
「「「「「ッ…!!」」」」」
直後、無数に生えた茨が鞭のようにしなってロキ達に襲い掛かった。一部のメンバーは慣れたように茨を避け、一部のメンバーはそれぞれ武器で攻撃を防ぎ、葵はいつも通り高嶺舞で茨を防御する。
『テメェ等如きが俺様を倒すだぁ? アホ抜かすのもいい加減にしやがれよ……カスな人間が、どうやって俺様を倒すんだろうなぁ!!』
「うわぉ、コイツ思った以上に煽り耐性無かったな」
「こんな奴ばかり相手取る訳にもいかない。ダニー、君は他の皆を連れて先に行っていてくれ。コイツは僕が引き受ける」
「分かった。行くぞ、お前等」
「了解!!」
「「り、了解です!!」」
「んじゃ、俺達も行くとするかね」
「そうしましょうか」
『あ!? 待ちやがれテメェ等!!』
ラディチェスが植物の種をマシンガンのように乱射するも、ダニー達は隙をついて掻い潜り、階段を通じて下の階へと降りて行く。こうして、ラディチェスとレイモンズの一騎打ちになるかと思いきや…
「…む、君は行かないのかい?」
「俺にもやらせてくれよ、レイモンズ。もっと運動がしたかったところだ」
「そうか。それは頼もしいね」
レイモンズの隣に、ロキもデュランダルを構えて並び立った。レイモンズはフッと笑みを浮かべてから首にかけていた十字架型のアクセサリーを手に取る。
「ゾルディアス!」
≪Yes,sir≫
「ユーズ!」
≪お任せを、バディ≫
音声と共に、レイモンズの両手にそれぞれ剣と盾が装備される。ロキもユーズからデュランダルを召喚し、右手に構える。
『良いぜ、クズ人間共……テメェ等は絶対ぶっ殺す!!』
「では行こうか、キリヤ君」
「援護頼むぜ、レイモンズ」
ラディチェスの出現させた食人プラントが一斉に伸び、ロキとレイモンズは同時に駈け出した。
そして、ショッピングモール3階でも…
(くそ、生体反応が上手く感じ取れない…!! 何かが気配を遮ってるかのような…!!)
「ちょ、ちょっと待ってって!! いくら何でも早過ぎるよ!!」
「た、頼む、俺そこまで足速くないんだって…!!」
ディアーリーズは猛スピードでショッピングモール内を駆け抜けており、その後方から楓とテレンスが必死になって追いかけていた。そんな大変そうな二人の様子にも気付かず、ディアーリーズはほんの僅かに感じ取れている生体反応を追って走り続ける。
「感じられるのはこの先か…急がないと…!!」
「はぁ、はぁ、はぁ…!!」
そして2階の通路にて、一人の少女―――真優が子供を連れて走っていた。真優は右腕から少量を血を流しているにも関わらず、その痛みに耐えながら子供の手を掴んで何かから逃げようとしている。
「お姉ちゃん…!!」
「大丈夫、です……私が、助けますから―――」
『ウォォォォォォォォォォォン!! ちょっと待てやそこのクソガキィッ!! このルーパス様から逃げられると思ってんじゃねぇぞぉ!!』
「ッ!?(そんな、もう追いついて…!!)」
走っている二人の後方から狼男―――ルーパスが雄叫びを上げながら追いかけて来た。真優は何としてでも振り切るべく、左手に持っていたアサルトライフルをルーパスに向けて構えようとしたが…
「ッ……腕が…!!」
『オラオラ、隙だらけだぜ小娘ぇっ!!!』
「!? くっ…!!」
「お姉ちゃん!!」
右腕の痛みの所為で、照準が上手く合わない。そんな彼女を一気に仕留めるべくルーパスが飛びかかり、真優が目を瞑ったその時…
-ガキィィィィィィンッ!!-
『!?』
「―――僕の前で、誰も死なせはしない!!」
「…え?」
ルーパスの爪を、ディアーリーズのレオーネが受け止めてみせるのだった。
一方、ミッドチルダ南部…
「ふ、はぁっ!!」
『グガァッ!?』
支配人が変身したアーマードライダー―――斬月によって、リザードマンが次々と駆逐されていっていた。リザードマンの繰り出す攻撃をメロンディフェンダーで防ぎ、無双セイバーで一閃。その繰り返しだけで、リザードマンはどんどんその数を減らしていく。
「スカッシュを発動するまでもないか……ハァッ!!」
『ピギャァァァァァァァッ!!?』
残った最後の一体も、斬月の振り下ろした無双セイバーで真っ二つにされて絶命。周囲にリザードマンの死骸が転がっている中で、斬月は一息ついてから無双セイバーを鞘に納め、変身を解除して支配人の姿に戻る。
「ふぅ…」
「ふぅー☆ さっすがレイだ!」
「お疲れ様だな」
「おう、フィア。キーラさんもありがとな」
支配人は駆け寄ってきたフィアとハイタッチし、キーラから缶コーヒーを受け取って一口飲む中、彼の戦闘を見ていたティーダと琥珀は呆然としていた。
「あ、あんなにいたリザードマンを一人で…」
「また凄いのが味方になりましたねぇ…」
「よう、お二人さん。俺の力、アンタ達の役に立つかい?」
「…流石にこれは、文句の言い様が無いな。アンタが一緒に戦ってくれるだけで心強い」
流石に目の前で見せつけられては、ティーダも否定のしようが無かった。支配人が笑みで返したその時、彼等の下にある人物達がやって来た。その人物達とは…
「何だ、お前等も来てたのか」
「ん…あ、げんぶ!? 何でここに…」
「それと、後ろの人は誰?」
「あ、岸波白野です。よろしく」
「あ、どうもよろしく……じゃ・な・く・て!!」
二人揃って街をうろついていた、げんぶと白野の二人だった。
そして…
「…今何て言った? 竜神丸」
「「?」」
ユリスとフレイアが首を傾げる中、kaitoは戦慄した表情になっていた。その理由は至って単純である。
「おやま、私の言葉が聞こえませんでしたか? kaitoさん」
いきなり転移して現れた竜神丸に、ある事を告げられたからだ。
「あぁうん、出来ればもう一度聞かせて欲しいね」
「仕方ありませんねぇ…」
「おめでとうございますkaitoさん。あなたも無事、最高機密情報である“アレ”を知る権利が得られました♪」
暗雲は、未だ立ち込める―――
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