No.733480

さすらいのメイド・メアリー

高校生頃に書いた物語を、思い出しながら書き起こしてみました。

2014-10-29 20:54:47 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:814   閲覧ユーザー数:813

 むかしむかし……。

とは言っても、この物語が書かれた時点の「昔」が過去現在未来のいつなのかはわかりません。

とにかく便宜上の昔、ある国に王女様が生まれました。

王様譲りの青い瞳、お妃様譲りの黒髪をした王女様はメアリーと名付けられ、それはそれは大切に育てられました。

持って生まれた美貌、欲しい物はほぼ手に入れられる裕福さ、跡取りではない気楽さから、美しく、贅沢に、気まぐれに……。

 ある時、メアリーは旅に出たいと思いました。

しかし彼女は王女様、様々な都合で旅はおろか、お城から出ることもままなりません。

お城から出られないのは自分の容貌のためだと思い込んだメアリーは、変装を思い立ちました。

どれだけ自分の美貌に自信があるのでしょう?

 

思案の末、メアリーが選んだのはメイド服を着たカエル。

カエルの着ぐるみは暑いので、変装は諦めて魔法で変身しました。

美貌が隠れている、さらに王女さまっぽくないことに満足したメアリーは、早速旅に出ました。

その奇妙な姿が余計に目立っていることに気付かずに……。

 

脱走に気付いた王様は、お城の兵隊の他に傭兵を雇い、メアリーを連れ戻すよう命じました。

目立つ姿ゆえに追いかけるのは簡単でしたが、メアリーの強運と追手の不運によって、いつも間一髪で逃げられてしまいました。

 

旅立って数か月、いつものように追手を撒いたメアリーは、【河童の川流れ沼】にたどり着きました。

川に流されたカナヅチな河童の一族が暮らす村です。

河童もカエルも肌が緑色なので、目立たないと言えば目立たない。

疲れたので少し休もうと変身を解いて休んでいると、こちらに向かって人が歩いてきました。

メアリーは再び変身して身構えましたが、追手ではなく住人の河童で、川で洗濯を始めました。

一方、洗濯していた河童の方もメアリーに気付きました。

 

(ゴリマッチョな河童が、可愛らしいぬいぐるみを洗濯……?!)

(あんな美人がわざわざカエルに変身だと……?!)

果たして、ギャップ萌えは恋に発展するのでしょうか……?

 

「我こそは某国が一の姫にしてさすらいのメイド・メアリー!」

「吾輩は河童の川流れ沼村人・ジョニー大平(おおひら)!」

「「いざ尋常に、勝負!!!」」

 

しませんでした。

したところで、メアリーの国もジョニーの一族も異種族婚は禁止。

掟を破って生まれる子供の姿は正直想像したくない。

二人は剣と拳を交えました。

一瞬でも錯覚した恋心を消し去りたい一心で!!!

 

どれだけ戦い続けたのでしょうか?

さんさんと輝いていたはずの陽は傾き、切先を照らしていたはずの月も沈み、お日様再び、ついでに新聞配達のお兄さん……。

そんな長時間戦っていたら、当然追手も追いつくわけで……。

 

「そこまで!両者引き分け!」

追手の一人、マヌケな犬の傭兵・ケルベロスが引き分けを言い渡し、謎の決闘を仲裁しました。

 

「お前、なかなかやるわね。これでこそ私のライバル」

「それは此方の台詞だ……」

ここに永遠のライバル誕生。

 

そして、あれだけ逃げ回ったメアリーは、あっさり追手を引き連れてお城へと帰りました。

気まぐれな旅は、決闘でわけのわからない充足感を得たのか、はたまたライバル探しの旅だったのか……。

 

 

その後もメアリーは、お城を抜け出してはジョニーと戦うことを続けたとか続けなかったとか……。


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