No.729275

真・恋姫無双 刀蜀・三国統一伝 第九節:赤壁の戦い開戦前・・・一刀と鈴の行き先は

syukaさん

何でもござれの一刀が蜀√から桃香たちと共に大陸の平和に向けて頑張っていく笑いあり涙あり、恋もバトルもあるよSSです。

2014-10-11 03:24:03 投稿 / 全21ページ    総閲覧数:4357   閲覧ユーザー数:3379

まえがき コメントありがとうございます。毎月エロゲを買いに行くことを楽しみにしているsyukaです。いやはや~、上京して早10ヶ月、毎月sofmap様にはお世話になってます。先月は、ま~まれぇど様のPRIMAL HEARTSですね。基本、ブランド買いを決め込んでいる私はひと月あたり、最低一本のペースです。最低!一番ひどかった時は月5本とかありましたねぇ・・・節約に励みましたよはい。

寮の中にエロゲの店舗があると同僚に言われ・・・後悔はありませんよ!!だって女の子が可愛いんだもの!仕方ないじゃない!!・・・さてさて、身の上話はこのくらいにして本編が久々に先に進みます。

今回のメインはタイトルどおりですが、鈴と一刀と静空がメインです。ほのぼのいちゃいちゃ惚気話盛りだくさんです。・・・え?いつもと変わらないって?いいんです。深みのある話も好きですが、女の子が笑顔ならそれでいい!!皆幸せでいいじゃない!!こんな感じで話を書いてるため、読者様の方々にはゆるゆる~と、くすっと笑っていただけるくらいの話を心がけていますので、就寝前などにちょろっと読んでいただけないかな~と。     

新たな登場人物が数人登場するので、そちらの詳細についてはあとがきをご覧下さい。

それではごゆっくりしていってください。

 

 

「一刀たち、行っちゃったわね。」

 

 陳留から建業に戻ってきた翌日、一刀と鈴は早朝から二人でどこかへ行ってしまった。隣にいる赤竜の燼と黒竜の漆ちゃん、それに白竜の零は行き先を知っているみたいだけど・・・気になるわ!!

 

「なぁに、姐さんのことだ。 悪いようにはしねぇよ。」

「むぅ~~~!! うーちゃんもひさしぶりにあそこいきたかったのに~~!! りんちゃんのけちーーー!!」

「めっ。 漆、零とお留守番、する。」

「だってだってーー!! うーちゃんだってすーちゃんたちと一緒に遊びたい!!」

「いやいや、遊びに行ってんじゃねぇよ・・・。 遊びに行く程度じゃあたしらも勾玉渡せねぇだろ。」

「うんうん。」

「だけどーーー!!」

「ったく・・・後であたしが遊んでやるから。 それでいいか?」

「じんならもんだいないぞ!!」

「ねぇ、さっき一刀に渡してた勾玉って何か特別なものなの?」

 

 隣の子達が一刀に渡していた勾玉。確か鈴から一刀に渡していたものと類似していたわね。

 

「あれか? あれはあたしたち、竜族の信頼の証みてぇなもんだ。」

「信頼の証・・・ねぇ。」

「まぁ、ひとつ言えることは迂闊に触れねぇほうがいい。」

「何故だ? あれはただの装飾品ではないのか?」

 

 流石は母さんね。私と同じとこに目をつけるなんて。私の聞きたかったことをそのまま言われてしまったわ。

 

「あれはあたしらの気そのものを形に具現化したようなものだ。 大抵の者であればあたしらのどれか一つでも身に付けただけで狂人となるか・・・そのまま死に至る。」

「随分と物騒な代物ね。」

「とは言っても、あたしら四人のうち一つの勾玉くらいは適合する者たちは何人かいたがな。 だが、姐さんに適合する奴なんて一人もいなかった。というよりも、姐さんの眼鏡に適うやつすらいなかったのが正しいか。 感情制御、人としての器、気の絶対量、仁徳。 そして最も必要もの・・・己の中にもう一つ以上の意識が存在しても自我を保っていられるか。」

「もう一つ以上の意識?」

「そうだ。 あたしらが一度でも勾玉を通し身を潜らせ気を流したら、身に付けている者の中にあたしらの意識が入り込む。 体の制御を乗っ取りはしないが、頭で考えられるほど容易なものではない。まぁ、考えていることが我らに筒抜けになるのも問題ではあるが・・・兄貴が了承しているからいいんだろうな。」

「それは一刀の包容力と言ったところかしらね。」

「一刀の頭の中、面白い。 女の事と心配事でいっぱい。 欲、全然ない。 ほかの人間たち、欲まみればっかり。」

「今思えばそうだな。 常に人のことばかり考えている節がある。 自分のことは二の次だ。」

「もんだいないぞ! かずとがうーちゃんたちのことかんがえてくれてるなら、うーちゃんたちがかずとのことをささえてやればいいんだからな!」

「ふふっ、そうね。」

 

 一刀を皆で支える・・・か。並大抵のことではなさそうね。一刀が抱えているものは王の責務と同等・・・いえ、それ以上のものだもの。この大陸に住む者たちが安心して暮らせるように三国統一を果たす。家族、王、将、兵、民・・・隣にいる竜たちも一刀からすれば一括りなのかしら。自分が守る対象として。

 

 

「けど、一刀たちのいる蜀って一つの国というより家族って印象が強いわよね。」

「そうだな。 一刀、桃香を中心とした一つの大きな家・・・そこに住まう家族のようなものか。 確かに言われてみれば蜀は平均年齢も十代とそこいら。 皆が皆、兄弟姉妹に見えなくもないな。」

「一刀は妹がたくさんいて大変ね。」

「うーちゃんもかずとのいもーとになるのか?」

「何も聞いてなければうーちゃんも一刀の妹に見えなくはないわね。」

「零も、一刀の妹。 漆、零の妹?」

「あたしからしちゃあ、双子の妹みてぇなもんだな。」

「双子・・・漆と?。」

「そうだ。」

「・・・似てない。」

「似てない姉妹なんてどこにでもいんだろ。 そこにいる孫策と孫権、孫尚香もそうだしな。」

「れいがいもーとならうーちゃんもうれしーぞ!!」

「むっ・・・違う。 漆が、零の妹。」

 

 わーわー!!ぼそぼそ・・・。

 

「止めなくていいの?」

「口喧嘩なんて滅多にしねぇからな。 させたいようにさせた方がこいつらにも良いだろうしよ。 ま、こういうときに静空がいたら仲裁に入るだろうけどな。」

「静空?」

「あぁ・・・そうか。 静空はまだこっちに来てなかったな。 静空は青竜、あたしらの仲間だ。 今は兄貴の母親たちと共に行動している。」

「へぇ。」

「あたしらの仲間のひとりでな、何かと口煩いというか・・・関羽みてぇな性格だな。」

「なるほど。 分かりやすい。 生真面目一辺倒のような人物なのだな。」

「だな。 だがまぁ、そんな小姑みてぇなやつでも大切な仲間だからな。 あたしらのまとめ役としては最適なやつだ。」

「ある程度の人物像は想像できるわね。」

 

 静空・・・青竜か。一刀のお母様も何か一刀と似たような「魅力」のようなものを持っているのでしょうね。

 

「立ち話もなんだ、そろそろ城に戻るか。 一刀たちが見えなくなってから結構経ったからな。」

「そうね。 私たちは私たちでやるべきことをしましょう。 一刀たちが戻ってきた時に私たちが何もやってなかったら意味ないもの。」

「ほらお前ら、城に戻るぞー。」

「はーい。」

「(こくっ)」

 

 ふふっ、口喧嘩してても特に気には止めてないみたいね。私も蓮華たちと年が近かったらあんな風に口喧嘩したのかしら?と思いながら私たちは城へと踵を返した。

 

~~

 

「・・・ここ、どこ?」

「ん? 五台山の山頂だが?」

「や、それは分かるけどさ。 ・・・俺、ここで戦が終わるまで鈴と修行とかじゃないよね?」

「何を言うかと思えば・・・そうであれば漆たちから勾玉を借りた意味がないであろう?」

「うん。 けど俺、鈴から何も説明されてないよ。」

「そうだったか。 まぁ、もうしばらく待て。」

 

 待たされること一刻。鈴と五台山の山頂に着いてからただただボーーーっと風景を眺めている。鈴に案内したいところがあると言われたからついて来たんだけど・・・ここについてからというもの、鈴と話す以外何もしてないよ!?観光目的ならばっちりなんだけど・・・。

 

「お待たせしました。」

「おう、世話掛けたな。」

「あれ、静空さん・・・母さんたちと一緒に行ってたはずじゃ・・・」

「お気になさらず。 明日には菊璃たちのもとへ戻るので。 今日は鈴様に呼ばれましたのでこちらに参りました。」

 

 静空さんを呼び寄せてまでやること・・・、なんだろ?

 

「一刀様にはこちらをお預けします。」

 

 

 静空さんが俺に手渡したものは深緑を彷彿させるエメラルドの勾玉。

 

「これから向かう先に必要ですので。」

「・・・俺はどこに連れて行かれるの?」

「? 鈴様、説明されていないのですか?」

「その方が驚くだろうと思ってな。 ちなみに、静空がここに来ることも伝えてないぞ。」

 

 ・・・静空さんが頭を抱えている。

 

「一刀様、申し訳ございません。」

「いやいや、静空さんが頭を下げることないですって。」

「そうだぞ。 私の判断なのだ。 静空が謝ることではない。」

「・・・鈴のせいって分かってる?」

「?? 私が一刀を驚かせようとしているのだから、静空が謝ることではなかろう?」

「・・・一刀様、よいのです。 こういうお方ですから。」

「静空さんがそう言うのなら、俺からは何も言いませんけど・・・。」

「聞いていた話と違うな。 驚かせようとした際は何も言わず、発覚した後に種明かしをするのだと聞いていたのだが・・・。」

「間違ってはいないけど・・・誰に聞いたのさ?」

「管轤だ。」

 

 あの人は・・・きちんと仕事してください!というか、偏った知識を広めるのは止めて・・・純朴な子たちが真似し出すから・・・。

 

「・・・ひとまず、ここから移動しませんか? 暗くなり出す前に移動しましょう。」

「そうですね。」

「暗くなろうと我らなら特に問題はなかろう?」

「や、そういう問題じゃなくて・・・」

「冗談だ。」

「・・・。 静空さん、案内お願いします。」

「承知しました。」

 

 

 俺は静空さんの後を追い、先へ進む。鈴はというと、くすくすと笑いながら俺の隣を歩いている。

 

「やはり、お前たちをからかうのは愉快なものだな。」

「もう・・・。」

 

 仕方ないなと思いつつ、こういうやり取りを面白いと感じている俺がいる。少し前を歩く静空さんも表情こそ見えないが、悪い気持ちにはなってないだろうし。まったく・・・鈴には敵いそうにないな。

 

・・・

 

 それからというもの、五台山の山頂から中腹まで降り、そこから獣道を進み森を抜け川を渡った。二刻はたったのではないかと思い始めた頃、二箇所目の森を抜け、道が開けた場所で静空さんが足を止めた。

 

「一刀様、これより先は我ら四竜の結界内となりますので、先へ進むには私たち四竜、並びに鈴様の承認が必要となります。 先ほど私が預けたものを出していただけますか?」

「はい。」

 

 勾玉を取り出すと、静空さんはそのまま俺の手を両手で優しく包み込んだ。その姿は、教会でお祈りをする聖女のような・・・儚くも美しい。そして彼女は呼吸を整え、言葉を紡ぐ。

 

「我が真名は静空。 東方の守護者なり。 我が真名と青竜の名の下に、北郷一刀殿へ我ら四竜の加護あらんことを。」

 

 っ!? 静空さんが膝立ちになり、額にキスされた・・・。

 

「ふぅ・・・これで加護の付与が完了です。 口付けというものは心高まるものですね。」

「~~~っ。」

 

 心臓がバクバクいってる・・・。

 

 

「これで私たち竜族の加護が一刀様に付与されました。 この先に進んでも問題ないでしょう。」

「この先は我ら四竜以外の者たちの気も溢れているからな。 まぁ、我を体内に取り入れても拒否反応がないのならさして問題はないのだろうが、万が一のためのまじないのようなものだ。」

「随分と心臓に悪いまじないだことで・・・。 というか、燼やうーちゃんたちからは加護?もらってないけど良いの?」

「そこか。 そこは心配せずとも良い。 誰か勾玉が全て揃っていれば誰か一人の加護で真価を発揮する。 それと、静空は特殊な立ち位置だからな。 そこを考慮すると静空が一番適任だったのだ。」

「特殊??」

「正確に説明しますと・・・私は鈴様を長とする四竜と、麒麟様を長とする四獣としての二つの役割を兼任しているのです。」

「我と麒麟の橋渡し役のようなものだな。」

「・・・つまり、四竜の加護と少量の四獣の加護を受けたということで良いんですか?」

「はい、そうなります。 この加護に関しましては恒久的なものですので、これからは独自にこちらへ赴かれても問題ありませんよ。」

 

 ・・・そんな大層なものをもらっていたのか。

 

「ちなみに、加護を直接受けた者の気を発現出来るようにもなっているだろう。 我の気を発現できるようにな。」

「・・・その時はまた・・・そのぉ・・・。」

「くすくす、ご安心ください。 発現者に触れた際に発現できるようになっていますので。 毎度毎度、口付けをする必要性はありませんよ。」

「そ、そっか。 鈴がいっつも気を与えるって口実で接吻してくるから・・・つい。」

「悪い気はせぬのだから良いだろう?」

「そりゃ悪い気はしないけどさ・・・。」

 

 ムードいうものが・・・いや、鈴に言っても聞かないのは分かってるんだ。諦める・・・以外の選択肢は残ってないんだろうなぁ。

 当然。

 ・・・くすくす。

 ?? 今、静空さんの声が・・・。

 

「はい。 一刀様の心の声、聞こえておりますよ。 一刀様が私の気を体内に宿していますので。」

「うぅ、迂闊なこと考えられなくなったなぁ。」

「私は口が硬いので、一刀様の心内を口外するような真似はいたしませんよ。」

「お願いします。 うちの身内にはとくに。」

「分かっております。 菊璃が聞いたら何と言い出すか、分かったものではありませんものね。」

「全くもってそのとおりで・・・。」

 

 母さんたちのことを見てもらっている以上、静空さんには頭が上がらなくなりそうだ。

 

「加護の付与も済んだのだ。 そろそろ先へ進むか。 我も久々にあいつらの顔を見ておきたいしな。」

「そうですね。」

 

 そう言うと鈴と静空さんが先へ進みだす。それに習い、俺も前と一歩踏み出した。

 

・・・。空気が変わった。気の循環というか、気の流れ方がさっきまでいた五台山の中腹のものとは全く違う。それに加えて・・・どこからか視線を感じる。おそらく、鈴たちも感付いてはいるのだろうけど・・・気にせずに前へ進んでいるあたり、俺も気にせずついて行っていいんだろう。

 

「ここだ。」

 

 鈴と静空さんが立ち止まる。眼前には・・・何もない。まだ道の途中・・・いや、道とは言っても果ての見えない地平線をに向けて歩いてただけなんだけど。

 

「何もないよ?」

「まぁ待て。 これより『扉』を開ける。」

 

 我、四神が一席に君臨する黄竜なり。 汝、我が呼び声に応え、天道へと続く扉を開けよ。

 

 鈴の呼び声に呼応するように、目の前に出現した白い扉。その扉には円を描くように四匹の竜が刻まれている。

 

「これは・・・。」

「何、入ってみれば分かる。 さぁ。」

 

 鈴に背中を押される形で・・・その扉への一歩を踏み出した。

 

 

  ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「どういう・・・こと。」

 

 扉をくぐった先にあったもの・・・それはありえない光景だった。正面に広がる草原。その先には海辺・・・砂浜、そして水平線の見える海。海の中央には活火山と思われる山。扉のあった後方を振り向けば青々と生い茂る森林。自然によって作られたとは思えない・・・意図的に配置されているのではないかと思わせる光景だ。ただそれ以上に目を奪われたもの・・・。

 

「ただ今戻った。 皆、久しいな。」

 

 体躯が3メートルはあるであろう紫と白の縞模様を持つ虎。火山からこちらに飛来してくる朱色の怪鳥。森林から顔を覗かせる山を彷彿させるほどに巨大な亀。そして・・・

 

「ふぉっふぉっふぉ。 黄竜、青竜か。 久し振りじゃな。 おおよそ、五百年振りであろうか。」

 

 草原の中央にぽつんと配置された椅子に腰掛けていたお爺さん。読み掛けであろう一冊の本を椅子に置き、杖をつきながらこちらにゆっくりと近付いてくる。

 

「盤爺、今戻ったぞ。」

「盤古様、お久しゅうございます。」

「ふぉっふぉっふぉ。 息災そうで何よりじゃ。 それに、珍しい客人を連れてきておる。」

「・・・お、お初にお目にかかります。 北郷一刀と申します。 以後、お見知りおきを。」

「そのように固くなさらず、気楽になされると良い。 儂は盤古。 ここでこの子らの面倒を見ている者じゃ。」

 

 この子ら・・・というのは、この巨大な虎や鳥に亀のことを指しているのだろうか。その『子』たちはというと・・・、俺を凝視している。どこかそわそわしているのは気のせいではないよな。あれだ、お祭り前の桃香みたいだ。そう考えるとどこか可愛く見えてくるな。俺のすぐ目の前でお座り?をしてこちらに顔を向けている虎の頭を軽く撫でてやると、心地良さげに喉を鳴らした。う~ん・・・超巨大な猫?

 

「やはり、一刀様は相手が四獣であろうと関係ないのですね。」

「漆や零に対してもそうだったのだ。 今に始まった話ではない。」

「やっぱり四獣だったんだ。 じゃあこの子は白虎になるのかな?」

 

 頭を撫でていた手がふいに空を切った。白虎がいたところには腰まで伸びた銀髪を靡かせる、白のワンピースに身を包んだ一人の女の子が立っている。

 

「私、白虎の白琥(ハク)っていうの! よろしくね、お兄さん♪」

「あれま、女の子だった。 こちらこそよろしく、白琥ちゃん。」

「ねぇねぇ、もっと頭撫でて! あれ気持ちよかったから!」

「ふふっ、はいはい。」

 

 見た目としてはうーちゃんや零ちゃんより少し年上くらいなんだけど、甘えたがりのようだ。髪もふわふわで気持ち良いし、撫でられてる白琥ちゃん本人が一番気持ちよさそうだもんな。

 

「えりゃ!」

「!?」

 

 頭上から何か降ってきた・・・というか、背中におぶさっているこの子は・・・

 

「白琥ばっかりずるいーー!! 私、朱雀の雛羽(スウ)よ。 それより、白琥ばっかり構ってないで私にもなでなでして!!」

「いきなりだな・・・。」

 

 首に朱色の髪が当たって擽ったい。雛羽ちゃんは白琥ちゃんと同い年くらいの風貌だ。

 

「順番、順番ね。 もうちょっと待って。」

「むーーーっ!!」

 

 

 頬を膨らませる雛羽ちゃん。まぁ、なんというか・・・ほのぼのしてきたなぁ。

 

「おや、一刀様が漆や零を見つめるときと同じ目をしていますね。」

「妹たちを見守る兄の目だな。 そして茶々、お前はあれに混ざらんのか?」

 

 鈴の方を見てみれば、静空さんの背中に隠れている女の子が一人。さっきの山のような亀・・・おそらく玄武がいないあたり、あの子がそうだろう。くすっ、隠れているのに茶髪のツインテールが隠れきってないなんて・・・気付いてないんだろうなぁ。俺は静空さん・・・もとい、その後ろに隠れている女の子の側に寄った。・・・雛羽ちゃんがまだしがみついてるままだけど、気にしない。というか言っても離れてくれる気がしない。

 

「(ビクッ)」

「はじめまして。 怖がらせちゃったかな・・・ごめんね。」

「この子は人見知りなのです。 緊張しているだけですよ。」

 

 う~ん、人見知りか・・・ひとまず、目は合わせてくれてるから大丈夫かな。

 

「茶々、お兄さんは悪い人じゃないからそんなに緊張しなくていいよ!」

「そこは我が連れてきたのだから当然だな。」

「え、えと・・・その・・・北郷様は鈴様のお仲間なのですか?」

「そうだよ。 鈴は俺の大切な仲間。 もちろん、静空さんもね。」

「ありがとうございます。」

「一刀は我の婿だ。」

「鈴は気が早いから・・・今のは気にしないで。 それと、俺のことは一刀って呼んでくれると嬉しい。 君の名前を教えてくれるかな?」

「一刀様・・・ですか。 私、玄武の茶々(ササ)と言います。 鈴様や静空様には昔からお世話になりっぱなしで・・・。」

「何を言うかと思えば・・・年長者が下の者の面倒を見るのは当然のことだ。」

「そうです。 茶々が気にするようなことではありませんよ。」

「鈴たちがこう言ってくれてるんだからさ、あんまり気を遣うことはないんじゃないかな?」

「けど私、何もお返しできません。 私に出来ることは限られています。 鈴様や静空様のように、何でもそつなくこなせるような者ではないですし・・・。」

 

 あれま・・・これはちょっと深刻そうだ。けど、ちょっと勘違いしてるかな。

 

「じゃあさ、俺で良ければ茶々ちゃんのお返しが出来るよう手伝う・・・というよりも、一緒に探したいかなと思ってるんだけど、どうかな?」

「え?」

「実を言うとさ、俺も鈴たちにはお世話になりっぱなしなんだ。」

「何を言って・・・。」

 

 口を挟もうとした鈴を静空さんが片手で制してくれた。

 一刀様、お続けください。

 ありがとうございます。静空さん。

 

「そして、俺もまだ鈴たちに何もお返し出来てない。 茶々ちゃんさえよければだけど、一緒にお返し出来るものを探してくれないかな? 一人じゃ考えつかなくても、二人なら何か名案が出るんじゃないかと思ってね。」

「二人なんて言わないで、私にも手伝わせて! 私も出来ることなら鈴さんたちにお世話になったお礼したいもん!」

「一刀様・・・白琥ちゃん・・・。 ありがとうございます。」

「ちょっとちょっと!! 私も仲間に入れてよね! 私だって役に立つんだから!」

「雛羽ちゃん・・・。」

「そうだね、皆で力を合わせればきっとすぐに良いものが出てくるよ。」

「一刀様・・・。 はい。 えと・・・不束者ですが、よろしくお願いします。」

 

 茶々ちゃんがペコっと頭を下げる。打ち解けたのはいいんだけど・・・さすがにまだ敬語は取れないか。まぁ、こうやって普通にお話できるようになっただけ良かったと思おう。

 

「こちらこそよろしくね、茶々ちゃん。」

「それよりも一刀! さっきは白琥の頭撫でてたんだから、次は私の番でしょ!」

「まだ私の番だよ! まだ全然撫でられたりないもん!!」

「えと、一刀様・・・よろしければ一刀様の体験談などお聞きしたいのですが・・・。」

「俺は一体どうすれば・・・ひとまず、向こうで腰を下ろして落ち着いてからね。」

「早く早く!!」

 

 琥珀ちゃんに腕を引かれ、俺は芝生へと腰を下ろした。白琥ちゃんと雛羽ちゃんが俺の両膝を陣取り、茶々ちゃんは俺の正面に正座している。

 

「さて・・・どこから話そうかな。」

 

 白琥ちゃんと雛羽ちゃんの頭を撫でながら、俺は茶々ちゃんリクエストの体験談を語り始めた。

 

・・・

 

 

「ほぅ・・・あの人一倍警戒心の強い玄武ですらこれほどまでに早く懐かせた。 ・・・儂も結構手を焼いたんじゃがのぉ。 しかし、あの子らの本来の姿を見ても驚かんのじゃな。」

「私たちと初めて顔を合わせたときも、さほど驚かれてはいなかったですね。」

「あれは一刀の仁徳の賜物だ。 まぁ、とうの本人は気付いていないだろうがな。」

「しかし、盤古様も驚かれはしないのですね。 人間がここに入ってくるなど、前代未聞です。」

「そうじゃの。 普通の人間なら驚いていたじゃろうな。」

「なんだ、含みのある物言いだな。」

「ふぉっふぉっふぉ。 この爺だけの秘密じゃ。」

「気になるところだが・・・まぁ良い。 ところで、彩鈴(アリス)はどこだ? 姿が見えんが・・・。」

「北郷殿がお見えになると分かってからというもの、落ち着かんでのぉ・・・そこの茂みに隠れておる。」

 

 盤爺の指差す方向に視線を向ければ、ひょっこり顔だけ出しているではないか。

 

「興味津々。 だが、人間だから恐ろしい・・・といったところか。」

「ご明察。 本来であればいの一番に飛びついていきそうなものじゃからな。 例の一件さえなければ・・・の。」

「下界での一件か。」

「ねぇ鈴さ。」

 

 茶々たちに話をしていた一刀がこちらに声を掛けてきた。

 

「どうした?」

「あそこの森で隠れている子は一体・・・。」

「やはり気付いたか。 あいつは麒麟だ。 気になるのか?」

「気になってるのは間違ってないんだけど・・・さ。 何であんなに怯えてるの?」

「っ・・・。 察しが良いのも問題だな。」

「やっぱり・・・。」

 

 途端に一刀の表情が曇る。心配症、ここに極まれりだな。

 

「そしてお前はどうにか助けてあげたいと言い出すのだろう?」

「・・・よく分かったね。」

「お前のことだ。 考えずとも、お前の今の表情を見れば誰でも分かる。」

「どうにか出来ないかな・・・。 原因さえ分かれば動けるんだけど。」

「原因・・・のぉ。 確かに解決策はある。 というよりも一つ存在せん。」

「教えていただけませんか?」

「それはじゃな・・・人間じゃ。」

「えっ・・・。」

 

「ここには下界・・・人間の住む地じゃな。 下界の様子を見ることができる湖があるのじゃよ。 人間の子供たちが毎日のように楽しく遊ぶ姿を見て興味を持った。 そして単独で下界へと降りていった。 あの頃の彩鈴にとって、下界は面白い場所なのじゃと・・・それはもう嬉しそうに話しておったから仕方ないのやもしれん。 儂も湖から様子を伺っておったから大丈夫じゃとタカを括っておった。 ・・・じゃが結界を抜け山を下り、不幸にも最初に出くわしたのは賊の一党じゃった。」

「私の知る麒麟ならそこいらの賊など容易く蹴散らせると思うのですが。」

「それは長い年月を掛け成熟するか、幼いながらに鍛錬を積み己を守れるだけの術を持っている場合じゃ。 彩鈴は親から己を守る術を教わらなんだ。 ここにおれば争いもない。 自分を傷つける敵もおらんからの。 じゃから、彩鈴は賊の考えを知った途端に逃げ出した。 じゃが賊たちは執拗に彩鈴を狙った。 おそらく、物珍しいから金になるとでも思ったのじゃろう。 幸い、ここには戻ってこられたのじゃが・・・命辛々じゃ。 目を覆いたくなるほどに傷を負っておった。」

 

「・・・人間への恐怖心、ですか。」

「そのとおりじゃ。 体の傷は癒えようとも、心の傷は未だ癒えぬまま。 じゃから・・・お主が彩鈴の傷を癒すのにもっとも遠い存在かもしれん。 じゃが、もっとも近い存在であることも事実じゃ。」

「えっ?」

 

 もっとも遠いけど・・・もっとも近い?

 

 

「この結界内に入れる人間などお主しか存在せん。 おそらく、未来永劫おらぬと言っても過言ではないじゃろ。 じゃから・・・儂からもどうか、あの子を救っていただけぬだろうか。 このとおりじゃ。」

「一刀様! 私からもお願いします!」

 

 お爺さんと茶々ちゃんが深々と頭を下げた。それに続いて雛羽ちゃんに白琥ちゃんまで・・・。

 

「・・・彩鈴ちゃんってさ、皆から信頼されてるんだね。」

「そうだな。 皆に優しい・・・いや、優しすぎる故に傷が癒えぬままなのだ。 我同様、彩鈴は長として人間を見守らねばならぬ。 だが、守るべき存在を恐れ直視できぬ葛藤、また傷つけられるのではないかという恐怖、しかし自己防衛だからとはいえ相手は傷つけたくない思い・・・こんなところだろう。」

「そんな子に・・・そんな優しい子に辛い思いをずっとさせておくのは俺も辛い。 なら、俺が選ぶ選択肢は一つしかないよ。」

「一刀が力を貸してくれるなら私も協力するわ!」

 

 雛羽ちゃんの一言に白琥ちゃんと茶々ちゃんが頷いてくれる。気持ちはとってもありがたいんだけど・・・。

 

「今回は俺に任せてくれないかな? 彩鈴ちゃんが抱えてる問題って、俺だけ・・・というよりも人の力だけで解決しないといけない気がするんだ。 だから・・・これは俺の我侭だけど、理解してくれるとありがたい。」

「けど・・・。」

「良い。 我が許す。 一刀の好きなようにやって来い。 戻ってくるときは彩鈴と手でも繋ぎながら戻ってくれば良い。」

「鈴・・・ありがとう。 それと、これを預かってて。」

 

  鈴に聖桜を預ける。怯えている子に会いにいくのに刀を携えてたら、余計に警戒されかねないからね。

 

「うむ。 承知した。」

「じゃあ、行ってくる。」

 

 俺は彩鈴ちゃんのいる森林へと向かった。すぐに会ってくれそうにないのは覚悟の上だ。少し時間がかかっても大目に見てくれるよね?

 

「行っちゃった・・・。 お兄さんを一人で行かせていいの? 彩鈴ちゃん、怖がってるのに・・・。」

「心配ありませんよ。 一刀様は一対一で面と向き合って話すとすぐにお人柄が分かります。 そうすれば自ずと恐怖はいらぬと気付くでしょう。」

「けど、まだ話したこともないのに・・・。」

 

「不思議とそう思わされる男なんだよ。 北郷一刀という男はな。 馬鹿みたいにまっすぐで正直で嘘が下手くそで優しくて・・・腹の探り合いをする方が馬鹿らしく思えてくるほどに純粋なやつだ。 時折、こいつは市井にいる子供と変わらんではないか・・・そう思わさせることもある。 それは相手が人であろうと、我らのような神代より生きる四竜、四獣、四神であろうと変わらん。 楽しいときは共に笑い、不安な者がいれば共に悩み、悲しむ者がいれば涙を流してくれる。 そして、大切なものを守る為なら己の命さえ容易に天秤に掛ける・・・そんな男だ。」

 

「なんでそこまで・・・。」

「大切なものが傷つくことを恐れているのだ。 いつも他人の為・・・自分のことなど二の次だ。 あいつがよく口にする言葉はな・・・皆が笑って、幸せに暮らせていれば俺は他になにもいらない。 それが俺の一番の幸せに繋がることだから。 ・・・とな。」

「でもそれなら、一刀が一方的に傷つくだけじゃない!」

「何を言うか。 なればこその仲間だ。 互いを支えあって初めて信頼関係が生まれる。それに、己の大切なものすら守れず何が守護者か。 あいつが全てを守るというならば、我はその障害となる有象無象を尽く破壊し取り除く。 一刀やその仲間たちが可能な限り傷つかぬようにな。」

「互いを支え合う・・・。」

「一人で生きてゆくには辛い世だ。 特に下界はな。 お前たちも一度は下界へ降り

、自分たちが守る人間たちと触れ合う時期が必ず来る。 そうなった場合、共に寄り添ってくれる片割れを見つけるのだ。 この者となら一生を添い遂げても構わない・・・そう思える者をな。」

「鈴様の一刀様のような人ですか?」

「そうだ。」

 

 

「うぅ~ん、一刀みたいな人間なんてそうそういないわよ?」

「静空様はそのような方はいらっしゃらないのですか?」

「私ですか?」

「静空にそのようなものなど・・・」

「いますよ?」

「・・・初耳だぞ。」

「えぇ、誰にも言っていませんので。」

「それで、どのような方なのですか? 参考程度に教えてください。」

「私も気になる!」

「参考程度と言いますか・・・既に鈴様の口から全て話されていますよ。」

「・・・は?」

 

 ふふっ、鈴様たちの目が点になっていますね。五台山での仕返しです。

 

「少し考えればお分かりになるかと思いますが、私が一刀様以外の男性と接点を持っていると思いますか?」

「・・・ないな。 だがまさか、お前がなぁ・・・。」

「一刀様のお心遣いに惹かれたのですよ。 菊璃たちと邑を離れるとき、言ってくださったのです。 ご自分の家族を見守る礼と、私の身すらも案じてくださっていると。 くすくすっ、漆たちだけならまだしも・・・一刀様まで私に突然いなくなると寂しくなるなどと・・・その時に思ったのです。 この方をお守りしたい―――私や私の妹たち、それに鈴様をご自分の家族のように大事にしてくださるこの方を、四竜が東方守護者、青竜として。一人の静空として・・・微力ながらお力添えし、共に時間を共有できたらと、そう思える御仁にようやく私も出会えました。」

 

 静空は一刀様には内緒ですよ?と言い残し、下界を覗ける湖の方へと行ってしまった。まったく・・・そのような素振り自体、微塵も見せぬくせに、内緒も何もあるものか。

 

「ふぉっふぉっふぉ、思わぬところに伏兵がおったもんじゃな。 それにしても、守護者の役割のみを淡々とこなしていた黄竜に、堅物一辺倒だった青竜が恋とはのぉ・・・長生きしてみるもんじゃ。」

「死なぬお前が言っても説得力は皆無だぞ。」

「不老不死とは言われようと、死んだことのないのじゃ。 それは既に不死とは言わん。 不老とは言っても、既にヨボヨボだったしのぉ・・・儂だってもうちっと若ければ・・・。」

「盤古の場合、若返っても動物は寄ってきても女は寄ってこないわね。 雰囲気が胡散臭いもの。」

「胡散っ・・・朱雀よ、儂の珠の心に傷がついたぞ。」

「実際、私がそう感じているのだもの。 これは覆りようのない真実だわ。」

「・・・北郷殿はどうなのじゃ?」

「一刀? ・・・そうね、いいなぁって思うわ。 優しい目をしてるから・・・そう、彩鈴と同じ目をしてる。」

「私も雛羽ちゃんと同じこと思ったなぁ。」

「ですです。 一刀様、彩鈴様と雰囲気が似てます。 親身になって相談に乗ってくださるところとかそのままです。」

 

 一刀よ、大好評だぞ。静空の発言には驚かされたが・・・まぁそれは良い。

彩鈴のこと、よろしく頼む。

 

・・・

 

 

SIDE ~ALICE~

 

「はぁ・・・はぁ・・・。」

 

 思わず逃げ出してしまった。 あの人と目が合った途端、気が付けば森の奥へと向かっていた。 ・・・心配してくださっていたのはとてもありがたい。 とても・・・とてもお優しい方だということは分かった。 面と向かってお話したい。 けど・・・、幼き頃の苦い記憶が彼との接触を拒ませている。

 

「おや、麒麟様ではありませんか。 こんなところまで来るとは珍しい。 久々に畑を耕したくなりましたか?」

「・・・いえ。」

 

 無我夢中に走っていたら、枝乃さん(シノ)のとこの畑まで来ていたらしい。ここまで来れば追ってこられる心配もないだろう。・・・別に嫌というわけではないのに。

 

「どうかされましたか? 何か焦っているようにお見受けしますが。」

「なんでもありませんよ。」

「そうですか。 話は変わりますが麒麟様、先ほどいらっしゃったお客様のことはお聞きになりましたか?」

「・・・えぇ。 白琥たちが喜んで飛びついていったわ。」

「それはそれは・・・。 まぁ、ここは極端に客人の少ない土地ですからね。 喜ばれるのも当然でしょう。 それに、木々や草花も喜んでいます。 先代玄武様の残された森が入ることを許した御仁、器は相当のものなのでしょう。」

「・・・そうね。」

 

 分かってる。そんなこと・・・あの人がここに連れてこられた時から分かってた。先代、お母さんたちの代の四獣が残したこの土地には幾重にも結界が張り巡らされている。己の代わりに我が子を守る策として。盤古さんからここへの扉を潜ることを許可されても、森や海・・・箇所ごとに結界が張り巡らされているにも関わらず、結界を破壊するでもなく・・・むしろ招き入れられたと言っても過言ではない。それなのに私は・・・

 

「枝乃さん、私はどうすればいいのでしょうか・・・。」

「唐突ですな・・・まぁ、悩みであればお聞きしますが、私の返答は一つですよ。 貴女の信じるまま動かれると良い。」

「私の、信じるまま・・・。」

「えぇ。」

 

 ・・・どっちを信じればいいんだろう。人間を恐る私の恐怖心か、・・・あの方なのか。

 

「・・・おや、森の方から声が聞こえてきますね。」

「えっ・・・。」

 

 森から?私と枝乃は他の者より数倍は耳がいい。足音ひとつで距離が把握できるほどに。だから、こちらに近づいているのならすぐに分かるはずなんだけど・・・足音は私が走っている途中で途切れたのは確認した。なのになぜ・・・。

 

 

・・・聞こえてるか分からないけど! 出てきてくれるまでずっとここで待ってるから!! 武器も鈴に預けたから俺は丸腰!! 何も怖くないから・・・ だから! 決心がついたらここまで来て。 君の助けになれるかもしれないんだ・・・。

 

 

「っ・・・。」

「ふふっ、ずっと待ってくださるようですよ。」

 

 なんで・・・なんで、そんなに寂しそうな声色をしているのですか。私なんて言葉を交わしたことのない赤の他人。それなのに私を助けるなんて・・・。

 

「・・・少し時間をもらいます。 椅子をお借りしても?」

「どうぞ。」

 

 私は椅子に腰掛けた。枝乃さんはと言うと、鍬を起き、果樹園の方へと行ってしまった。

 

「どうすれば・・・。」

 

 どうすれば・・・

 

・・・・・・  ・・・・・・ ・・・

 

 結局、一刻ほど悩んでも結論にはいたらなかった。どうしよう、恐らくあの方はまだ待っててくださるはず。この森・・・しかも中央部には食料などないに等しい。私たちと違って、人とは空腹が疲労に繋がるはずから・・・どちらにせよ早く決めないと。

 

「あまり根を詰めすぎると体に毒ですよ。」

 

 出払っていた枝乃さんが戻ってきた。その手には二つのりんご。

 

「お一ついかがですか? 休憩がてら甘いものでも。」

「いただきます。」

 

 私の小さな手に収まるくらいの小さなりんご。枝乃さんの作るりんごはとても甘くて私の好物だ。一口かじるとりんごの風味と甘い果汁が口いっぱいに広がる。

 

「美味しい。」

「ありがとうございます。」

「・・・食べないの?」

「えぇ。 これは私の分ではありませんので。 それはそうと、どうか一つ、お使いを頼まれていただけないでしょうか?」

「・・・まさか。」

「ふふっ、採れたてが一番美味しいのは麒麟様がもっともよく分かっていられるでしょうから。 お客様もそろそろ空腹の時間のはず。 持って行ってはくださいませんか?」

 

 もしかして、最初からそのつもりで・・・じろっと枝乃さんを見ても、彼はニコニコと笑っているだけ。まったく・・・食えないお爺さんね。このりんごとは大違いだわ。私たちに甘いところは同じだけど。

 

「・・・そうですね。 一番美味しいときにいただかないともったいないですし・・・分かりました。」

「お願いしますね。」

 

 枝乃さんからもう一つのりんごを受け取った。これはお使いだから・・・そう自分に言い訳をしながら、私はあの方の声がした方向へと足を向けた。不安と希望を胸に秘めながら・・・。

 

 

SIDE ~ALICE~ END

 

 

 

 森で腰を落ち着かせてから二刻は経ったかな?・・・腰をおちつかせてはいるんだけどね。

 

「ちょっと予想できたな、この光景。」

 

 両肩には小鳥が三羽ずつ乗り、膝にはうさぎ、頭にリス。シャツの首のとこからは三毛猫が顔を覗かせている。・・・猫が落ち着き払ってるからか、他の動物たちものんびりしてる。かくいうも身動きできないだけでリラックスさせてもらってるけどね。ここは空気が透き通ってるし、木々の隙間を吹き抜けるそよ風も心地良い。・・・曹操さんのとこに向かう前に朝食を摂っていらい、何も食べてないからお腹すいたなぁ。腹の虫が鳴りっぱなしだ。

 

「・・・ごめんなぁ。 俺、さすがにどんぐりは食べれないんだ。 だからさ、早くお食べ?」

 

 うぅ~~~、小動物たちからのご飯?のおすそ分けを断るたびに申し訳なくなり、情けなくなる。だって、断るたびに動物たちのくりくりした目が申し訳なさそうにこちらを見てくるんだもん。

 

「あ、あの・・・よろしければ、お一ついかがですか?」

 

 透き通った声。顔を上げれば、ベビーブロンドの髪を風に流されながら俺にりんごを差し出す一人の少女がいた。金色の瞳が俺をまっすぐ見据えている。

 

「あ、ありがと。」

 

 受け取ろうと手を伸ばすが・・・

 

「あ、駄目です! これはお客様用に枝乃さんからいただいたものであって、あなたたちにあげるのではありません!」

「あぁ~~・・・。」

 

 りんごに群がろうとする小鳥たち。目の前の少女は紙一重でりんごを死守している。・・・ふふっ。

 

「なぜ笑っているのですか! 私は必死なのですよ!」

「ごめんごめん。 傍から見てると微笑ましいなぁって思ってさ。 鳥たちもさ、君が来たから嬉しいんじゃない?」

「・・・そうでしょうか? それより、笑ったままでなく助けてください!」

「あぁ・・・それ、鳥たちにあげていいよ。」

「ですが・・・。 ・・・分かりました。」

 

 彼女は俺に差し出した方でなく、もう片方のりんごを鳥たちにあげた。

 

「良かったの? そっちは君のでしょ? 歯型があったし。」

「お客様に食べかけを差し出すほど、私は非常識ではありません。」

「そっか。 けど、食べられちゃったね。 俺の分は君が食べていいよ。」

「ですがこれはあなた用にもらってきたもので・・・。」

「いいから・・・ね?」

「・・・分かりました。 妥協案です。 むっ・・・。」

 

 彼女も腰を下ろすと、りんごを両手で持ち、指に力を入れている―――ように見えるんだけど・・・。

 

「もしかして、半分に割ろうとしてる?」

「はい・・・けど・・・んっ!・・・硬くてなかなか・・・はぁ。」

「ちょっと貸して。」

 

 りんごを受け取ると、中心から半分に割ってみせた。

 

「はい、どうぞ。」

「・・・ありがとうございます。」

 

 

 彼女はおずおずとりんごを受け取ると、しゃくりと一口かじった。じゃあ俺も・・・

 

「・・・甘い。」

「ですよね。 私、このりんご大好きなんです。」

 

 ふふっと微笑みながらもう一口かじる彼女。

 

「ようやく笑ってくれたね、彩鈴ちゃん。」

「・・・どうして私の名を。」

「雛羽ちゃんたちに聞いたんだ。 ・・・・それと、いきなり来ちゃってごめんね。 怖がらせちゃったでしょ。」

「・・・怖がっていたのは確かです。 ですが、こうやってお話したいと思っていたのも事実。 ですので、お気になさらないでください。」

「そっか。」

「それより、どうして私が怖がっていると分かったのですか?」

「えぇとね・・・あのときの彩鈴ちゃんの目、身に覚えがあったから。 俺も・・・他人を恐れてた時期があったから――――――俺がまだ彩鈴ちゃんと背格好が同じくらいの頃にさ、ちょっとしたいじめにあってね。 一年くらいはずっと引き篭ってた。 外に出ればいじめられる。 なら、誰とも関わりを持たなければいい。 そんなことさえ思いもしたね。 その時に俺を助けてくれたのが、俺の両親と妹だった。 そんな経験をしたことがあるからさ、もしかしたら彩鈴ちゃんの力になれるかも・・・うぅん、違うな。 彩鈴ちゃんの不安を消せる手伝いが出来たらなって、そう思ったんだ。」

「そう・・・。」

「・・・まだ俺のこと、怖いかな?」

「あなたのことは・・・もう怖くありません。 むしろ好感が持てます。 ですが、全ての人間を信頼出来るようになったわけではありません。 ですので・・・あなたが慣れさせてください。 人間との接し方・・・距離感はまだ掴めないままですので、私に教えてくれませんか?」

「あんまり気にしなくてもいいと思うんだけどなぁ。 白琥ちゃんと接するのと同じように、俺にも接してくれていいし。」

 

 だよな? うーちゃん然り零ちゃん然り・・・白琥ちゃんたち然り、俺に気を遣う素振りを見せなかったし。俺もそっちの方が接しやすいからなぁ。

 

「しかし・・・」

「じゃあこうしよう! 俺と彩鈴ちゃんは今から友達!」

「・・・はい?」

「友達なら何も気にすることないでしょ? それに、うーちゃん・・・漆ちゃんや零ちゃんたちとは友達だよね?」

「え、えぇ。 確かにお友達ですが。」

「俺とうーちゃんたちも友達なんだ。 友達の友達は友達だよ。 ね? 何も問題ない。」

「・・・ふふっ、くすくす。」

「?」

「突然笑い出してすみません・・・ふふっ。 鈴さんのおっしゃられていた意味がようやく分かりましたので。」

「???」

 

 腹の探り合いをするのが馬鹿らしく思えてくる・・・か。そっか、下手に取り繕う必要はない。遠まわしの言葉を考える必要もないんだ。この人のありのままを受け入れたら・・・きっと、私のありのままの姿を受け入れてくださる・・・そんな方なんだ。

 

 

「お友達ですか。 良いですね。 私、男性の友人はいませんでしたので、北郷様が初めてです。」

「そうなんだ。 あと、出来れば名前で呼んで欲しいな。 敬語は・・・どっちでもいいや。」

「じゃあ・・・一刀さん。 ところで、一刀さんは何故、こちらに赴かれたのですか?」

「え~と・・・。 ・・・鈴にはぐらかされたままで何も聞かされたてないや。」

「そうだったのですか。」

「まぁ、彩鈴ちゃんとこうして仲良くなれたんだ。 それだけでも連れてきてもらって良かったとは思うよ。」

「私もです。 先程まで人を・・・一刀さんを怖がっていたのが嘘のようです。」

 

 二人で動物たちに囲まれながらりんごをかじる。彩鈴という名にこのりんご・・・俺は不思議の国にでも迷い込んだのかとも思えるこの光景。この場所がどういった場所なのかはさっぱり想像出来ない。けど・・・こんな素敵な場所なら迷い込んでもいいかな。そう思えるひと時だ。

 

「どうやらお客様と和解できたようですね。」

 

 森の奥から見た目、初老あたりと見受けられる男性がやってきた。

 

「はい。 えと・・・一刀さん、この人は枝乃さんと言って・・・。」

「お初にお目にかかります。 私、ここで畑を耕している枝乃と申します。 人々からは神農と呼ばれていた者です。」

「神農!? 三皇の!?」

「ほっっほっほ。 遥か昔の話ですよ。 今やただの土いじりが趣味の爺です。 そんなに畏まらずともよろしい。」

「は・・・はぁ。 あっ、こちらのりんご、ありがとうございます。 美味しくいただいてます。」

「お口にあったようで何より。 女媧も喜ぶことでしょう。」

 

 ・・・ほぇ~。なんか、お伽噺の世界に迷い込んだみたいな感覚だ。神農に女媧・・・おそらく伏羲もいるのだろう。・・・ん? 三皇に四獣に四竜・・・四神でしょ? ・・・。

 

「え、ええと・・・つかぬことを聞きますが、表にいた盤古という方は・・・。」

「あぁ・・・私のことは気づかれて、盤古様のことはお気づきになりませんでしたか。 あの方はこの世を創造したと言われていますね。 まぁ、その現場を見ていませんので詳しくは分かりませんが。」

「・・・なんてこったい。」

「・・・ふふっ、麒麟様や朱雀様たちとお顔合わせをされたときは、それほど驚かれていられなかったでしょうに。」

「いや~、鈴やうーちゃん・・・こほん。 漆ちゃんや零ちゃんたちという前例があったので。 四獣様というより、明るくて可愛い女の子達だなぁくらいにしか思ってなくて・・・。 すぐに打ち解けてくれたから、甘えん坊の妹が増えたなぁくらいの感覚で、話に夢中になってたんです。」

「ほっほっほ。 北郷殿にかかれば四獣様たちも妹同然ですか。 麒麟様も含め少しばかりやんちゃですが、いい子ばかりです。 これからも、可愛がってくだされるとありがたい。 この子達も喜びますので。」

「もちろんです。 彩鈴ちゃんも四獣の子たちも元気いっぱいですからね。 俺もどうにか負けないように頑張りますよ。」

「・・・もう、本人が目の前にいるところで、お二人で恥ずかしい話をしないでください//」

 

 ぷいっと顔を背ける彩鈴ちゃん。顔を食べているりんごと同じくらい真っ赤に染まっている姿を見て、俺と枝乃さんは互いに顔を見合わせるとどこか可笑しくなって笑ってしまった。それからは枝乃さんも交え、半刻ほどの間談笑を続けた。

 

・・・

 

「ほぅ、意外と早く和解できたのだな。 あと二刻は掛かるだろうと踏んでいたのだが。」

「一刀様ですから。 顔を合わせてしまえば後はどうとでもできるお方ですよ。」

「ふふっ、それもそうだな。」

 

 彩鈴を探しに行った一刀が彼女を連れて戻ってきた。約束通り、手もしっかり握っているな。

 

「おや、枝乃爺もいるではないか。 久しいな。」

「黄竜様、お久しゅうございます。 青竜様もご健在そうでなにより。」

「お久し振りです。 枝乃も相変わらずですね。 そして・・・彩鈴様、ただ今戻りました。 長い間四獣の席を外し、申し訳ございません。」

「静空さん、頭を上げてください。 本来であれば私も下界にて人々を守らねばならぬ身。 それをあろうことか人々を恐れ、この場所で縮こまっていたのは紛れもない私なのです。 それに、あなたは四獣と四竜の二足の草鞋を履いているのです。 お忙しいのは私も分かっているつもりですよ。 近況報告については燼さんや零ちゃんたちから聞いていたので。」

「そうですか・・・。 再び彩鈴様のもとを離れることをお許しください。」

「全てに決着がついたら、また私に昔のお話を聞かせてください。 多くは望みません。 それに、静空さんも・・・いえ、他言無用でしたね。 何でもありません。」

 

 

「ありがとうございます。 この静空、必ずや役目を終えたら彩鈴様のもとに戻ると誓います。」

「おっと、我のことも忘れてもらっては困るな。」

「鈴様には一刀様がいらっしゃるので大丈夫でしょう。 一刀様が鈴様の東方守護者の席に就けば私もこちらに専念できるのですが(ちらっ)。」

 

 俺を見られても困るんですが・・・。というか、荷が重いとかそんなレベルじゃない気がする。けど・・・、

 

「東方守護者の席は静空さんの居場所です。 青竜以外の誰かが代わりにできるものではありませんよ。 けど・・・もし手が足りなくなったら俺を頼ってください。 頼りないかもしれないですけど、静空さんの為ならいくらでも補佐しますので。 鈴や彩鈴ちゃんたち同様、静空さんも俺にとってはかけがえのない方ですから。」

「・・・っ。 一刀様はずるい方ですよね。」

「??」

「こういうやつだと、お前も分かっていただろうに。」

「お兄さんって、唐突に大胆なこと言うんですね。」

 

「大胆なことを言ったつもりはないんだけどな・・・。 鈴と静空さんたち四竜の子たちはかけがえのない人だよ。 出来るならずっと一緒にいて欲しいって思うもん。 そんな人たちの為なら、俺はいくらでも力を貸すよ。 危なくなったら命を掛けてでも助けに行く。 大切な人達を失いたくないから・・・。 それは彩鈴ちゃんや白琥ちゃん、雛羽ちゃんに茶々ちゃんも例外じゃない。 俺を待ってくれてる仲間たちだって・・・。 皆大切で、誰一人として失いたくないから・・・皆の笑顔を守れるならそれでいい。 八方美人だと言われても、それは俺が自分の信念に刻んだことだから。 それだけは誰にもゆずれない。」

「私も・・・。」

「ん?」

 

 隣にいる彩鈴ちゃんが俺に顔を向け話しかけてきた。

 

「私も・・・鈴さんたちみたいに、一刀さんのお力になれますか? 私、まだ雛羽ちゃんたちの長になれるほど立派な守護者にはなれていません。 ですけど・・・こんな私でもお友達になってくださり、かけがえのないと言ってくださった一刀さんのお力に・・・あなたの守護者になってもいいですか?」

「彩鈴ちゃん・・・ありがとう。 これからよろしくね。」

「・・・っ! はい♪」

 

 彩鈴ちゃんが俺の胸に飛び込んできた。俺は彩鈴ちゃんの頭を優しく撫でる。

 

「・・・とりゃあ!!」

「きゃっ!」

「んぐぅ!?」

 

 ・・・デジャブ?雛羽ちゃんが俺の背中にしがみついてきた。・・・腰ごと持っていかれたのかと錯覚したよ。

 

「彩鈴ちゃんばっかりずるいじゃない!」

「・・・ずるい?」

「えと・・・ずるいじゃないわね。 私ばっかり守られっぱなしっていうのも納得がいかないわ! それに、私は彩鈴ちゃんの守護者。 その彩鈴ちゃんが一刀の守護者になるって言うのなら、私もあなたの守護者になってあげる! べ、別に彩鈴ちゃんが羨ましいとか思ったんじゃないんだからね! 腕っ節には自信があるから、守るのが一人くらい増えたってどうってことないわ!! それと・・・、親切・・・そう、親切心よ! 親切心!! だから、光栄に思いなさい!! ・・・ダメかしら?」

「そんな寂しい目をしなくてもいいのに。 雛羽ちゃん、じゃあ皆で彩鈴ちゃんを守ろうか。 けど、無茶は禁物だよ?」

「ふ、ふん! そんなこと、一刀に言われなくても分かってるわよ。 それと、一番無茶

してる一刀に言われても説得力ないわね。」

 

「くすくす♪ お兄さん、雛羽ちゃんに言われちゃてるね。」

「白琥ちゃん・・・茶々ちゃん。」

「お兄さん、私と茶々ちゃんも一緒について行っていいかな? 自分の身は自分で守れるし、勿論お兄さんも守れるだけの力もある。 まぁ、そういうのは建前で、お兄さんのことが気に入ったのと、下界に興味があるっていうのが本心なんだけどね。」

「一刀様お願いします!! 私じゃ力不足かもしれませんが・・・一刀様の下で、私の出来ること探しがしたくて・・・皆みたいに戦ったりすることは苦手ですけど、一生懸命頑張りますので・・・どうか!」

 

 

 頭を下げる茶々ちゃんに、えへっと笑っている白琥ちゃん

 

「彩鈴ちゃんに雛羽ちゃんがよくて、白琥ちゃんたちはダメとは言わないよ。 そういう事で彩鈴ちゃん、皆はこういってくるけど、一応四獣の長として決めてちょうだい。 みんなも俺についてくることについてさ。」

「はい。 私たち四獣は北郷一刀様の守護者として、あなたについて行きます。 一刀さん、末永く・・・よろしくお願いします。」

「こちらこそよろしくね。」

 

 彩鈴ちゃんが正面から抱きつき、雛羽ちゃんは相変わらず背中にくっついたまま。白琥ちゃんと茶々ちゃんは俺の右手、左手を握っている。

 

「自分の孫が嫁に行った気分になるのぉ・・・。」

「我が一刀を連れてきた時には何も言わなかっただろうに、何故彩鈴たちのときだけ・・・。」

「黄竜や、お前が異性に惚れることなど考えたことはあったかの?」

「ないな。 微塵もない。 興味もなかったしな。 我と波長の合うものなど存在せぬと思っていたからな。 その分、一刀ととの出会いは衝撃的だったがな。」

「じゃろう? その点、ここ最近の麒麟は湖で下界の様子を見るたびに北郷殿を目が追っておったからのぉ。」

「・・・~~~~~~っ////////」

 

 ものすごいスピードで彩鈴ちゃんの顔が真っ赤になっていく・・・。ここは黙って頭を撫でててあげよう。触らぬ彩鈴に祟りなし。

 

「・・・・・・こほんっ! それでは、これから一刀さんの心門(こころもん)と私の神戸(かみど)を繋ぎます。」

「こころもん? かみど? 何それ?」

「・・・? 一刀さんは鈴さんたちの神具を持っていらっしゃるので、既に契約済みなのだと思ったのですが。」

「いいや、契約は既にしているぞ。 我と静空のみだがな。 零は門の場所だけ確認したとは言っていたが。」

「鈴様、もしや一刀様にご説明されて・・・」

「してない。 繋げたときは私以外繋げることもないと思っていたからな。 一刀の心内で会話が出来るとだけ説明はしておいたが。」

「・・・一刀様、うちの鈴様の不手際、お許し下さい。」

「・・・慣れっこだから。 鈴、そう言う大事なことは次からきちんと説明すること。 いいね?」

「うむ、承知した。」

 

 本当に分かってるのかな・・・。

 

「で、では私の方から改めてご説明しますね。」

「ごめんね、彩鈴ちゃん。 鈴が説明してないばかりに手間を掛けさせて・・・。」

「いえいえ。 ・・・こほん。 まず心門についてですが、人間の心とは入口に門があるのです。 これを確認、開閉できるのは盤古さん、私たち四神、白琥ちゃんたち四獣、漆ちゃんたち四竜、それと他の竜族のみになります。 過去には人間の中にも類稀な素質を持った人が自分のみならず、他人の心門を確認、開閉していたと聞いていますが・・・ご存命ではないでしょう。」

「門かぁ・・・実感が沸かないなぁ。」

 

「そして神戸とは私たち、天の下に生きる者たちの心の入口・・・まぁ、扉ですね。 それを指します。 神戸の開閉については本人しか行えません。 そして、心門と神戸を繋ぐというのは、人の心門の奥にある真域(しんいき)・・・心門の奥、つまりは心そのものですね。 そこへ触媒を通して私の気を収めます。 真域については、一つの部屋と思って頂ければいいでしょう。 触媒は一刀さんが身に付けている鈴さんたちの勾玉を指します。」

「ということは、この勾玉と鈴たちが許可さえ出せば、俺でなくとも鈴たちの気を取り込むことができるということ?」

「普通の人であれば無理でしょう。 真域には限度があります。 自分の心一つ分で全て埋まっていますから。 そこに私たちの気が入り込むともなれば、人一人分の気など否応なく取り込まれてしまいます。」

「俺、何ともないんだけど・・・。 今の彩鈴ちゃんの話どおりなら、俺の心は鈴の気に取り込まれているはずだよね?」

 

 今は鈴だけでなく静空さんの気も潜ってるんだ。・・・どうなってるんだ?静空さんと鈴はふふっと笑ってるだけだし。

 

 

「ですから私、言いましたよ? 普通の人であればと。」

「俺、普通の人だよ・・・。」

「簡単に説明しますと、普通の方であれば真域の広さは一刀様のお部屋程度です。 そう仮定しましょう。 そんな中に私たちの竜の姿は収まりきりませんよね?」

「そうですね。 押しつぶされるの話じゃない済みません。」

「それを前提にすると、一刀様の真域は広さの限度がないのです。」

「・・・?」

「果てが見えないと申し上げたほうが宜しいでしょうか。」

「それ、広いとかじゃ済まないような・・・。」

「心門、神門、真域は個体によって異なるのだ。 同じものなど存在せん。 お前の心門は大きく、そして真域は広く心地の良い場所だぞ。」

「ここと同じような場所ですね。 そして、一刀様に見守っていただいていることが実感出来る場所です。」

「我と静空がいても十二分に余裕はあるのだ。 彩鈴たちや下界に残っている漆たちが契約を結んだとしても、特に問題はなかろう。」

 

 その話は俺が許可しないといけない気がするんだけど・・・彩鈴ちゃんたちは俺の守護者になってくれてると言ってくれてるんだ。断るという選択肢なんて残ってないわけで。

 

「では一刀さん、契約の儀を行います。 心門を探す時間が必要ですので、少々時間がかかるかもしれませんが、ご了承ください。」

「うん。 それで、俺は何をすればいいのかな?」

「・・・じっとしててくださいね?//」

「うん。」

「では・・・。 んっ・・・。」

 

 彩鈴ちゃんとの触れるだけのキス。時間にして10秒ほどなんだけど・・・初々しいなぁ。まぁ、・・・うん。俺も恥ずかしいんだ!!鈴たちの視線が俺たちに向いているのは一目瞭然だし・・・。

 

「・・・っふぅ。 ・・・// こ、これで契約完了です。 ・・・~~~~~~//////」

「おっと。 どうしたの?」

 

 彩鈴ちゃんが俺の胸に顔を埋める形で抱きついてきた。

 

「す、すみません。 今はお顔を直接見れる自信がありませんので・・・少しの間、このままでいさせてください。」

「くすっ、了解。」

 

 彩鈴ちゃんの気の済むまでこのままでいさせてあげよう。頭を撫でてあげると擽ったそうに身をよじる彩鈴ちゃん。 髪の毛ふわふわで気持ちいいなぁ。

 

「彩鈴ちゃんいいなぁ。 雛羽ちゃんもそう思うよねぇ。」

「べ、別に羨ましくなんて・・・むむむ。」

「くすくす♪」

「わ、私たちも口付けするんだよね・・・//」

 

 5分ほど経過しただろうか。彩鈴ちゃんはようやく落ち着いたようで、俺の胸から離れた。

 

「・・・お待たせしました。」

「いえいえ。」

「次は白琥ちゃんたちですよ。」

 

 白琥ちゃんたちの方を振り向けば・・・

 

「一番乗りいただき~~♪ ん~~~っ!」

「んむ~~~っ!!???」

 

 飛びついてきた白琥ちゃんに唇を塞がれる俺・・・。雛羽ちゃんと茶々ちゃんが唖然としてるよ。

 

「ふぅ、ご馳走様です♪」

「心の準備が出来る前に・・・。」

「お兄さんなら大丈夫かなぁって♪ 女の子と口付けの経験多そうだし♪」

 

 ・・・言い返せない。

 事実だからな。

 ふふっ♪ それでも二人とも顔を赤くするあたり、愛らしいですね。

 

「一刀様、その・・・よろしくお願いします。 初めてですので・・・緊張します。」

「そんなに緊張しないでいいよ。 ほら、肩の力を抜いて。」

 

 

 俺は跪き、茶々ちゃんが落ち着くのを待つ。

 

「すぅ~~~、・・・はぁ。 準備できました。」

 

茶々ちゃんは俺に近づき、ゆっくりと唇を触れさせる。

 

「ぷはぁ。 ・・・//」

「あらあら。」

 

 唇を離すと、ダッシュで静空さんの背中に隠れてしまった。

 

「で、最後は・・・」

「・・・か、一刀! その・・・私もはじめてなんだからね! だから・・・このこと、ずっと覚えていなさいよ!」

「うん、勿論だよ。」

 

 キスする前から顔が真っ赤の雛羽ちゃん。けど、こちらに近付いてくる様子はない。というか、茶々ちゃん以上に緊張でガチガチになっちゃってるな。

 

「大丈夫だよ、怖いものじゃないから。」

 

 雛羽ちゃんに近づき頭をぽんぽんと撫でると、一瞬ビクッと体を震わせたが・・・緊張の糸は解れたみたい。

 

「えと、ありがと。 これからよろしくしてあげるわ。」

「こちらこそよろしくね。」

 

 雛羽ちゃんとも軽く唇が触れるだけのキス。ちょっぴり震えているところが初々しくも愛おしい。

 

「・・・口付けしてあげたんだから、ずっと一緒にいなさいよ! 離れたりしたら許さないんだから・・・。」

「うん、ずっと一緒だよ。」

「これで皆終わりましたね。 それで一刀さん、こちらが私たちとの繋がりを証す触媒になります。」

 

 触媒・・・というか指輪だ。四人分・・・ついでとばかりに静空さんも差し出してきた。

 

「五つ全部つけたいけど大きさが合わないしなぁ・・・。」

「どれ、儂に貸してみ。」

「? はい、どうぞ。」

 

 盤古さんに渡すと、五つあった指輪が光に包まれ、一つの指輪へと姿を変えた。ガラス細工のような指輪となった。

 

「一体どうやって・・・。」

「あれらは言わば気そのものが具現化したものなのじゃ。 それらの気を一箇所にまとめたのじゃよ。」

「簡単に言うが、このような芸当は盤爺にしかできんぞ。 ついでに、我らの勾玉もまとめてやってくれ。 これだけ首からぶら下げていては肩が凝るだろうしな。」

「はいよ。」

 

 首にあった勾玉も指輪同様、ガラス細工のようなものへと姿を変えた。こっちは竜の紋様が入ってる。

 

「けど、勝手に一つにまとめちゃって良かったの?」

「長の承認があれば良い。 我と彩鈴が許可を出したのだ。 問題はない。」

「はい。 一つにまとめてもらった方が、一刀さんを通して皆と連絡を取れますし。」

 

 俺はいつの間にか皆の仲介役になっていたみたい。ま、いいけどさ。

 

「それにしても鈴さん、よく一刀さんのあの大きな心門を開けれましたね。 流石です。」

「我は開けてないぞ。」

「え?」

「出会った時には既に開かれていた。 まぁ、思い当たる者と言えば一人しかいないが。」

 

・・・

 

 

「っくしゅん!!」

「なんじゃ、風邪の真似事か? 儂は何もせんぞ?」

「違うわよ。 何故か突然・・・誰かに噂でもされているのかしら? まぁ・・・ふふっ。  一刀の真域が賑やかなことになりそうね。 私が開門したときは私と”彼女”だけだったのに。」

「? なんじゃ?」

「なんでもないわ。」

 

・・・

 

 ひとまず、受け取った指輪は指にはめた。というより、静空さんに無言ではめられた。俺の左薬指には既に胡花から貰っていた四葉のクローバーの指輪と合わせて、二つの指輪がはめられている。刀を振るうときに少し違和感がありそうだけど、さして問題ではないかな。

 

「それで、これよりどうするのじゃ? 彩鈴たちとの契約を結んだのじゃ。 黄竜の思惑は知らんが、とくに残る理由もなかろうて。」

「もうしばらくはここに残るつもりだ。 戦の状況も湖から確認できる。 それに、ここにいれば彩鈴たちの気が一刀に馴染みやすくなるからな。 後々のことを考えると、戦が終わるまではここにいた方がいいだろう。 外敵から身を隠すにはうってつけの場所だしな。」

「ふむ。 儂は構わんよ。 神農はどうじゃ?」

「私は皆様のご意向に従いますよ。 しばらく残られるのであれば、お茶でも飲みながらのんびりされるとよいでしょう。」

「ありがとうございます。 けど・・・俺ばっかり色々と貰ってばかりで何か気が引けるなぁ。」

 

 何かないかな・・・俺がお返しできるもの・・・あれ、試してみようかな。

 

「鈴、彩鈴ちゃん、ちょっと気を貸してもらっていいかな?」

「突然どうした? 私は構わんが。」

「はい、私もいいですよ。」

「ちょっとね。 俺が皆にお返しできるもの・・・というか、ちょっとした贈り物。」

 

 鈴と彩鈴ちゃんにキスされて・・・違う違う。 気を借りて、自分の中の気をゆっくりと高めていく。

 あら・・・ふふっ。そういうことなら、私も少し手伝ってあげるわ。

 ?? 今婆ちゃんの声が聞こえた気が・・・気のせいか。

 

 目を瞑り、練り上げた気をゆっくりと、ゆっくりと解放していく。イメージは大樹。一本で皆を見守れるような・・・そして、それを見た者が笑顔でいてくれるような。

 

「咲き誇れ、天桜(アマザクラ)。 天の御使いの名のもとに、どうか・・・この地に生きる者たちが、永久に笑顔絶やさんことを。」

 

 目を開くと・・・見事に咲き誇る一本の桜。

 

「・・・っ!?」

「茶々、どうした?」

「お母様の気が・・・一刀様の気に呼応しました。」

 

 そして、深緑に包まれていた森林は、一面の桜へと姿を変えていた。

 

「綺麗・・・。」

「俺からの贈り物・・・一本だけのつもりだったんだけど、結構な数になっちゃった。 この地は気が一定の周期で循環して減ってないみたいだから、枯れることはないと思う。」

「凄い! すごーい! お兄さん、どんな術使ったの?」

「術は使ってないよ。 俺の婆ちゃんは自分の気で桜を形成して自在に操れたからさ。 その真似事だよ。 まぁ婆ちゃんほど気を多く取り込めないから、鈴と彩鈴ちゃんに気を分けてもらったってこと。」

「ふえ~・・・一刀はなんでもできるのねぇ。」

 

 彩鈴ちゃんたちも桜に魅入ってくれてることだし、贈り物としては成功かな。盤古さんは思案顔を浮かべてる・・・どうかしたのかな?

 

「この形状・・・気の流れ・・・項羽の紅桜と同質のものじゃな。 何故、北郷殿が・・・。」

「? 盤古さん、婆ちゃんのこと知ってるんですか? それに、紅桜って一体・・・。」

「婆ちゃん・・・ということはじゃ、北郷殿は項羽の孫に当たるというのか?」

「え、えぇ。 そうですね。」

「なんと・・・あぁ、なるほど。 心門の開門、気の絶対的な貯蔵量に運用法、そしてこの見事な桜。 全てに納得がいった。」

 

?? 俺の頭上には?マークがいくつも残ってるんだけど・・・誰か説明を・・・

 

「お兄さん、枝乃さんがお茶淹れてくれるって言ってるし、あっちでお茶にしよ♪」

「一刀さん、私も相席します。」

「ちょっ!? 待ってよ! 私も行くわ。」

「皆さん、待ってくださ~い・・・おいていかないで~~~。」

 

 盤古さんに説明してもらいたい・・・

 お茶をいただいた後でも良いでしょう。時間はたくさんありますし♪

 彩鈴ちゃん・・・楽しそうだね。

 はい♪

 くすっ、一刀様は人気者ですね。鈴様、妬いてはいけませんよ?

 誰が妬くか。このようなこと、日常茶飯事だろうに。

 それもそうですね。

 

いくつかの疑問を残したまま、白琥ちゃんに腕を引かれ枝乃さんの畑の方へと走らされる俺なのであった。

 

「ふむ・・・あれが漢王朝の皇帝を預かっている者か。 ・・・面白そうなやつだ。」

 

その時の俺は、空から俺たちを見ている人がいることを知る由もなかった。だって、白琥ちゃん、手加減なく引っ張るんだもん!彩鈴ちゃん、笑っていないで止めて~~~!!

 

無理です♪

 

あとがき 読んでいただき、ありがとうございます。いや~、長かった。というよりも、一刀の周りの女子率がアップしました。今回増えた、主となる人物・・・四獣ですね。それについてちょっぴり紹介。

 

麒麟(彩鈴)・・・金髪のゆる編みロングヘアーに小さいピンクのリボンを付けている女の子。金の瞳で・・・イメージはうさぎ!元は麒麟ですが・・・うさぎです!心がぴょn(自重)。今回出てきた女の子たちの見た目の年齢としては十~十二才。服装はそれぞれワンピースを着てます。彩鈴ちゃんは薄ピンクのワンピースですね。

彩鈴(アリス)という名の由来としては・・・まんま、不思議の国のアリスですね。そこから金髪、りんご好きとしました。

皆がずっと笑顔でいられますように。と、いつも考えているような優しい子です。一刀さんの為なら何でもやります!むしろやらせてください!そんなことを素で言っちゃう子です。・・・月と冷戦にならなきゃいいが・・・。そんな感じで、彩鈴ちゃんをよろしくお願いします。

 

白虎(白琥)・・・流れるような銀髪を腰下まで伸ばし、紫の瞳を持つ女の子。頭上のアホ毛がチャームポイント。気落ちしたり、寂しくなるとアホ毛に力が入らなくなります。逆に、嬉しかったり楽しかったりすると元気300%くらいになります。一刀に頭を撫でてもらうのがお気に入り。後々、一刀が近づくとアホ毛の元気がマックスになります。もう、一刀センサーです。ワンピースの色は白。

イメージは人懐っこいシベリアンタイガーですね。元気な犬ではないですよ。虎です。決して、某携帯会社のお父さんではないのでご注意。

名前の由来ですが、はじめは「白」にしようと考えたのですが、どうも味気ない。白虎なんだし・・・かっこいい名前をつけてあげたい。虎の王と書いて「琥」。これに決まり!こんな感じで・・・ノリと勢いでつけました。

何でも楽しまないと損損♪と、皆を引っ張る元気っ子です。遊び終わると一刀の膝でお昼寝。これが日課になる予定。鈴々や蒲公英と意気投合しそうです。そんな白琥ちゃんをこれからもよろしくお願いします。

 

朱雀(雛羽)・・・朱色の髪が伸び、毛先は金へとグラデーションがかかっている。瞳は水色。そして・・・ツンデレです!凄い分かりやすいツンデレです!桂花のようなデレ0のツンドラではありませんよ!ツンd ←うるさい。 失礼しました。甘えたがりなのに素直になれず、飛び込んでいけばすぐに赤面してしまう微笑ましい子です。相手にしてくれないと涙目になっちゃうので、毎度毎度、一刀のフォローが入ることに。皇帝妹こと、薔薇ちゃんも大概ですが、それ以上に素直になれない。蜀入りすると、薔薇ちゃん相談室←作る予定 に入り浸りになりそうです。で、一刀に聞かれていて・・・こんな流れが容易に想像できますわぁ。ワンピースの色は薄水色。

 名前の由来は・・・大空へ羽ばたく勇気はまだないが、立派な翼はある。誰か、臆病な私の背中を押してくれる人はいないかしら・・・。雛鳥から成鳥には育ったけど、あと一歩が踏み出せない。あの人へのあと一歩もまだ・・・。こんな感じですねぇ。電柱に隠れて背後から応援したくなるような子です。

 甘えようと突撃しては一刀の天然行動に反撃され、終いには自爆してしまうような子です。皆さんも応援してあげてください!こんな雛羽ちゃんをこれからもよろしくおねがいします。

 

玄武(茶々)・・・茶髪のツインテールに引っ込み思案の茶々ちゃん。瞳の色はライトグリーン。何かと奥手で、気づけばおいてけぼりをくらっているような子です。超人見知りで恥ずかしがり屋さんな女の子。今です!と意気込んだら・・・すでに白琥ちゃんが一刀様にしがみついている・・・そしてしょぼーんと軽く凹む子なんです。白蓮に方を叩かれて同情されてるイメージ。ワンピースの色は薄緑。

 名前の由来は、茶室で着物を着てお茶を点てたら絵になるなぁ。そんな印象ですね。成長してツインテールを解いて髪を下ろしたら大和撫子風な美人になるであろう!というかなります!します!私が!!

 今日は一刀様と何をしたかなぁ・・・と、毎日欠かさず夜に日記を書く茶々ちゃん。これでいい夢が見れますように・・・明日はがんばろぉ・・・zzz。こんなふうに、寝てる間にちょっぴり微笑んでるような彼女、茶々ちゃんをよろしくおねがいします。

 

 とまぁ、四獣の女の子紹介でした。見た目はお爺だが、心は若い!盤爺こと盤古。それに、畑仕事が日課、健康第一!枝乃さんこと神農に関してはまた次回ご紹介します。

 

 それでは次回:漢王朝の守護者。そして、一刀に潜む者。 で、お会いしましょう。

 


 
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