No.712732

私の最高の友達と戦友が修羅場すぎる! 序章

闇野神殿さん

メルシさんにネタのとっかかりを貰って冒頭書いたらそのまま煽られて即興で書きあげてしまったまどあんほむ連ツイ小説です。タイトルはアレですが書いてるうちにどんどんガチ修羅場ってしまい戦慄を覚えました。R-15くらい? 即興怖いw 序章とありますが一応ここまで。もし続き書くとしたら結構長くなっちゃいそう……?

2014-08-31 23:42:27 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1068   閲覧ユーザー数:1065

 びっ、びびっ。薄い布を引き裂く音が路地から聞こえる。鹿目まどかは、ふと聞こえてきたその音に奇妙なざわめきを覚え、その路地へと入ってゆく。

「遅かったじゃねえか」

 不意に、不敵な佐倉杏子の声がかけられる。そして、物陰にしゃがみ込んでいた、引き裂かれたストッキングの持ち主であり、口に手を当てて声を殺していた暁美ほむらの涙声。

「杏子……ちゃん、ほむら……ちゃん?」

「まど……か、みない……で」

 くぐもったほむらの涙声がまどかの耳に届く。ストッキングの裂け目から覗く肌の白さがまどかの目に突き刺さる。

「杏子……ちゃん、これどういうことなの?」

 問い詰めようとする声が震えているのが自分でもわかる。

「へっ、アンタがあんまりほむらに手を出さないんでな、だったら、いっそあたしが頂いちまおうと思ったってワケさ」

「そ、そんなのダメだよ杏子ちゃん!」

 反射的に叫ぶまどかだが、杏子はその叫びを鼻で嗤って云う。

「なにがダメなのさ。アンタはほむらのことなんかどうだっていいんだろ?」

「よ、良くないよ! だってほむらちゃんはわたしの……わたし……の」

 だが、それに続く言葉を見つけられず口ごもるまどか。

「ふうん……ほむらはわたしの……なんなんだい?」

 ほむらのストッキングにかけた手を離し、まどかに向き直る杏子。

「だめ……杏子、まどかには手を出さないで……」

 かぼそい声で杏子を制止するほむらだが、杏子は意に介さずまどかの方へと詰め寄ってゆく。その迫力に気押され、まどかの背がどん、とビルの外壁に突き当たる。

「だめ、杏子!」

 ほむらが後ろから杏子の腰にとりすがる。

 身体だけでなく、気持ちまでが杏子にすがりつくようなその表情。必死で杏子を制止するその表情は、これまでまどかの見たことのないもので。

 その顔を見たとき、まどかの胸の底になにかが燃え上がりはじめる。それは嫉妬の炎だと、そのときのまどかはまだ気付かなかった。

「……そうだよ、ダメだよ杏子ちゃん」

「ふん?」

 杏子を見返すまどかの瞳は、もう怯えてはいなかった。それは、一種異様な、とすら云える炎で燃えていた。だが、その炎を、杏子は平然と受け止める。

「面白ぇじゃねえか。アタシと、やるってのかい?」

「うん、やるよ。たとえ杏子ちゃんだって、ほむらちゃんをわたしから取っちゃうんだったら、許さないんだから」

「まどか……」

「ふぅん、やっぱまだアイツに未練があるんだ」

 杏子はまだ自分の腰にすがりつくほむらの横にしゃがみこみ、彼女の顎に手をかけてくいっと上向かせる。

「……ぁ」

 それは、普段のほむらからは考えられないような気弱な瞳と声で。

「それじゃ、忘れさせてやるよ」

 杏子は、まどかを横目で見ながらその唇に自らの唇を急接近させる。

「ダメぇっ!」

 それを見たまどかは、ほとんど反射的に、弾かれるようにその唇が触れる寸前に杏子の身体を突き飛ばしていた。

「ってえ、やりやがったな」

 流石に杏子はすぐさま立ち上がると突き飛ばした体勢のまま固まるまどかを睨みつけ、襟首をつかみあげるが、まどかはひるむことなく杏子の瞳をにらみ返す。

「やめて、私、杏子のものになるから、まどかに手出ししないで」

「だってさ、まどか」

 杏子はにやりと嗤って云った。

「だったら、奪い返すもん」

 その嗤いを前にしても、まどかはもう臆することはなかった。

「もう一度云うよ、ほむらちゃんはわたしが奪い返すもん」

「いいの、まどか、私が杏子のものになれば……」

「ほむらちゃんは黙ってて!」

 叩きつけるような声。

「はん、いままでずっとほむらを構ってやらなかったくせに、いまさら所有者気取りかい?」

 杏子の目にも炎が宿る。

「そ、それは……」

 弱みを突かれたまどかが瞳をそらす。その先には、ほむらの泣き腫らした顔があった。それは、明らかにまどかが見つけ出す前に、すでに彼女が泣いていたことを物語っていた。

その泣き顔にまどかは胸を突かれる。ほむらが泣いていた原因が、明らかに自分のせいだと思い至ったためだった。

「ほむらちゃん、わたしのせいで、泣いて……」

「そうだよ! アンタのせいで、ほむらは泣いてたんだ、ずっと、ずっと泣いてたんだ!」

 さっきまでの不敵さが嘘のような、真剣な、斬りつけるような声。

「ちがうの、まどか、あなたのせいじゃ……ない」

 うつむきながらか細い声でほむらは云う。

「なにが……違うってんだよ、おまえ、いつだって泣きそうな顔で戦ってたじゃねぇか……」

 杏子の声が、握られた拳が震える。

「わたし……わたし」

 ふたりの様子にまどかは胸の苦しさを覚える。

 そして、まどかは自分の胸がどす黒い疑惑で染まってゆくのを覚える。

 自分が、気付かない間にどれほどほむらを苦しめてきたのか。そして、自分なんかより杏子の方がずっとほむらのことを気にかけ、想ってきたのではないかと。

 その毒のような想いは、嫉妬と混ざり合うことで魂を蝕む猛毒となることを、まだまどかは知らない。

 

つづく?

 


 
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