No.701564

孤高の御遣い 北郷流無刀術阿修羅伝 君の真名を呼ぶ 1

Seigouさん

孤高への回帰

2014-07-17 23:37:41 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:10902   閲覧ユーザー数:6663

 

 

 

 

 

 

 

 

                            外史とは何か

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                            外史とは歴史

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                            歴史とは何か

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                            歴史とは栞

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                            栞とは何か

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                         栞とは物語を紡ぐ語り部

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                            物語とは何か

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                            物語とは無限

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                            無限とは何か

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                              無限とは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                  夢

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「しっ!ふっ!」

 

雪蓮「やあっ!!たあっ!!」

 

 

 

三国会議が一周し天角での会議が開かれていた

 

しかし、第一次五胡戦争処理の激務もあり、三国の将達は纏まった休みが欲しかったのもまた事実である

 

そのため天角での会議の後に3ヶ月の休暇を設け、三国の将達は各々この天角で時間を過ごしていた

 

そんな中、天角の城の中庭にて、一刀と雪蓮が手合わせをしていた

 

しかし、完全な無手の一刀に対して、雪蓮は容赦なく南海覇王で斬りつける

 

ところが

 

ガシィッ!!!

 

雪蓮「きゃあっ!!?」

 

強烈な蹴り上げが、南海覇王の柄頭に命中し空へと舞い上がらせる

 

一刀「・・・・・俺の勝ちだな、雪蓮」

 

気が付くと、雪蓮の胸元に一刀の拳がピタリと止まっていた

 

桃香「あは♪またご主人様が勝っちゃった♪」

 

華琳「これで何連勝なのよ」

 

百合「11連勝ですね♪」

 

凪「・・・・・・・・・・」(キラキラキラキラ)

 

三国の将達を一人ずつ相手にし、無手で、かつ無傷でこれだけ勝ち進めるのは驚嘆の域を超えている

 

霞「・・・・・なぁ、凪」

 

凪「なんですか?霞様」

 

霞「凪は、一刀の一番弟子でもあって、北郷流のことは誰よりも知っているんやろ?」

 

凪「・・・・・全てというわけではありませんが、どうしてそのような事を聞かれるのですが?」

 

霞「いやな、ウチも素手の一刀とは何度も手合せしているんやけども、一度たりとも勝てた事がないんや、せやから何か必勝法みたいなものはないかと思ってな」

 

凪「ありません」

 

霞「即答かい!!?いや、隊長至上主義の凪やったら一刀の弱点なんて死んでも言わへんか・・・・・」

 

凪「なんですか、隊長至上主義って・・・・・」

 

悠「その通りだろう♪」

 

鈴々「その通りなのだ♪」

 

凪「止めて下さい、悠さん、鈴々さん!!私は率直に自分の感想を申し上げただけです!!//////////」

 

華琳「うふふ♪恥ずかしがっている凪、可愛いわね♪」

 

凪「華琳様まで//////」

 

純夏「でも、興味はあるわね」

 

思春「ああ、何か攻略の糸口が見つかるかもしれん、凪が知っている事を全部教えてくれないか?」

 

明命「私が見たところ、一番怖いのは組技と関節技だと思うんですが・・・・・一度一刀様に組まれてしまったら、そこから逃げ出す事は至難の業ですし」

 

悠「流石当代きっての種馬だな♪一度摑まえた女は逃さないってか♪」

 

明命「はうあ!!?私はそのような意味で言ったわけでは!!///////////」

 

凪「いいえ、北郷流無刀術で本当に恐ろしいのは、投げ技でも組技でも関節技でもありません・・・・・蹴り技です」

 

思春「蹴りだと?」

 

凪「はい・・・・・隊長は、これまでずっと旅をしてきていますので、下半身の力が我々が常識にしているそれを圧倒的に上回っています、おまけに相手の武器を躱し懐に入る技術にかけては右に並ぶ者はいませんし、かといって攻撃を躊躇っていては、あっという間に武器を破壊されてしまいますし、当身や一番怖い蹴りで、それこそ一撃で沈められてしまいます・・・・・」

 

霞「なるほどな、こりゃ弱点なんて無いと思った方がええかもな・・・・・」

 

凪「はい、本来、無刀術に得手、不得手はありません、さっき私が言ったのはあくまで個人的な感想ですので、合っているかどうかは分かりませんけど」

 

悠「なるほど♪だから閨であたし達が束になっても、まるで敵わないわけか♪」

 

凪「////////////////////」

 

そんなこんなで、一刀攻略会議?をしている中で手合せは終わる

 

時雨「お茶をどうぞ、旦那様♪」

 

月「ご主人様、おしぼりをどうぞ♪」

 

雫「お疲れ様です、一刀様」

 

村長「やはり英雄王様と言われるだけありますなぁ~~♪」

 

雪蓮「も~~~~、どうして当たらないのよ~~~・・・・・」

 

一刀「おいおい、当たったら死んじまうだろうが」

 

雪蓮「それはそうだけど、一太刀くらい当たっても不思議じゃないと思うんですけど~」

 

華佗「いくら俺がいるからって、あまり無茶な事はしないでくれよ、即死されちゃあいくら五斗米道でも治しようがないからな」

 

春蘭「くっそ~~~~、素手の相手にこれでは話にならん!」

 

翠「ほんと不思議だぜ、あたしの銀閃も掠りもしないし」

 

愛紗「ご主人様と手合わせをしているだけでも、我々も学ぶ事は数知れないです♪」

 

思春「北郷流無刀術か・・・・・私も習ってみるか」

 

明命「私も習ってみたいです♪」

 

冥琳「ふむ、凪を見ていると、習うのも悪くないか」

 

恋「恋も、素手でご主人様に勝てた事・・・・・無い」

 

明命「はうあ!!?恋さんでもですか!!?」

 

嵐「そうだな、素手という同条件で一刀に勝てるものは、もはや存在せぬかも知れぬな」

 

音々音「認めたくないですが、ねねもこればっかりは同意見です・・・・・」

 

悠「あたしも素手の一刀と試合ったことは何度もあるけど、一刀の実力はこんなものじゃないぞ~~」

 

雪蓮「それなら、私も習ってみようかしら♪」

 

純夏「雪蓮が習うなら私も♪」

 

一刀「・・・・・言っておくけど、俺は凪に無刀術なんて一切教えていないからな」

 

思春「なに!?」

 

明命「それはどいうことですか!?」

 

凪「はい、私が隊長から教わっているのは、無刀術を構成する空手、柔術、忍術の基礎と縮地の干支の型だけです」

 

一刀「俺だって、こんな人殺し専門の技なんて誰かに教えるのは気が引けるしな・・・・・だから、俺から学ぶことが強くなる事だなんて思わない方がいいぞ、人には向き不向きがあるんだし」

 

「・・・・・・・・・」

 

そう言われてしまうと、習うことを躊躇してしまいそうになる一同

 

その時

 

華琳「あら?あれは流星?」

 

桃香「本当だ!」

 

天角から見て東側の空に二つの流星が落ちていった

 

雪蓮「これは一体どういう事なのよ!?一刀、何か知ってるの!?」

 

一刀「分からない、俺も唐突にこの世界に来ているからな・・・・・俺もあんな風に来たのか・・・・・」

 

蓮華「また、新しい天の御遣いが来たのかしら?」

 

葵「おいおい、これ以上御遣いが必要なのかよ?」

 

聖「ええ、三国は和解しているし、今更新しい天の御遣いが必要とも思えないわ」

 

菖蒲「いずれにせよ、一刀様以外の天の御遣いなんて、認めません」

 

零「あれは・・・・・豫州辺りに落ちたわね、一応調査をしましょうか?ご主人様」

 

一刀「ああ、俺も気にはなるからな・・・・・」

 

杏奈「でも、ただの流星かもしれませんよぉ」

 

鈴々「うんうん、これ以上天の御遣いが来たって意味ないのだ」

 

雪蓮「・・・・・それじゃあ、か~~~~ずと♥」

 

一刀「な、なんだよ・・・・・」

 

いきなり色っぽい艶声を出し身を寄せてくる雪蓮だが、こういった時はたいてい何か嫌な予感がする

 

雪蓮「今夜の相手は誰にするのぉ~~~♥早く決めちゃってぇ~~~♥////////」

 

一刀「んなっ!!?」

 

雪蓮「もちろん、これだけいるんだから一人だけだなんて言わないわよねぇ~~~♥////////」

 

華琳「一刀、まさか私を選ばないなんて言い出すんじゃないわよねぇ~~~♪」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

桃香「ご主人様♥ちゃんとみんなを可愛がってくれないといけないよ♥////////」

 

凪「//////////////////////」

 

村長「早く孫の顔を見せて下され、一刀殿♪ワシはそれだけが何よりの楽しみなのですじゃ♪」

 

一刀「えぇ~~~~と、その、あの・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???「ふぅ・・・・・ようやくここまで来れたな」

 

???「ええ、あの三人もやってくれます、ここまで念入りに外史に鍵をかけてくれて・・・・・ここに来るだけでも一苦労でした」

 

ここ、豫州に二人組の法衣を着た男が立っていた

 

???「まったく、どうしてこんな苦労をしてまでたった一つの外史に来なければならんのだ」

 

???「仕方ないでしょう、既にこの外史を起点として複数の外史が生まれようとしています、これ以上この外史を放置しておけば更に新たな外史が生まれ、更にその外史によって生まれた外史によって更に新たな外史が量産されることになってしまいます」

 

???「ちっ、目障りな!こうなったら即効でこの外史を叩き潰して、この地獄のような管理者生活から自由になるぞ!」

 

???「ふふふふ、そんなに熱くなるあなたも素敵ですよ」

 

???「殺すぞ、ホモ眼鏡!!」

 

???「これはつれないですね」

 

???「ふんっ!・・・・・それより、この外史の北郷は三国を統一したのか?はたまた同盟でも組ませたのか?それともまだ途中か?」

 

???「その点に関しましては、これから調査する必要がありますが、我々がこの外史に来る為に費やした時間からして・・・・・もう三国を和解させていてもおかしくない頃合ですか」

 

???「そうか・・・・・ならすぐ行くぞ」

 

???「しかし気をつけてくださいよ、聞いた話によりますとこの外史の北郷一刀の性能は限りなくチートに近いものらしいですからね」

 

???「それはそれでやりようがある、今まで何回かそういった北郷とはやりあっているからな」

 

???「そして、その殆どに返り討ちにあってきましたがね・・・・・」

 

???「うるさい!!今度はしくじらん!!とっとと行くぞ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、夜

 

華琳「うふぅ~~~~~ん♥♥♥んんぅ~~~~~~ん♥♥♥////////////」

 

桃香「はうぅぅぅぅんご主人様ぁ~~~~♥♥♥//////////」

 

雪蓮「一刀ぉ~~~~~♥♥♥愛してるぅ~~~♥♥♥//////////」

 

冥琳「あうん♥♥ああん♥♥♥一刀ぉ~~~~♥♥♥//////////」

 

杏奈「ご主人様ぁ~~~~♥♥♥//////////」

 

雫「一刀様ぁ~~~~♥♥♥はぁ~~~~♥♥♥//////////」

 

蓮華「一刀ぉ~~~♥♥♥もっと強く抱いてぇ~~~~♥♥♥//////////」

 

純夏「もっと激しくしてぇ~~~♥♥♥一刀ぉ~~~~♥♥♥//////////」

 

愛紗「くふぅぅぅぅぅん♥♥♥愛してますぅ♥♥♥ご主人様ぁ~~~~♥♥♥//////////」

 

翠「ふあぁぁぁぁ♥♥♥だめぇご主人様ぁ~~~~♥♥♥////////////」

 

凪「あんっ♥♥♥隊長ぉ~~~♥♥♥//////////」

 

と、一刀の布団の中には総勢11人の美女達が一刀を囲み幸せそうに寝息を立てていた

 

普段使っている布団ではこれだけの人数は入りきらないため、こんな時の為に専用の布団を拵えていた

 

余りに濃い伽により11人は寝ている間も頬を赤く染めている

 

きっとそれぞれ種類は異なるが幸せな夢を見ているのであろう

 

一刀も雷刀との死闘で既に吹っ切れていた為、彼女達の好意を無下にすることはもはやなくなっていた

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

しかし、それでも時々考えてしまう

 

この世界に自分がいる意味を

 

雫「うぅ~~ん♥♥♥一刀様ぁ~~~♥♥♥//////////」

 

杏奈「ご主人様ぁ~~~~♥♥♥大好きですぅ~~~♥♥♥//////////」

 

冥琳「ふぅぅぅぅん♥♥♥一刀ぉ~~~♥♥♥//////////」

 

凪「隊長ぉ~~~♥♥♥お慕いしていますぅ~~~~♥♥♥//////////」

 

一番近くに寄り添うこの4人を起こさないように、そっと布団から出ていく

 

北郷流無刀術の戦闘装束に身を包んだ一刀は部屋を退出していった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、来たのは中庭

 

空には、宝石箱をひっくり返したかのような一面の星々

 

そんな輝ける夜空を見上げながら一刀は物思いに耽る

 

一刀「・・・・・いつまでも、こんな事が続くはずないよな・・・・・」

 

吹っ切れたといっても、今でも夢に見る、自分が殺してきた人々が自分に迫り来る悪夢を

 

一刀「・・・・・こぉぉぉぉぉぉ」

 

そして、両腕を前に差し出し、左足を半歩に出し、氣を全身から少しずつ解放する

 

一刀「一身、これ刀なり・・・・・肌は、刃紋 骨は、芯金 背骨は、棟金 背中は、庵 頭は、柄頭 首は、目釘 鎖骨は、切羽 胸は、刃金 脇は、鎬 腹は、柄 腰は、縁 膝は、峰 踵は、横手 足先は、帽子 肩は、鍔 肘は、刃 拳は、刃先 指は、切先・・・・・」

 

無刀術の鍛錬する時の心構えを口に出し全身に氣を巡らせ終わり、一刀は動き出す

 

当身、蹴当、縮地、バク転、空中蹴当、裏拳、回し蹴り

 

未だに抱える迷いを振り払うが如く、体を動かしていく

 

空手のパワー、忍術のスピード、柔術の体捌きが一体となり、ある一つの形を形成していく

 

それは、素手でどう効率的に人を殺せるか、それのみを追い求める殺人拳という形

 

技の型や蹴りと当身の連続技の流れ、山賊狩りをしていた時期に身に着けた身体能力

 

普段の三国の将達との手合せにより明確な敵をイメージすることが出来るようになっているため、敵が仕掛けてくる攻撃を躱し受流しカウンターで攻撃も繰り出す

 

剣、槍、弓矢による攻撃を想定しイメージの中の敵の攻撃に対処していく

 

心が無になっていき無意識の内にでも体が勝手に敵を倒してくれる域に押し上げられていく

 

そんな一人稽古を2時間ほどつづける

 

一刀「しっ!!」

 

左前蹴りを繰り出しそのままの体勢を維持し続ける

 

一刀「ふぅぅぅぅ・・・・・」

 

そして、一通りの稽古を終え息を整え、姿勢を正した一刀は再び夜空を見上げる

 

その時

 

雷刀(よう俺、こんな夜中に一人稽古とは殊勝なことだな)

 

一刀「(・・・・・雷刀か、お前と話すのは五胡との戦い以来か)」

 

心の中から、自身の罪の意識、負の化身、裏の自分が問いかけてきた

 

雷刀(そんな事はどうでもいい・・・・・それよりどうだ、歴史を壊し続ける感想は)

 

一刀「(言っただろう、この世界は俺達の知っているそれとは別物だって)」

 

雷刀(果たしてどうかな?管輅が見せた歴史にもあったろう、世界の歴史を変え過ぎて消滅した自分がいることを)」

 

一刀「(お前も見ていたのか!?)」

 

雷刀(ああ・・・・・正直、今でも半信半疑だがな・・・・・)

 

一刀「(その点に関しては同感だ・・・・・俺みたいな奴が何十、何百もいると思ったら、気が狂いそうだ)」

 

雷刀(全ての俺達がそうというわけではなさそうだがな・・・・・)

 

一刀「(この世界に来た時に彼女達と出会っていれば、こんな事にはならなかったのかな・・・・・)」

 

雷刀(今更何を言う、他の世界の自分がどうのこうのなんて関係ない、この世界でお前がしてきた無茶苦茶な行いが覆るわけじゃないんだよ・・・・・さっき自分で言っていたろう、いつまでもこんな事が続くはずがないと)

 

一刀「(・・・・・・・・・)」

 

雷刀(まぁ、終わりの時までせいぜい誰かが身篭ることがない事を祈るんだな)

 

そして、雷刀の声は聞こえなくなった

 

一刀「・・・・・じいちゃん・・・・・俺は本当にここにいていいのか?」

 

星空から答えは返ってこず、一刀は世が明けるまで星空を見上げていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、世が明ける

 

 

 

葵「それにしても、仲いいなお前ら~♪」

 

白蓮「ああ♪三国の王様達の仲がこれほど進展しているのは喜ばしいことだ♪」

 

嵐「私は思いもよらなかった、雫があれほど飢えているとは・・・・・」

 

聖「これでこの国も安泰ね、私も安心して隠居できるわ♪」

 

柊「それでどんな感じだったんですか?どんな事をしたんですか?」

 

雛罌粟「もちろんあんな事やそんな事を滅茶苦茶にしちゃうんですよね~~~♪ああ~~、想像しただけでキュンキュンしちゃうよ~~♪」

 

朱里「雫ちゃん、そんな事しちゃうんだ~~//////////」

 

雛里「はうあう~~///////////」

 

稟「あ、ああ・・・・・皆さんがあのようなお姿で、くんずほぐれずぶーーーーーーーーー!!!!」

 

雫「////////////////////」

 

桃香「////////////////////」

 

愛紗「////////////////////」

 

杏奈「////////////////////」

 

純夏「////////////////////」

 

蓮華「////////////////////」

 

翠「////////////////////」

 

凪「////////////////////」

 

華琳「うふふふ♪どうやら全員、私色に染められているみたいね♪」

 

雪蓮「そうなの?あたしは昨日の事何も覚えてないけど・・・・・冥琳はどうなの?」

 

冥琳「・・・・・何も聞くな////////////////////」

 

恒例の早朝会議の為に逆座の間に集まる一同

 

しかし、どうも様子がおかしい、三国の将達がそろって一刀と閨を共にするのはこれが初めてではないはずなのに、殆どの将は羞恥心全開な表情をしている

 

そこに無刀術の戦闘装束の一刀が入ってくる

 

一刀「遅れてすまない」

 

「・・・・・・・・・・」

 

一刀「悪いな、こんな格好で、実は昨日途中で目が覚めてしまって朝まで稽古していたんだ」

 

「・・・・・・・・・・」

 

一刀「さて、今日の会議をとっとと済ませてしまおうか」

 

「・・・・・・・・・・」

 

一刀「・・・・・って、どうしたんだ?」

 

桃香「あの・・・・・お兄さん、誰?」

 

一刀「は?いきなり何を言い出すんだ?」

 

雪蓮「それはこちらの台詞よ!いきなり入ってきて何様のつもりよ!」

 

一刀「何を言い出すんだ?雪蓮」

 

雪蓮「はあああ!!!」

 

南海覇王を抜き、連続突きで一刀の腹、喉、眉間を突き分ける

 

一刀「うおっ!!?」

 

雪蓮「あら、今のを躱すなんて、やるじゃない」

 

一刀「いきなりなんだ!!?危ないじゃないか!!」

 

蓮華「貴様、姉様の神聖なる真名を口にするとはどういう了見だ!!?」

 

小蓮「そうだよ!!顔はシャオ好みだけど、こればっかりは許せないよ!!」

 

華琳「人の、しかも三国の王の真名をいきなり呼んで攻撃されない方がおかしいと思わないのかしら?」

 

一刀「華琳まで何をうおお!!!?」

 

いきなり大鎌、絶の刃が飛んでくる

 

華琳「見上げた根性ね、初対面でいきなり真名を呼ばれるなんて屈辱は初めてよ、覚悟は出来ているんでしょうね」

 

一刀「朝から冗談は止めろ!!稽古なら後で付き合ってやるから!!」

 

華琳「稽古ですって!!?舐められたものね・・・・・春蘭!!こいつの首を叩き落としなさい!!」

 

春蘭「はっ!!!覚悟しろ貴様、首を落とすだけでは物足りん、八つ裂きにしてくれるわ!!!」

 

そう言いながら、示現流蜻蛉の構えで一刀の首に狙いを定める春蘭

 

春蘭「チェストーーーーーーーーーーーー!!!!!」

 

この掛け声とともに渾身の袈裟切りを繰り出す

 

自身の君主の真名を汚された怒りも手伝い、その速度は神速を超える

 

しかし

 

春蘭「なにぃ!!?」

 

その斬撃は空を切る

 

七星餓狼が捉えたのは一刀の残像だった

 

一刀「おいおい!!どうしたんだ皆!!?」

 

思春「訳の分からないことをぬかすな!!!」

 

明命「そうです!!あなたなど知りません!!」

 

悠「どうやって侵入してきたかは知らないが、あたしも真名に関しては厳格を通しているからな、ただで帰れると思うな」

 

それぞれの将が抜き身の武器で一刀に襲い掛かる

 

シュバババババ!!!

 

思春「なに!!?」

 

明命「はうあ!!?」

 

悠「おお!!?やるじゃないか♪」

 

その連携を一刀は巧みに躱す

 

しかし、どの攻撃も常に急所を狙った一撃必殺の攻撃である

 

ここまでくると、流石に冗談ではない

 

桃香「あの・・・・・いくらなんでも初対面で真名はないと思いますよ・・・・・」

 

一刀「桃香までうわっと!!?」

 

今度は偃月刀の刃が飛んでくる

 

愛紗「き・さ・ま~~~、我らが王をどこまで愚弄するか!!!?」

 

焔耶「桃香様の真名を汚して、ただで済むと思うな!!」

 

星「どうやら、この国の常識を体に叩き込んでやる必要がありそうだな」

 

鈴々「覚悟するのだ!!」

 

一刀「止めろ!!朝から何をふざけているんだ!!?雫も零もなんとか言ってくれ!!」

 

雫「っ!!」

 

零「っ!!」

 

一刀「・・・・・雫、零・・・・・」

 

信じられなかった、自身の専属軍師、天の御遣いの片腕と自身で称している雫と零が、物凄い気迫で自身の武器を向けてきたのだ

 

雫「私達は、真名で呼び合う間柄ではないはずです」

 

零「誰だか知らないけど、今取り消せば鞭百叩きですむわよ」

 

一刀「・・・・・俺が、分からないのか・・・・・雫、零」

 

雫「だから真名で呼ばないでください!」

 

零「どうやら、死刑宣告の方が良かったみたいね」

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

玉座の間の全ての将達が自身に向けて各々の武器を向け殺気を放つ

 

いや、これは殺意と言ってもいい

 

時雨「・・・・・あの、今取り消せば皆さんも許してくれるかもしれませんよ」

 

村長「そうですじゃ、早く謝った方がいいですぞ・・・・・」

 

一刀「時雨・・・・・村長まで・・・・・」

 

時雨「・・・・・どうして、私の事まで真名で呼ぶんですか?」

 

村長「もはや庇いきれませんじゃ、同情の余地はありませんぞ・・・・・」

 

三国及び天角全ての将達が自身に向けて武器を突き出してきた

 

一刀「くっ!」

 

そして、一刀は縮地で玉座の間から飛び出す

 

純夏「逃がさないわよ!!」

 

美羽「無礼な奴なのじゃ!!七乃!!彩!!追いかけるのじゃ!!」

 

七乃「はいは~~~い♪」

 

彩「美羽様の真名は呼ばなかった事を天に感謝するのだな、それでも命は無いであろうがな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「くっ!!いったいどうなってるんだ!!?」

 

昨日まで何の柵も無く話し合っていた皆の豹変ぶりに一刀は訳が分からずに廊下を走り続ける

 

そして、中庭にでてくる一刀

 

一刀「あ!」

 

そこには、紫苑の娘の璃々に南蛮の猫人達、そして天角四大将軍の一人の恋とその専属軍師の音々音、そしてセキトと張々が楽しそうに遊んでいた

 

一刀「皆!!!」

 

璃々「え?」

 

みい「な、なんなのにゃ!?」

 

恋「・・・・・?」

 

音々音「ど、どうしたのです!?」

 

一刀「璃々ちゃん!俺の事が分かるか!?言ってみてくれ!俺が誰か!?」

 

大分慌てているのか、一刀は璃々の両肩を掴み必死に問いかけた

 

璃々「な、何を言ってるの?怖いよ、痛いよ、お兄ちゃん・・・・・」

 

一刀「・・・・・そんな・・・・・恋、ねね、みい、俺の事が分かるか!?」

 

みい「何を言っているのにゃ?みいはお前なんて知らないのにゃ」

 

音々音「ねねも知らないのです!」

 

恋「・・・・・どこかで、会った事ある?」

 

音々音「そんな事はありえないのです!ねねは、恋殿が真名を預けている人物は全て記憶してるです!こいつはその全てに該当しないのです!」

 

恋「・・・・・ねねが言うなら間違いない・・・・・お前、恋の真名を勝手に呼んだ」

 

方天画戟を肩に担ぎ、殺気を向けてくる恋の目は、黄巾党三万人切りを成し遂げた飛将軍のそれへと変貌していく

 

セキト「ヴゥ~~~~~~!!ガウガウガウガウ!!!」

 

張々「バウ!!バウンバウンバウン!!!」

 

最初に会った頃から懐いていたセキトと張々も牙を剥き出しにし、一刀を威嚇する

 

これは、三国の将達全てが自分の事を忘れている

 

紫苑「あ!!璃々をどうするのです!!?」

 

焔耶「おい!!璃々を離せ!!」

 

桔梗「我らが君主の真名を汚した挙句人質を取るとは、よほど死にたいと見えるな!!」

 

一刀「違う!!俺は・・・・・」

 

秋蘭「問答無用!!はあっ!!」

 

紫苑「やあっ!!」

 

祭「ふっ!!」

 

三国を代表する弓の名手達が一斉に一刀の背中目掛けて矢を発射する

 

一刀「くぅ!!」

 

紫苑「え!!?」

 

秋蘭「なに!!?」

 

祭「なんと!!?」

 

一刀は璃々を抱き抱えたまま、三人の矢をかわしていく

 

一刀「ごめんね璃々ちゃん、危ないから離れて!」

 

璃々「う・・・・・うん」

 

そして、璃々を下ろし距離を取る

 

桔梗「離れた!!これでもくらえ!!」

 

一刀「っ!!?」

 

真桜の手により強化された豪天砲

 

流石にこれを一発でもまともに食らえばそれだけで即死である

 

一刀「ふっ!!」

 

ガキン!!!

 

桔梗「なにっ!!?」

 

前方向に氣の壁を作り出し、豪天砲から放たれる砲弾を弾き返す

 

凪「なんだ、あれは・・・・・物凄い氣の練度だ・・・・・」

 

一刀「・・・・・くっ!!」

 

蒲公英「あ!今度は街の方に逃げたよ!」

 

嵐「おのれ逃すか!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「・・・・・どういうことなんだ、これは」

 

皆の攻撃を掻い潜り街に飛び出す

 

そこにはいつもと変わらぬ風景、自分達が築き上げた街並み、行き交う人々、活気ある天角

 

そして、警邏に励む自分の部隊、北郷隊の姿

 

しかし、城から出てきたというのに誰も自分に目もくれない

 

今まで幾度も街には顔を出し、城の近辺に顔見知りじゃない人間はもういないといっても過言ではないのに、誰も自分に声すらかけない

 

そこには、自身の副官である徐栄と張済もいた

 

一刀「徐栄!!張済!!俺の事が・・・・・」

 

沙和「あ~~~!!!いたの~~~~!!!」

 

真桜「徐栄はん、張済はん、そいつをふん縛りい!!!」

 

徐栄「は!?何事でしょう!?」

 

凪「そいつは不法侵入者です!!挙句の果てに我らが君主の真名を汚した不届き者です!!」

 

張済「なんですと!!?」

 

徐栄「そのような暴挙、許すまじ!!!」

 

北郷隊副官の指示のもと、徐栄、張済を含む北郷隊兵士達は一斉に一刀に襲い掛かる

 

一刀「ふっ!」

 

沙和「あ!!?また逃げたの!!」

 

真桜「うそやろ!!うちらの部隊の包囲網を躱すなんて、ありえへんで!!」

 

凪「なんという速さだ・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「くそっ!本当にどうなっているんだ!?誰か俺を知っている奴はいないのか!?」

 

三国の将達の追跡を躱しつつ何処かに自分を知っている人物がいないか必死で探す一刀

 

一刀「・・・・・あっ!」

 

そして、目に飛び込んできたのは、天角に設置された特設ステージでの張三姉妹によるライブだった

 

天和「みんな~~~♪♪♪今日も盛り上がっていこうね~~~♪♪♪」

 

地和「みんなの妹、地和ちゃん行っきま~~す♪♪♪」

 

人和「数え役満シスターズ、天角舞台、開始です♪♪♪」

 

「ほわ~~~~~~~~~~~♪♪♪♪」

 

今日は朝早くからのライブが開催されていているが、そんなことは言っていられない状況である

 

一刀「天和!!!地和!!!人和!!!」

 

天和「え!!?」

 

地和「ちょっと!!?」

 

人和「な、なに!!?」

 

盛り上がる舞台にも関わらず一刀はステージに乱入し天和の両肩を掴む

 

一刀「天和、俺の事が分かるか!!?分かると言ってくれ!!」

 

天和「い、痛い!!痛いよ!!いったい誰なの!!?知らないよ~~~!!」

 

地和「ちょっと!!天和姉さんに何してるのよ!!?せっかくの舞台を台無しにしてくれて、どういうつもりよ!!?」

 

人和「そうです!!いくら私達のファンでもこれはやり過ぎです!!」

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

観客からも、自分に対して罵詈雑言の嵐が吹き荒れる

 

自分も今までこのステージで何度も講演に参加しているので、観客の中に自分を知らない人間なんて殆どいないはずである

 

その時、背後から気配を感じた

 

一刀「うっ!」

 

自分の背中に寸分の狂いもなく飛来する矢を掴む

 

秋蘭「貴様!!天和達から離れろ!!」

 

季衣「ちいちゃん!!僕達が助けてあげるよ!!」

 

流琉「人和さん!!その人から離れてください!!」

 

一刀「・・・・・くっ!」

 

そして、天和を離し舞台から飛び出した一刀は再び逃走する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「・・・・・一体どうしてしまったんだ、何が起きた?何が起きているんだ?」

 

これまで自分が築き上げてきたものが一気に崩れ去っていく恐怖、絶望感と戦いながら一刀は自分を知っている人物を探し求める

 

一刀「・・・・・あ!!」

 

そして、街の郊外に差し掛かる直前の薬剤店に自分の体の事を誰よりも知っている人物を見つけた

 

一刀「華陀!!!」

 

華陀「ん?」

 

一縷の望み、最後の希望をこの親友に賭け一刀は声をかけた

 

一刀「華陀、お前なら覚えているだろ俺の事を!!頼む、覚えていると言ってくれ!!」

 

親友の両肩を掴み、前後左右に揺さぶり必死の思いで訴える

 

華陀「おいおい、何を言っているんだ!!?」

 

一刀「良かった、覚えていてくれたか」

 

その反応を見て、安堵する一刀だったが

 

華陀「・・・・・すまないが、俺達は初対面だと思うぞ」

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

一縷の希望は、あっけなく崩れ去ってしまった

 

華陀「もしかして、前に俺が診た患者か?どこか悪くしたのか?それとも親族の誰かが病魔に侵されているのか?」

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

笑顔でこちらの状況を訪ねてくる華陀は、本気でこちらの心配をしているいつもの華陀だった

 

それがかえって心に突き刺さり、一刀はフラフラしながら華陀から離れていく

 

華陀「おいおい、一体どうし「そこまでよ!!!」・・・・・え?」

 

麗羽「ついに追い詰めましたわよ!」

 

斗詩「覚悟はいいですね!」

 

猪々子「あたいの斬山刀の錆になりな♪」

 

華陀「な、何があったんだ!!?」

 

いつの間にか周りは三国の将達と北郷隊によって囲まれていた

 

純夏「覚悟しなさい、あたしの炎で燃やし尽くしてやるわ」

 

紅蓮槍の先端には既に真っ赤な焔が立っていた

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

その焔を一刀は虚ろな目で見つめる

 

純夏「なによ、もう抵抗しないの?・・・・・ならここで潔く燃やされなさい!!」

 

槍の先の焔が一気に大きくなり、それを一刀に投げつける

 

純夏「はあああああああああ!!!紅蓮晃!!!」

 

ゴアアアアアアアアアアアアア!!!!

 

その焔は一刀に直撃しあっという間に火達磨にする

 

華佗「おいおい!!いくらなんでもやり過ぎだろ!!」

 

華琳「何言ってるのよ、これくらい当然よ」

 

桂花「華琳様の真名を汚したんですもの、苦しみぬいて死ぬがいいわ!」

 

華佗「だがしかし・・・・・なにっ!!?」

 

ブオオオオオオオオオオ!!!

 

いきなり巨大な氣の渦が巻き起こり、燃え上がる焔が払われていく

 

純夏「うそでしょ!!?あたしの最強の技が・・・・・なによこれ・・・・・」

 

桃香「・・・・・綺麗」

 

それと同時に自分達の周りに舞い落ちる白銀の羽

 

そこには、回天丹田を発動し薄皮一枚まで氣を絞り込んだ無傷の男が佇んでいた

 

愛紗「な、なんという氣だ・・・・・」

 

祭「これほどの氣力、見たことがないぞ・・・・・」

 

回天丹田による圧倒的な気力の前に一同は後退りするが

 

葵「なるほど、それが切り札か、久しぶりに俺の出番が来たみたいだな♪」

 

恋「・・・・・恋も行く」

 

翠「母さんが行くのか!!?」

 

蒲公英「お兄さん残念だったね~♪叔母様と恋が相手じゃ終わったも同然だよ~♪」

 

音々音「年貢の納めどきなのです♪」

 

大刀、戦皇刀姫を両肩に担ぐ葵と、方天画戟を肩に担ぎ恋が前へ出る

 

一刀「・・・・・っ」

 

しかし、回天丹田が解除され、羽のような氣の粒子は消えていった

 

葵「おいおい、なんで止めるんだよ、これからが面白いところなのによ」

 

恋「・・・・・なんで、止めるの?」

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

二人の問いかけに対して、一刀は俯いたままで何も答えなかった

 

焔耶「おい!!なんとか言ったらどうなんだ!!」

 

霞「せやで、今のうちに言いたいこと言っておかんと後悔するで」

 

一刀「・・・・・っ!」

 

シュバッ!!

 

蓮華「う、うそ!!?」

 

菖蒲「と、飛んだ!!?」

 

縮地法、酉の型蔦歩で外壁を飛び越えた一刀は天角から逃走していった

 

「・・・・・・・・・・」

 

一同は、暫くの間呆然とその場に佇んでいた

 

華琳「・・・・・はっ!!?ちょっと、ぼ~としてないで、早く追跡部隊を編成しなさい!!」

 

雪蓮「ちょっと待って、華琳!!あんなの捕まえられると思っているの!!?」

 

華琳「捕まえられるかどうかは関係ないわ!」

 

穏「そうですよ~、このままでは私達の面目は丸潰れです~!」

 

小蓮「ぜ~~~~ったい逃がさないんだから~~!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

華琳「桂花、三国全体に触れを出しなさい!!なんとしてもあの不届き者を探し出すのよ!!」

 

桂花「はっ!!華琳様の真名を汚した罪、万死に値します!!」

 

零「まったくあったまくるわね、捕まえたらどんな刑罰をくれてやろうかしら、今のうちに考えたほうがいいわね」

 

冥琳「街に賞金首の張り紙を出しておけ、絶対に逃さないぞ!!」

 

雪蓮「・・・・・でも、あたしちょぉ~~~~と見逃しちゃってもいいかも♪」

 

蓮華「お姉様!!何を言い出すのですか!!?」

 

小蓮「そうだよ!!勝手に真名を呼ばれて怒らないの!!?」

 

雪蓮「それはそうだけど・・・・・結構いい男だったじゃない♪」

 

蓮華「そんな理由で・・・・・」

 

雪蓮「それに、あたし達が全員で仕掛けて掠り傷一つ負わなかったんだから、その腕は認めるべきなんじゃない?」

 

蓮華「それは・・・・・そうかもしれないですけど・・・・・」

 

葵「それに関しては同感だな、あれほどの腕をみすみす摘んでしまうのは惜し過ぎるぞ」

 

恋「(コク)・・・・・強かった」

 

零「腕なんて関係ないわよ!!」

 

稟「その通りです!あのような無礼者は、すぐに捕まえて首を落とすべきです!」

 

桂花「絶対に逃がさないわよ、あのケダモノ男!!」

 

三国の将達は玉座の間にて緊急会議を行っていた

 

冥琳「穏、亞莎、街の瓦版屋に賞金首の手配を依頼しておけ!!」

 

穏「はいはい~♪」

 

亞莎「分かりました!」

 

月「・・・・・でもあの人、私達の事を知っているみたいでしたよ、話だけでも聞いてみたらどうでしょう」

 

桃香「うん、なんだか必死みたいだったし、それくらいなら・・・・・」

 

百合「それに、凄く悲しそうでしたよ~・・・・・」

 

璃々「お母さん~、璃々もあの人は悪い人じゃないと思うよ~・・・・・」

 

詠「月は、勝手に真名を呼ばれたら怒らないの?」

 

月「それは・・・・・」

 

愛紗「桃香様も甘過ぎです、ああいった輩には鉄槌を下さねばなりません」

 

朱里「百合お姉さんは、優し過ぎましゅ!」

 

冥琳「お主達は、自身の真名を汚されて、なぜそういった悠然な態度を取っていられるんだ?」

 

純夏「そうよ、自分達がどれだけ異常な事を言っているのか解ってるの?」

 

紫苑「璃々、知らない人の真名を呼んではいけませんと、常日頃から言っているでしょう?」

 

月「・・・・・・・・・・」

 

桃香「・・・・・・・・・・」

 

百合「・・・・・・・・・・」

 

璃々「・・・・・・・・・・」

 

亞莎「金額はいくらにしましょうか?」

 

冥琳「そうだな、我らが主の真名を汚したんだ・・・・・三十万銭といったところか」

 

桂花「手緩いわ!!桁をもう2つ足しなさい!!」

 

冥琳「な!!?三千万銭だと!!?城一つが建てられるぞ!!」

 

一銭は、現代の価値に換算すると100円、価値にして30億円だが、この時代の物価水準で言えば一生遊んで暮らせるほどの金額である

 

零「悪くないわね、いいわよ、三千万ね」

 

冥琳「おいおい!!そんなことをして大丈夫なのか!!?」

 

斗詩「それくらいの金額なら余裕で払えますよ」

 

音々音「そうなのです、そんなものこの天角からすれば、端金です」

 

冥琳「・・・・・いったい天角の月の税収はいくらなんだ」

 

途方もない天角の資金の潤沢ぶりに冥琳は空いた口が塞がらなかった

 

猪々子「なあ雫、ここに置いてある資料邪魔だろ、退かすぜ」

 

雫「いいえ、まだ置いておいてください、まだ処理は終わっていませんから」

 

詠「ああ、そこの机に置いてある資料、全部処理が済んでいるわよ」

 

雫「え?そうなんですか?」

 

時雨「それは助かりますね・・・・・それで、誰が処理したんですか?」

 

詠「それが分からないのよ、他の皆にも聞いてみたけど、誰も知らぬ存ぜぬで・・・・・」

 

月「見てみましたけど、書式は完璧ですよ♪」

 

風「はい~、これは文句の付けようがありませんね~♪これを処理した人はかなり優秀な人ですね~♪ぜひ欲しい人材ですよ~♪」

 

時雨「・・・・・・・・・・」

 

雫「・・・・・・・・・・」

 

きっちり整理された資料の山から一冊取り出し読んでいく二人

 

真面目で、堅実で、力強く、それでいて優しい筆跡だった

 

風の言う通り、野に放しておくのは惜しい人材といえよう

 

しかし、ふとその見慣れない筆跡に触れた瞬間

 

稟「ど、どうされたのですか!?雫殿、時雨殿!」

 

雫「あ、あれ・・・・・私・・・・・」

 

時雨「・・・・・これは、その・・・・・あの・・・・・」

 

眼から大粒の泪がこぼれ持っている資料に落ち、資料に書かれた筆跡を溶かしていく

 

朱里「ど、どうしちゃったの?雫ちゃん」

 

雛里「なんで泣いてるの?」

 

雫「い、いいえ・・・・・これは、その・・・・・」

 

菖蒲「どうされたんですか?時雨さん」

 

時雨「ごめんなさい、菖蒲様・・・・・なんだか、胸の奥が熱くなって・・・・・」

 

菖蒲「・・・・・・・・・・」

 

誘われるままに机に積まれた資料を手に取り、見慣れない筆跡で書き込まれたページをめくっていくと

 

雪蓮「ちょ、ちょっと!菖蒲までどうしたのよ!?」

 

菖蒲「あ、あれ・・・・・どうしてしまったのでしょう・・・・・」

 

どんなに拭っても、止めど無く溢れてくる泪

 

三人は、自身から流れ落ちる泪に戸惑いながら玉座の間を見渡した

 

何故だか、普段より一回りくらい広くなったような、前より静かになったような

 

一番傷付けてはならない人を傷付けてしまったような、そんな気がしてならなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうもSeigouです

 

今度はいきなり鎮魂の修羅をすっとばして、北郷伝外伝を書く事になりました

 

なぜにいきなりこっちに行くのかというと、鎮魂の修羅に登場する英雄譚の公式キャラが全部埋まっていないからというのが大きな理由です

 

それさえ埋まれば物語の大まかなビジョンが自分の中で形成されますので、それまでは阿修羅伝の方を書いていこうかと思います

 

さて、開幕早々いきなり英雄王から賞金首へ格下げとなってしまった一刀

 

孤高の御遣い 外史管理者死闘編 開幕です


 
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