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真・恋姫無双 三人の天の御遣い 第二章『三爸爸†無双』 其の五十七

雷起さん

得票数36の翠②のお話です。
おまけ壱 『北郷二刃奮闘記』其の二十二 リクエスト:妹―ク 12票
おまけ弐 『聖刀くんの日常』其の二十一 リクエスト:黄乱   7票
おまけ参 リクエスト:「男装喫茶」へようこそ 12票
となります。

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2014-07-17 08:47:51 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:3241   閲覧ユーザー数:2603

 

第二章  『三爸爸†無双』 其の五十七

 

 

本城 蜀館 翠母娘私室             (時報:桂花七女 柊 生後二十日)

【翠turn】

 

『う゛えぇぇえええぇぇええ!』

 

「…んあっ!?」

 (しつ)の泣き声に、あたしは寝床から跳ね起きた…………ふあぁ……ねむ………。

 ああ…もう夜明けか………疾が生まれてから六年、こうやって泣き声に起こされるのにも慣れたなぁ…………おっと!そんな事より、さっさと疾の所に行ってやらないと!

 あたしは寝台を降りて、隣の疾の部屋に早足で向かう。

 急いで扉を開けると、疾は寝台の上に座りボロボロ涙を流していた。

「疾、またやっちまったか………そう、気にすんなって。」

 そう言ってあたしは、泣いている疾の頭を胸に抱いてやる。

 

 疾が泣いている原因、それはオネショだ。

 

 ここで怒ると余計にオネショが治らなくなる。

 早くオネショを治さなくちゃと焦る気持ちや不安感を取り除いてやる方が近道なんだ。

 自分が経験したんだから間違いない!

 

「ま゛……ま゛まぁ…………」

 

 ああ、もう。涙と鼻水で顔まで大変になってるじゃんか……パンツも濡れたの履いたままだし。

 それでも落ち着いて来たらしく、泣くのを我慢し始めた。

 隣で暮らすひまわりに気付かれたく無いんだろうけど…………さっきの泣き声でたんぽぽは起きただろうな………後で布団を干す時にはバレちまうだろうし………。

 あたしらが暮らす蜀館、曹魏館、孫呉館は、ご主人様が言うには………ええと『あぱーと』……だっけ?

 なんかそんな感じらしい。

 あたしの所の右隣にたんぽぽが住んでて、左隣は愛紗なんだけど今は後宮に引越してるから誰も居ない。

 まあ、廊下に出ちまえば他の奴らの部屋も並んでるんだから、竜胆や白煌とかに気付かれないためにも泣き声は上げられないよな。

 

「ほら、いつも通りまずは風呂に行こうな♪」

 

 抱いていた頭を放して手を握り、疾に寝台から降りる様に促すと、素直に言うことを聞いた。

 泣くのを我慢してるから、時々シャックリをするみたいに体がビクッとなる。

 

「そうだ疾、パンツ脱ごうな。気持ち悪いだろ?」

 

「………うん………」

 このパンツはいつも通りに風呂場で洗うとして………替えのパンツも用意してやらないとっと。

「よし、準備完了。行くぞ、疾♪」

 ……ん?あたしを見上げて動かないぞ?。

「どうした?」

 

「…媽媽………おっぱいが寝巻きから出たまんまだよ………」

 

 ああっ!?…………………………やべ………寝起きで着崩れたままだった………。

 

 

 

 

本城 皇帝執務室

【緑一刀turn】

 

 奥さん達と一緒に子供達を教室に送って、その足で執務室にやって来るのが俺たち三人の朝の日課だ。

 その後は曹魏館に在る学園から、デスクワークに向かう奥さん達と一緒に移動する。

 途中それぞれの仕事部屋に向かうので徐々に人数が減り、最後は俺たちだけになるのだが、今日は皇帝執務室まで翠が一緒にやって来た。

 

「「「どうしたんだ、翠?」」」

 

「あのさ、疾のことで相談が有るんだ。」

 

 おお!子育ての相談!この前の雪蓮といい、最近の俺たちは父親として頼られてる?♪

「「「えっと……もしかしてお漏らしの相談か♪」」」

 

「笑うなよ!本人にとっては深刻なんだぞっ!!」

 

「「「いや、お漏らしを笑ったんじゃなくて、頼られたのが嬉しかっただけだから!」」」

 

「そ、そうか?それならいいけど………」

 翠がこうやって怒るのは、娘の悩みを真剣に取り組んでいるからだろうな。

 それがまた嬉しくて頬が自然と緩む♪

 

「「「それじゃあ教室に戻って疾を駕医の所に連れて行こう。」」」

 

「駕医にならこの間の健康診断で診てもらったよ。病魔は見えなかったそうだから病気じゃないってさ。」

 

 なんだ…………先に駕医に相談してたのか…………当たり前の事なんだけど……釈然としないぞ…………。

 

「生活習慣を改善して、まずは自然に治るのを待ってみる様にって言われたよ。薬や鍼を使うのはそれでもダメな時にしようってさ。あたしもその方がいいと思うんだ。」

「「「俺たちはその生活改善の手助けをすればいいわけだ。」」」

 

 お漏らしを治す生活改善か……頻繁にトイレに行かせる様にすればいいのかな?

 

「駕医から注意事項を書いてもらったから見てくれよ。」

 そう言って翠が懐から紙を出した。どれどれ?

 

『一、起こさない

毎日何度も夜中に起こすと氣の流れを乱し、体が夜中の尿量を調整出来なくなる。

また、夜間の膀胱の溜めを悪くもするので、夜尿がひどくなる原因になる事も有る。』

 

「「「ええ!?子供の為と思って起こすと、却ってオネショが悪化するのかっ!?」」」

「要は体を鍛えるって事だろ。武術と一緒だよ♪」

 ………………翠にはそう考えた方が解り易いのか。

 

『二、怒らない

夜尿はしようと思ってするのではない為、いくら怒っても治るものでは無い。』

 

「あたしは母様によく怒られたから、実感するよ…………疾にはオネショで怒った事は一度も無いぞ♪」

 自分の考えた対策が駕医に認められて気分が良いのか、ドヤ顔で胸を張ってる。

 そうなるとちょっとイジワルをしたくなってしまった♪

「「「へえ、翠は何歳までオネショしてたんだ?」」」

「あたしはな…………なななな、何言ってんだ!いくらご主人様たちでも絶対に教えないぞっ!!」

 ふむ、七歳か。でもそれくらいなら普通に居ると思うけど。

 

『三、焦らない

夜尿の原因は様々である。夜尿の原因は子供毎に違うので、他の姉妹と比べても意味がない。親が焦らない事が大切である。』

 

「「「そうだな、ここは長い目で見て根気よく取り組まないといけないな。」」」

「頼むぜ、ご主人様たち♪」

 その期待に応える為にも、具体的に何をすれば良いか知らないとな。どれどれ、続きは………。

 

『具体的な生活指導

・水分の摂取時間、摂取量に少し注意するべし

習慣的に水分を多く取っている事が漏尿の原因となる事が有る。

咀嚼を疎かにし、水や牛乳で流し込む様な食べ方をしているのならば改善する事。

水分摂取に関しては、心持ち、朝と昼の水分を多めに、夕食時以降の水分や塩分の摂取を控える様に。但し、幼児期は厳しい生活指導は必要無し。』

 

「「「そうか、塩分を摂ると喉が渇くから余計に水を飲んでしまうんだな。一緒に食べる時はご飯の味付けを疾に合わせる様にしよう。」」」

「ご主人様たちって昔から濃い味付けが好みだったけど、大丈夫か?」

「「「疾の為だ!それぐらい平気だって♪」」」

 戦乱の頃に弁当の味付けで塩が足りないって感じてたもんな。

 今は塩田を増やして塩を増産させたから、俺たち好みの味付けが出来る様になったけど。

 スナック菓子をバリボリ食って育った弊害だな…………。

 

『・寝る前には厠に行く習慣を着けるべし

寝る前に厠に行く事は、膀胱に残った尿を空にする意味でとても重要である。

子供が自主的に厠に行く習慣を着ける事。』

 

「「「これは基本だろう。疾は寝る前に厠に行ってるか?」」」

「もちろん。あたしが言わなくても、必ず厠に行ってから寝る様になったよ♪」

 

『・昼間に厠を促さない様にするべし

子供が尿意を我慢しているのに気が付いても、厠に行く様にと促してはいけない。

自発的に厠へ行く経験が無いと、膀胱が成長せず尿を溜めておく事が出来なくなる。』

 

「「「ええっ!?厠に行きなさいって言っちゃ駄目なのか!?」」」

「前もって言っておくんだよ。オシッコしたくなって、家でならあたしに、学園でなら白蓮に言ってから厠に行く様にって。」

「「「なるほど、一番最初の『起こさない』ってのと関連してるんだな。自分が我慢出来る限界を把握するのと同時に貯水量を増やすのが目的か。」」」

 あんまり我慢すると膀胱炎も心配だな……………その前に決壊するか。

 

「ご主人様たち……なんであたしを見て頷いてるんだよ!」

 

『・冷えに対しても配慮すべし

漏尿を悪化させる要因に冷えが有る。夏場に夜尿をしなくなった子供が、秋から冬に再発する事がよく見られる。

冷えが原因の場合は、寝る前に風呂に入り体を芯から温める、布団を少しだけ暖めておくなどの配慮が勧められる。』

 

「「「体が冷えるとしたくなるよな!よし、俺たちが風呂に入れてあげて、添い寝もしてやろう♪」」」

「これから夏になるんだから、却って寝苦しいだろ。冬になっても治らない様なら、改めて頼むよ。……………その………今の季節なら、疾じゃなくあたしに添い寝を………」

 

 うおっ!夜とは言わず今からでも……………と、いかんいかん!

 仕事に何にも手を付けずにそんな事してたら、この執務室がまた女人禁制にされてしまう!

 ここは我慢だ!我慢!

 さてと、次で最後だな。

 

『・おむつの使用について

「おむつの使用は、漏尿を長引かせるのでは?」という質問を多く訊かれる。

おむつをしているから漏尿が長引くという事は無い。

本人が嫌がらない様なら、後片付けが楽になるので使用に問題は無い。』

 

「「「おむつか…………」」」

「今朝も寝る時だけでもおむつするかって言ったんだけど、六歳になってもおむつしてるって知られたら恥ずかしいって嫌がられたんだ…………」

 ほぼ同い年の姉妹がたくさん居るから、余計にその辺は気にするんだろうな。

 だけどおむつをしていれば、漏らしても大丈夫って心に余裕が出来て治る近道になると思うんだけど…………。

 

「「「なあ、翠がおむつをしてみせれば疾もおむつをするんじゃないか?」」」

 

「はあ!?なんであたしがおむつをしなきゃいけないんだよっ!!」

 

「「「え?だってこの間も厠に駆け込んでただろ。疾も翠がおむつをしてるなら安心しておむつをしてくれて、翠も安心して生活できて一石二鳥かなと…………」」」

 

「ご主人様たちはそれを口実に、あたしの恥ずかしい格好を見たいだけなんだろっ!!」

 

「「「それは誤解だ!恥ずかしい格好を見たいんじゃない!恥ずかしがる翠が見たいんだっていや翠、銀閃は下ろしてください。」」」

 

 赤い顔をして穂先を突き付ける翠に何度も頭を下げながらも、やっぱりその恥ずかしがる表情に萌えてしまう♪

 そして先程までの会話で、俺たちはひとつ気が付いた。

 

「「「翠、今朝もオネショしたのか?」」」

「あたしがオネショしたみたいに言うなよ!疾が………あれ?あたし言わずに話してたのか?」

「「「ああ、俺たちが先読みして『お漏らしの相談か』って言っちゃったからな。」」」

「まあ、普段のお漏らしも問題なんだけど、今はオネショ対策を考えてくれよ。」

「「「今朝もオネショしたなら、布団は何処に干したんだ?あのマンション型の館じゃ窓や廊下の欄干か、共同の物干しで干すしかないだろ。」」」

 

 何処に干しても疾がオネショしたのがバレちゃうだろ。疾も隠したいだろうし。

 

「ご、ご主人様!前は『あぱーと』って言ってただろ!なんだよその………ま、ままま…………」

「「「え?マンションって教えなかったか?共同住宅の事で…………」」」

 

 あ、思い出した。桃香と共同住宅の話をした時に、翠が気にするだろうから『マンション』とは言わずに『アパート』って言って欲しいと忠告されてたんだった。

 もう何年も前の話だからすっかり忘れてたけど…………こんなお漏らしの話をしてる時だから余計に反応しちゃったのか…………。

 

「ご主人様たちがそんな呼び方するから疾のオネショが治らないんだっ!それにあたしが厠に行こうとすると邪魔が入るのもきっとその所為なんだあああぁぁぁっ!!」

 

「「「お、落ち着け、翠っ!!それだとみんな揃って同じ事になってないとおかしいだろっ!とにかくもう言わないから落ち着いてくれっ!!」」」

 

 『マンション』って元々は『大邸宅』って意味だから本来の意味に合ってるんだけどなぁ。

 炊事場と風呂と厠が共同だから英語の『アパートメント・ハウス』や『コンドミニアム』よりも合ってる気がするし。

 ちなみにLDK方式で表すと、一戸は3LDが基本だ。

 

「……………………引っ越す。」

 

「「「は!?」」」

 静かになったと思ったら、何を言い出すんだ!?

 

「あたしも桂花と一緒に後宮に定住してやるっ!」

「「「いや、桂花本人は後宮に定住していると思ってないぞ。」」」

 その原因を作ってる俺たちが言うのも何だけど…………。

「さもなきゃ駕医と二刃みたいに、後宮の庭に家を建てるっ!!」

 あそこにもう一軒の家を建てるのか……………敷地面積に余裕は有るけど………。

 

「あのぅ…………何のお話をしてるんですか?」

 

 突然割って入った声は朱里だった。

 書簡を何本も抱えた我が国の丞相様が、執務室の開いた扉の所で困った顔をしている。

 

「朱里!引越しさせてくれっ!」

「は?」

 

 翠が朱里に駆け寄り、両手で肩を掴んだ。

 

「疾のオネショを治すためにっ!!」

「ええと………………」

 

 朱里は困惑顔で俺たちを見たが、直ぐに何か思い至ったらしく笑顔になった。

 

「それは良いかもですね♪炙叉さんと吉祥さんに風水を見てもらって、他に良い部屋が無いか調べてもらいましょう♪」

 

 環境を変えるのもひとつの手か。それに翠を落ち着かせる為にも、朱里は肯定したんだろう。

 だけど…………。

 

「蜀館じゃダメなんだよ!後宮に引っ越させてくれっ!!」

「はわわっ!?こ、後宮にですか!?」

 

 さすがの朱里もこの展開は理解出来ないだろうな。

 

「確かに特例で懐妊前の方も暮らす事は出来ますけど………」

 

 朱里が言いたいのは麗羽の時の斗詩と猪々子。美羽の時の七乃。ねねの時の音々さんといった介助役の事だ。

 

「懐妊した方に優先権が有りますから、できればその………………」

「懐妊してればいいんだなっ!今から駕医の所に行って確認してくるっ!!」

 

 翠はそう言った途端に、走って部屋を出て行ってしまった…………。

 

「…………………ご主人さま、疾ちゃんが今朝オネショをした事は私も干してある布団を見たので判っていますけど………どの様な経緯で翠さんが引っ越すと言い出したかお教え願えますか?」

 

 そう言って笑顔で振り返った朱里の背後に『ゴゴゴゴゴゴ』と書き文字が見える………。

 朱里も丞相に就任して七年、いつまでも『はわわ軍師』では無いという事を実感するなぁ。

 

「「「いや、最初は疾のお漏らしを治すのに協力して欲しいって所から始まったんだけど………そうそう、濡れた布団を干すのに『マンション型』の蜀館の何処に干すのかって訊いたんだ。」」」

 

「………言ってしまったんですね『まんしょん』って………それでですか………」

 朱里が腕を組み、顎に右手を添えた。

「「「もしかして、桃香に助言したのも朱里なのか?」」」

「はい。翠さんの性格から絶対に気にするのは判ってましたから。」

 そんな前から先読みしてたのか。

 どうも俺たちの頭の中で、最近の朱里は貧乳党と八百一の印象が先に来ていて色々と見落としていたみたいだ。

 これからは改めよう。

「「「そうだ、朱里。さっき干してある布団を見たって言ったけど、翠は結局何処に干したんだ?」」」

「共同の物干し場に干してましたよ。」

「「「ええ!?それじゃあ他の子にバレちゃうんじゃないか!?」」」

「ご主人さま、オネショをするのは疾ちゃんだけじゃないんですよ♪」

「「「え?……………あ。」」」

 

 そうか、木の葉隠すは森の中って事か!

 

「実は龍里ちゃんも今朝はオネショしちゃいまして、私が干しに行った時、先に干してありました。子供達は誰の布団か見分けられないでしょうけど、私達には分かりますから♪」

 朱里の子の龍里は疾と丁度一年違いの五歳だ。他にも疾より年下の子の方が多いんだから当然か。

「「「布団の事は納得行った。もうひとつ教えて欲しいんだけど、朱里は龍里にお漏らしをさせない為に何か特別な事をしてる?」」」

「疾ちゃんのお漏らしを治す参考ですか?………………ええとですね…………」

 朱里は少し赤い顔をして俺たちの耳に近付いた。

 

「(先ずはオシッコをする時に途中で止められる様にしなさいって言ってます。)」

 

「「「…………………それって…………」」」

「一度止め方を覚えたら、後は普段から意識して力を入れる様にするんです。」

「「「ねえ、朱里………だからそれって…………」」」

 

「ええ♪本来は出産後の尿漏れを改善する運動ですよ♪」

 

 あ……………そっちか……………いかんいかん、ついアソコのトレーニングかと思ってしまった。

 

「性技指南書にも同じ物が書いて在りましたけど♪」

 

「「「やっぱりかっ!!」」」

「使う筋肉が同じですからしょうがないんです。」

「「「それは………そうだけど、父親としては五歳の娘がそんな訓練してるなんて考えたくない………」」」

「諦めて下さい。」

 うぅ…今日の朱里はイジワルだ………と思ったら、体を摺り寄せて来て上目遣いで俺を見た。

 

「その代わり、私達母親の訓練の成果は確認いただけますよ♪宜しければ私から♡」

 

 な、なんだ!?今日の朱里は小悪魔モードかっ!?二刃と駕医のイチャラブに当てられてるのか!?だとしたら二刃!駕医!ありがとうございます!

 

 

「ご主人様たちっ!朱里っ!懐妊してたから引っ越させてもらうぞっ!!」

 

 

「「「どわああああああああっ!!」」」

「はわわわわっ!!」

 

 やばいやばい、雰囲気に流されかけた…………って…………え?

 

「朱里!?ちゃんと聞こえたのか!?早く了承してくれよ!」

「「「落ち着け、翠!先ずは全員で深呼吸しよう!深呼吸!!」」」

 

 翠と俺たち三人と朱里が揃って深呼吸をする。

 

「「「「「す~~~~~は~~~~~……………」」」」」

 

 バタバタした空気を一度リセットして。

「「「…………で、翠。懐妊したんだな。」」」

 

「え?………………………あ!あたし懐妊したんだ………」

 やっぱり翠自身が今までその意味を理解して無かったか。

 だけど、懐妊した喜びがじわじわと翠の心を満たしているのがその顔を見れば判る。

 

「おめでとうございます、翠さん♪」

 朱里の心にもその気持ちが染み込む様に伝わったみたいで、とても優しい笑顔だ。

 

「あ、ありがとう、朱里…………そういや、疾を身篭って報告した時も朱里が居てくれたよな♪」

「そう言えばそうでした♪あの時はたんぽぽちゃんも一緒で………………」

 

 あれ?朱里の動きが止まったぞ?

 

「ご主人さまっ!!五虎将が全員後宮に入っちゃいましたっ!!」

 

 朱里がまた慌て始めてしまった。

「「「………そう言えばそうだな。」」」

 そんなに慌てる事かな?

 今までだって武将が何人も同時に後宮で過ごした時期が在ったんだから。

 

「落ち着いてる場合じゃ有りませんよ!私は丞相室に戻って会議に入ります!」

「え?朱里!引越しの許可は………」

 朱里が急いで部屋を出て行こうとするので、翠も慌てて呼び止めた。

 

「了承しますので先ず桂花さんに報告して下さい!それでは失礼します!」

 

 そう言い残して朱里は走って部屋を出て行ってしまった…………。

 俺たち三人と翠は出入り口を暫く呆然と眺めていたが、こうしていてもしょうがない。

 

「「「ええと、翠…………後宮に行こうか?」」」

「あ、ああ…………」

 

 

 

 

本城 後宮談話室

【翠turn】

 

 あたしとご主人さま三人が後宮に着くと、臨月の璃々を中心に集まって話をしていた

 こっちから声を掛ける前に、星があたし達に気が付いて振り返る。

 

「おや?翠に主たち三人もお揃いで。どう致しました?」

 

 あ!あたしが検診を受けるのって、本当は明後日だったんだよな。

 星もそれを知ってるから、何か別の用事だと思うか。

 全員が会話を中断して振り返った所で、あたしより先にご主人様たちが話してくれた。

 

「「「翠が懐妊したから連れて来たんだけど…………」」」

 

 あれ?何かみんなの顔が引きつってないか?

 華琳と桂花なんか溜息まで吐いてるじゃんか………。

 

「紫苑の懐妊から五ヶ月の間に鈴々、星、愛紗が懐妊したから、五虎将が揃うかもって冗談を話していた最中だったのよ………………まさか本当に半年で五虎将が揃うなんてね…………丞相室に報告は行ってるのかしら?」

 華琳がご主人様たちを睨んでる。

「「「丞相室には、翠が懐妊の報告をした時に朱里も一緒に居たから………会議をするって走って行っちゃったけど………」」」

「そう。それなら対策は会議の結果を待てばいいわね。」

 ここでやっと華琳があたしの顔を見た。

 ご主人様たちに向けたのとは正反対に、優しい笑顔で。

 

「翠、おめでとう♪」

 

「あ、ありがとう、華琳…………対策って何だ?」

 聞き返すと桂花が割って入ってきた。

「蜀の防衛に決まってるでしょ!華琳様の話をちゃんと聞いて無かったの!?あんた、ここに今誰々が居るか確認してみなさいよっ!」

 

 ええと、華琳と桂花、璃々と紫苑、星、愛紗、雪蓮、思春、鈴々、季衣、音々音に音々さん、吉祥…………だよな。

 

「確かにあたしが後宮に入ると五虎将が揃うけど、蜀には桔梗に焔耶、それにたんぽぽも居るし、何より恋が居るんだぜ♪成都に居る奴らも鍛えてあるし、武威にもあたしの妹二人が居る。敦煌も羌が守りを固めてるし、特に問題ないと思うけど?」

 あたしだってこれ位は知恵が回るんだ。脳筋なんて言わせねえぞ♪

 

「翠ちゃん、得意気にしてる所申し訳ないですが、それは『五虎将』を過小評価してるですよ。」

 

「音々さん!?」

 六ヶ月になる音肆を抱っこしたまま、あたしの前までやって来る。

 音々さんって何か貫禄があって、頭が上がらないんだよなぁ。

 

「単純に戦力だけ見れば、翠ちゃんの言う通りです。いざとなれば曹魏と孫呉からも援軍を出せるのですよ。ですけど、五虎将の代わりは務まらないのです。」

「?………どういう事だ?」

「蜀の国内で五虎将は武の象徴、守護神と言っても過言では無いくらいの人気と信頼を民から得ているのです。辺境での治安維持に役立つくらいに。蜀の地では『魏武の大剣』や『江東の麒麟児』の名も威光が薄れるのですよ。」

「なるほどなぁ、民にとっちゃ『隣の国の英雄』じゃダメって事か。」

 

 あたしが頷いていると、華琳が更に付け加えた。

「『五虎将』は西の(てい)族に対する威嚇の意味も有って喧伝を強化してたのよ。その事を忘れていたおバカがそこに三人居るみたいだけど。」

 

「「「……………………スイマセン。」」」

 

 ご主人様たちが華琳に土下座してる。

 これはいつもの事だからいいけど……………愛紗、紫苑、鈴々がまだ引きつった顔してるのはそういう事だからか。

 星のヤツは楽しそうに笑ってるけど。

 

「こういう事態をまるっきり想定していなかった訳ではないから、丞相室が何か良い案を出してくれるでしょう。翠が懐妊した事自体はめでたいのだから、素直にお祝いしましょう♪」

 

 華琳の一言にみんなが安堵の息を吐いて、やっと場の空気が和やかになった。

 みんなが次々と懐妊の祝いを言ってくれて、あたしも幸せな気持ちがまた込み上げてきた♪

 

「所で翠ちゃん、どうして検診を二日前倒ししたのかしら?」

 紫苑が疑問に思うのも当たり前だよな。

「いや、それがさぁ…」

「「「翠がオネショを治すのに協力して欲しいって」」」

「だからあたしがオネショするみたいに言うなよっ!!」

「疾ちゃんの事でしょ!?翠お姉ちゃん、大丈夫!ちゃんと判ってるから!」

 お!さすが璃々だ♪

「でも、何でそれが検診を受ける事に……………………遺伝だからその原因究明の為に検診を………」

「遺伝ってなんだよっ!」

「「「いや、俺たちが蜀館、曹魏館、孫呉館の造りが『マンション型』って言ったもんだから、後宮に引越すって言い始めちゃってさ。」」」

「ああ、一刀の国の複合住宅の事ね。」

「私も初めて主から『まんしょん』と聞いた時は、翠を連想しましたからな♪」

「するなっ!!」

 

「(ねえ、一刀君。翠ちゃんって小学生男子みたいね♪)」

「「「(吉祥………頼むから翠には言わないでくれよ………)」」」

 ご主人様たちと吉祥は何をコソコソ話してんだ?

 

「翠、あなたには駕医から子供のお漏らしの治し方を書いた物が渡されてる筈だけど、ちゃんとしてるの?」

 

「「「何で桂花がその事を知ってるんだ?」」」

「あれを書かせたのは私なのよ!みんなが私の所に相談に来るもんだから、いちいち教えるのが面倒になったのっ!!」

 子育てについては、どうしても桂花と紫苑に頼っちゃうんだよなぁ。

 後、音々さんにも。

「「「ああ、オシッコ絡みだから桂花に相談するのか。」」」

「いい加減にあの時の事は忘れなさいよって紫一刀!あんたこっちの二人に喋ったわねっ!!」

 あ~あ、桂花が花瓶を振り回してご主人様たちを追い掛け始めたよ。

「頭を殴ってその記憶を消してやる!!」

「「「ま、待て桂花!都合よくそこだけ記憶が消える訳ないだろっ!!」」」

 ついでにあたしのアノ記憶も消してくれると助かるな……………。

 

「ねえ、翠ちゃん。疾ちゃんは今朝もオネショをしたの?」

「ん?ああ、そうなんだよ、吉祥。寝る前に厠にも行ってたんだけどさぁ………」

 それでもしちゃうから困ってるんだよなぁ。

 

「疾ちゃんには水難の相が有るんだよね…………翠ちゃんもだけど。」

「水難の相!?」

「身に覚えが無い?」

 

「いや!すげぇ有る!!厠に行きたくなると、何故か邪魔が入るんだよ!」

 

「やっぱり………それじゃあ今夜までに水難を回避するお守りを作ってあげるね♪」

「あ、ありがとう!吉祥!!何よりのお祝いの贈り物だぜ♪」

 

 こ、これであの苦しみから解放されるんだぁ~~~~♪

 

「「「「ちょっと待て!吉祥っ!!」」」」

 

 な、なんだよ!ご主人様たちに星まで!?

「「「「翠からおしっこネタが無くなったらキャラが薄くなるだろうっ!!」」」」

 

「あたしはそんなネタ無くしたいんだよっ!!」

 

 

 

 

【緑一刀turn】

 

 俺たちと星が一緒になって翠の存在価値がどれだけ高いか力説していると、複数の足音が談話室にやって来た。

 

「後宮の中だからといって、おしっこを連呼し過ぎだぞ。お前達は。」

 

「「「「「冥琳!」」」」」

 と……冥琳だけじゃなく、朱里達丞相室のみんなが入口に揃ってた。

「雪蓮。お前も笑って眺めてないで止めてくれ。」

「え~、せっかく面白くなって来てたのに~♪」

「雪蓮姉様……これでは幼年部の子供達と変わりません。」

 あ、蓮華。それに桃香も一緒に来たんだ。

 

「それよりも、丞相室の答えがまとまったようね。」

 

 華琳の言葉に稟が書簡を差し出して応える。

「はい、華琳様。桃香様と蓮華様の承認は頂きました。後は華琳様にご了承頂ければ、直ぐにでも手配致します。」

 華琳が稟から書簡を受け取り、内容を確認すると…………少し眉間に皺が寄った。

「やはりこの策で行くのね…………大丈夫なの?冥琳。」

 なんだ?華琳はあまり気に入らない策なのか。

「現時点で最も効果が望める策だな。私と穏は実際に現場を見ているから自信を持って勧める。」

「桃香はどう?貴女も実際に見たひとりとして。」

「効果は絶対にあると思う…………けど………」

 桃香も完全に賛成って訳じゃないのか。とすると、武力行使を伴う可能性が有るのか?

「「「なあ、示威行為は必要だろうけど、穏便な策の方が………」」」

「それじゃあ、一刀。穏便な策で貴方たちの風評に影響が有っても、民が平穏に暮らせるなら受け入れる覚悟は有る?」

「「「ああ!それぐらいの覚悟はいつでもしてるさ!………でも、国政に影響しないか?」」」

 皇帝である俺たちの評判が悪くなれば、漢王朝みたいに世が乱れる原因になりかねない。

「その点は心配無いわね。むしろ国庫が潤うという試算が出ているもの。」

「「「それなら反対する理由は無いな。」」」

 大喬と小喬を城内に迎えた時や、シスターズが懐妊した時にも噂が飛び交って大変だったけど、今更『種馬』系の噂に尾ひれが付いたってどうって事無いだろ。

 

「一刀たちが納得するなら問題無いわ。朱里、雛里、計画を進めて頂戴。」

 

「「はい♪御意です♪」」

「「「え?朱里と雛里がその策の立案者なの?」」」

 てっきり会話の流れから、冥琳と穏かと思ってたのに。

 

「「「華琳……………その書簡………」」」

 

「はい。了承したんだから今更撤回は認めないわよ♪」

 

 華琳から渡された書簡に目を通して、俺たちは愕然とした。

 その内容を要約すると、蜀の行商人に『八百一本』を大量に持たせて、国境付近を中心に広く頒布する事が書かれていた。

 俺たちが歴史の闇に封印した、成都奪還戦の成功した最大の理由。

 『北郷一刀両刀使い疑惑』を再燃させようというのだ。

 成程、冥琳と穏と桃香が目撃していて、華琳と蓮華と稟が見ていない訳だ。

 そして、朱里と雛里の目的は更に先が有る。

 八百一本を使い、(てい)族への文化侵略を行う事だった。

 これも確かに成功すれば、国庫に八百一本の売り上げが入って来る…………八百一本で運営される国家ってどうなんだ!?

 

「申し訳ございません、ご主人様。私が不甲斐ないばかりにご迷惑をおかけします………」

 

「「「愛紗が謝る事じゃないだろう?昔からこうなる可能性は有ったんだ…………そう、あの夜に朱里と雛里の天幕から八百一本と性技指南書が盗まれた時から………………」」」

 

「鈴々はいつでも戦に出陣する覚悟はできてるのだ!お腹がおっきくても、赤ん坊を背負ってても、絶対に負けないのだ♪」

「うむ、いい覚悟だ。愛紗、義妹に負けているぞ♪」

「思春、この関雲長を舐めてもらっては困る。愛羅を身篭った時から覚悟は変わっておらん!目指すは孫文台殿の生き様よ!」

「五虎将を名乗る以上はわたくしもいざとなれば『江東の虎』と同じ働きをして見せますわ♪」

「紫苑は昔から母様と同じになる時がたまに有ったけどねぇ………」

 雪蓮………それがどんな時かを俺たちは絶対に突っ込まないぞ!

 

「もちろんあたしだって、いつでも戦場に出る気満々だぜ♪」

 

 俺たちとしては安静にしていて欲しいんだけど、ここは空気を読んで見守るとしよう。

「主よ、何やら楽しそうですが………ははぁ、さては我ら五虎将がボテ腹抱えて戦う様を想像しておいでですな♪」

「相変わらずの変態なのです…………」

 ねねにまで突っ込まれた!

「「「人が空気読んで水を差さない様に黙ってたのに、どうしてディスられるんだよ!」」」

「まあまあ、主♪我ら五虎将がボテ腹で氐の前に現れれば、主の男色の噂も消し飛びますよ♪」

 

「星の言う通りよ、一刀。それよりも翠の懐妊のお祝いの準備を始めましょう♪」

 

 甘いぞ星!華琳!

 腐女子と漢女の妄想力には現実なんて関係が無いんだよ……………。

 

 

 

 

翌日

房都 商店街

【翠turn】

 

「疾、次は何が食べたい?」

「う~んとね~………おだんご♪」

「「「よ~し、次はお団子屋さんだ♪」」」

 

 あたしと疾は懐妊のご褒美デートでご主人様たち三人と街に繰り出している。

 疾も今日だけは父親を独占できるとあって、すごい浮かれようだ♪

 あたしもご主人様たち三人とこうして過ごすなんて初めてだから嬉しくてしょうがないんだけどな♪

 

「「「なあ、翠。そう言えば翠は去年成都に行ったよな。」」」

「ああ、そうだけど?」

「「「成都の街の様子はどうだった?」」」

 そう言えばご主人様たちはもう何年も成都に行ってないんだよな……。

「平和だったぜ♪………ああ、でも本屋の数が増えてたな……」

「「「…………朱里と雛里は何年も前から準備をしていたのか………」」」

「ど、どうしたんだよ、ご主人様たち。顔色が悪いぞ?」

「「「………成都に完成しつつあるのが『乙女ロード』か『漢女ロード』かが心配に………いや!今日はその事を忘れよう!!」」」

 

 ご主人様たちは気を取り直して疾の相手をしてくれてた。

 疾も今朝はオネショをしなかったから更にご機嫌だし。

 あたしもいつもは厠に行くと必ず誰かが入ってるのに、今朝はそれが無かった。

 これも吉祥が作ってくれたお守りのおかげだな♪

 安心してお茶を飲めるってのは良いもんだ♪。

 このお守りが有れば…………………………………………あれ?

 

「「「どうした、翠?」」」

 

 朝起きてからずっと首から下げていたハズなのに…………無い!?

 

「「「凄い汗だぞ?化粧も少し落ちてるし…」」」

 

 化粧!?そうだ!!紫苑に頼んで久々に化粧をして………きっとあの時にうっかり忘れて来たんだ!!

 

「「「あっ!………………(翠、ここで待ってるから、厠に行ってこい。)」」」

 

 う……………勘違いされたけどここは素直に行っておこう。

 あのお守りが無いと、これから先に何が有るか分からないし………。

 

「疾、あたしはお化粧を治すついでに厠に行ってくるから、疾もしたくなったら爸爸に言って厠に連れて行ってもらうんだぞ。」

「うん、媽媽♪」

 

 ご主人様たちは気を使ってくれたけど、そんな見栄を張ってたらダメなのは経験から学習済みだ。それに街の中ってのは共同の厠しか無いから並ぶのも想定済み…………。

 よし!あの角を曲がれば厠がってえええええええええええええ!!??

 

「な、なんだよ、この行列はっ!?」

 

 順番待ちで三十人は並んでるぞ!!

「あら?馬超将軍!珍しくお化粧までしてらっしゃるけど、北郷様とお出かけですか♪」

 最後尾に並んでたのは、あたしとたんぽぽがよく行く飯店の若女将だった。

「いや、それよりも何でこんなに並んでるんだよ。」

「ああ、これ?この近くの厠が掃除中で使えないのよ。今日一日だけだからみんな文句を言いながらも我慢してるわ。」

 今日一日だけ……………………やっぱり水難の相って奴の所為なのか!?

 

「「「うわっ!!並んでるなぁ…………」」」

 

「ご主人様っ!?」

 何で……………ああ、疾もしたくなったのか……………。

「北郷様に秋姫様!あ、お先に使って下さい!」

「「「そんな訳に行かないって!一旦城に戻ろう!途中に空いてる厠が有ればそこに寄ればいいし!」」」

 ご主人様、いい決断だ!

 緑のご主人様が疾を背負い、あたしとご主人様たちは城に向かって走り出した。

 

 うっっ!!………………やばい………あたしも本格的にしたくなって来た………………。

 

 あ、あのお守りは今後絶対に、何があっても手放さないぞっ!!

 ちっくしょおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉっ!!

 

 

 

 

 

おまけ壱

『北郷二刃奮闘記』其の二十二

リクエスト:妹―ク 12票

 

房都 繁華街 茶店              (時報:桂花七女 柊 生後二十一日)

【二刃turn】

 

 あたしは今、大きな茶店の中に居る。

 ホール状の店内にたくさんのテーブルが並べられ、お客さんも結構入っていた。

 その中で壁際の大きなテーブルをあたしと秋蘭さん、たんぽぽさん、小蓮さん、鈴々さん、小喬さん、美羽さん、人和さんが囲んでいる。

 但し、全員が変装をしているので、周りの人達には正体が分からない……………筈よね。

 茶店に来るだけなら変装なんてする必要は無いんだけど、実は翠さんと疾ちゃんと兄さんたちの護衛中なのだ。

 あたしは疾ちゃんが怪我をした時の救護係。

 

「一度城に戻った時はどうなるかと思ったが、概ね良好だな。疾も楽しそうだ♪」

 

 秋蘭さんが微笑んで、兄さんたちのテーブルを見てる。

 あたしじゃ表情までは良く見えない………仮面を着けたら見えると思うけど。

 

「お姉さまって、昔からオシッコで騒動を起こすんだよね。」

 

「たんぽぽさん、その言い方はどうかと…………さっきのも翠さん本人は気を付けていたのに、運が悪かっただけですし………まあ、兄さんも似たような所が有ったけど………」

「えっ!?一刀さんもお漏らしを………」

「ち、違いますよ、人和さん!なんて言ったらいいかな………間が悪いって言うか……」

「それは判るな。私が一刀と出会ったばかりの頃はそれでよく姉者に追いかけられていた♪」

「春蘭は光琳を産むまで一刀さまたちを追いかけ回してたじゃない。」

「追いかける理由が違うんだ、小喬。あの当時は華琳さまの下着を覗いたとか、華琳さまの体に触れたというのが一番多かったな♪」

「「「「「「ああ~」」」」」」

 お義姉さん達全員が頷いてる。

 まあ、あたしにも何が有ったか、簡単に想像がついたけど。

「それって兄さんが曲がり角でぶつかって、偶然見えちゃったとか触ったとかですよね?」

「状況は様々だが、基本的には同じ………そうそう、姉者と紫一刀が桂花の掘った落とし穴に一緒になって落ちた事が何度か有って、あの時の照れながら追いかける姉者が特に可愛かった♪」

「そう!違うのはそこですよ!向こうじゃ、兄さんのドジに巻き込まれた女の子は恥ずかしがってみんな逃げるんです!それで兄さんは嫌われていると思い込んでたんですよ。」

「そう言えば一刀って、陰でモテてたのよね。でも、そのお陰で一刀が独り身でいてくれたんだから私としては万々歳だわ♪」

「それはそうですけど……………あの頃の兄さんは男友達から『ラッキースケベ大魔王』って呼ばれてたんですよっ!そんな渾名の兄を持った身になって下さい!!」

「その気持ち、たんぽぽは解るよ。お姉さまも子供の頃は陰で『お漏らし姫』って噂されてたから………」

「そうは言っても、二人共好きだったのじゃろ?妾の姉はあの麗羽姉様なのじゃぞ!」

「麗羽さんって昔は凄かったらしいですね………」

「昔は苦手でのぉ……………出来るだけ逃げ回っておったくらいじゃ………」

「その点、私は雪蓮お姉ちゃんと蓮華お姉ちゃんっていう、自慢できる二人で良かったわ♪」

「そんな事言ってぇ♪昔は蓮華様の小言がうるさいってぼやいたり、雪蓮様のおっぱいを見ては目を三角にしてたくせに♪」

「昔の話よ、昔の…………でも無いか……雪蓮お姉ちゃんのおめでたに嫉妬しちゃったし、蓮華お姉ちゃんには仕事しろって怒られるし…………」

「それで今日の護衛役を引き受けたんですか?」

「あはははははは~~~♪」

 笑い方が雪蓮さんそっくり………。

「ガミガミ怒るのは愛紗も同じだったのだ。桃香お姉ちゃんがその分庇ってくれたけど♪」

「怒る姉と庇う姉か…………天和姉さんも地和姉さんも、私が怒る方だからそういうのに少し憧れるわ………」

 人和さんを怒る地和さん、それを庇う天和さん……………うん、違和感有りまくりだわ。

「あたしはお姉ちゃんに怒られた事無いわよ♪」

「その分小喬は喬玄に怒られてたじゃない。大喬が怒る所なんて想像出来ないわよ。」

「そうそう♪怒らないもんだからついつい♪でも後でイジワルされちゃうんだよねぇ~♡」

「大喬さんが意地悪をするんですか?」

 これも想像つかないよ。

「その話はまたいずれしてくれ。今は周りに聞こえ辛いとは言え、他人が多い。」

「ここからがあたしのお姉ちゃん自慢になるのになぁ………」

「小喬が姉自慢をすると言うのなら、私も応戦する事になるぞ♪」

「そ、それこそ、また今度にしてよ!」

 秋蘭さんの姉自慢は始まると長いから…………でも、みんなお姉さんが好きなんだな。

 ここに居る人達も、あたしにとっては『姉』だけど♪

 

「ところで、鈴々さん。今日はつわりの具合、大丈夫ですか?」

「全然へっちゃらなのだ♪爛々が学園に行ってしまってて、後宮にいても暇だからこの護衛に参加させてもらったのだ♪………あれ?そう言えば美羽と小喬と人和はどうしてここに居るのだ?」

「文官には色々と『後始末』という仕事が回って来るのじゃ………」

「この前の雪蓮様がやらかしてくれたから、今後の対策の為の調査も兼ねてるのよ。」

「私は吉祥と炙叉の代わりに対妖術の仕事よ。」

「そう言えば、今朝の吉祥はヘロヘロだったっけ。翠のお守り作るのがそんなに大変だったのだ?」

「半日で作るとか無茶を言うから、炙叉さんまで巻き込んで…………おかげで私は臨時収入を貰えたけど♪」

 今朝の吉祥さんの様子と人和さんの話し方から察すると、翠さんの水難の相ってかなり手強いって事なんだわ…………。

 

「何か有ったみたいだ。一時会話を中断してくれ。」

 

 秋蘭さんに言われてあたしは兄さんたちの居るテーブルを見た。

 給仕の女の子がしきりに兄さんたちへ頭を下げている。

 兄さんたちはびしょ濡れだけど給仕の女の子に笑いかけていた。

 状況から察するに、兄さんたちに水かお茶をかけてしまったといった所かな?

 

『本当に申し訳ございません!本当に申し訳ございません!』

『『『いや、俺たちが急に腕を振り回したのが悪いんだから、気にしないで♪』』』

 

 突然わたし達のテーブルの上から声が聞こえて来た!?

 見れば人和さんが小さな水晶玉を置いて、手をかざしている。

 

「人和さん、それって…」

「伝声の術よ。私達シスターズの使うマイクの基礎になる術なの。こんな時の為に一刀さんたちの頭冠に付けた宝石のひとつが送信用の石になっているわ。」

 

 それって盗聴……………。

 

「他の給仕の子が二人、手巾を抱えて走って来るわ。」

 

 なんか次の展開が読めてきた………。

 

「あ!滑って転んだっ!!」

 

『『『うわっ!!』』』

『『『きゃあああああああああっ!!』』』

『ご主人様っ!!』

『爸爸っ!?』

『ドカッ!ガラガシャ!ドスンッ!!』

 

 転んだ女の子二人は先に居た女の子と兄さんたちを巻き込んで派手にもつれ合い、結果兄さんたちは床に倒れ、その頭はそれぞれ女の子のスカートの中に隠れた。

 

「さて、出番の様だな。」

「ここは迅速に処理しないとね。」

「行くわよ、鈴々。」

「合点なのだ。」

 

 秋蘭さん、たんぽぽさん、小蓮さん、鈴々さんが静かに立ち上がって現場に向かった。

 青筋を立てながら………………。

 

「ねえ、人和。あれってもしかして翠と疾が持ってるお守りの所為じゃないの?」

「察しがいいわね、小喬。」

「ん?どういう事じゃ?」

「本来なら水を被るのは翠さんと疾だったのよ。それをお守りが回避した。けれど、今度は一刀さんたちの幸運がその『水難』を取り込んでしまったわ。」

「『災い転じて福となす』というやつじゃな。」

「一刀さまたちが一番喜ぶ『福』にする所が恐ろしいわね…………」

 

 兄さんたちは『女難の相』とか言うけど、女性側から見たら『北郷一刀難』よ。

 

 聖刀ちゃんにこんな運が遺伝してなければいいけど……………。

 

 

 

 

 

おまけ弐

『聖刀くんの日常』其の二十一

リクエスト:黄乱   7票

 

61)北郷聖刀 真名:輝琳  六歳

1)華琳の長女 曹沖(そうちゅう) 眞琳(まりん) 十三歳

 

黄乱 真名:明兎  呉領揚洲建安出身 山越の姫 八歳

 

房都 北郷学園

【聖刀turn】

 

 毎朝ぼくは風紀委員の仕事で校門に立ち、登校してくる姉妹やクラスメートを出迎える。

 

「おはよう、明兎ちゃん♪」

 

 制服に赤いランドセルを背負った明兎ちゃんを見つけて手を振った。

 明兎ちゃんはぼくの声に気が付くと早足でやって来る。

 

「おはよう、輝琳♪これを見てくれ♪」

 

 明兎ちゃんがクルリと回って背中を向けると、スカートの裾がランドセルに引っかかっていた。

 

「カワイイだろう♪」

「うん、木亭ちゃんだね。」

 

 パンツには木亭ちゃんの絵が描かれている。

 

「前から欲しかったんだけど、やっと手に入れたんだ♪」

「へえ、良かったね♪人気が有るから中々手に入らないんだっけ?」

「ああ♪建安に居たら絶対に手に入らなかったぞ♪」

 本当に嬉しそうだな。そう言えば明兎ちゃんはお財布も『木亭ちゃん』だった。

「えっと………この『木亭ちゃん』って二刃叔母さんが広めたんだけど、知ってた?」

「ええっ!?二刃様が意匠したのかっ!?」

「いや、元々は天の国で流行っていた物で、お姉ちゃん達の為に絵本と紙芝居を作ったのが始まりなんだってさ。」

「そうだったのか!凄いな、二刃様はっ♪ますます尊敬したぞ♪」

「二刃叔母さんに頼めば『木亭ちゃん』グッズを貰えると思うよ。」

「『ぐっず』って天の国の言葉か?どういう意味だ?」

「物品の事だよ。それとか、お財布とか。」

 ぼくは明兎ちゃんのパンツを指差した。

 

「へえ、こういうヌイグルミも『ぐっず』って言うのか。」

 

「え?縫ぐるみ?」

「へ?…………ランドセルにぶら下げているだろう?輝琳は何を見て木亭ちゃんの話を…………」

 

 明兎ちゃんは両手をおしりに回して固まった。

 

「み、みみみみ、見たのかっ!?」

 素早くスカートを直して体ごと振り返った明兎ちゃんは、顔を真っ赤にしていた。

「うん。可愛いパンツで似合ってるよ♪」

「ななななななな何を言ってるんだ!お前はっ!!」

 八重歯を剥いて怒られた…………………似合ってるのになぁ。

 

「おはよう、明兎♪」

 

「あ、眞琳お姉ちゃん。」

「ま、まま、眞琳様っ!お、おはようございますっ!!」

 

 眞琳お姉ちゃんが校舎から静かに歩いて来る。

「何か楽しそうだったけど、私も仲間に入れて♪」

 お姉ちゃんは明兎ちゃんの後ろから両肩を抱いて、頬を摺り寄せた。

「わわわわ私なんかの話でよよ宜しければ!いいい幾らでもっ!!」

「明兎ったら聖刀ちゃんとは仲良く話せるのに、私には緊張しちゃうのね♪」

 お姉ちゃんは公の場だと母上みたいに威厳が有るから、慣れない人はみんな明兎ちゃんみたいな反応をする。

 そんなお姉ちゃんは格好いいと思うけど、ぼくは父上たちみたいに初対面の人達と直ぐに笑って話が出来る様になりたいな。

 

「始業時間までゆっくり親睦しましょう♪」

 

 お姉ちゃんは明兎ちゃんの事がかなり気に入ってるみたいだ。

 完全に後ろから抱き締めてしまった。

 

「ま、まま、眞琳様?」

「あら、こんなに動悸が激しくなって。汗もかいているわ。保健室でご休憩しないと♪」

 

 お姉ちゃんは明兎ちゃんをお姫様抱っこすると、走って校舎に向かった。

 

「き、輝琳!助けうにゃああああああああぁぁぁぁ!」

 

 明兎ちゃん、緊張し過ぎて体調が悪くなったのかな?

 それにお姉ちゃんも慌ててたのか言い方がおかしくなってた。

 でも、保健室には二刃叔母さんがもう登校してるから心配要らないよね。

 

 

 

 

昼休み 校舎裏

【明兎(黄乱)turn】

 

 朝は危ない所だった………………二刃様が保健室に居なかったらどうなってた事か………。

 眞琳様は素敵だけど心の準備が……………いやいや、そうじゃなくて!

 私にはまだそういうのは早いんだ!

 ……………でも、眞琳様に耳元であんなふうに囁かれると、何も考えられなくなっちゃう……………。

 

「逃げ出さずによく来たな!裏切り者の山越めっ!!」

 

 あ?なんだ?

 顔を上げて見ると五人の女が偉そうに立って居た。

 歳は私と同じで、学園の制服を着ている。

 

「誰かと思ったら四胡(よんこ)とおまけか。」

 

「「「「四胡って言うな!」」」」

「おまけじゃ無いぞ!」

 

 こいつらは匈奴の呼廚泉(こちゅうせん)、鮮卑の軻比能(がびのう)(けつ)石周(せきしゅう)(てい)千万(せんまん)、烏丸の阿羅槃(あらばん)

 全員が私と同じにこの学園に放り込まれた奴らだ。

 ちなみにおまけとは烏丸の事だ。漢王朝の時代から五胡を語る時に、烏丸は鮮卑と混同されるから。

 

「漢族に尻尾を振りやがって!」

「そうだそうだ!」

 一番背の高い呼廚泉が敵意を剥き出しに私を指差し、一番チビの阿羅槃が追随した。

 

「山越など所詮は南方の山犬だな!」

「そうだそうだ!」

 一番髪の長い軻比能が冷ややかな目で私を見て、一番髪の短い阿羅槃が真似をする。

 

「羌、南蛮に続き、遂に山越を………北郷一刀の能力(ちから)はやはり恐ろしいわ!」

「そうだそうだ!」

 金髪の千万が怯えた顔を見せ、烏の羽みたいな髪の阿羅槃が…………こいつただのバカだな。

 

「黄乱!幾ら貰って晋に付いた!わたしも欲しいぞっ!!」

「そうだそうだ!……………え?」

 羯はこの中で一番落ち目だもんな…………石周は痩せててガリガリって言ってもいいくらいだし…………。

「おい、阿羅槃。烏丸がこの中で一番裕福だけど、それは晋との昆布貿易の恩恵だぞ。そっちに居ていいのか?」

「そうなのか!?」

 うん。やっぱりこいつはバカだ。

 

「騙されるな、阿羅槃!我らの目的を忘れるな!」

 目的?呼廚泉は何を考えているんだ?

 

「もくてき……………なんだっけ?」

「北郷聖刀を篭絡し、十年掛けて我らの傀儡にするのだ!」

 

 こいつらそんな事考えてたのか……………アホくさ。

 

「こら、どこへ行く、黄乱!」

「教室に戻るんだよ。元々昼食後の散歩で来ただけだし。」

「何だと!?貴様、下駄箱に入れておいた竹札の伝言を読んでないのか!?」

「下駄箱?竹札?」

 

 ああ、今朝は眞琳様に直接保健室へ連れて行かれて、午前中は二刃様が貸してくれた上履きで過ごしたから、まだ下駄箱を開けて無かったな。

 

「まあいい。我らの企みを知ったからには仲間になると言うまで帰さんぞ!」

「心配するな。別に告げ口なんてしないから。」

 

「「「「「え?」」」」」

 

「まあ、頑張れ。十年後が楽しみだな。」

 結果は見えてるけどな。

 

「おまえいいやつだなあ♪酢昆布やるぞ♪」

 

 阿羅槃から酢昆布を貰った……………。

「我らは従順なフリをして教室では大人しくするからな。邪魔をするなよ。」

 呼廚泉はそう言って………………。

 

「なんで付いてくるんだよ!」

 

「「「「教室に戻るから。」」」」

「もどるのだー♪」

 

 ………………そりゃそうか。

 

「あ、明兎ちゃん。ここに居たんだ♪」

 輝琳が校舎の角から現れた。

「呼廚泉さん、軻比能さん、千万さん、石周ちゃん、阿羅槃ちゃん、学園にはもう慣れた?困った事が有ったら何でも言ってね♪」

 

「「「「はい♪ありがとうございます♪」」」」

 

 変わり身してるけど…………あれ、本当に演技か?

 全員顔が赤いじゃないか。

 

「ありがとー、まさと♪酢昆布やるぞ♪」

「え?あ、ありがとう、阿羅槃ちゃん。」

 

 阿羅槃は最初から目的なんて覚えて無かったしな。

 

 改めて考えると、この学園って輝琳の嫁を集める為の施設になってないか?…………まあ、いいか♪

 

 

 

 

 

おまけ参

リクエスト:「男装喫茶」へようこそ 12票

 

房都 繁華街 茶店            (時報:桂花 十人目 秦翹 生後二ヶ月)

【紫一刀turn】

 

 俺たちは繁華街に在る大きな茶店に来ていた。

 ここは俺たちが大喬に出会った思い出の店だ。

 そんな訳で何かと懇意にしているのだが、この間店主から相談を受けた。

 売上は安定しているが、何かお客さんが喜ぶアイデアが欲しいとの事だ。

 そこで俺たちは、色々と迷惑も掛けてるのでここはひとつ知恵を絞らなければと思った訳である。

 三年前にも翠が二人目を身篭った時にひと騒動やらかしちゃったからなぁ………。

 

 この店は女性客をメインターゲットにした茶店だ。

 給仕も女の子ばかりなので、女性にとっては安心して寛げるのを売りにしている。

 最初はメイド喫茶を思いついたが、何か違う気がした。

 単純に執事喫茶にして男性の給仕を雇うのはこの店の売りを殺してしまう。

 ならば女の子が執事姿に男装をするのはどうかと思い付いたのだ。

 

「「「と、いう訳で、今日だけお手本としてお願いします。」」」

 

 愛紗、星、焔耶、秋蘭、霞、凪、雪蓮、冥琳、思春、小喬、大喬、月、詠、マオ(華雄)が執事服を着て背筋を伸ばしている。

 先ずはこの店で働く女の子に執事とはどんな物かを知ってもらう必要が有る。

 最初は俺たちが実際にやって見せようとしたのだが、何故か奥さん達全員から却下された。

 そこでこのメンバーに俺たちの代わりをしてもらう事になった。

 折角なので一日限りのスペシャルイベントとして、実際にお客さんを呼んでお店の宣伝もしてしまおうという訳である。

 

「一刀。何故姉者に声を掛けなかったのだ?姉者はあれで女性人気が高いのだぞ。」

 

「「「オチ担当は今回省きました。」」」

 

 春蘭が居たら結果がどうなるかなんて簡単に想像がつくだろうが!

 現状でも不安要素が有るのにそんな爆弾を抱えられるか!

 

「「「それじゃあ開店時間だ。みんな、頑張ろう!」」」

 

 

 

 事前の宣伝が効いているのか、開店と同時に店は満員。

 順番待ちの列まで出来ていた。

 

「お嬢様、ご注文の品でございます。」

 

 愛紗が凛とした物腰で茶器とお菓子をテーブルに並べて行く。

 お客の女の子の四人組は終始愛紗だけに注目して、お茶もお菓子も見てなかった。

 

「ごゆっくりお寛ぎ下さい。」

 

 最後に少しだけ笑顔を見せると、女の子達は完全に夢の世界に旅立ってしまう。

 

「ほほう、愛紗は中々やりますな、主♪」

 プロデューサーとして店の様子を確認している俺たちの所に、星が楽しそうにやって来た。

「「「月達の努力の賜物だな。給仕の仕方を基礎から教えてくれたから。星は初めから出来たけど、経験が有るのか?」」」

「旅の途中で路銀を稼ぐのに時折♪酔っ払いを叩き出す仕事の方が多かったですがな♪」

「「「それは給仕じゃなく用心棒だ…………」」」

「おっと、客が呼んでますので、行ってまいります。」

「「「ちょっと待った!」」」

「どうしました、主?」

 

「「「メンマの壺は置いて行け。」」」

 

 お約束通り、星の手には小さな壺が握られていた。

「甘味の口直しに最高ですぞ?」

「「「普通の人はケーキとメンマを一緒に食べないんだよ!」」」

 

 星からメンマを没収してフロアに送り出した。

 これがさっき言った不安要素のひとつだ。まだまだ安心は出来ないぞ。

 さて、他のメンバーはどうかな?

 お♪焔耶は頑張ってるな。伸ばした髪をまとめてるから、雰囲気が昔に戻ってて新鮮…………う~ん、執事服だとますます○ラックジャックみたいだ…………。

 秋蘭と思春は以前からメイドの勉強とかしてたから給仕に不安が無い。

 執事姿も似合ってるけど、この二人のメイド服姿を思い出したらまた見たくなってきたな……………今度、お願いしてみよう。

 

『きゃあああああああああああ♡』

 

「「「おわっ!何だっ!?」」」

 悲鳴かと思ったけど、これは黄色い歓声か?

 急いで現場に駆け付けると、凪が霞を抱き起こしている所だった。

 

「大丈夫ですか、霞様?」

「おおきにな、凪………履き慣れん靴を履いとるから蹴躓いただけや。」

 

 成程、謀らずもお客様へサービスシーンをお見せする形になったのか。

 

「な~んか足を挫いたみたいや。このままお姫様抱っこで奥に運んでくれへんかな~♪そんでご休憩に♪」

「ほほう。足を挫いたのならこの場で治してあげましょう。駕医師匠や二刃の様に優しくはありませんが♪」

 凪の右手が氣で光り始めた。

「じょ、冗談や!仕事しよ、仕事!」

 霞が跳ね起きて厨房に逃げて行く。

 お客さん達からサービスシーンが終わってしまった事への溜息が漏れた。

 折角盛り上がったんだから、この流れを止めたくないな。

 俺たちは凪に合図して、予定より早く次の演出をする事にした。

 

「皆様、お騒がせ致しました。引き続きお寛ぎ下さい。」

 

 凪が氣で光る手を天井にかざすとスポットライトが点灯した。

 真桜の開発した照明が凪の氣弾を吸収したのだ。

 俺たちは壁にある照明装置に移動して、スポットライトを動かし、執事姿のみんなを順番に照らして行く。

 あれ?雪蓮は何処に………お、カウンターの中に発見!

 

「ちょ、ちょっと!何で今照らすのよ!!」

 

 雪蓮の手には酒壺と盃が………………サボって呑んでたのかよ!

 

「雪蓮っ!お前というヤツはっ!!」

「うわ!ヤバっ!!」

 

 怒った冥琳が雪蓮を追い掛け始めると、店内から笑いが巻き起こった。

「雪蓮様と冥琳様はやっぱりこうじゃなきゃ♪」

 お客さんからそんな声が聞こえてくる。

 街でもたまに見られる光景だけに、お客さんにもお約束なんだろう。

 沙和が言うには、都の名物のひとつになってるらしいしな。

 あ、二人がバックヤードに行ってしまった!

 いかん!冥琳は貴重なメガネ要員なのに!

 これはもうひとりのメガネ要員にスポットを当てなければ!

 

「え?ちょ、ちょっと!なんでボクに照明を当てるのよっ!!」

 

 メガネのボクっ子執事だけでもお客さんには受けていたのに、ツンまで発動したため店内は大盛り上がりだ。

 

「ふふ♪詠ちゃんカッコイイ♪」

「詠様、素敵ですよ~♪」

 

 月と小喬の褒め言葉に詠が真っ赤になった。

「だから、止めてってばっ!!」

「詠様の照れてる姿も可愛いです♪」

 大喬が詠を支える様に寄り添うと店内の黄色い歓声が更に大きくなる。

 この四人が並ぶと本物のショタ専乙女ゲーキャラみたいだ。

 何しろ愛紗達の様な巨乳ではないから、お客さんにはシルエットが少年っぽく見えている事だろう。

 俺たちはお尻のラインで女性だと完全に認識してしまうので間違う事は無いが。

 

「陛下たち、顔が緩んでるぞ。」

「全く、自分の妻に男装をさせて喜ぶな。」

 

 マオと思春に揃って呆れられた…………。

 ああ、そう言えばこの二人も胸元スッキリだな。

 

「「今何かムカつく事を考え無かったか?」」

 

「「「いやいや!この服を着るとお尻の形が女らしさを強調すると思ってさ♪」」」

 

「「バ、バカ!何を言っているっ!!」」

 二人は揃って恥ずかしがり、顔を赤くした。

 この二人、結構息が合うんだな。

「「「所で仕事の話なんだけど、お客さんが結構回転してるよな。厨房は大丈夫なのか?」」」

 思春が一瞬で真剣な顔になる。

「大丈夫だ。愛紗が決して近付かない様に全員で監視している。」

「「「お客さんの命に関わるからそれは一番大事だけど、俺たちが言いたいのはお菓子作りとか盛り付けが大変なんじゃないかって話なんだけど。」」」

 ん?マオの顔が引きつったぞ?

「それなら…………直接見た方が早いな。」

 

 

 フロアから目を離しても大丈夫と思えたので、俺たちは厨房を覗きに行く。

 そこに居たのは朱里と雛里だった……………二人は本来の仕事が忙しいと思って頼んで無いんだけど…………。

 

「雛里ちゃん!菴摩羅(あんまら)プリンの盛り付けを三つお願い!」

「了解!あ、林檎の焼き菓子がもう直ぐ焼きあがるから注意してね!」

「うん!任せて♪」

 

 普段の朱里と雛里からは考えられないスピードで厨房を動き回り、次々とお菓子を作り上げて行く。ちなみに菴摩羅とはマンゴーの事だ。

 この二人なら確かに最高のお菓子を作ってくれるけど、やっぱり申し訳ないな。

 お茶の方は本来のお店の人が準備してくれるので、お菓子作りに専念出来る様だ。

 生き生きとお菓子を作ってるから、政務の息抜きになってるのかな?

 だとすれば止めさせるのは野暮だろう。

 

「さあ!これで余裕が出来たよ♪」

「早くお店の中を見に行こう♪」

 

 朱里と雛里は俺たちの前を素通りしてフロアに走って行ってしまった…………。

 

「やっぱり眼福だね~、雛里ちゃん♪」

「うん♪こうして見ていると次の作品の構想がどんどん湧いてくるよ~♪」

 

 二人は実に幸せそうな顔で執事姿のみんなを眺めていた。

 メインの目的はそっちか……………だがここは敢えて何も言わない方が身の為だな。

 下手に二人の記憶に残ったら『次の作品』とやらに俺たちも登場するに違いない。

 三年前の氐に対する政策以降、成都の乙女ロードは拡充の一途をたどり、今では本家のシルクロードと同じにヨーロッパ大陸へ向かって足を伸ばし始めている。

 

 後年、ヨーロッパではこの国と俺たちがどんな風に伝わっているのか………………考えるだに恐ろしい………。

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

『本編』

いままでネタ使ってきたオシッコを掘り下げてみましたw

華佗の書いたオネショ対策はお医者様のサイトを見て確認、引用させて頂いてます。

オシッコを我慢しすぎると腎盂炎になる可能性が有るので注意して下さい。

 

朱里の策士化が進んでいますw

作者が恋姫で一番最初にハマったキャラだというのに、どうしてもイジって遊んでしまいます。

今回も改めるつもりで登場させた筈なんですけどねぇ…………。

 

 

『北郷二刃奮闘記』

妹達による姉談義がいつの間にか一刀のラッキースケベ談義にw

一刀がいい思いをする分、奥さん達にしっかりシバいてもらいましょう。

 

 

『聖刀くんの日常』

二刃の願いも虚しく、しっかりとラッキースケベを受け継ぐ聖刀。

そして眞琳の華琳化がどんどん進行してます。

このシリーズを始める時はもっとお淑やかにするつもりだったんですけどねぇ。

どこで間違えたんでしょう?

『木亭ちゃん』とは○ンリオの○ティちゃんです。

絵が有ったらこの部分モザイクですねwww

 

さて、今まで隠してきたキャラが遂に出せました♪

四胡とおまけの五人組です。

匈奴:呼廚泉(こちゅうせん)

鮮卑:軻比能(がびのう)

氐:千万(せんまん)

羯:石周(せきしゅう)

烏丸:阿羅槃(あらばん)

真名はまだ考えてません。

聖刀さま♡親衛隊や美以達南蛮、そして直と絡ませたいですねw

 

 

『おまけ参:「男装喫茶」へようこそ』

人選は作者の趣味ですw

ここは敢えて子供達の事を考えず、本来の恋姫で書かせて頂きました。

 

成都からヨーロッパに続く『乙女ロード』

きっと『漢女』も一緒に流出してると思いますw

 

 

《次回のお話》

 

次回は

☆音々音②&音々さん②&恋② 38票

 

【北郷二刃奮闘記】

璃々や小蓮ら年代が近い者たちのガールズトーク 15票

【聖刀くんの日常】

北郷親衛隊とその子供達② 7票

【おまけ参】

天の国講座 其の参 9票

を、お送りいたします。

 

※『天の国講座』は一回置きに其の四までを予定しています。

 

 

《現在の得票数》

小蓮②  31票

ニャン蛮②30票

秋蘭②  25票

蓮華②  21票

桃香②  17票

月②   17票

季衣②  14票

冥琳②  14票

桂花③  12票

璃々③  12票

鈴々③  10票

紫苑③  9票

炙叉②  6票

真桜②&凪②&沙和②(三羽烏)

     7票

二喬②  7票

風②   5票

詠②   5票

華琳④  3票

思春③  1票

 

※終の竜さんから『三羽烏』のリクがありましたので三人はひとつにまとめました。

 

【北郷二刃奮闘記】

紫苑と月、璃々たちによる夜の勉強会 8票

真桜のからくり話其の二 7票

いい大人になるための漢女☆講座~女の子編~ 4票

華蝶連者 1票

 

【聖刀くんの日常】

昴    7票

聖刀さま♥親衛隊 7票

炙叉   6票

いい大人になるための漢女☆講座~男の子編~ 5票

新入生と 3票

聖刀と祉狼の昆虫採集 2票

黄乱② 1票

聖刀・祉狼・昴の探検隊 1票

 

【おまけ参】

天の国講座 9票

紫苑、璃々、音々+子供によるキノコ狩り 13票

騎乗訓練その後 12票

超英雄大戦(華蝶連者×サン・アルジオン×見捨てない人)12票

親子鍛錬(五虎将編)10票

眞琳と蓮紅と香斗の街で「はじめてのおつかい」 7票

「女装喫茶」へようこそ 5票

恋姫麻雀大会 5票

いい大人になるための漢女☆講座~ご主人様編~ 4票

眞琳の金桂達いじり 2票

恋姫†酒場放浪記 1票

 

リクエスト参戦順番→冥琳② 風② 凪② 小蓮② ニャン蛮族② 音々音② 月② 詠② 愛紗② 沙和② 秋蘭② 桃香② 蓮華② 音々② 季衣② 炙叉② 桂花③ 真桜② 二喬② 紫苑③ 鈴々③ 璃々③ 華琳④ 思春③

 

おまけ壱リクエスト参戦順番→真桜のからくり話其の二 いい大人になるための漢女☆講座~女の子編~ 璃々や小蓮ら年代が近い者たちのガールズトーク 紫苑と月、璃々たちによる夜の勉強会

 

おまけ弐リクエスト参戦順番→いい大人になるための漢女☆講座~男の子編~ 炙叉 北郷親衛隊とその子供達② 昴 聖刀さま♥親衛隊 新入生 聖刀と祉狼の昆虫採集 黄乱② 聖刀・祉狼・昴の探検隊

 

おまけ参リクエスト参戦順番→天の国講座 騎乗訓練その後 親子鍛錬(五虎将編) 北郷親衛隊の結婚生活  超英雄大戦 紫苑、璃々、音々+子供によるキノコ狩り いい大人になるための漢女☆講座~ご主人様編~ 眞琳と蓮紅と香斗の街で「はじめてのおつかい」「女装喫茶」へようこそ 恋姫麻雀大会 眞琳の金桂達いじり 恋姫†酒場放浪記

 

 

【子供達一覧】

1)華琳の長女 曹沖(そうちゅう) 眞琳(まりん)

2)桃香の長女 劉禅(りゅうぜん) 香斗(かと)

3)蓮華の長女 孫登(そんとう) 蓮紅(れんほん)

4)思春の長女 甘述(かんじゅつ) 烈夏(れっか)

5)愛紗の長女 関平(かんぺい) 愛羅(あいら)

6)風の長女 程武(ていぶ) 嵐(らん)

7)桂花の長女 荀惲(じゅんうん)金桂(きんけい)

8)雪蓮の長女 孫紹(そんしょう) 冰蓮(ぴんれん)

9)冥琳の長女 周循(しゅうじゅん) 冥龍(めいろん)

10)祭の長女 黄柄(こうへい) 宴(えん)

11)恋の長女 呂刃(りょじん) 恋々(れんれん)

12)紫苑の次女 黃仁(こうじん) 露柴(ろぜ)

13)紫苑の三女 黃信(こうしん) 崔莉(ちぇり)

14)蒲公英の長女 馬援(ばえん) 向日葵(ひまわり)

15)翠の長女 馬秋(ばしゅう) 疾(しつ)

16)麗羽の長女 袁譚(えんたん) 揚羽(あげは)

17)桔梗の長女 厳逹(げんたつ) 竜胆(りんどう)

18)凪の長女 楽綝(がくりん) 濤(なみ)

19)七乃の長女 張路(ちょうろ) 八倻(やや)

20)天和の長女 張甲(ちょうこう) 九蓮(ちゅうれん)

21)地和の長女 張大(ちょうだい) 四喜(すーしー)

22)人和の長女 張吉(ちょうきつ) 一色(いーそー)

23)炙叉の長女 迷当(めいとう) 直(なお)

24)白蓮の長女 公孫続(こうそんしょく) 白煌(ぱいふぁん)

25)秋蘭の長女 夏侯衡(かこうこう) 鈴蘭(すずらん)

26)月の長女 董擢(とうてき) 春姫(るな)

27)美以の長女 孟節(もうせつ) 花鬘(かまん)

28)トラの長女 ベンガル

29)ミケの長女 マンクス

30)シャムの長女 ペルシャ

31)桂花の次女 荀俁(じゅんぐ) 銀桂(ぎんけい)

32)朱里の長女 諸葛瞻(しょかつせん)龍里(るり)

33)雛里の長女 龐宏(ほうこう)藍里(あいり)

34)詠の長女 賈穆(かぼく) 訓(くん) 

35)焔耶の長女 魏覚(ぎがく) 焔香(えんか)

36)春蘭の長女 夏侯充(かこうじゅう) 光琳(こうりん)

37)星の長女 趙統(ちょうとう) 螢(けい)

38)大喬の長女 喬櫂(きょうかい) 愛(あい)

39)小喬の長女 喬順(きょうじゅん) 華(か)

40)亞莎の長女 呂琮(りょそう) 茜(ちぇん)

41)明命の長女 周邵(しゅうしょう) 藍華(らんふぁ)

42)華雄の長女 華剛(かごう) 树莓(しゅうめい)

43)桂花の三女 荀詵(じゅんしん) 丹桂(たんけい)

44)霞の長女 張虎(ちょうこ) 雰(ふぇん)

45)沙和の長女 于圭(うけい) 紗那(さな)

46)斗詩の長女 顔教(がんきょう) 升謌(しょうか)

47)真桜の長女 李禎(りてい) 真梫(ましん)

48)桂花の四女 荀顗(じゅんぎ) 連翹(れんぎょう)

49)猪々子の長女 文獬(ぶんかい) 虎々(ふーふー)

50)稟の長女  郭奕(かくえき) 貞(てい)

51)穏の長女  陸延(りくえん) 毬(ちう)

52)鈴々の長女 張苞(ちょうほう) 爛々(らんらん)

53)流琉の長女 典満(てんまん) 枦炉(ろろ)

54)桂花の五女 荀粲(じゅんさん) 黄梅(おうめい)

55)小蓮の長女 孫仁(そんじん) 蕾蓮(らいれん)

56)音々音の長女 陳守(ちんじゅ) 音音(ねおん)

57)季衣の長女 許儀(きょぎ) 華衣(かい)

58)美羽の長女 袁燿(えんよう) 優羽(ゆう)

59)桂花の六女 荀淑(じゅんしゅく) 來羅(らいら)

60)音々の次女 陳修(ちんしゅう) 音肆(おとよ)

61)華琳の長男 北郷聖刀(まさと) 輝琳(きりん)

62)桂花の七女 荀倹(じゅんけん) 柊(しゅう)

63)璃々の長女 黄慮(こうりょ) 牡丹(ぼたん)

64)思春の次女 甘瓌(かんかい) 燃秋(ぜんしゅう)

65)紫苑の四女 黄薛(こうせつ) 紅葉(もみじ)

66)管輅の長女 管辰(かんしん) 辯天(べんてん)

67)鈴々の次女 張紹(ちょうしょう) 龍々(ろんろん)

68)星の次女  趙広(ちょうこう) 迦具夜(かぐや)

69)愛紗の次女 関興(かんこう) 愛絽(あいろ)

70)雪蓮の次女 孫静(そんせい) 水蓮(しゅいれん)

71)翠の次女  馬承(ばしょう)

A)桂花の八女 荀靖(じゅんせい) 茉莉花(まりふぁ)

B)桂花の九女 荀燾(じゅんとう) 寿丹(じゅたん)

C)桂花の十女 荀爽(じゅんそう) 秦翹(しんぎょう)

D)桂花の十一女 荀粛(じゅんしゅく) 金鐘(きんしょう)

E)桂花の十二女 荀旉(じゅんふ) 橄欖(かんらん)

 

【その他のオリジナル設定】

華佗 真名:駕医(がい) 息子⇒華旉(かふ) 真名:祉狼(しろう)

陳越(音々音の母) 真名:音々

インテリ⇒寇封(劉封) 嫁⇒孟達 真名:太白(たいはく)息子⇒孟興 真名:昴(こう) 

追っかけ⇒波才 嫁⇒楊阜 真名:門風(メンフォン)娘⇒楊豹 真名:和了(ほうら)

尻好き⇒宋謙 嫁⇒張承 真名:真珠(しんじゅ)娘⇒張休 真名:珊瑚(さんご) 

董の兄ぃ⇒牛輔 嫁⇒申耽 真名:菫花(きんふぁ) 娘⇒申儀 真名:朔(さく) 

兄者⇒呂曠 嫁⇒徐晃 真名:雲雀(ひばり)娘⇒徐蓋 真名:朱雀(すざく) 

弟者⇒呂翔 嫁⇒張郃 真名:豹牙(ひょうが)娘⇒張雄 真名:白虎(びゃっこ)

黄乱 真名:明兎(みんと)

馬良 真名:鷲羽(わしゅう)

馬謖 真名:耶麻(やま)

荀攸 真名:素英(そえい)

魯粛 真名:命佐(めいさ)

董雅(月の父) 董陽(月の母) 真名:日(りい)

曹嵩(華琳の父) 曹静(華琳の母) 真名:蝶琳(ちょうりん)

喬玄(大喬と小喬の母)

劉玄(桃香の母)

 

匈奴:呼廚泉(こちゅうせん)

鮮卑:軻比能(がびのう)

氐:千万(せんまん)

羯:石周(せきしゅう)

烏丸:阿羅槃(あらばん)

 

引き続き、皆様からのリクエストを募集しております。

1・メインヒロインとなるキャラをご応募下さい。

2・『北郷二刃奮闘記』で二刃と絡むキャラを募集しています。

 例:「二刃視点で貧乳党」  という感じでお願いします。

3・『聖刀くんの日常』で聖刀と絡むキャラを募集しています。

 例:「聖刀視点で三羽烏」  という感じでお願いします。

4・おまけ参でのメインとなる子供達を募集しています。

 シチュエーションのリクエストも大歓迎です。

以上の四点にリクエストの集計(TINAMI、Pixiv双方の合計)を振り分けますので、

よろしくお願いいたします。

今まで通り、リクエストに制限は決めてありません。

何回でも、一度に何人でもご応募いただいて大丈夫です。

 

ここで絵師の皆様へ

この小説『三人の天の御遣い』の挿絵に皆様のイラストを是非お願い致します!

新たに描かれた作品、過去に描かれた作品を問いません。

TINAMI上で挿絵として使用しても良いという方はショートメールにてご連絡下さい。

また、こちらから使用許諾のお願いをさせて頂く事も有ると思いますので、その時はよろしくお願い致します。

お願いしたいイラストは恋姫達は勿論ですが

成長したちびっ子組やオリキャラ達

立ち絵、シーンイラストを問いません。

重ねてお願い致しますm(_ _)m

 

 

ご意見、ご感想、ご指摘などもご座いましたら是非コメントをお寄せ下さい。

誤字脱字は雷起の反省を促す為、修正後も抜粋して晒しますw

 

 

 


 
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