No.692773

小説10

H@さん

過去の出来事を小説タッチで書いてみました。思い出や多少アレンジもあります。小説練習中です。><

2014-06-09 15:23:18 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:307   閲覧ユーザー数:307

澄は、住み慣れた都内の住居を離れて京都に移ってからすぐに祇園の高級クラブのコンパニオンとして働き出した。澄は、そこで結構最初のうちから指名客を取れていたようだ。同伴の客も多かったみたいだし、アフターにデートをして、食事を奢らせたのち深夜もやっているアクセサリー店を見つけると(24時間ディスカウントショップなど)その場で数万はするアクセサリーを買わせたりしていた。

 

ただ、アクセサリーだけを買わすのでは申し訳ないと思ったのだろう。買わせた後、近くのラブホテルに友達も一緒にお客と3人でしけこみ、すぐにはHをする訳でもなく、ただずっと楽しいおしゃべりに花を咲かせてから、ホテルなら当然するだろう接待のことについては少しも触れないまま時間だけが足早に通り過ぎて行き、結局うやむやになったまま、つまり、何も関係がないまま、その場をやりすごしてアクセサリーだけ買わせたら会話だけ密室で楽しんで後は知らないという、そういう一風変わった、だけれどとても手前勝手でご都合主義な振る舞いを続ける日々を繰り返しこの情緒溢れる日本で指折りの観光名所である京都で送っていた。

 

そんな態度を取っているだけなのにいったい何が楽しいのか知らないけど澄はいつもお客に人気があって指名が多く、アフターデートの誘いも常に満杯状態だった。

 

それだけではない、京都に移った途端、金額が必ず50万円の着物をお客に買わせることが趣味になってしまい、癖になったように着物をしょっちゅうデートする男に買わせまくっていた。そしてそのたび、買ったりお直しにだした着物の受け取りを当然のように京都に一緒に暮らす友達に手伝わせていた。

 

その金額50万円という値段の意味がよく分からない、そして未だに分からないが、そもそも何か意味があるのかもよく分からない、澄だったら、頑張ればそれ以上の金額の着物も絶対に買わせられると思うからだ。そう想像してしまうのは、それほど若い頃から接待慣れしていて、買わせ上手だったからだ。

 

澄の友達が、澄に対して着物をよく買ってくれていたお客と話す機会があった。その時、お客は言っていた。「まだ一度も手も握ったことないよ、俺は単なる貢だよ・・・いつもデートは買い物だけだよ」

 

その男の顔は、顔が割りと小粒でギャクサンで繭が割りと濃い目で睫も濃い感じだった。決して変な顔ではなくむしろ見方によっては二枚目タイプなのだが、澄にかかるとまるで赤子も同然でただ、なすすべもなく着物買い物の僕と化していたのだ。


 
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