No.684629

やっぱり足りないよ恋ちゃん

くらのさん

お久しぶりです。今回は――。ええ、気をつけてください。彼女たちはどこから狙っているのか分かりません。もしかしたら、これを読むだけで。わ、私はすぐに消えます。気をつけてください。さもなけ――。

2014-05-07 02:53:40 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:4582   閲覧ユーザー数:3609

 

それはとある日のことです。

恋と一刀が街で買い食いをして、そろそろ帰ろうかと城に足を向けていると突如として大雨が降り始めました。

辺り一面雨のせいで視界が悪く、先を見通せないほどでした。

 

「ああ、やっぱりもうちょっと早めに帰れば良かったー!」

「…………」

 

 一刀が手を傘のようにしながら走っていますが、全く効果がある筈もなくずぶぬれになっていました。恋の方といえばすでに諦めているのか、淡々と後ろを走るだけです。

 しかし、このままでは服どころか、下着までもびしょぬれになりかねません。

 一刀はそれでいいかもしれませんが、今回は恋がいます。一刀としては恋をずぶ濡れにする気はありません。

 

「恋、そこの軒下に雨宿りしよう」

「……(コクリ)」

 

 当然、一刀と恋も雨のせいでずぶぬれになってしまいました。

 

露店を慌てて畳んでいる人、一刀達と同じように軒下に雨宿りをしている人。様々な人々が右往左往しています。

 

「恋、触角垂れてるぞ?」

 

 一刀の視線の先には触角がヘニャリと垂れていました。

 

「……?」

 

 サワサワと恋は自分の前髪の触角を当たっています。いつもとは違う、自分の髪に興味を覚えているようです。

 髪の毛を上に引っ張ってみますが、すぐにヘニャリと垂れてしまいます。

 

「……」

「恋、多分乾かさないと立たないぞ?」

「立たない?」

「ああ。垂れてちゃ、立たないよ。まずは乾かしてからね」

 

 かすかに困った顔を浮かべる恋に向けて一刀はそう言いました。

 

「……(コクリ)」

「それにしても酷い雨だな。あんまり好きじゃないんだけど」

天を仰いで呟く一刀に恋は小さく首を横に振りました。

 

「……雨、好き」

「雨が?」

「……だってご主人様と一緒に居られるから」

「へ?」

「雨なかったら、ご主人様といられる時間が少なくなるから」

 

そう言うと恋はかすかに笑みを浮かべると一刀の腕をそっと抱きしめました。

 

「れ、恋」

 

濡れていても恋の暖かさと柔らかさを感じると一刀は頬を染めました。

 

「ご主人様と一緒は楽しい。あったかい」

「俺もだよ。恋と一緒に居ると暖かくて、すごく優しい気持ちになれる」

 

そう言うと一刀は恋を自分の方に引き寄せます。

 

「それに少し寒いってことで抱きしめれるし、ね?」

 

 少しおどけるように言っていますが、一刀の顔は真っ赤です。

そして、それ以上に恋の表情も赤く染まっていました。

 

「雨、やまないね」

「……(コクッ)」

 

そう言いながらも二人は雨がもうしばらくの間やまないことを願いながら雨宿りを続けました。

 

それからしばらくしたある日。軽く雨が降った後、恋が警邏から帰った時のことです。

恋の腕の中にはお饅頭の入った袋があります。一刀と一緒にお昼ご飯を食べようと思い、買ってきたものです。

しかし、執務室を覗いてみてもおらず、部屋に向かってもおらず、

 

「おや、恋。どうした?」

「ご主人様に何か御用?」

 

そこにはお酒を飲んでいる二人、紫苑と桔梗の姿がありました。

 

「……」コクッ

「そう、ご主人様は見てないわね。桔梗は?」

「うん? そう言えば、書庫に行くとかなんとか……」

 

桔梗の言葉に顔を輝かせると、早速向かおうとし、 ふと思い出しました。

少し外に出てしまいました。もしかしたら前髪が垂れているかもしれません。

 自分ではさほど、垂れているように見えませんが、もしかしたらということがあります。

 そこまで考えると恋は目の前にいる二人に尋ねました。

 

「垂れてる?」

 

ピキッ

 

 その言葉に口元まで持って行かれていた御猪口が止まります。

二人は同時に互いの胸を見つめ、自分の胸を見つめ、最後に恋の胸を見つめました。

 

「?」

「そ、それはどういう意味かしら?」

「……ご主人様が言ってた。……垂れてたらたたないって」

 

その瞬間、二人の脳裏にありもしない妄想が広がりました。

 

『恋の胸って気持ちいいね』

『?』

『やっぱり、胸ってこういう張りがあった方がいいよね。それにやっぱり若い方がね』

『?』

『分かんないか。簡単に言うと、恋は気持ちいってこと』

『♪~~』

 

思わず、杯を落としそうになりながらも紫苑と桔梗は笑い始めました。

 

 

「ほ、ほう。お館様も中々言いよるわ」

「ふふふ、ご主人様ったら……。あら、そう言えば桔梗? ここ最近下がって来たんじゃない?」

「何を言いよるか。紫苑、お主の方こそ下がってきておるのではないのか? やはり、子がいれば下がるのでは?」

 

 恋の目には紫苑と気今日の間にバチバチと火花が散っているように見えます。

 

「あら、だったらご主人様の元に行ってどちらの胸が好みか聞いてみる?」

「おう、ならば今日の夜にでも」

「ふふふ」

「くくく」

 

 恋は何となく、厄介なことになったと気付き、その場から去りました。

 

 その日の夜。

 北郷一刀の部屋の前にふたつの怪しい影がありました。

 もちろん、紫苑と桔梗です。

 二人は夜、眠るだけというにはあまりにも着飾っていました。

 

「さて、これでどちらが上か、勝負だな」

「ええ、勝負なんて決まっているようなものだけれど」

「おう、そうよな」

 

二人とも笑顔なはずなのに、どこか寒々しさを感じさせました。

暫く笑みを浮かべ合っていた二人でしたが、扉を開けようとしたときに気が付きました。

扉の向こう側からかすかに声が聞こえてきます。

 

「ん、恋……」

「……ご主人様」

「恋の胸、気持ちいよ……」

 

扉越しに聞こえてきた声に二人の動作が同時に止まりました。

 

「……帰るか」

「……ええ」

 

その翌日。

 

中庭には相変わらず、鍛錬を続けている武神。その横ではスヤスヤと言うには鬼気迫る感じで横になっているメイドに軍師。

更には――。

 

「おかーさんたち何してるのー?」

「え、ええ。ちょっと、ね」

「お、おう。璃々は気にするようなことではないぞ?」

 

 日陰で胸の前で両手を合わせて力を入れてる二人の姿がありました。

 

「こうすると垂れないって」

「うむ。確かに、効きそうな感じだな」

「おかーさん。つまんなーい。遊ぼうよー」

「た、太陽の光は私には」

「お、おう。わしらにはちょっときつくてな」

 

顔をかすかに引きつらせる二人でした。

 

そんな姿を見て――。

 

「なんか、ここ最近、みんな忙しそうだな……」

「♪~~♪♪~~」

「はは、恋は変わらないね」

 

のんびりしている二人でした。

 

分かった。お前の作品シリアルだよ」とあきれ顔で言われたくらのです。朝飯程度だということでしょうか。それとも朝飯前の意味でしょうか、それとも甘い、と言う意味でしょうか

 

。それとも案外、西洋風だな。という意味でしょうか。怖くて聞けません。

さて、いい加減終わりなお話です。というか、もうこの系列のネタが思いつきません。重い。軽くて薄い。垂れてる。……ええ。これ以上は無理です。

そろそろ寝不足です。何かほかにネタを探しますか。ええ、決して連載のほうが詰まってるとか、そんなことないですよ? そんなことあるはずないじゃないですか。ええ、全く。

あ、そろそろお時間です。それではまた。『月の裏は誰も知らない。~魏での戦い~』にてお会いしましょう。See you next again!

 

 

 

 
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