No.68239

[武装神姫]貧乳パーツ発売!!

『2040年、春。
 以前から一部オーナーより端を発し、ふくれあがった要望が実現された。
 ――そう、「貧乳パーツ」の発売である。』

そんな設定です。

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2009-04-11 20:39:22 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2136   閲覧ユーザー数:2055

「ウチネー起きろー! 新しいパーツを買ってきたぞー!!」

 雅人(まさと)は自分の部屋に入ると同時に大声で呼びかけた。

「はい。オーナー、一体何事ですか?」

 すぐに雅人の呼びかけに答えたのは、忍者型の神姫。名前はウチネ。

 眠そうな目をこすりながらも、すぐにクレイドルから起き上がってきた。

「今日発売の新パ-ツを買ってきたんだ! いやー開店前からすごく人が並んでて大変だったぁー」

 それを聞いて、ウチネが驚きの表情を見せた。

「並んでまで買ってきて頂けたのですか? オーナー、ありがとうございます!」

「気にするなって。半分は俺の為でもあるんだ、ウチネが強く可愛くなるんなら、これくらいどうって事無いって」

「私は本当に良いオーナーに恵まれました。……そのパーツをつけて勝率を上げれるように精進します!」

 雅人がパーツを買ってくる毎にウチネは大喜びする。

 そんなウチネの喜んだ顔を見る度、雅人も嬉しくなって顔がほころぶ。

 神姫のオーナーとしての至福の瞬間である。

「ところでオーナー。今回買ってきて下さったパーツは一体何ですか?」

「ふっふっふ。お前が忍者として更なる機動力を持ち、俊敏な攻撃が可能になるようにだな――」

 という建て前を述べながら、雅人は神姫ショップの袋から、

「――ジャーン! 『小ぶりな胸パーツ』だっ!!」

 堂々と取り出した。

 そのパッケージには『ファン待望「貧乳パーツ」ついに商品化!』の文字。

 つまり雅人は、オブラートに包み『小ぶりな胸パーツ』と呼んだのだ。

「……ひ、ひんに」

「ちょーっと待ったー! 見えるものが全てじゃないぞウチネ! 忍者たるもの裏を読まねばならん」

 ウチネが何か言おうとしたのを遮り、雅人はそう言い切った。

「は、はい、すみません……実力不足です。オーナー、真意を教えて頂けないでしょうか?」

 良いだろう、と大仰に言った雅人は一呼吸置くと解説を始めた。

「確かにこのパーツが発売されたのは、貧乳を好むオーナーが多かった為だ。だがな、俺はこれが単なるそゆー為のパーツだとは思わない」

「はい」

 ウチネは素直にうなずく。

「さっきも言った通り、これは俊敏な攻撃や回避を可能にする素晴らしいパーツだ。今お前に不足しているのは、移動から攻撃に移る時や攻撃から回避へ移る時の隙だ、と俺は分析している。つまりお前が忍者としての性能を遺憾なく発揮するには、必要不可欠なパーツだと言って良いだろう!」

 雅人は力強く言い切った。

「なるほど、私の負けパターンまで分析しての事だったのですね。一瞬でもオーナーを疑ってしまった私をお許し下さい」

「いいんだ、それより早速つけてみよう。今までと重心が少し変わるかもしれないから、慣れておかないとな」

 雅人はあくまで紳士的にもっともそうな理由でウチネに装着を促した。

 そんな雅人を、ウチネはもちろん疑う事もなく、まっすぐな返事を返す。

「はい、オーナー!」

 ――カスタマイズモードへ移行…………完了。武装の着脱が可能です。

 ウチネが武装カスタマイズモードへと移行した。

 普段簡単にパーツが取れては困るので、武装はロックされているが、武装を変更する時にはこのモードに移行することで簡単に武装の変更が可能になるのである。

 いつものようにウチネに手を伸ばす。

「あ、あの……いえ何でもないです」

 と、ウチネはうつむき気味に口ごもった。

 胸パーツを変えるなんてことは今まで一度も無かったから、きっと恥ずかしいのだろう。

 雅人はなるべくササッと「貧乳パーツ」を取り付けた。

 ――カスタマイズモード解除…………完了。正常に武装がロックされました。

 うむ! 可愛い!

 小ぶりな胸のウチネもいいな。並ぶ苦労をしてでも買ってきて大正解だった。

 雅人はそんな事を思い、心の中でガッツポーズをしていた。

 顔はついついニヤけてしまう。

 それを隠すように、雅人はなるべく真面目な顔をして言う。

「ウチネ、どんな感じだ?」

 雅人が聞くとウチネは、少々お待ち下さい、と実践で使う様々な動きを確かめる。

 そして最後に、近くにあった鏡で自分の姿を(主に胸を)確認してから雅人の方へとゆっくり向き直る。

 手で少し胸を隠すような仕草をしながら、

「あ、あの、オーナー……これ、確かにすごく動きやすくて良いんですけど……その、神姫としては……ど、どうなんでしょう?」

 頬を赤らめ恥ずかしそうに、上目遣いで尋ねるウチネ。

 雅人は全力で答えてやった。

「――サイコーだッ!!」


 
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