No.680206

インフィニット・ストラトス―絶望の海より生まれしモノ―#11*

高郷葱さん

#11*:かの者の名は…




続きを表示

2014-04-20 15:40:43 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:849   閲覧ユーザー数:819

――夢を、見ていた。

 

【真っ白な砂浜 / 静謐な深森】にただ一人、自分だけがポツリと立ち尽くす、そんな夢を、【彼/彼女】は見ていた。

 

何故、夢と分かるのか。

 

それは【彼/彼女】が居る場所にはありえないものであるからだ。

 

―――不意に、声が聞こえる。

 

【セカイ】に溶けこんでゆく、【澄んだ鈴のような / 深く響くような】声。

 

その主は―――【純白の少女 / 真紅の武士(もののふ)】。

 

その、ある種の神々しさすら感じさせるその姿に【彼 / 彼女】は見惚れていた。

 

『―――汝は、何故に力を求める?』

 

不意に重なって聞こえる、二つの声。

 

それは鈴の音のような少女の声であり、深く響く武士の声であった。

 

『―――汝は、何故に力を求めない?』

 

それは【彼 / 彼女】に向けられた明らかに矛盾している問い。

 

答えなど存在しないであろうその問いであるが、【彼 / 彼女】の胸中には湧き上がる『何か』があった。

 

「俺は―」

「私は―」

 

 

ざぁ――と一陣の風が駆け抜ける。

 

自分の発した答えすら【彼 / 彼女】には聞き取れないほどの音が辺りを覆うが、【純白の少女 / 真紅の武士】は満足げな表情を浮かべる。

 

『――それが、汝の答えか。』

 

『――その答えを、忘れないで。』

 

『さあ、征け。我が―――』

 

『私たちはいつもここ―――』

 

 

そんな声を聞きながら、【彼 / 彼女】の意識は急激に遠のいてゆく。

 

純白の少女と真紅の武士。

 

その姿を見守る、純白の騎士と真紅の賢者の姿が【彼 / 彼女】には見えた気がした。

 

―――遥か大空を舞う、大鷲とともに。


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
3
1

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択