No.677304

九番目の熾天使・外伝 運命の獅子

第八話 入学、そして創部

2014-04-08 12:18:08 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:2970   閲覧ユーザー数:2716

第八話 入学、そして創部

 

 

「ねぇ、ウルティムス君。オカルト研究部を作るのに協力してくれないかしら」

 

―何故こんな事になっているんだろう、とウルは心の中で思う

全ては十数分前に遡る

 

 

 

 

 

ウルは学園長の命令で駒王学園中等部に入学する事になった

ちなみにサーゼクスはあの後すぐに帰った

なにやら「妹の制服姿を見なければ!」とか言いながら転移したと言う

 

話を戻そう

今は入学式も終わり、新入生はみな割り振られたクラスにいる

ウルのクラスは『1-A』、席は廊下側から二列目の一番後ろだ

そして少し時間が経つと、教室に白いブラウスに黒のパンツスーツを着た担任教師であろう女性が入ってきた

女性は出席簿を供託の上におくと、一拍置いて話し始める

 

「初めましテ。これからアナタ方の担任になる『アンジェリーカ・イリィニチナ・スミルノワ』デス。アンジェ、でいいデスよー」

 

金色の髪に青い瞳、西洋人形と見紛うほどの美貌に、少ない男子生徒は見惚れている

 

「それでハ、自己紹介をしてもらいまショウ。窓際のカタからお願いしまス」

「は、はい!私は朝日奈~~~~~」

 

クラスメイトの自己紹介を聞きながら、ウルは考える

 

―なんで学園長は僕を駒王学園に…悪魔が創設した学園なんかに派遣したんだろうか?

聞いても聞いてもはぐらかされるばかり…いや学園長も理由を知らないのか?

あの『ルシファー』を名乗ったサーゼクスさんも悪魔の翼を生やしてたし、悪魔だと言う事は間違いないだろう

悪魔だとしたら契約か何かだったのか…?

 

ウルがそこまで考えたときに、クラス中で歓声が上がる

何事かと思い顔を上げる

 

「初めまして、私はグレモリー。リアス・グレモリーよ。これから一年間よろしくお願いするわ。私の学友たち」

 

まず眼に入ったのは紅の髪

奇しくもそれは先ほどまで考えていたサーゼクスと同じ髪色だ

ウルもその美貌に眼を奪われ、数秒の間硬直する

 

「ふふ…」

 

リアスは意味ありげな視線をウルに送る

その視線を不審に感じたウルはリアスをよく観察する

すると今まで感じてきたヒトの魔力ではない、サーゼクスと似た雰囲気の魔力を感じ取った

 

―…なんだ、この禍々しい魔力は…

でもどこかで感じたことのある、いやよく知っている魔力に似ている

これは、マスターやネギさんと似た魔力…!?

つまりグレモリーさんは―

 

と、またもクラスで歓声が上がる

思考を中断されたウルは顔をふと前に向ける

 

「うふふ、姫島朱乃ですわ。これからよろしくお願いいたしますね?」

 

こちらはまさに大和撫子、といった雰囲気の女の子だった

しかしどこか被虐心を煽るような笑みを浮かべている

現に男子生徒の一人は恍惚とした表情で「蹴ってください!罵ってください!」など叫んでいる

 

「ア~…次は…マクダウェル君、お願いしまス」

「あ、はい!ってうわぁっ!?」

 

アンジェがウルを指名し、ウルは勢いよく立ち上がる

勢いがよすぎたのかウルの椅子が後ろに倒れ、ガッシャァン!と派手な音を立ててしまう

 

「や、やっちゃった…恥ずかしい…」

「マクダウェル君、気にせずに続けてくだサイ」

「はい!えっと、ウルティムス・F・L・マクダウェル、八歳です!ウルって呼んでください。諸事情で麻帆良学園からこっちに入学しました。趣味は鍛錬と読書、料理とかです。これから一年間、よろしくお願いします!あうっ!?」

 

自己紹介をした後元気良く礼をしたまでは良かったが、今度は机に頭をぶつけてしまった

おでこを赤くして涙目である

女子生徒がそのウルに強烈に母性本能を刺激されているのは言うまでも無いだろう

―紅髪の女生徒はウルに鋭い視線を向けていたが

 

その後ウルの他にはやらかす人はおらず、無事に自己紹介が終わった

 

「それでハ、後は皆さんデ親交を深めていてくだサイ。私はお昼寝タイムデースZzz」

「「「「先生寝ちゃったー?!」」」」

 

アンジェが寝た事に驚きを隠せないクラスメイトたち

しかし適応力が高いのか、既にそれぞれ気になる相手に話しかけに行ったりしている

ウルにも何人かが声をかけに来た

全員女生徒だったが

 

仲良く話していたところにリアスと朱乃がやって来て、二人の美貌に気圧された女生徒たちは退散

そして冒頭へと繋がるのである

 

「えっと…グレモリーさんと姫島さんだっけ?何で僕なの?」

「リアスで良いわ。貴方麻帆良から来たんでしょう?だったらあの世界樹の事も知ってるわよね。私、とても興味があるの」

「私も朱乃で良いですわ」

「あ、はい…。でもそれなら部活を作る必要は無いと思うんですけど…。こうやってクラスで話すだけじゃ駄目なんですか?」

 

リアスを警戒して中々話に乗らないウル

 

「あら、中々強情ね。こんな美少女二人に誘われてるのに」

「確かに二人は美しいと思いますけど、それとこれとは話が違いますよ。僕は生徒会に入ろうかと思ってるんです」

「焦るどころか普通に褒められちゃったわね、リアス」

「そうね…あまり使いたくは無かったけど」

「ッ!?ふがっ」

 

そう言うとリアスは自身の豊満な胸にウルの顔を抱く

そしてウルの耳に顔を近づけて、囁いた

 

「貴方、麻帆良から来たってことは『魔法使い』なんでしょう?関東魔法協会から派遣された、ね…」

「っな、何のことですか?魔法使い?」

「ふふっ惚けても無駄よ?お兄様から聞いてるもの」

「…お兄様?」

「サーゼクス・ルシファーは私の実のお兄様よ」

「なっ…ならはぐらかしても無駄ですね」

「分かってくれて嬉しいわ」

 

一通り交渉するとリアスはウルの後頭部から手を離す

 

「分かりました。オカルト研究部でしたっけ?作るのに協力しますよ」

「助かったわ。私と朱乃だけじゃ部員が足りなかったのよ」

「最低五人、と言う話でしたからね」

「…結局足りないじゃないですか」

「大丈夫よ。三人いれば同好会として認められるわ」

「はあ、まあ部員のほうはこれから探していくとして…顧問はどうするんです?」

「それはアンジェ先生に頼んでいます。既に許可も貰っていますわ」

「完全に外堀から埋められてたって訳ですね…。それじゃ、改めて。これからよろしくお願いしますね。リアスさんに朱乃さん」

「ええ、よろしくね。ウル」

「よろしくお願いしますね。ウル君」

 

三人は手を重ねあわせ、これからの学園生活を想った

 

ウルが入学したのは駒王学園の『中等部』です

では次回をお楽しみに!


 
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