No.676287

『真・恋姫†無双 ~時の外史~』 第1話

七詩名さん

いらっしゃいませ、七詩名です。

プロローグをお読みいただき、ありがとうございます。

300を超える方々にご覧になっていただけて、大変うれしく思います♪

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2014-04-04 23:47:42 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:2203   閲覧ユーザー数:2081

 

 作られた外史―――。

 

 

 

 それは新しい物語の始まり。

 

 

 

 終端を迎えた物語も、望まれれば再び突端が開かれて新生する。

 

 

 

 物語は己の世界の中では無限大―――。

 

 

 

 そして閉じられた外史の行先は、ひとえに貴方の心次第。

 

 

 

 さあ、

 

 

 

 外史の突端を開きましょう―――――。

 

 

 

 

 

 

 真・恋姫†無双 × クロノトリガー

 

 『真・恋姫†無双 ~時の外史~』

 

 

 

 

 第1話「新たな外史の旅立ち!夢見る千年祭」

 

 

 

 

 

 

 テーレーレーテーレーレーテンーテーレーレー♪

 テーレッテーテーレッテーテーテテッテ♪

 ハッ!Σ(゚Д゚)♪

 

一刀「うわぁ・・・すごいなこりゃ。」

 

桃香「はあぁ・・・すごいねこれは。」

 

愛紗「なかなかに盛大ですね。」

 

鈴々「こんなお祭り見たことないのだ!」

 

 会場に入るなり、俺たちはその賑やかさに圧倒されていた。

 いたるところに飾られた花や風船。

 赤と白、青と白といった縞模様で設置されている屋台やテントなどなど。

 その会場作りの気合の入り具合から、このお祭りの重大さがうかがえる。

 

桃香「な、なんか見たことないものばかりで何をどうしていいやらわかんないね。」

 

愛紗「そ、そうですね・・・。」

 

 どうやらこの二人は視界に映るもののほとんどが初めてで固まってしまっているようだ。

 かくいう俺も、こんな感じのお祭りは『元の世界』以来なので、見入ってしまっていた。

 

鈴々「お兄ちゃんお姉ちゃん愛紗!なんかもらっちゃったのだっ!」

 

 俺ら三人が固まっている横で、鈴々が手に何かを持って声を上げた。

 

一刀「おお、風船じゃないか。すげぇ懐かしいっ。」

 

 別に欲しがる歳でもないが、『前の世界』にはなかったものなので、わずかな感動があった。

 

鈴々「ふうせん?」

 

一刀「ゴム・・・って言ってもわかんないな、えっと。俺のいた世界にもある、伸縮性に特化された素材だ。細い輪っか状にすれば細いものをまとめておいたり、袋の口を閉じておいたりできるし、こういう風に袋状にして空気や”ガス”を入れれば、弾いて遊んだり、ヒモを付けて浮かせておいたりもできるんだ。」

 

鈴々「う~ん、よくわかんないけど、面白いからいいのだ♪」

 

 ですよねー。

 

愛紗「ご主人さま、”ガス”、とは?」

 

一刀「あー・・・まあそういう空気の仲間みたいなものがあるんだよ俺のいた世界には。上手く説明できないから”そういうものだ”って思っといて。」

 

愛紗「はあ、そういうもの、ですか。わかりました。」

 

 どっかの雑学王ならともかく、今の俺にはガスなんて説明できないな。

 学校で習わなくもないかもしれないが、『前の世界』の三年間できっと失われてるであろう。

 そんなものより大変で大事なことしてましたから、政務とか雑務とか性務とか・・・ゲフンゲフン。

 

桃香「よし。落ち着いてきたことだし、一通り見てまわろうか?」

 

鈴々「おーなのだー!」

 

愛紗「はしゃぎすぎて迷子にならないように気をつけてくださいよ?一度はぐれたら、人も多く慣れない場所では探すのも一苦労ですからね。」

 

桃香「わかってるって♪」

 

鈴々「ぶー、愛紗の真面目将軍~。」

 

一刀「ははは。さてじゃあどこから見ようか?」

 

 そうして俺たち四人は、千年祭の会場を回り始めた。

 

 ・・・・・・・・・。

 

 ・・・・・・。

 

 ・・・。

 

 

 

 

 

 

 最初にいたエリアの催し物を一通り巡った。

 叩いた衝撃で玉を打ち上げ、てっぺんにある鐘をならす「鐘ならし」。

 偶然かヤラセか、なぜか毎回走る速さが違うランナー四人(?)に対し、一着を当てる「レース」。

 謎と不気味さ漂う、マジシャン”ベッケラー”の「実験小屋」。

 当然、『前の世界』には無かったものなので、桃香たちの目の輝きはすごかった。

 あの愛紗も、さっきの自分の言葉を忘れて夢中になっていたほどだ。

 そんな俺たちは、奥の方のエリアに続く石段に行こうとしていた、そこへ。

 

??「おーい、そこのお前さん方。」

 

 声をかけてきた老人がいた。

 

一刀「はい?なんですか?」

 

老人「お前さん方、随分変な格好しとるが、仮装か何かかの?」

 

 変なカッコて・・・俺からすればあなたも変な格好と言えなくもないんですが?

 青い服の上に橙色の袈裟懸け、その上からベルトをしていて、頭には左右にトンガリの付いた青い帽子に、顔に丸く黒いサングラス。

 うん、変だな。

 

一刀「いえ俺たちは仮装とかではなく、その・・・そう、旅の者です。」

 

 とっさに言ってしまったが、まあそんなに間違ってはいないなと判断した。

 

老人「ほう、そうなのかい。見慣れん格好じゃし、さぞ遠くから来なすったんじゃろうなぁ。」

 

 ほっ。どうやら納得してくれたようで助かった。あまり詮索されると説明に困るしな。

 

桃香「おじいさんはここで何をしてるんですか?」

 

老人「ん?ワシか?わしは”ボッシュ”(*iv.八奈見乗児)、メディーナ村のはずれで武器を作って売っておる。」*イメージボイス

 

愛紗「ほう、武器ですか。」

 

ボッシュ「よく見ればお前さんたちの武器、随分珍しい形をしておるのう。ちと見せてくれんか?」

 

愛紗「ええ、いいですとも。」

 

 そういって愛紗は、背に掛けていた”青竜偃月刀”をボッシュに渡す。

 

ボッシュ「!? これは・・・お主、人を斬っておるな?それも十人二十人ではない、相当な数じゃ。」

 

愛紗「!!」

鈴々「!!」

桃香「!!」

一刀「!!」

 

 偃月刀を手にし刃を見たボッシュが、顔を向けず緊張の面持ちで愛紗に言った。

 

愛紗「・・・わかるのですか?」

 

 ボッシュの言葉に、愛紗も緊張気味に問い返す。

 

ボッシュ「ワシはな、武器に宿る魂や想いを感じ見ることができるんじゃ。そして、その武器がどう使われているかもの。」

 

愛紗「・・・・・・。」

 

 その言葉に、愛紗は応えることができなくなっていた。

 それにボッシュは言葉を続ける。

 

ボッシュ「こいつは今まで斬ってきた記憶を持っておる。人を斬り、血を吸ってきた記憶がの。しかし、それと同時に強い信念が籠っておる。正義を貫き、悪をくじき、守るべきものの為に命も賭けんとする強い信念が。」

 

愛紗「・・・!」

 

ボッシュ「世界は広い。平和な国もあれば戦の絶えぬ国もあるじゃろう。お主がただ悪戯に人を殺めてきたのではないことは、こいつを見ればわかる。じゃからまあ、そんなに落ち込まんでもいいんじゃよ。」

 

愛紗「あなたは・・・一体何者なのですか?」

 

ボッシュ「ワシはただの武器作りが趣味のジジイじゃよ。ただ、人より武器に対する思いが強いだけのな。」

 

桃香「はあぁ、なんかすごい人だね、このおじいさん。」

 

一刀「・・・ああ、ほんとだな。」

 

鈴々「ただものじゃないのだ。」

 

 ホントに何者なのか・・・うちの爺ちゃんでもここまでの慧眼はないと思うぞ?

 そんな、あっけにとられている俺たちをよそに、暗くなった雰囲気を戻そうとボッシュが話題を変える。

 

ボッシュ「そうそう、お前さんたちに声をかけたのはじゃな、この祭りの出し物で一番の目玉を教えてやろうと思っての。」

 

一刀「一番の目玉?」

 

ボッシュ「うむ、お前さんたちはこの町のモンじゃないだろうから、よく知らんだろうと思ってのう。だから声をかけたんじゃ。」

 

桃香「そうだったんですか。で、その目玉っていうのは何なんですか?」

 

ボッシュ「それはの、”ルッカ親子の発明ショー”じゃ。」

 

愛紗「発明?」

 

ボッシュ「この町には発明好きの親子がおってのう。父親の”タバン”と娘の”ルッカ”じゃ。今回の祭り以外でも、何かイベントがある度に発明を披露しているんじゃ。まあ、割と失敗が多いがの。」

 

 そういってボッシュが可笑しそうに笑う。

 

鈴々「発明ってカラクリとかのことか?」

 

ボッシュ「いやいや、そんなおもちゃレベルではないぞ?ちなみに今回はなんと、物質を瞬時に別の場所へと移動させる”物質転送装置”だそうじゃ!」

 

愛紗「物質・・・。」

 

桃香「転送装置・・・?」

 

一刀「・・・うさんくさ~。」

 

 意味が解らず首をかしげている桃香と愛紗の横で俺は、あまりにも現実離れしたその名前に、疑いを隠しきれなかった。

 

ボッシュ「ほっほっほ。まあそう思うじゃろうな。だが、今回のあの親子は妙にはりきっておってのう。昨夜は徹夜でチェックしとったそうじゃぞ?」

 

鈴々「ねぇねぇお兄ちゃん、ぶっしつてんそうそうちってなんなのだ?」

 

一刀「え?えーっと、解りやすくいうと・・・鈴々の手にある肉まんを、一瞬のうちに愛紗の手に移動させる・・・みたいな?」

 

 で、合ってるのかな?微妙にニュアンスが違う気もするが、そんな装置は『元の世界』にもなかったので、説明が難しい。

 

鈴々「にゃにゃ!?それは大変なのだ!だったら移動するより早く食べちゃわなきゃならないのだ!」

 

 うん、一応伝わったみたいだけど鈴々?驚くポイントが違くないかい?

 

ボッシュ「まあ真偽は実際に行って見て確かめるといい。もう準備も終わっとる頃じゃろうしのう。」

 

桃香「なんだか面白そう♪行ってみようよ、ご主人さま?」

 

一刀「そうだな。」

 

ボッシュ「この広場の一番奥じゃ、楽しんできなされ。」

 

 そうして俺たちは、ボッシュの店をあとにした。

 

 

 

 

 

 

??「さあさあ!お時間と勇気のある方はお立会い!これこそ世紀の大発見!超次元物質転送マシン1号”テレポッド”だ!!」

 

 ルッカ親子のショーが行われるという、広場の一番奥へとやってきた俺たち。

 そこでは早速、催しの説明が始まっていた。

 ガッシリとした体形にヒゲのおっさんが、すごくはりきった様子で前口上を述べている。

 きっとこの人がタバン(iv.石塚運昇)だな。

 

タバン「早い話が左のマシンに乗ると・・・右のマシンに転送されるって夢のような装置だ!こいつを発明したのが、頭脳明晰・才色兼備の、この俺の一人娘ルッカだ!さあさあ、誰か体験してみたい方はいらっしゃいませんかぁっ!?」

 

 左右に設置された大きな機械、高い台に屋根が付いたそれが、例の転送装置のようだ。

 その左の台に立っている、紫色のおかっぱ頭に、アンテナの付いたニット帽のようなメットのようなものを被った少女、彼女がルッカ(iv.若林直美)だろう。

 なんかすげぇドヤ顔で眼鏡を光らせている。

 しかしタバンの募りも空しく、観客の誰も名乗り出ようとしない。まあ無理もないよな。

 胡散臭い上に得体が知れなすぎる。

 そんな風に思っていると。

 

??「うわぁ、なんかすげぇな。よう、ルッカ。」

 

 俺たちの後から来た男女二人組のうち、少年の方がルッカに声をかけた。

 

ルッカ「あら”クロノ”、待ってたわよ。だーれもテレポッドの転送に挑戦しないんだもの。こうなったら、アンタやってくれない?」

 

 どうやら知り合いのようで、馴染み深く話している。

 クロノ(iv.読者任意)と呼ばれた少年は、赤いツンツンヘアーに、頭に巻いたはちまき、腰には刀を差していた。

 

クロノ「え!?ヤダよ、どうせ失敗すんのは目に見えてるじゃん。」

 

 ルッカからの要請に心底イヤそうな顔で断るクロノ。

 その顔から、今までもロクな目に合ってないんだろうなと、俺の経験がそう察した。

 しかしルッカはクロノにググっと迫り。

 

ルッカ「大っ丈夫よ!今回は自信があるんだから!雑誌の占いも最高だったし!」

 

クロノ「いやそうは言っても今までが今までだし・・・。」

 

ルッカ「い・い・か・ら・や・ん・な・さ・い!!」

 

クロノ「・・・はい。」

 

 ルッカの鬼の首を取ったような迫力に押され、しぶしぶマシンに立つクロノ。

 ああ、なんか俺と同じニオイがする・・・。

 そう思っていると、タバンとルッカが左右のマシンの間にある機械をいじり出した。

 

桃香「ドキドキ・・・。」

 

愛紗「ハラハラ・・・。」

 

鈴々「ワクワク・・・。」

 

タバン「スイッチオン!」

 

ルッカ「エネルギー充填開始!」

 

 フィィィ・・・・・・・・・ン。

 そして機械が動き出し・・・。

 

一同「!!!」

 

 シュイィィィ・・・・ン!

 クロノが一瞬のうちに左から右のマシンへ移動していた。

 

一同「おお!グレート!」

 

クロノ「はあ~~~ビックリしたぁ。」

 

 台から下りてくるクロノは、九死に一生を得たような顔で冷や汗をかいていた。

 

??「面白そう、私もやる♪」

 

ルッカ「へ?」

 

 今度はクロノと一緒にきた、腕と肩の出たズボンタイプのワンピースというべきか(むしろボンタンに近い?)白い服に、コルセットに似た金属のベルトをし、首に青い石の入ったペンダントを下げた少女の方が、台に乗る。

 

ルッカ「ちょ、ちょっとクロノ。アンタいつの間にこんな可愛い子口説いたのよ?」

 

クロノ「いやぁその、マール(iv.戸松遥)っていって、ちょっと成り行きで・・・。」

 

マール「ね、いいでしょクロノ?ここで待ってて、どこにも行っちゃヤダよ?」

 

クロノ「ふう、わかったよ。」

 

マール「やった♪」

 

タバン「さあさあ!今度挑戦するのは何と、こんな可愛らしい娘さんだ!ささ、こちらへどうぞー。」

 

 ウキウキとした表情のマールを、タバンがマシンへと誘導する。

 

マール「えへへ、じゃあちょっと行ってくるね♪」

 

タバン「大丈夫かい?やめるんなら今の内だぜ?」

 

マール「へっちゃらだよー。全然怖くなんかないもん。」

 

タバン「はははっ。その意気やよし!それではみなさん!この可愛い娘さんが見事消えましたら、拍手喝采!ほらルッカ、行くぞ!」

 

ルッカ「(なんか釈然としないけど・・・。)オッケー。」

 

 再び、はりきったタバンと、訝しげな顔のルッカが装置の起動にかかる。

 

タバン「スイッチオン!」

 

ルッカ「エネルギー充填開始!」

 

 フィィィ・・・・・・・・・ン。

 先ほどと同じように、装置が起動し始めた。

 その時。

 キィ・・・ン、キィ・・・ン、キィ・・・ン。

 

マール「! なにこれ・・・ペンダントが・・・。」

 

 マールが首から下げていたペンダントの石が、淡く青い光を放ち始めた。

 

一刀「な、なんだ!?」

 

 その光景は、俺たちにもはっきりと見えている。

 さらに・・・。

 

桃香「ご、ご主人さま!!」

 

 キィ・・・ン、キィ・・・ン、キィ・・・ン。

 なんと、桃香の胸の辺りでも、同じような青い光が放たれていた。

 

愛紗「これは一体!?」

 

鈴々「お姉ちゃん!?」

 

桃香「なにか、服の中に・・・。」

 

 桃香が、おもむろに服の中へ手を入れ、取り出したものは・・・。

 

桃香「・・・・・・鏡?」

 

 それは『元の世界』で言うところの、遥か昔に日本や中国で使われていたような”銅鏡”だった。

 その鏡の部分が、マールのペンダントに共鳴するように、青い光を放ち続けている。

 しかし、驚きはそれに止まらなかった。

 

ルッカ「えっ!?」

 

タバン「うわぁっ!」

 

 バリバリバリバリバリバリバリ・・・!!

 突然、左右のマシンの間に稲妻が走り・・・。

 ギュイイイィ・・・ン!

 空中に謎の”穴”が開いた。 

 その瞬間。

 

マール「きゃあっ!」

 

桃香「なになに!?なにこれぇっ!?」

 

 マールと桃香が”穴”に吸い込まれていく。

 

愛紗「桃香さまっ!」

 

鈴々「お姉ちゃんっ!」

 

 ガシィッ!

 桃香のすぐそばにいた愛紗と鈴々は、”穴”に引き寄せられ宙に浮いた桃香の体にしがみついた。

 しかし・・・。

 

愛紗「ぐ、うううううう・・・ああっ!?」

 

鈴々「くぬぬぬぬぬ・・・・にゃあっ!?」

 

 ”穴”が引き寄せる力に負け、桃香もろとも吸い込まれてしまった。

 ギュイイイィ・・・ン!

 同時に、”穴”は閉じて、場にマールのペンダントと桃香の持っていた銅鏡、そして静寂が残された。

 

 

 

 

 

 

タバン「おい、ルッカ・・・出てこねぇぞ?・・・は、はい!ご覧の通り、影も形もありません!こ、これにてオシマイ!」

 

観客「な、なんだ、今のもショーのひとつだったのか。」

 

観客「また失敗したのかと思ったわい。よかったよかった。」

 

観客「ホントに失敗してたら、とんでもない事件になってたわねぇ。」

 

 タバンの終了宣言に、観客は安心したように会場をあとにしていった。

 

タバン「おいルッカ!一体どうなってんだ?あのコはどうしちまったんだ!?」

 

 クロノと俺以外の観客がいなくなったのを見計らって、タバンは慌ててルッカを問い詰める。

 

ルッカ「・・・あのコの消え方、テレポッドの転送の消え方じゃない。あの空間の歪み方・・・ペンダントが反応していたようにも・・・。それとももっと別の何かが・・・はっ!そういえばそこのアンタ!」

 

一刀「え?あ、えっと・・・。」

 

 何かに気付いたルッカが俺に詰め寄る。

 

ルッカ「アンタの連れが持ってた”それ”!一体なに!?」

 

 ルッカは、俺がたった今拾い上げた銅鏡を指さして聞いてくる。

 

一刀「いやそれが、俺にもさっぱり・・・なんで桃・・・劉備が持っていたのか。」

 

ルッカ「劉備?それが持ってたコの名前?ずいぶん変わった名前ね・・・まあそれはいいわ。」

 

タバン「ルッカよう!どうしたらいいんだ!?助けることは・・・!」

 

ルッカ「うぅん・・・・・・ん?そういえば、クロノが連れてたあのコ、どこかで見たことあるような・・・?」

 

 いまだ混乱している俺に、狼狽えているタバン、何かを思い出そうとしているルッカをよそに、クロノは。

 

クロノ「ルッカ、もう一度マシンを動かせるか?」

 

 マールのペンダントを手にマシンに乗っていた。

 

タバン「おおっ!後を追うってのか!さすがクロノ、漢だぜ!」

 

ルッカ「ちょっ!本気なの!?」

 

クロノ「当然だ!”どこにも行くな”ってさっき約束しただろ?向こうが離れたんなら追いかけるまでだ。」

 

タバン「くぅ~。漢の中の漢じゃあねぇかクロノ!そこにシビれる憧れるぅっ!」

 

ルッカ「ちょっと父さんは黙ってて。そうね・・・あの空間の先に何があるのかわからないけど、それ以外に方法はなさそうだわ。仕方ない、準備しましょう!」

 

タバン「しかしまた都合よく穴が現れるとは限らねぇんじゃ・・・?」

 

ルッカ「おそらく彼女の持っていたその”ペンダント”がキーになってるのかもしれない!やってみる価値はあるわ!クロノ、しっかり持ってなさい!?きっと同じことが起きるハズよ!」

 

一刀「俺も一緒に行っていいかな!?」

 

ルッカ「アンタ・・・いいの?」

 

一刀「俺の大事な仲間なんだ、追いかけないワケにはいかない。」

 

ルッカ「そうね。さっきの現象を見るに、その鏡もキーのひとつかもしれないものね・・・わかったわ、マシンに乗ってちょうだい!」

 

一刀「よろしく頼む!」

 

 そうして俺もマシンに乗り上がる。

 

タバン「よーしそんじゃあ気合入れていくかぁっ!スイッチオン!」

 

ルッカ「エネルギー充填開始!」

 

 フィィィ・・・・・・・・・ン。

 

ルッカ「もっと出力を上げて!」

 

タバン「あいさ!」

 

 フィィィ・・・・・・・・・ン。

 

ルッカ「もっともっと!」

 

タバン「あいさぁっ!」

 

 バリバリバリバリバリバリバリ・・・!!

 

ルッカ「ビンゴ!上手くいきそうよ!」

 

 マシンの間に稲妻が走り、悲鳴を上げるようにマシンが激しく揺れる。

 そして。

 ギュイイイィ・・・ン!

 マールと桃香たちが飲まれた”歪み”が再び現れた。

 

クロノ「よし行くか!よろしくな、えっと・・・。」

 

一刀「北郷一刀だ、一刀でいいよ。」

 

クロノ「わかった。俺はクロノだ。」

 

一刀「うん、よろしくクロノ。」

 

ルッカ「私も原因を究明したら、何とかして後を追うわ!それまで頼むわよ二人とも!」

 

 ルッカの言葉に頷いた俺とクロノは、”歪み”へと飛び込んだ。

 ギュイイイィ・・・ン!

 それを待っていたかのように、”歪み”はその口を閉じた――――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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