No.674312

Need For Speed Most Wanted TOHO 第11話 菱形三つのプリンセス

霊「イレギュラーなのよ!暴れすぎなのよ、あんたは!」

魔「あ、そうなんだ。で?それが何か問題?」

 お待たせしました、11話です。この話の勇義さんはどっかDの弟さんが乗り移ってるようです。

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2014-03-28 19:36:15 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:700   閲覧ユーザー数:699

「まさか此処まで来るとはね・・・」

 ロックポートでクルマを頂戴し、どん底に突き落とした筈のあの女がすぐに新しいクルマを入手し戻って来て、既に5人のブラックリストを撃破しているのだ。

 初めの雑魚二人は論外としても、椛や私の館の門番でありランク11の美鈴は堅いと思っていたが、呆気無くやられてしまったのだ。

 次はあの王族の娘。不安が残る。

「・・・咲夜」

「はい」

 私は傍に仕える従者の名を呼ぶ。

「少し提案があるのだけれど、乗ってくれないかしら?」

「うーん、この調子で進むとスペースはあっという間に無くなるなー」

 私と萃香はローズウッドのセーフハウスで腕を組んで悩んでいた。目の前にあるのは撃破したランカーたちから頂いたクルマ。すでにセーフハウスの中を埋めてしまっているのだ。

 現在私のブラックリストランクは11。ランク12のスプラッシュ(にとり)、11のクレナイ(美鈴)を撃破し、次を倒せばいよいよトップ10入りだ。

「何台かウチで預かっておこうか?なんならデモカーとしていくらかで買うけど」

「ホントか?どーせこいつらに乗る気はないし、あっても邪魔なだけだしな。適当なの持って帰ってくれよ。金額はいい値でいいからさ」

 これではおちおちガレージでの整備もままならない。

「そういえばこの後勇義と会うんだっけ?」

「ああ、次のランカーの情報を貰いにな」

 またいつもの和食屋に呼ばれている。

「じゃー私も行こうかな。今日は久々のオフだし、皆とゆっくり話したいし」

 そういって萃香は私のベンツの助手席に向かう。

 そんなわけで今日は萃香もつれていつもの店に向かうことに。

 

「おう、来たかい魔理沙。ん?なんだ今日は萃香も一緒なのかい」

「まぁねー。久々のオフだったし」

 私と萃香は勇義の向かいに座る。初対面だったらしい萃香とパルスィの自己紹介も終え、私たちは本題に入る。

「これが次の相手よ」

 パルスィが見せた資料には、黒髪ロングの女性が写っていた。まるで絵に描いたような大和撫子だ。

「名前は蓬莱山輝夜。周りから「ヒメ」と呼ばれている。海岸の高級住宅地に住む、本物の王族らしいわ」

「プリンセスだからヒメ(姫)ってか?」

「そうね。とにかく何でも性能の高いものにしか目をくれないブランド・スペック厨よ。高い馬力とそれを制御するハイテクデバイスを使いこなして走るタイプ、と言えば分かるかしら?」

 フリーズのようにただクルマの性能に頼るというわけではなく、それなりの技術で高性能を使いこなすタイプのようだ。

 クルマは三菱のランサーエボリューション。見た目を見る限り第三世代のCT系のようだ。黒をベースに濃いピンク色のボディバイナルが貼られてハデハデしいが、シンプルなデザインのフロントバンパーに、リアバンパーとサイドステップ下にカーボン製と思われるジェネレータとディフューザが追加されている以外、外装はほぼノーマル。エボの象徴たる大型のリアウイングも外され、地味なのか派手なのかいまいち分からない仕様になっている。おかげでⅦなのかⅧなのかⅨなのかさっぱりだ。

「気に入らないね」

 いきなり口を挟んだのは勇義。妙に口調が不機嫌だった。

「こんなの乗ってる人間なんて信用できないよ、クルマがいいだけじゃないか」

 勇義はいつになく心圧なコメントだった。なんだ?勇義はランエボが嫌いなのか?

「始まった始まった」

 私の横で呆れた口調で萃香が、両手を頭の後ろで組んで口を開く。

「勇義の四駆嫌いが。こいつのコレは昔っからだからねー。こいつは有り余る大パワーを自分で手懐けることに快感覚える奴だからさ、ランエボみたいに電子制御デバイスがハイテク化されてたり、ラフに踏んでも比較的コントロールが楽な四駆のクルマには偏見持っててね」

 勇義の意外な一面だった。パワー厨である勇義ならああいう高性能マシンも好むものかと思っていたが、逆に嫌悪の対象だったようだ。

「いつだったかな、前に勇義とローズウッドのハイウェイを流してたらさ、ランチアのデルタってあるじゃん?あれが煽ってきたんだよ。別にそのデルタ、ストリートレーサーとかじゃなくて、ただ横に女乗せて粋がってるチンピラだったんだけど、煽った挙句に横並んで私らを睨みつけてきてさ」

 萃香は確かホンダのNSXに乗っていたか。まぁコルベットとNSXに女が乗ってたらそりゃ生意気に思うな。

「私は別に『あーまたチンピラが粋がってるなー』くらいにしか思ってなかったんだけど、勇義がキレて追っかけ始めちゃってさー。真後ろにベタ付けされて散々煽って・・・。焦ったデルタ、トンネルでスピンして大クラッシュしちゃってねー。結構大騒ぎになったんだよね。あんまり罪なことしないでくれよ、勇義」

 そういえばこの間ハイウェイ99でスポーツカーの事故とかってテレビで放送してたっけな。乗ってた奴は奇跡的に無傷だったらしいけど、クルマは原型とどめないくらいにグシャグシャだったな。あれの原因は勇義か・・・。

「あんな性能いいクルマで、調子こいてる方が悪いんだよ」

 勇義はいつになく不機嫌だ。こいつの前では四駆の話は控えておこう。

「とりあえず、話それたけど戻すわよ。とにかくこいつが次のランカー、クルマはかなりの戦闘力みたいだし、ドライバーもその性能を引き出すだけの技量はあるわ。フリーズみたいなタイプと思ったら大間違いだから、注意して」

「分かってるぜ。ま、いつも通り上手くやるさ」

 その後は4人で適当に雑談をして解散となった。

 それから数日たったある日。いつものようにバトル条件の消化に励んでいると、

「ん?」

 あるバトルを終え一息ついていると、私の携帯に着信履歴が入っていた。着信は勇義。

『モシモシ?』

「ああ、なんかさっき電話くれたか?」

『ああ、悪いね、さっきはバトル中だったか?実はちょっといただけない話を聞いたからお前の耳にも入れておこうと思ってね』

「いただけない話?」

 ブラックリスト絡みの話だろうか。

『今、一緒にあいつはいないよな?アリスとか言ったFDの女』

「アリス?いや、今はいないけど」

 アリスに関しての話のようだった。まさか・・・、

『ああ、ならいいんだ。ヤマメが調べてくれたんだが、どうもあの女、お前に相当金をつぎ込んでるらしいぞ。あまり好きになれないね』

 どうやらアリスとの話がバレていたようだった。まだ面識はないがあのヤマメとやら、ずいぶんと広い情報網を持っているようだ。

『前々から思ってたけど、あいつ、なんか胡散臭いんだよね。やたらと警察の情報持ってるし、どうやってああいうセーフハウスとか用意してんのか謎だ、ってヤマメも言ってるしな』

 勇義の口調はこの前ランエボの事を聞いた時のような心圧な物だった。

「まぁ、別に私は私自身の邪魔にならなければ、なんだって構わないけどな。こっちの動きに支障が無ければ私はどうでもいいぜ」

『寛大なんだねぇ、魔理沙は。あたしは利用されるのが大嫌いだから、何の見返りあろうが潰しにかかるけどね。あたしがお前だったら、あんな怪しいのには近づかないがね』

「その辺は価値観の違いだぜ。まぁ、何かしら怪しい動きがあるのなら仲間集めてとっ捕まえればいいし。その辺の事は任せていいんだろ?」

『ああ、まぁね。とりあえず話はそれだけだ。時間割いちまって悪いね』

「いいさ、じゃあまた」

 携帯の通話を切る。

「いずれバレるとは思ってたけど、意外と早かったな。あのヤマメとかいう情報屋も、大したもんだ」

 そう私は一人呟いて、セーフハウスへの帰路に就く。

 


 
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