No.674146

九番目の熾天使・外伝 ~改~

竜神丸さん

対峙する戦士達

2014-03-27 21:10:22 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:3302   閲覧ユーザー数:1092

「全く、来るのが遅いぞ耕也?」

 

「わーい、お父さんだー!」

 

「すまんな白蓮。任務が少しばかり忙しくてな…蓮も元気にしてたかー?」

 

「…これが親馬鹿か」

 

本郷家にて、げんぶは妻の白蓮と娘の蓮と再会していた。二人と久しぶりに会えたげんぶはその強面な風貌からは想像出来ないくらいにデレデレしている。そんな光景を、FalSigは少し離れた位置で若干引いているかのように眺めている。

 

「あぁそうだ。耕也、お前にお客さんだ」

 

「客?」

 

白蓮の指差した方向には、フクロウや秋田犬、バジリスク等の動物達と優しく触れ合っている黒髪の少女がいた。

 

「あ…アザミ!」

 

「! 耕也さん…!」

 

げんぶが声をかけると、黒髪の少女―――アザミは嬉しそうな表情で駆け寄って来た。

 

「久しぶりだな。元気にしてたか?」

 

「耕也さんも、元気そうで何よりです! …けど」

 

「? どうした?」

 

「実はさっき……馬鹿が一人現れまして」

 

「ん?」

 

「!」

 

「それなら私が説明しよう」

 

アザミが告げた“馬鹿”という言葉に、げんぶとFalSigが反応し、白蓮が代わりに説明に入る。

 

「耕也がここに来る少し前に、私に向かって嫁になってくれ、とかほざく馬鹿がやって来てな」

 

「…ほう?」

 

(あ、火が点いた)

 

げんぶの目付きが一瞬で怖いものに変わる。

 

「で、その馬鹿が無理やり私を連れて行こうとしたのでな。能力を無効化した上で叩きのめした。そこにたまたま通りかかったアザミがその馬鹿を精神的に打ちのめし、そして…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐ、げふ…ッ……畜生…何で…思い通りに、ならねぇ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…あそこで今、逆さ吊りにしているという訳だ」

 

白蓮の指差した方向に、全身をロープで縛られたまま大木に逆さ吊りにされている金髪オッドアイの男がいた。そう、この男も不正転生者である。大方、白蓮を自分の嫁にしようとした結果、能力を封じられた上で半殺しにされ、アザミの毒舌によってプライドもズタズタにされたのだろう。正に自業自得である。

 

「…なるほどなぁ」

 

それを見たげんぶは、無言のまま両手拳をパキポキ鳴らす。

 

「お~い、そこのお馬鹿さ~ん?」

 

「あぁ!? モブが俺を馬鹿にすんじゃ―――」

 

「ちょっとばかり覚悟しろやゴラァァァァァァァァァァァァッ!!!」

 

「な…ブギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!??」

 

「…まぁ凄まじい事」

 

げんぶが不正転生者を半殺しにし始める中、FalSigはげんぶの放つ怒りのオーラを見て苦笑しつつ缶コーヒーを飲んでいる。

 

「えぇっと……アザミちゃん、だっけ?」

 

「…何?」

 

「(あり、急に雰囲気変わったな)…あの馬鹿、凹ませるのは結構苦労したんじゃない? あぁいうタイプの場合、悪い意味でタフだからさ」

 

「…問題ない」

 

げんぶと話す時とは違い物静かな雰囲気になったアザミは、足下で擦り寄って来る秋田犬の頭を撫でながら告げる。

 

「不正転生者の事も、白蓮さんから聞いてる。だからその事も踏まえた上で、転生前の頃を思い出させつつその無駄に高いプライドをズタズタに引き裂いてしまえば良い」

 

「お、おぉう……それはまた凄いな…」

 

「それと……あなたの仲間」

 

「ん?」

 

「無駄にしつこい女誑しが寄って来たけど……少し蔑んだだけで、普通に落ち込んでた」

 

(…蒼崎ェ)

 

「おうコラ、そろそろその無駄に綺麗なオッドアイも潰してやろうかゴラァッ!!!」

 

「デ、デメ、俺はオリ主なんだぞ…グギィオラバァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!???」

 

心当たりのあり過ぎる人物の話を聞かされたFalSigは、げんぶに半殺しにされている不正転生者の断末魔をバックに苦笑する事しか出来ないのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そう…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『本郷耕也……それに、悠舞朔夜もいるのか』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒騎士が、襲い掛かって来るまでの間は。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、楽園(エデン)医務室…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…!!」

 

あれから旅団の捜索部隊によって発見され、この医務室まで運び込まれて来たデルタ。彼は今、ベッドの布団に包まったまま身体中の振るえを止められないでいた。

 

「マイミーターン……マイミーターンマイミーターンマイミーターンマイミーターンマイミーターンマイミーターン!!」

 

素性不明の少女によって、一方的に叩きのめされたという現実。自分が持っていた人ならざる力が、全く使えなかった事による絶望感。初めてクライシスと出会った時以来、一度も感じた事の無かった死の恐怖。

 

それらが一度にのしかかってきた事で、今のデルタは心の均衡が崩壊しかけていた。

 

そして、デルタがいる医務室の入り口付近では…

 

「…本当に何があったんだ? デルタさん」

 

「さぁ? 私が知る訳ないでしょう」

 

デルタの異常を察知したガルムと竜神丸が、缶コーヒーを飲みながら話していた。

 

「まぁ恐らく、団長さんの仕業でしょうよ」

 

「団長が? 何だってそんな事を…」

 

「“アレ”の詳細を知らされて以降、デルタさんはだいぶ動揺していらっしゃいましたからね。必死に抗い続けていた結果、ものの見事に現実の壁とぶつかってしまったんでしょう」

 

「現実の壁、ねぇ……にしたって、あのデルタさんをそんな簡単にやられるか? 団長さんやソラさん以外に、そんな事が出来る奴なんて心当たりも無いんだが」

 

「…そういえば、まだ言ってなかった事がありますね」

 

「は?」

 

竜神丸は思い出したかのように、タブレットを操作し始める。

 

「“アレ”の詳細を知っているガルムさんになら、説明しておいても問題ないでしょう」

 

「おい、どういう事だ?」

 

「こういう事ですよ」

 

竜神丸はタブレットの画面に映った映像を、ガルムに見せつける。

 

「…女の子?」

 

画面には、あの白装束の少女の姿が映っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は戻り、地球の海鳴市…

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、アキヤじゃねぇか! 久しぶりだな」

 

「ヤッホー、久しぶりアキヤ!」

 

「おいコラ、今まで連絡しないで何やってたんだよコイツめぇ!」

 

「ちょ、痛ッ!? おま、そんな拳グリグリするなって!!」

 

翠屋にて、ルカは小学生時の友人達と再会し合っているところだった。ルカが友人達から気軽に弄られている中で、朱音は離れた位置でアリサやすずかと眺めている。

 

「へぇ~…じゃあ、あの子達がアキヤ君の友達さん?」

 

「小学生の頃、クラスメートだった子達です。皆、ずっとアキヤ君に会える日を楽しみにしてたみたいでして」

 

「ふ~ん……あら?」

 

朱音は気付いた。

 

ルカが友人達に囲まれている中、離れた位置で気恥ずかしそうにしている少女がいた事に。

 

「あ、恵里! 何でも良いから、アンタもアキヤと話しなさいよ」

 

「あ、あの、私は…」

 

「グダグダ言わないの、ほら!」

 

「ひゃう……あ」

 

「あ…」

 

気恥ずかしそうにしていた少女―――恵里は他の女子に背中を押され、強引にルカの前に立たされて互いに視線が合う。

 

「あ、あの…」

 

「恵里さん、ですよね? お久しぶりです。元気にしてましたか?」

 

「え、あ……は、はい…!」

 

ルカが優しそうな笑顔で挨拶し、恵里も顔を赤らめつつ返事をして見せた。それを見た周囲の友人達は良い物を見たかのように口笛を鳴らす。

 

「はっはぁ! アキヤお前、また女子と楽しそうにしやがってよぉ!」

 

「そんなテメェにゃお仕置きじゃあっ!!」

 

「痛ッ!? ちょ、皆、やめろって言ってるだろゴラァッ!!!」

 

「うぉぉぉぉぉぉアキヤがキレたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

「そんなアキヤも、嫌いじゃないわ…ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」

 

「良かったじゃん理沙、やっとアキヤと話せてさ!」

 

「羨ましいぞ、このこの~!」

 

「あ、あの、ちょ…やめて下さい~…!」

 

ルカは男子達から、理沙は女子達から一斉に弄られ始めた。傍から見れば実に騒がしく、実に楽しそうな光景である。

 

「ははは、また楽しそうにしてるね」

 

「! 士郎さん」

 

そこに翠屋のマスターである男性―――高町士郎がコーヒーとケーキを運んでやって来た。

 

「やぁ朱音ちゃん、久しぶりだね」

 

「…えぇ、士郎さんも」

 

「隣、少し良いかな?」

 

「あ、はい。どうぞ」

 

コーヒーとケーキがテーブルに置かれ、朱音の隣に士郎が座る。

 

「最後にこうして顔を合わせたのは、今から十年くらい前だったかな? 君も弟君も、元気にしてたかい?」

 

「えぇ、元気にやってます……弟の方は、元気過ぎるくらいに」

 

「ははは、それはまぁ良い事だ」

 

士郎は少しだけ気軽に笑ってから、すぐに真剣そうな表情へと切り替わり、小声で話す。

 

(今回もまた、例の仕事で来たのかい?)

 

(はい。実は今、ある人物達を排除して回っているところでして…)

 

(それってひょっとして、不正転生者という連中の事かな?)

 

(!? 知ってるんですか…!?)

 

(あぁ、少し前に白蓮さんが翠屋に来てね。そういった話も一通り聞いてるよ)

 

(流石はげんぶさんの妻ね、手回しが早い……もしかして、接触もあったんですか?)

 

(過去に何度か、そういった男が何人か来た事があるんだ。アリサちゃんやすずかちゃん、それに桃子や美由紀にまで手を出そうとした事もあってね、ハルト君にもボディーガードを頼んでたんだ)

 

(そうですか、ハルトさんも…)

 

(それと、これも話しておかなきゃね。これを見てくれ)

 

(?)

 

士郎は一枚の写真を取り出し、それを見た朱音は驚愕の表情を見せる。

 

(士郎さん、これって…!!)

 

(今までに何度か、この街で目撃されてるんだ。僕の知り合いが、たまたま写真を撮るのに成功したらしくてね)

 

士郎が取り出した写真。そこには、あの黒騎士の姿が写っていたのだ。

 

(黒騎士……狙いは一体何なの…?)

 

「…おっと」

 

その時、士郎は腕時計を見て気付いた。

 

「朱音ちゃん。そろそろアキヤ君を連れて、別の場所に移動した方が良い」

 

「? どういう事ですか?」

 

「もうじき、娘がここに帰って来る」

 

「!! …なのはちゃんが?」

 

「何かの任務で、こっちまで帰って来るらしいんだ。君達がここに来た事は伝えないでおくから、早く行きなさい」

 

「士郎さん、ありがとうございます! アキヤ君、そろそろ行くわよ~」

 

「え、もう行くんですか…痛だだだだだ!? ちょ、腕は引っ張らないで下さいって!!」

 

「あ…」

 

朱音は男子達に弄られていたルカを引っ張り出し、すぐさま翠屋を後にしてしまった。

 

「ありゃ、行っちゃったよ」

 

「チッ! もう少しだけアキヤを弄ろうと思ったのに…」

 

「? 朱音さん、急に血相変えてアキヤを連れて行っちゃったけど、どうしたのかしら…あっ!?」

 

すずかがそう考えていた時、アリサもある事を思い出す。

 

「いけない、そろそろなのは達が来る時間だわ! すずか、そっちははやて達の方を迎えに行って!」

 

「え、あ、うん! それじゃ士郎さん、行って来ます!」

 

「あぁ。二人共、気をつけて行ってらっしゃい」

 

士郎に見送られながらも、アリサとすずかは急いでそれぞれの目的地に向かい…

 

「…アキヤ君」

 

恵里は一人、寂しそうな表情でルカの事を考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え、機動六課がこっちに!?」

 

ルカは翠屋から移動しつつ、朱音から話を聞かされていた。

 

「非常に面倒な事態になったわ。多分、ロストロギアの反応に気付いたのかも知れない。それに…」

 

「それに?」

 

「…恐らく、黒騎士もこっちに来ているのかも知れないわ」

 

「!? 黒騎士って…」

 

「えぇ。ロキさんを倒すくらいだもの、正面から戦うのは危険過ぎる」

 

「じゃあ、早く二百式さん達にも連絡しないと…」

 

その時…

 

 

 

 

-ブゥゥゥゥゥン…-

 

 

 

 

「「!?」」

 

突如、街全体に強力な結界が張られた。

 

「な、これって…!?」

 

「…マズいわ、急ぎましょう!!」

 

嫌な予感を察知した二人は、急いでその場から移動を開始する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「が、ぁ…」

 

「ふん」

 

路地裏にて、また一人不正転生者の排除を完了していた二百式。不正転生者の死亡を確認し、遺体を斬り刻んで証拠隠滅。すぐさまリストにチェックを入れる。

 

「これでまた一人。次は……この娘か」

 

リストに書かれていた不正転生者の名前。

 

そこには…

 

 

 

 

 

 

-不正転生者No.186 大川恵里-

 

 

 

 

 

 

ルカの友人である、内気な少女の名前が載っていた。

 

「…移動するか」

 

遺体の処理を完了した二百式は、すぐにその場を移動しようとする。

 

その時…

 

 

 

 

-ブゥゥゥゥゥゥゥン…-

 

 

 

 

「!?」

 

彼もまた、街全体に結界が張られた事を察知する。

 

「まさか…!!」

 

二百式もまた、結界の発生源を探すべく移動を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、結界の発生源である本郷家では…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐ、がは…!!」

 

「チィ…!!」

 

falSigが全身傷だらけの状態で家の外壁に寄り添い、げんぶも全身がボロボロの状態になっていた。

 

「ッ…耕也!!」

 

白蓮やアザミも彼等の助太刀に入ろうとしたが、出来なかった。

 

何故なら、彼女達の目の前には…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『つまらん。お前達も所詮、その程度か』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

凄まじい闘気を放つ、黒騎士の姿があったのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

某次元世界、遺跡付近…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、一丁上がりっと」

 

モンスター討伐を完了させた支配人が、岩の上に座って休憩していた。そんな彼の近くには、退治されたであろうモンスター達の死骸がたくさん転がっている。

 

「aws、そっちはどうだ?」

 

『こちらは少し時間がかかりそうだ。何しろ、モンスターの数が多過ぎるからな』

 

「分かった。こっちは何とか殲滅出来たし、今からそっちに…」

 

言いかけた支配人は、ある気配に気付いた。

 

「…すまんaws、後でまた連絡する」

 

『な、おい支配に―――』

 

すぐに通信を切り、支配人は腹部にベルトを装着してから遺跡の入り口付近を見据える。

 

「…いるのは分かってる。ちゃっちゃと出て来な」

 

「何だい、やっぱり気付いてたのか」

 

支配人に声をかけられた事で、一人の女性が遺跡の入り口から姿を現した。

 

「! お前は…」

 

「ヤッホー♪ こうして話すのは初めてだったかな? OTAKU旅団、No.14さん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

OTAKU旅団No.14、支配人。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

葛城特戦隊隊長、葛城。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二人の人物は、すかさず戦闘態勢へと突入するのだった。

 


 
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