No.673027

ソードアート・オンライン アクチュアル・ファンタジー STORY14 隠されていたもの

やぎすけさん

どうにか進級出来たので、やっと投稿再開できます。

2014-03-23 03:31:19 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:889   閲覧ユーザー数:870

STORYⅩⅣ 隠されていたもの

 

 

 

 

一通り施設内を調べ終えたキリトとデュオは、施設の入り口まで戻って来ていた。

 

キリト「大体の場所は探したけど、結局あいつは見つからないな」

 

デュオ「もしかしたら、ここに向かったって言うシュヴァルの情報自体ダミーだったのかもしれないな」

 

キリト「どういうことだ?」

 

デュオ「考えてみれば、よそ者であるはずの俺たちにこんな重要な仕事を任せるなんて不自然だ」

 

キリト「言われてみれば、確かにそうだな。でもどうして?」

 

デュオ「わからない。だが、さっきの鎧のことを考えれば、少なくとも信用されてないことだけはわかる」

 

キリト「つまりは情報不足ってことか」

 

デュオ「だな」

 

デュオがそう答えた直後、ガガガガガガガガッ!!という音が施設内に響き渡る。

 

キリト「なんだ!?」

 

デュオ「銃声だ!」

 

異常を察知した2人は、同時に駆け出した。

2人が銃声のした場所に辿り着くと、そこには二丁の拳銃を交差させて構えている男の姿があった。

男の周りには、壁を撃った時に生じた煙のような埃が舞っている。

 

?「よう。意外と早かったなKIDS(キッズ)

 

男は振り返ること無く、左手に握った白い拳銃をホルスター戻しながら言った。

キリトとデュオは武器を取り出すと、暗殺者の男に向けて問う。

 

キリト「お前の目的はなんだ?」

 

?「無視かよ・・・まあいいけどさ」

 

デュオ「答える気はないのか?」

 

そう言ってデュオが引き金に力を込める。

すると男は振り向き、不敵な笑みを浮べて答えた。

 

?「悪党退治かな?」

 

デュオ「真面目に答えたらどうだ?」

 

デュオが詰め寄ると、男は呆れたように肩を竦める。

 

?「知りたきゃ自分たちで調べな」

 

男はそう言った直後、近くに設置されていたタンクを右手の銃で撃ち抜いた。

次の瞬間、タンクに開いた穴から大量の蒸気が噴き出す。

 

キリト「うわっ・・・!?」

 

勢いよく噴き出した蒸気は、一気に広がって2人の視界を遮る。

 

?「また後で遊んでやるよ、KIDS(キッズ)

 

勝ち誇ったような男の声に続いて、ブーツが床を打つ音が響く。

足音が聞こえる方向にデュオが銃を向ける。

 

デュオ「逃がすか!」

 

そのまま2回引き金を引き絞った。

足音を掻き消すように銃声が響き、次いで弾丸がコンクリートを砕く音が2人の耳に届いた。

 

デュオ「ちっ・・・」

 

自分の放った弾丸が命中していないと確信したデュオが舌打ちする。

やがて蒸気が消えるとすでに男の姿はなく、キリトとデュオの2人が取り残されるように立っていた。

 

キリト「逃げられたか」

 

デュオ「らしいな」

 

2人は顔を見合わせてから、肩を竦めて武器を収める。

 

キリト「で、どうする?」

 

デュオ「奴を追う、と言いたいところだが・・・」

 

言葉を切り、視線をキリトの後ろに向ける。

視線の先には、銃で半円形に撃ち抜かれた壁と、その奥に続く薄暗い通路があった。

 

デュオ「この先が少し気になるんだよな」

 

キリト「行ってみるか?」

 

2人が覗き込むと、内部は完全な隠し通路という感じになっていた。

入ってすぐのところに階段があり、それが地下深くまで続いている。

 

デュオ「いかにも怪しいことしてますって感じだな。」

 

キリト「どうする?」

 

デュオ「もちろん」

 

顔を見合わせて同時にニヤリとした2人は、中に足を踏み入れた。

?視点

隠し通路に入っていく2人の姿を、俺は少し離れた場所から見ていた。

 

?「しかし、凄げえバトルセンスだ。もしかしたら俺よりセンスあるかもな」

 

2人の姿が完全に見えなくなったのを確認した後で呟く。

 

?「剣だけなら黒い坊や、総合的に見るなら紅の坊やってところか?」

 

そう続けてから、改めてあの2人について考えてみる。

最初に戦った際に気付いてはいたが、あの2人の戦闘能力は常人のそれを遥かに上回っていて、しかもまだ伸びる可能性がある。

とは言え、まだまだ経験が足りないとも思える。

如何に高い潜在能力を持っていたとしても、開花しなければそれは宝の持ち腐れでしかない。

とそこまで考えた後、自分が今敵陣の真っ只中にいることを思い出す。

 

?「おっと、忘れてた。探し物してたんだったぜ」

 

腰掛けていた手すりから跳び下り、入ってきた出入り口に向かう。

 

?「おそらく教団の連中は坊やたちが相手してくれるだろうから、俺はその間に“あれ”を探しておかねえとな」

 

そんなことを口にして、俺は施設から出て行った。

 

キリト視点

武器に手を掛けたまま、俺たちは地下深くに伸びる数十mの階段を下っていく。

そして1番下に着くとそこは、地下牢のようになっていた。

石材の床に排水路のようなものがあり、そこから水が流れていてる。

出所を探ると、それは牢の隣にある扉の近くから流れてきているらしい。

 

デュオ「武器を構えた方が良いかもしれないな。」

 

俺たちは同時に抜剣、その後デュオが扉に手を掛ける。

扉を開けると、そこにあったのは無数の檻が並べられた部屋だった。

番号札の付けられた檻の中には、まるで実験動物のように不気味な生物たちが収容されている。

その中には、俺たちが街に来た時に倒したあの奇怪人形の姿もある。

 

キリト「何なんだここは?」

 

デュオ「わからないが、少なくともまともな目的のための施設じゃないのは確かだな」

 

険しい表情でそれらを見渡した俺たちは、探索を再開するために歩き始めた。

その後も、例の鎧騎士の入った巨大な試験管のようなものがいくつも設置された部屋などを通り抜けて先に進むと、俺たちは奇妙な部屋に辿り着く。

円形になっているその部屋の四隅には、例の鎧騎士が配置してある。

部屋を覆う壁の1つがガラス張りになっており、その向こうにも部屋がある。

俺はガラス越しにあるものを発見した。

 

キリト「あれは・・・」

 

デュオ「どうした?」

 

デュオも俺の視線の先を見る。

そこには床から天井に伸びた巨大な試験管のようなものが設置されていて、その中には折れた剣が浮かんでいた。

シンプルな錘型の柄頭(ボメル)に細く切った革が密に巻かれた握り、少し小ぶりなナックルガード、それ自体に少し透明感のある漆黒の柄とそれを包む艶のある黒の巻革。

刀身はわずかに透明感のある深い黒に染まったオーソドックスな片手用直剣の形状。

恐ろしいほど明確に立った鎬のエッジは、素手で触れれば皮膚が切れてしまいそうな鋭さを感じさせる。

そして、反射光の見えないその刃は、まるで光さえも切り裂いてしまっているようだ。

柄頭から刃先まで黒一色で作られたその剣は、なぜか初めて見る気がしなかった。

吸い込まれるかの如く、俺が一歩踏み出しかけたその時、

 

?「やはりここに来たか。」

 

突然声が聞こえた。

驚いた俺は、慌てて剣を握る手に力を込める。

隣ではデュオが剣を右手で持ち、左手で銃を構えている。

その視線と銃口は、ガラス壁の向こう側に向いている。

見ると、奥の方から教団の服を着た男性がゆっくりと歩いてきた。

歳は30代後半から40代前半と言った感じで、髪を後ろで束ねて縛り、黒縁の眼鏡を掛けている。

 

デュオ「あんた誰?」

 

?「私の名はヴォイド」

 

ヴォイドと名乗った男性は、両手を左右に広げて馬鹿丁寧なお辞儀する。

だがその態度とは裏腹に、彼の眼には野心的な光が宿っていた。

それに気付いていたのか、デュオは銃を下ろさずに問いかける。

 

デュオ「教団の人?」

 

ヴォイド「あぁ。仕事の都合上、他人(ひと)には知られていないがね」

 

落ち着いた対応をするヴォイドに敵意はないと感じたのか、デュオは銃を下ろす。

それに倣って、俺も剣を下げた。

 

キリト「こんな場所で何をしているんだ?」

 

ヴォイド「こんな場所!?口を慎め!!」

 

俺の言葉に、ヴォイドは唐突に怒鳴り声を上げる。

理由はよくわからないが、どうやら怒らせてしまったらしい。

 

デュオ「何か怒ってるみたいだぞキリト。」

 

キリト「どうしろと?」

 

呆れたように言ってくるデュオに、肩を竦めて言い返す。

 

ヴォイド「ナマイキな小僧共だ・・・やはり死んでもらうか」

 

キリト「どういう理屈だ?」

 

デュオ「ナマイキだと死刑なんとさ」

 

そんなことを言っていると、ヴォイドが指を鳴らす。

すると隅に置いてあった4体の鎧騎士が動き始めた。

それらは揃った動きで腰から剣を引き抜き、こちらに向かって身構える。

 

デュオ「やっぱりその鎧は教団のものだったか」

 

デュオは銃を収めると、剣の柄を両手でしっかりと握っていつでも迎撃出来るよう構えた。

 

キリト「どうするんだ?」

 

デュオ「もちろん。排除する」

 

キリト「だろうな」

 

俺も、剣を握る手に再び力を込めて構える。

次の瞬間、4体の鎧騎士が同時に仕掛けてきた。

 

ヴォイド「行け、騎士たちよ。」

 

その言葉を合図に、鎧騎士は俺たちに襲い掛かってきた。

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
4
1

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択