No.672320

百合ング☆ドリーム~青空×夜空~

初音軍さん

ニコニコアプリのサービスを始めてハマったゲームから。
妄想100%のお天気戦隊のお話。こういう話があったら萌えるかなぁって。
個人的には思います(百合中毒特有)
他に育てる子が多すぎて、でもこの子たちも気にいってるから
いつか育てたいなぁって思います。

2014-03-20 15:36:54 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:547   閲覧ユーザー数:544

百合ング☆ドリーム

        ~青空晴美×夜空泪~

 

 チーム5人で戦い強さを求める少女たちがマットの上で戦いを繰り広げる。

様々な流派と悪役が混じり声援と気合の入った声が雰囲気を作り出し辺りを包んでいた。

 

カンカンカン!

 

 たくさんある試合の中の一つが終わりを告げる。その中で敗者となってしまった中に

正規軍のお天気戦隊トライウェザードの青空と夜空の姿があった。

 

 ボロボロになりながらロープを掴んで降りてくる二人を控えで待っていた浮空が

タオルを持って二人の傍にかけよってくる。

 

「お疲れ様~。…大丈夫、泪ちゃん?」

「…うん…」

 

 賑わう観客の中で彼女の小さな声はあっという間にかき消される。

だが、ずっと一緒に戦っていた二人にはしっかりと聞こえていた。

いつもとは少し様子が違うと。

 

【夜空】

 

 試合の翌日、今までと同じように朝早く練習にでかける。

先輩たちに挨拶してから練習に気合を入れつつもいつもより身が入らないのがわかる。

引きずっているのだろうか、なかなか勝ちに繋げられないことに焦っているのだろうか。

 

 そんな気持ちが先輩に見透かされて私は怒られた。

やる気がないなら来るなって。それは本当に来るなって意味じゃないのは

わかっていたが今の私には随分堪えていた。

 

「す、すみません…でした…」

 

「あ、おい!夜空!」

 

 力が入らないどころか気も抜けてしまい練習どころじゃなくなってしまう。

俯いて、今の私の情けない姿を先輩に見せないように走ってジムから出ていってしまった。

ほぼ勢いだけの行動。こんなの青空だけでいいのに。

 

 外を出ると憎らしいほどの清々しい晴天だったが、私の心には大雨が降っているようだ。

若手で才能があるからって、この世界は本当に私に向いているのか…。

私は自信を完全に失っていた。

 

 

 どれだけ走ったかわからないが疲れて、足がふらふらになった私は近くの木陰に

座って休憩を取った。一旦戻らないととは思っても、走って逃げた手前。

恥ずかしくて顔を出せない。多分青空にも泣き顔を見られてしまった。

 

「恥ずかしい…」

「なにが恥ずかしいって?」

 

「…青空!?」

「こんな湿っぽい場所にいないでこっち来なよ!気持ちいい天気だよ!」

 

「どうせ私は湿っぽい女よ…」

「誰もそんなこといってないって」

 

 私たち3人の中で一番背が低い青空だけど、どれだけ努力しているか。

その努力の分、結果が報われていないというのに彼女から笑顔が消えることはない。

まさに青空。いや、太陽のようで私には眩しくて仕方が無い。

 

「私たちはしばらく控えで調整しろってさ~」

「そう…」

 

 私が青空の傍にいかないから彼女の方が私の近くに寄ってきて隣に座って

笑顔で言っていた。このまま出番が全くなくなってこの世界から消えるかもしれないのに

どうして青空はそんなに明るく振舞えるのだろうか。

 

「ねぇ、青空」

「なーに、夜空」

 

「私たちずっとこのままとか…そんな不安になったりしないの?」

 

 正直負け数の方が多いくらいなのに、そんなの受け付けないとばかりに晴れやかな

顔をしている青空に投げかけた。すると、少し困ったように笑いながら空を見た。

 

「そりゃ不安もあるさ」

「じゃあどうしてそんなに明るくできるの?」

 

「諦めたら終わりだからねえ…」

「え…?」

 

「私たち会ってそんなに長くないけど、この業界に入ったからにはそれぞれの

覚悟があって来てるわけだと思うのだよ」

「それは…まぁ…」

 

「だからね。そう簡単に折れるわけにはいかないよ」

「うん」

 

 彼女の名前の通り、眩しいほどの青空のような清々しい笑顔が私を照らす。

手を伸ばしてきたのを私は掴むと強く引っ張られた。

 

 勢い余って青空に寄りかかるように抱きついてしまったが、

青空から仄かに香る太陽の匂いが心地よかった。

 

「やるからには燃え尽きるまで、みんなでがんばろう!」

 

 背中をぽんぽん軽く叩かれて子供をあやすように言うのを聞いたら涙が出そうになった。

そうだ、私は一人じゃない。組んで日は浅いけどずっと一緒にいたのだ、二人の仲間と。

私はまだがんばれる。

 

「私、夜空の匂い好きだなぁ。なんか天気いい日に降った少量の雨が地面を濡らして。

その時に出るような香り。私は好きだよ」

「え…」

 

「もちろん、匂いだけじゃない。夜空自身も」

「青空…」

 

 雨のように湿って冷え切った私が青空という快晴に照らされて。

腐っていきそうだった気持ちを元気にさせてくれた。

そんな健気な彼女が愛おしくて。

 

「ん…」

「んぅ…」

 

 チュッ…チュパッ…

 

 自然に二人はキスをしていた。いやらしい音が人気のない場所だからか

耳に大きく聞こえて、心臓の音もドクンドクンとうるさいくらいに聞こえてくる。

顔はどれくらいぶりか。火照っていて、キスした後は青空の顔を直視することが

できずに俯きがちになるが。

 

「行こうか」

「うん」

 

 少し大人しめに言う青空の声には少し色気があった。

そんな彼女は俯いている私の手を掴んで軽く引いてくる。

私はもう抵抗することなく全てを受け入れて歩き出した。

 

 今度は自分のためだけじゃなく、青空や浮空のためを想って戦おう。

特に青空のために。私は負ける時の考えは捨ててリングに向かうことにした。

みんなで上を目指すために。

 

お終い


 
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