管理者達が語る過激派との因縁……

そこへ浮上したのは『宝鈴』という男……

何故ならこの男は

于吉に殺されたはずだからだ

　　二節　〜妖術師と幻術師〜

貂蝉「(思春ちゃん………)」

思春「(っ!!…………何だ貂蝉……)」

思春は貂蝉からの突然の『読心術』に一瞬驚くが、冷静に対応して『読心術』で返事をする

貂蝉「(ひとまずぅ貴方はお師匠様の処へ帰還する事を考えた方がいいわん)」

思春「(しかし、この状態で一刀の元に帰るのは…………私や明命でも至難の技だぞ……？)」

貂蝉「(私達管理者が時間を稼ぐからぁ、その間にぃ)」

思春「(………………分かった、やってみる)」

思春は貂蝉に言われると少しずつ…………後ろに後退し始め、愛紗達がいる中央辺りまで移動したあと一旦そこで止まった

翠「殺された？じゃあ……こいつ死んだのか？」

左慈「殺した訳じゃないが、死んだも同然の状況だったんだ」

霞「……………于吉とこいつの関係は何なんや？」

左慈「………………やっぱし気になるよな………

仕方ねぇ………そこから説明してやるよ」

左慈は大きな溜息をしたあと、于吉と宝鈴の関係を話しだした

左慈「宝鈴は管理者一の幻術師とまで言われていた天才術者だ」

真桜「天才術者…………」

左慈「宝鈴一人いるだけでその場で百を超える難術を可能にするとまで言われていたんだ

正に伝説の幻術師…………」

左慈は淡々と続けていく

左慈「だが、宝鈴には邪魔な存在が一人いた

それが……………」

桂花「ま、まさか…………？」

左慈は頷き

左慈「大方予想がつくと思うが、その邪魔な存在こそ否定穏便派で俺の相棒…………この于吉だ」

華琳「……………………」

左慈「于吉は超新星だった

管理者に所属して直ぐ天才妖術師とまで言われる程の存在となった

いつしか二第術者として『幻術の宝鈴』、『妖術の于吉』と管理者の間で言われるようになったのさ」

桃香「于吉さんって……凄い人だったんですね！」

于吉「……過去の話ですよ、桃香殿………」

于吉はまんざらでもないような感じに答えた

左慈「だがさっきも言った通り宝鈴は于吉の事が邪魔で仕方なかった

頂点に立つのは一人でいいと于吉に『術者決闘』を申し込んだんだ」

蒲公英「『術者決闘』？」

貂蝉「基本的に決闘の事と同じよん

単純に攻撃方法が術となるだけ」

雪蓮「ふーん………それで？」

左慈「宝鈴は辺りが何もない『次元の狭間』に于吉を連れていき、戦闘を始めたんだ

俺は傍観者として見守っていた」

蓮華「それで最後はどうなったの？

于吉が勝ったの？」

蓮華は左慈に聞いた

左慈「最後は宝鈴が于吉に追い込まれ、宝鈴は有ろうことか『禁止術』に手を出しやがった

それにより俺も参加して宝鈴の動きを封じた後、于吉が異次元空間に宝鈴を弾き飛ばし、その異次元空間に閉じ込めたんだ」

貂蝉「あらん？そうだったのん？初耳だわん」

詠「異次元空間って？」

左慈「『次元の狭間』の成れの果てって感じの処だ

現代でいう荒れ放題の土地ってやつだ」

于吉「より強力な術で全てを閉鎖し、閉じ込めたと思ったのですが………」

于吉はそこで宝鈴を睨んだ

于吉「宝鈴………貴方、何をなさったのですか？」

于吉は睨みながら宝鈴に聞いた

宝鈴「何を？簡単な事ですよ……

異次元空間から抜け出しただけです」

宝鈴は不気味な笑みを浮かべながら答えた

于吉「それは不可能といいましたよ？

私の術は節抜けではありません……

貴方は異次元空間から出る事は出来ないはずです」

宝鈴「おや？そうだったのですか？

てっきり私は………」

宝鈴「異次元空間に錠を掛けただけかと？」

于吉「っ!!……貴方という人は…………!!!」

愛紗「っ!!?于吉!?」

于吉が怒りを露わにしたのを見て皆驚いていた

左慈「………つくづく救えない野郎だな、宝鈴!!!」

宝鈴「ふっふっふっ…………おや、どうしましたか？左慈………」

左慈「宝鈴………てめぇ、『禁止術』使って脱出しやがったな!!」

小蓮「『禁止術』ってあの『禁止術』？」

左慈「あぁ、俺達が止むなく使った『禁止術』だが…………このクズ野郎は悪用して異次元空間から脱出しやがったんだ!!!」

宝鈴「言葉に気をつけなさい、左慈……

私は貴方より年上で、私のほうが管理者の歴は長いのですよ？」

宝鈴は異様な気を放出し、左慈に語りかける

左慈「『禁止術』にいとも簡単に手を出す奴の事なんざ知ったこっちゃねぇ!!」

宝鈴「やれやれ…………口が悪いのは変わっていませんね……」

左慈「そういや聞いてなかったな……

宝鈴、響窃を連れてってどうする気だ？

壊滅に追いやられた復讐でもするつもりか？」

左慈は睨みながら宝鈴に問いた

宝鈴「復讐？…………ふふっ、私達は復讐などというような下らないことはしませんよ………」

華琳「じゃあ、何の目的があって響窃を渡さなければならないのよ？」

襲「ハッ！曹操……もう少し頭を柔らかくしてみたらどうだ？」

襲の発言に春蘭は

春蘭「どういう意味だ貴様ぁぁ!!」

襲に食って掛かかった

秋蘭「落ち着け姉者!!今はそれより響窃についての目的を聞かねばならん

まずはそれからだ」

春蘭「う、うむ……………」

春蘭に落ち着きが戻ったあと襲は

襲「曹操………孫策………劉備……

お前等は響窃の計り知れない強大な戦闘力と全てを破壊する無限の力を持っている事は知ってんだろう？」

雪蓮「………………えぇ、勿論」

華琳「嫌という程知っているわ」

桃香「記憶に新しいです…………戦ったのですから……」

襲「そうだろう？

だからこそ、こんな平和に満ち溢れた処に響窃を置いておくなんて勿体無いぜ？

正に猫に小判……豚に真珠ってやつだ」

風「つまり否定過激派の皆さんは響窃の戦闘力を利用したいという事ですか〜？」

晩禍「その通りだ……程昱」

夜減児「あの破壊の化身の居場所はこんな処じゃない

響窃こそ俺達否定過激派にいるのが丁度いいんだよっ!!」

左慈「なる程な……………

だが、その思惑は失敗に終わりそうだぜ？残念ながらな………」

左慈は不敵に笑いながら言った

その瞬間、于吉や貂蝉の表情も左慈と同じような表情に変わる

華琳や雪蓮もだ

晩禍「……………どういう意味だ、小僧………」

左慈「いや、別に………そんな深い意味はないぜ？」

左慈はひたすら笑いを堪えていた

襲「意味有りげな笑いだな………左慈！てめぇ何笑っていやがるんだ!!?」

宝鈴「…………貴方達、響窃に何をしたのですか……？」

于吉「教えて差し上げましょうか？宝鈴

響窃の結末を…………」

襲「どういう事だ？響窃に何があった？」

左慈は高らかに答えた

左慈「知らねぇようだから教えてやるよ!!

お前等が必死こいて追っかけてた響窃はもう此処にはいねぇ！」

夜減児「何だとぉ!!?」

左慈「いや…………正確にはこの外史にも、この世にもいねぇ!!!」

襲「…………はぁぁぁっ!!?響窃が殺されたって言うのか!?」

宝鈴「……やれやれ、随分とまた苦しい嘘ですね………

幻滅しましたよ？左慈………」

左慈「けっ！『禁止術』を呼吸するかのように扱う奴に言われる筋合いはねぇ！」

于吉は宝鈴に微笑みながら

于吉「それなら、宝鈴………

響窃の気を感じ取っても姿を見ましたか？」

と問いかけた

宝鈴「っ!!そ、それは…………」

左慈「そいつが何よりの証拠だ

響窃はもうこの世に存在しねぇ………

過去の人物となったんだからよ」

宝鈴「しかし、響窃のあの禍々しい『邪闇気』は確かにこの外史から感じ取れました！」

華佗「それなら、響窃は管理者を恨んでいるはず……

今すぐ此処に来て俺達を皆殺しにしてもおかしくはないと思うんだが？」

襲「くっ!!た、確かに…………」

左慈は勝ち誇ったようにして

左慈「分かったろ？響窃はもうこの世にいねぇんだ

お前等の目的はもう此処にはない

とっとと帰んな！」

と吐き捨てた

襲「おい宝鈴!!どーすんだ!?響窃がいなきゃ何も出来ないじゃねーか!!」

夜減児「んん？帰るのか？」

襲「手ぶらで帰れる訳ねーだろうが!!!」

宝鈴「大丈夫です………方法はあります」

宝鈴は表情一つ崩さず答えた

左慈「何だと？」

宝鈴「第一計画が失敗に終わったのなら、第二計画に移行しましょう」

貂蝉「第二計画ぅ？」

宝鈴「えぇ…………皆さん、響窃がいないというのなら……」

宝鈴「貴方達の頭を頂きます……」

　　　　　　　　　　　……終……