No.669433

九番目の熾天使・外伝 ~改~

竜神丸さん

ファーストアラート、数分前

2014-03-09 21:04:21 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2559   閲覧ユーザー数:1009

ミッドチルダ、新暦0075年…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆、後少しだから頑張って行こうー!」

 

「「「「はい!!」」」」

 

管理局にて、新たに設立された部隊、機動六課。その訓練施設にて、高町なのはが四人の新人達を鍛え上げているところだった。

 

そんななのは達の様子を、眺めている人物が二人。

 

「やっぱり凄いなぁ、なのはちゃんは」

 

「というより、貴様の方がだいぶ凄いだろう? 紫藤」

 

「あはは、恐縮です…」

 

シグナムに褒められて苦笑する、黒髪を三つ編みに結んだ少女―――紫藤(しどう)ミナキ。

 

スターズ5として六課に所属している彼女も、実は転生者の一人である。しかし不正転生者とは違い、きちんと正式な転生を遂げており、それ故にこの次元世界に存在する事を許されているのだ。

 

「私の能力だって、あまり便利って訳じゃありませんよ? いくら非殺傷設定があると言っても、一歩間違えたら相手に怪我を負わせてしまいますし…」

 

「確かに、貴様のレアスキルは異常な程に厄介だ。いくら攻撃しても傷を負わせられない(・・・・・・・・・・・・・・・・・)なんて、普通なら考えられない事だ」

 

「その所為で、私は新人達の指導すらも出来ないんですよねぇ……って、それだったらシグナムさんはどうなんですか」

 

「私には、人に物を教えられるような才は無いな。接近して斬れ、としか言えない」

 

「接近して斬れって、またシグナムさんらしいですね…」

 

「む、何だ? そこまで言うなら書類仕事を増やしてやろうか?」

 

「ちょ!? 私が書類仕事苦手だからって、それは卑怯でしょう!?」

 

「はは、冗談だ」

 

「冗談に聞こえませんよ、もう…」

 

二人がそんな話をしていたその時…

 

 

 

 

 

 

「よう、シグナムにミナキ!」

 

 

 

 

 

 

「「……」」

 

二人の前に、一人の男が姿を現した。

 

「…どうも、神崎誠也一等空尉」

 

「やだなぁミナキちゃん。俺の事は誠也で良いって、何度も言ってるじゃないか。なぁシグナム」

 

「知らん。さり気なく私の肩に手を置こうとするな」

 

「いや~相変わらずツンデレだなぁ二人共」

 

ミナキとシグナムに睨まれても、何か含みがあるかのような笑顔を見せる金髪オッドアイの男―――神崎誠也(かんざきせいや)。彼もまた、ミナキと同じ正式な転生者である。彼は六課に所属する他の女性局員達にも同じような話し方をしており、逆に男性局員に対してはモブ呼ばわりしている。全ての女性が自分の嫁だと勘違いしている、ある意味哀れな人物である。

 

「ほら、一緒にコーヒーでも飲もうぜ?」

 

「結構です。私達は書類仕事がありますので」

 

「大丈夫、そんなのは他のモブ共にやらせときゃ良いんだよ。さ、良いから行こうぜ?」

 

「な、ちょ、離して下さい!!」

 

「ッ…神崎!! 貴様という奴は―――」

 

神崎が無理やりミナキを連れて行こうとし、そんな彼の横暴にシグナムがレヴァンテインを抜こうとしたその時…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おやおや、乱暴はいけませんよぉ神崎さん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「!」」」

 

黒い制服に身を包んだ黒髪の男が通りかかり、ミナキを連れて行こうとしていた神崎の手を掴んだ。

 

「…んだよモブ、邪魔すんじゃねぇ」

 

「そうは言いますが神崎さん。紫藤さんが嫌がっているのに強要するというのは、流石に一人の男としてどうかと思いますよ?」

 

「俺に命令すんじゃねぇよモブが!!」

 

「おっと」

 

邪魔されて気に入らなかった神崎が殴りかかるも、黒髪の男は右手で彼の拳を受け止める。

 

「別に命令してる訳ではありませんよ? あなたと私は同じ階級、命令の仕様がありませんし……ただ、これ以上そういう事をやっていると、監視役の身としては見逃せませんねぇ」

 

「…チッ!!」

 

神崎は舌打ちしてから黒髪の男に掴まれていた手を引き戻し、その場を去って行った。

 

「…すまないなクリウス殿、見苦しいところをお見せした」

 

「いえいえ。困ってる人がいたら、助けるのが人間として当然でしょう」

 

「それでも、ありがとうございました。あの男、本当にしつこくて…」

 

「皆さんも苦労なさっているようですねぇ。いやはや、何をどう教育すればあんな性格になるのやら」

 

「全くだ。親の顔を見てみたいものだ」

 

黒髪の男―――クリウスとシグナムが話している中、ミナキはクリウスの表情を見据えていた。

 

(…本当、何者なのかしら?)

 

ソーマ・クリウス一等陸尉。

 

地上本部から派遣されて来た機動六課の監視役で、レジアス中将の部下。基本的には六課の任務にも協力するが、もし六課が何かしら失態を犯せば即座に地上本部に報告出来る権限を持つ。

 

しかし…

 

(原作にはこんな男はいなかった……私達が転生した事による、イレギュラーって感じかしら?)

 

ミナキはこのクリウスという人物に対しても、疑いの視線を向けていた。クリウスは神崎と違ってその人の良さからシグナム達からも割と好感を持たれているのだが、そのにこやかな表情からは何を考えているのかが全く分からない怪しさが滲み出ている。

 

(まぁ、今は深く考える必要は無いのかな? 現時点ではまだ、彼が何かを仕掛けるつもりは無いみたいだし…)

 

「さて、私はこの辺で失礼します。こちらも少し休憩していただけで、まだ書類仕事が終わった訳でもありませんので」

 

「そうか。長話して、すまなかったな」

 

「いえいえ。ではこれで…」

 

クリウスはペコリと頭を下げてから、二人の前から立ち去って行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(はん、ちょろいもんだぜ本当に…♪)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二人に見えないところで、怪しげな笑みを浮かべながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

楽園(エデン)、会議室…

 

 

 

 

 

 

 

「時空管理局にて、機動六課の設立か…」

 

現在、クライシスを含むナンバーズメンバー達がここに集結していた。といっても、ZEROだけは足をテーブルに置いたまま居眠りしているが。

 

「ロストロギアの確保が主な任務……今更、こんな部隊を結成して何になるんでしょうかねぇ?」

 

「というか、隊長格の連中がどいつもこいつもレベルの高い連中ばっかじゃねぇか。何だってこんな部隊が成立したんだ?」

 

「情報によれば、本局や聖王協会の双方から強力なバックアップも受けているらしい。それ故、地上本部のレジアス中将はこれが気に入らないみたいだが…」

 

「それにしても、レベルの高い連中ねぇ……それを果たして、我々が言って良い言葉なのやら」

 

「…それは確かに」

 

デルタの言葉に、miriも賛同する。冷静に考えれば、自分達のいる旅団は実力の高い者ばかりが一箇所に集っているのだ。今更一部隊が設立されたところで、別に驚くような事でもない。

 

「どのような部隊であろうと、我々のするべき事に変わりは無い」

 

クライシスが口を開く。

 

「発生するモンスター共の殲滅、それを最優先に各自動くように。仮にその六課とやらが我々の任務を妨害して来ようとも……問題は無かろう? お前達なら」

 

「…簡単に言ってくれますね」

 

管理局が邪魔をして来た場合、自分達で対処しろ。

 

そういったクライシスの意図が伝わったのか、デルタは小さく笑みを浮かべる。

 

「ふぁぁぁ……んで、話は終わったのか?」

 

居眠りをしていたZEROが、欠伸をしながら目覚める。

 

「話が終わったんなら、俺がここにいる理由は無ぇ。とっとと一暴れさせて貰うぜ」

 

そう言って、ZEROは首をゴキゴキと捻りながら会議室を出て行く。

 

「たく……ZEROの奴、本当に身勝手な野郎だな」

 

「だが、ZEROの言う事もあながち間違いではないだろう。俺達は今までに、何度も管理局の連中と対峙してきたんだ。今更こんな事でいちいち対策を考える必要も無い」

 

「それもそうよね……それにしても。あの高町家の末っ子だった娘が今ではスターズ隊長とは、出世したものねぇ。久しぶりに、ちょっとばかり可愛がってあげようかしら?」

 

(出た、朱音さんのあまりに楽しそうな表情!!)

 

(間違いない、誰か一人は確実に被害者が出るぞ…!!)

 

朱音が楽しそうな笑みを浮かべるのを見て、他のメンバー達は彼女の遊び相手になるだろう管理局(・・・・・・・・・・・・・・・・)に対して同情の念を抱く。

 

「……」

 

そんな中、無言のまま資料を見続けているメンバーもいた。

 

(機動六課か……となれば、アイツもいるんだろうな…)

 

ロキは資料をテーブルに置き、かつて共に学校生活を送っていた少女の姿を思い浮かべる。

 

そして…

 

(…はやて)

 

二百式もまた、自分が大事に思っている少女の事を考えていた。

 

(戦わなければならないのか? 俺達は…)

 

「……」

 

そんな二百式とロキは、気付いていなかった。

 

「ククク…」

 

竜神丸が怪しげな笑みを浮かべながら、二人の様子を見据えていた事に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後、ミッドチルダにて事件は起こる。

 


 
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