No.664433

真・恋姫†無双 異伝「空と命と夢の狭間に」第二十七話


 お待たせしました!

 それでは今回は拠点第二弾をお送りします。

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2014-02-18 22:08:38 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:8351   閲覧ユーザー数:5845

 

「はぁ…」

 

「瑠菜…さっきからため息ばかりついてどうしたの?」

 

 三将軍の執務室にて朝から瑠菜は事あるごとにため息ばかりついていたので、横に

 

 いた樹季菜は少々うんざりした顔で問いかける。

 

(ちなみに朱儁も既に一刀達にも真名を預けているので、真名でお送りします)

 

「…何でもないわよ」

 

「何処が何でもないのよ…完全に何か悩んでいる顔でしょうが。私にも話せないよう

 

 な事なわけ?」

 

「そ、それは…」

 

 何かしら言いよどむ瑠菜の顔を見て、樹季菜は何かに思い至ったような顔をする。

 

「ははぁ~~ん…そうか、一刀絡みね?」

 

「うっ…それは、その…」

 

「だったら此処でため息なんてついてないでさっさといってらっしゃい。仕事の方は

 

 私一人で何とかなるから」

 

(ちなみに皇甫嵩は視察に出かけていて留守をしている)

 

「そうしたいのはやまやまなんだけど…今日は一刀は夢様と出かけているのよ。璃々

 

 も連れてね」

 

「へぇ…それって前々から決まっていたの?」

 

「今朝、一刀や璃々と一緒に朝食を摂っていた時に夢様が来て誘っていたわ」

 

「…ねぇ、そこは先にあなたが誘う場面じゃないの?」

 

 樹季菜がジト眼でそう言うと、瑠菜は言葉に詰まる。

 

 

 

「…だって、今日は仕事だったし」

 

「仕事を早く終わらせて、その後からでも予約しておけばいいじゃない…本当にあん

 

 たってばそういう所は昔からぐずなんだから」

 

「むぅ…まったく男っ気の欠片も無いあなたに言われたくないんだけど」

 

「はっはっは!私はいいんだよ。今更、男とどうこうなろうと思わないしね。そもそ

 

 も私の身体は子供が産めないのはお前も知ってるだろう?何せ産まれてこの方、一

 

 度も月の物が来た事が無いからな」

 

 樹季菜はそう言って笑っていた。彼女自身が言った通り、彼女の身体は何故か一度

 

 も月の物が来た事は無く、彼女の両親も彼女自身も何度も医者に相談はしていたの

 

 だが、原因が分からないばかりか結局『子供を産めない身体なのだろう』と言われ

 

 るばかりな為、彼女はもう自分自身の女としての幸せは完全に頭から消え失せてい

 

 た。しかもそんな彼女の外見は中性的な為、むしろ女性に人気が高く、実際宮中に

 

 務める侍女達の中には彼女の事を熱っぽい眼差しで見つめている者もいる位であっ

 

 たりする。

 

「まあ、私はこれで生きていくと決めたからいいんだけどね。でも、瑠菜は違うのだ

 

 ろう?あんたもずっと男を近づけなかったから、私と同じかとも思っていたけど…

 

 一刀とそうなりたいんだろう?だったら躊躇ったらダメなんじゃないか?」

 

 樹季菜は自分の剣を叩きながらそう言っていた。

 

「そうは思うんだけど…」

 

「何が問題なんだ?」

 

 

 

「…分かってて聞いてない?」

 

「年齢の事なら今更だよ。それともそれを理由に一刀を諦めるの?」

 

「そんなつもりは無いけど…やっぱりそれはどうしても気にしちゃうのよ。だって一

 

 刀の周りにいる娘はみんな一刀に近い年齢だし」

 

「みんなでは無いだろう?空様がいるし」

 

「私にも空様位の若々しさがあったらまだ気にしないわよ」

 

(そう言ってる瑠菜だって十分二十代って言っても通用する位なのに…ほんと、瑠菜

 

 って自分の外見の良さに気付いてないんだから)

 

 樹季菜はそう心の中で呟くと、ため息をついていた。

 

「だからってこのままで良いわけが無いのは分かってるんでしょう?だったらやる事

 

 は決まってるじゃない。だから…」

 

「だから?」

 

「まずは仕事をさっさと終わらせるか、仕事は私に任せてすぐに一刀の所に行くか…

 

 どちらかを選ぶ事ね」

 

「今行っても夢様の邪魔になるだけだし…今は仕事をさっさと終わらせる事にするわ」

 

 瑠菜のその言葉を聞いた樹季菜は少々呆れ気味に笑う。そして二人は一生懸命仕事

 

 にかかったのであった。

 

 

 

 そして次の日。

 

「一刀、ちょっといい?」

 

「どうしました?」

 

 朝議が終わった後、俺は瑠菜さんに呼び止められる。

 

「一刀の今日の仕事はお昼までだったわよね?その後は何か予定はある?」

 

「いえ、これといって特には…璃々も今日は蒲公英と遊びに行っちゃいましたし」

 

「そう…それじゃ、ちょっとお願いがあるんだけど…」

 

 ・・・・・・・

 

「何かと思えば…買い物の手伝いですか」

 

「たまには…ね?最近あまりこうやって一緒に過ごす事って無かったし…それと

 

 も私とじゃ嫌?」

 

「い、いえ…そんな事は無いです」

 

 相変わらずの瑠菜さんの困ったように見上げる仕種の可愛さに俺の心臓の鼓動

 

 は早くなってしまう。この人は狙ってこんな事をするのだろうか?

 

「それじゃ、行きましょ」

 

 瑠菜さんはそう言うなり俺の左腕に自分の腕を絡める。当然俺の腕には瑠菜さ

 

 んの柔らかい物が当たってくるわけで…。

 

「あ、あの…瑠菜さん?これで行くのですか?」

 

「あら?何か問題でもあるの?」

 

「いえ、問題というか何というか…」

 

 俺がしどろもどろになっているのを嬉しそうに眺めながら瑠菜さんは俺をその

 

 まま引っ張っていったのであった。うう、今日はずっとこのままか…いや、嬉

 

 しいのは嬉しいのだけど。

 

 

 

 それからしばらく瑠菜さんの買い物に付き合う…はずなのだが、買い物という

 

 よりウインドウショッピングみたいな感じで街を歩いていた。当然その間ずっ

 

 と腕は組んだままなので…。

 

「よっ、ご両人!熱いねぇ~」

 

「盧植様、祝言は何時なんだい?」

 

「北郷様~、いよっ、憎いねぇ~!」

 

 街の人から次から次へとそういった声をかけられて、正直もう恥ずかしさで今

 

 すぐにでも帰ってしまいたい位なのだが…瑠菜さんは恥ずかしそうにしながら

 

 も腕はガッチリ絡めたままなので、結局このまま付き合うしか無い状態なので

 

 あった。

 

「お二人さん、餡まんは如何ですか~。甘くて美味しいですよ」

 

「それじゃ一個だけ頂けるかしら?」

 

 一個?まあ、俺は特に腹がへってるわけではないから別にいいのだけど…。

 

 ・・・・・・・

 

「ちょっと休憩にしましょうか」

 

 瑠菜さんがそう言ったのは街から少し離れた川の畔であった。

 

 瑠菜さんは川辺の草むらに座ると屋台で買った餡まんを二つに割り、その片方

 

 を俺に差し出す。なるほど…最初からそうするつもりだったのか。

 

 俺は瑠菜さんから餡まんを受け取ると一口で頬張る。

 

 瑠菜さんはさすがに一口ではなかったが、そんなに大きくはないので食べ終わ

 

 るのにそんなに時間はかかっていなかった。

 

 

 

 それから四半刻程、何を話すでもなくただ川面を眺めていたのだが、不意に瑠

 

 菜さんが話しかけてくる。

 

「今日はごめんね、いきなり誘ったりして」

 

「何も謝る事はないですよ。瑠菜さんと二人だけで過ごすのって、結構久々でし

 

 たし。楽しかったですから」

 

「そう?でも、私の都合に無理やり合わせてもらったわけだし…やっぱりお礼は

 

 ちゃんとしないとね」

 

「えっ!?でも…そんな、別に俺は」

 

「いいからいいから、まずは眼をつむって…ね?」

 

 眼を?何をくれるというのだろうか…俺は疑問に思いながらも言われた通りに

 

 眼をつむる。

 

 眼をつむってから数秒後、何やら吐息のような物を感じたかと思った瞬間、俺

 

 の唇に温かくて柔らかい感触が重ねられる。

 

 えっ!?…まさか、これって!?眼を開けた瞬間に飛び込んできたのは間近に

 

 ある瑠菜さんの顔だった。しかもその唇は完全に俺の唇と重ねられている。

 

 俺は驚きで思わず顔を離そうとするが、瑠菜さんの両手が完全に俺の頭をホー

 

 ルドしていて動く事が出来ない。さらに俺の唇を押し開いて口の中に温かい物

 

 が入ってくる。これは…瑠菜さんの舌か!?

 

 戸惑う俺を尻目に瑠菜さんの舌は俺の舌と絡み合ったかと思うとそのまま歯茎

 

 の裏までなめてくる。

 

 

 

 それからどれだけの間、俺達はディープキスを交わしていたのか…俺の頭の中

 

 は完全に真っ白になり、ただただ瑠菜さんの温かい感触を感じていただけであ

 

 った。

 

「「ちゅっ、くちゅっ、じゅるっ、うっ、うむっ、ちゅちゅっ…」」

 

 キスをしながら俺達はだんだんと身体を密着させていく。気が付けば完全に俺

 

 達は抱き合いながらディープキスを交わし続けていた。

 

 当然そんな状況であれば俺の身体の一部が過敏に反応してくるのは当然の事な

 

 わけで…さらに言えば密着している以上、それを瑠菜さんにも伝わるのもまた

 

 当然である。それを感じた瑠菜さんの眼の光が妖しい色になってくる。これは

 

 完全にそういう事していいって事か!?でも、此処でいきなりそこまでするの

 

 は急過ぎるのか?でも瑠菜さんから此処までしてきた以上、向こうもその気と

 

 いう事で間違いないのか?

 

 俺が逡巡している間にも瑠菜さんの舌は完全に俺の口の中を蹂躙していき、俺

 

 の口の中には瑠菜さんの唾液の味と温かい舌の感触で一杯になっていく。もう

 

 此処まで来たらヤッちゃっていいよね!?もう俺の激情を止める事は出来ない

 

 からな!!

 

 俺はそう決断すると、瑠菜さんの胸元に手を伸ばそうとする。

 

 

 

 ガサガサッ!!

 

 その時、近くの草むらから突然音がして、それで俺達は我に返る。

 

 その草むらから出てきたのは…一匹のウサギだった。

 

 そのままウサギは何事も無かったかのように何処かへ行ってしまう。

 

 その場に残ったのは何だか気まずい雰囲気になった俺と瑠菜さんであった。

 

「あ、あの…どうしてこのような?」

 

 俺の口からようやく出せたのはそんな馬鹿馬鹿しい質問であった。

 

「…それを女の口から言わせる?」

 

「いえ…その、俺でいいのかな、と」

 

「少し違うわよ。『で』で無くて『が』いいの。それとも…こんなおばさんから

 

 じゃ迷惑?」

 

「そんな事…そもそも瑠菜さんはとても魅力的な女ですよ。それこそ望めば俺な

 

 んかよりもっといい男だって幾らでも見つけられる位に」

 

 俺がそう言うと途端に瑠菜さんの顔の赤さが増していく…絶対、今の俺の顔も

 

 同じ位赤くなっているに違いない。

 

 それから二人して何だか見つめ合ったままだったが…どちらかという事もなく

 

 笑い始めてしまい、それ以上何があるわけでもなく帰る事にしたのであった。

 

 

 

「ねぇ、一刀?あんな事して迷惑…じゃ、なかった?」

 

「迷惑だなんてとんでもないですよ。その…俺の方こそ何だか申し訳ないですよ。

 

 こんな小僧にそういう気持ちを向けてもらって」

 

「ふふ、小僧だなんて事は無いわよ。少なくとも私にとっては…ね♪」

 

 瑠菜さんはそう言ってウインクする。

 

「だから一刀…今日はあれで終わっちゃったけど、あなたさえ良ければ私は何時

 

 でもいいから。それじゃ、おやすみ…ちゅっ」

 

 瑠菜さんはそう言って俺の頬にキスすると、そのまま振り返る事も無く帰って

 

 行ってしまったのであった。ううっ、明日からまともに顔を見れそうにない気

 

 がするのは気のせいなのだろうか?

 

 ・・・・・・・

 

 同じ頃、瑠菜の心中は…。

 

(ああ、やっちゃった…あそこでウサギが来なかったら、絶対に私あのまま一刀

 

 と…それは別に問題無いんだけど…しかもはっきりと誘っちゃったし。でも…

 

 これで陛下とも対等になったかしら?ふふ、何時一刀が来てもいいようにして

 

 おかないとね)

 

 嬉しさと恥ずかしさが入り混じったようなそんな感じになっていたのであった。

 

 

                                   続く。

 

 

 

 

 

 

 あとがき的なもの

 

 mokiti1976-2010です。

 

 8.1の新パソコンにての初投稿です。

 

 XPとの色々な違いに戸惑う毎日ですが。

 

 そして、今回は…18禁直前の話でした。

 

 このまま行くべきかどうか迷いましたが、まだ

 

 メインヒロイン勢がそこまで行ってないので寸

 

 止めにしました。何時かはそういう場面も出す

 

 予定ではありますが。

 

 次回は拠点第三弾です。さあ、誰を出そうか?

 

 

 それでは次回、第二十八話にてお会いいたしましょう。

 

 

 追伸 そろそろ北郷組にも新メンバーを加入させようと

 

    考え中です。

 

 

 

 

 

 


 
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