俺は目の前に対峙しているバーソロミュー・くまから視線を逸らさず攻撃出来る機を窺っている。
まずはアイツの能力を知る事が先決だ。
原作のくまの様に『ニキュニキュの実』の能力を持っているのかどうか…。
…持ってるんだろうなぁ。さっき『旅行するなら何処へ行きたい?』とか聞いてきたもん。
こりゃ迂闊に魔法を放てないな。
なにせ斬撃をも弾く能力だから、下手な砲撃魔法なんかも弾かれてしまうだろう。
なら誘導弾で四方八方から攻めてみるか?
俺が攻め方を思案していると
「誰かー!!誰かいますかー!?」
またこの場にいる人物以外の声が…。
「いた!!……って、勇紀も!?何でいるの!?」
ヒョコッと姿を現したのはアリシアだ。
はやて、なのは、フェイト、そしてアリシア……これで驚かれるのが4度目ッスよ。
「ねぇ勇紀、何してるの?」
「敵と相対中だ」
「敵?」
アリシアも俺と同じ方向に視線を向ける。
「時空管理局本局執務官、アリシア・テスタロッサ…」
「でか!?この人でか!?」
くまをみて驚くアリシア。
「丁度良いアリシア。そっちの子を連れてここから離れてくれ」
俺は結界で保護してる子の方を指す。
結界の中にいるとはいえ、民間人を巻き込まないという保証が無い。
『くまとの戦いの最中に結界が壊れたら…』という事態を考えると……。
「…1人で大丈夫なの?」
「『大丈夫』と言い切れる自信は無いけど負けるつもりも無いんでね」
「……うん、じゃあ「ひゃははははーーーー!!!」…この声……」
アリシアの眉間に皺が寄り、俺は俺で
「…ハア~…(アイツも介入してきたか…)」
溜め息を吐かざるを得なかった。
ここに来るとは思ってたけどさ。アイツの事だから『スバルとギンガを助けて好感度アップだ』とか考えてるだろうから。
声の主……西条はアリシアの姿を見ると満面の笑みを浮かべて、アリシアに近付く。
「待たせたなアリシア。オリ主の俺様が迎えに来たぜ。ここは危ないから脱出しよう」
「……この状況見てよくそんな事言えるよね」
全くだ。目の前に敵がいると言うのに。
西条は疑問符を浮かべながら俺達の方を見てすぐ別の方向…結界で保護してる女の子を見て
「(……何だ?)」
目を見開き驚いていた。
しばらく女の子を見た後、再び俺達の方に向き直る。けど今度は思いきり俺だけ射殺すかのような鋭い視線を当ててくる。
「おいクソモブ!!テメエ何してくれてんだ!!ああ゛!?」
いきなり絡まれた。
「何の事だよ?」
「とぼけんじゃねえ!!俺様の
「今解放したら危ないだろ」
コイツ、現状分かってんのか?
…………待て。
今、西条の奴あの女の子の事『コロナ』と言わなかったか?もしかして『なのはViVid』に出て来る『コロナ・ティミル』の事か?
チラッと視線を一瞬だけ向けてみる。
「(………………うん)」
確かに似てる。成長した姿を想像してみると『コロナ・ティミル』に当てはまるし。
コイツ、よく一目見ただけで気付いたな。
俺だったらもう少し成長してくれないと気付かなかったぞ。
そしていつも通りの『俺様の〇〇』宣言。こんな時期から唾付ける気かよ。
「危ないだあ!?最強オリ主の俺様がいるのに危ない訳無えだろうが!!!」
いや、この区画は倉庫の他に燃料タンクもあるから。火災の炎が引火したら大爆発起こすから。目の前にバーソロミュー・くまもいるし。
「時空管理局航空武装隊、西条貴志。滝島椿姫と並ぶMランク魔導師…」
冷静に分析してる様子のくま。西条に関する情報も持っているのか。
「何だぁ?このデカブツは?」
くまの声を聞いてようやく気付く西条。
「脅威なのは魔力だけ。実力そのものは一般魔導師程度…」
「ああ゛!?俺様が一般のモブと同程度だと!?」
うん。実に正確な情報ではないか。
その発言にキレた西条は両手に夫婦剣を投影し、くまに斬りかかる。
ブンッ!!!
しかし西条が右手で持つ干将の一撃は空を斬る。一瞬でくまは離れた所に移動していたのだ。
「(原作でも見た瞬間移動……)」
目で追える速度じゃねえな。
「
ポンッ!
くまは手袋を外した手で空気を弾く。
「ぐはあっ!!」
腹部に直撃を受け、吹き飛ぶ西条。放たれた
「っ!!」
俺は即座に動き、くまの死角からクリュサオルを振るう。
ドガッ!!
攻撃を当てる事には成功したのだが…
「……………………」
相手の表情には何の変化も見られない。
硬過ぎんだろ!!
くまはすぐさま掌で俺に触れようとする。
「っ!!」
身体強化で一気に後退し、距離を取る。
あの手に触れられたらアウトだからな。何処に飛ばされるか分かったもんじゃない。
バシュバシュ!!
「勇紀!!援護するよ!!」
アリシアも魔力弾を数発放ち、くまにヒットさせるが全く効果が無い。
「魔力弾じゃ威力低いなぁ。じゃあ…」
アリシアが魔力をチャージし、今度は砲撃魔法を放つ。
くまは砲撃魔法の先端を手のひらで弾く。
プニッ
弾かれた砲撃は軌道が変わり、別の方向へ飛んでいく。
「嘘!?砲撃魔法が弾かれた!?」
驚くアリシア。無理も無い。
くまはくまでアリシアの方に向き直ると、力士の様に四股を踏む。
あのモーションはまさか!!
「いくぞ…つっぱり
ポポポポポポンッ!!!
無数の
「っ!!!」
咄嗟に障壁を展開するが、西条の時同様に障壁を貫通した
「くっ…うあああぁぁぁぁぁぁ!!!!」
アリシアもフェイト同様高機動タイプの魔導師。障壁を張れても強度は高くなく、バリアジャケットの防御力も低い。
数発当たった時点で張っていた障壁自体が砕け、尚連続で放たれる
「ダイダロス!!!」
「分かってるよ!!」
ダイダロスに衝撃緩和の魔法をアリシアの後方に展開させる。おかげでアリシアは壁に勢いよく激突せずに済んだ。
「うっ……痛たたたた……」
結構なダメージを受けた様子のアリシアはゆっくり立ち上がるが、足元がフラフラしている。
「アリシア、無理すんな。そこの子を保護してる結界の中で身体を休めとけ」
本当はすぐにコロナらしきその子を連れてこの場を離脱してほしかったけど、馬鹿が乱入してきたせいで機を逃し、俺を援護するためにくまを攻撃した結果、逆に反撃されダメージを負った。
「だ、大丈夫……まだやれるから……」
「アホか。そんなフラフラした状態で言われても説得力無いわ」
むしろ大怪我でもしたらプレシアさん発狂するぞ。
「…にしてもアレ、一体何なの?魔力そのものが感じられないんだけど?」
そりゃー、空気を弾いての攻撃だしね。
「……俺の手はあらゆるモノを弾き飛ばす」
うん?
「先程まで弾き飛ばしていたのは空気だ。この手で弾き飛ばせないモノは無い。もし人間に触れ、直接飛ばしたら72時間は飛行能力を失い、転移系を始めとする跳躍の対象にもなる事が出来ない。それが俺の
アリシアの疑問に答えるかの様に、自ら自分の能力について語るくま。レアスキルじゃなくて先天固有技能か。
「自分の能力をバラすなんて随分と余裕だな」
「お前達に知られた所でそれが『
けど対策は立てられるから対処の仕様はある。純粋に躱せばいいだけだし。
もっとも、立てた所であのくまの瞬間移動に反応できなければ近付かれ、飛ばされて終わり。そういう意味じゃ知ってた所で対処出来ないというのも間違っちゃいないが。
「(ていうか俺の知らない効果があるんだが…)」
『飛行能力を失う』『跳躍の対象に出来ない』とくまは言っていた。
アレか?ここは『リリカルなのは』の世界で、更にISとして『ニキュニキュ』の能力が存在してるからその様な効果があるのか?
いずれにせよ厄介だな。特に空戦魔導師にとっては。
「オラアアアアアアァァァァァァァァッッッッッッ!!!!!!」
咆哮が聞こえた。先程
「デカブツがぁ!!!!オリ主の俺様を舐めくさりやがってえええぇぇぇぇぇっっっっ!!!!!」
憤怒の表情で吼える西条。
「許さねえ!!テメエはここで地べたを這いつくばらせてやるぜえええぇぇぇぇぇっっっっ!!!!!!!」
背後に多数の剣を投影し、切っ先を全てくまへ向ける。
一気に投擲して
「(…爆破?)」
そう思い、自分達の現状を確認する。
俺達がいる区画の建物はかなり損壊が激しい。それに近くには燃料タンクもある。
………マズい!!!固有結界を展開するならともかく、今
「おい西条!!その攻撃ちょっと……」
「食らえやあああぁぁぁぁぁっっっっっ!!!!!!!!!」
『待て!!』と言い切る前に西条の一斉投擲が始まった。
剣の雨がくまに向かって降り注ぎ
「
ズガガガガガガガアアアアアアアァァァァァァァァァァンンンンンッッッッッッッッ!!!!!!!
一斉に大爆発を起こす。
で、俺の想像した最悪な予想が現実となり…
ドオオオオオオオオオオンンンンンンンンッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!
燃料タンクが爆発したのだ。
「ひゃはははは!!!!思い知ったかデカブツがぁ!!!!」
高笑いする西条。しかし…
「邪魔だ」
「あ゛?」
パッ…
瞬間移動で西条の真横に移動していたくまが掌で触れる。
ドゴンッ!!
直後に『何か』が壁にぶつかった。そしてぶつかった『何か』は壁を突き抜け、屋外へ放り出された。
何がぶつかり、放り出されたのかは言われずとも分かる。
マンガとかで見る様な人型の穴が壁に開いていたから。
「西条が消えた!?」
アリシアはそう言うが、くまによって飛ばされただけだ。何処へ飛ばされたのかは知らないが。
けどアリシア。驚いた声色とは裏腹に満面の笑みを浮かべ、ガッツポーズしているのは無意識の動作なのか?気持ちは分かるけど。
再びくまは俺の方に向き直る。
「……潮時か」
くまが短く呟く。
どういう事かと思っていたら
「ユウ君。コッチに向かってくる多数の魔力反応…なのはちゃん達だよ」
ダイダロスが教えてくれる。
「今、管理局と本格的に事を構えるつもりはない。それに…管理局でもエースクラスの魔導師であるお前達の実力もある程度は把握した」
…俺達の実力を見定めてたって事かよ。
「さらばだ」
くまはそれだけを言い残し、瞬間移動でこの場から去った。
ダイダロスに追跡を頼んだが反応ロスト…。追うのは無理の様だ。
そんなくまと入れ替わる様になのは、フェイト、それに主力部隊として応援に駆け付けたのだと思われるシュテル、レヴィ、ディアーチェ、ユーリの姿があった………。
勇紀達がくまと戦闘を開始したのとほぼ同時刻…
~~はやて視点~~
「八神一尉。指定ブロックの局員全員、避難完了です。お願いします」
消火作業に当たっていた局員さんからの報告を聞く。
「了解。リイン、準備はええか?」
「はいです!」
わたしは既にリインとユニゾンを終え、呪文を詠唱する。
「
左手に持つ夜天の書のページを開くと古代ベルカ式の魔法陣が足元に現れ、わたしの周囲に圧縮した気化の立方体が4個浮かび上がる。
「
シュベルトクロイツの先端を眼下に向けて振り下ろし、圧縮した立方体型氷結弾を全て空港に撃ち込む。
パキパキパキパキパキ!!!
着弾点から徐々に氷結し、火災を抑えていく。
「おっし♪」
指定ブロックの消火はこれで完了や。リインの制御のおかげで魔法の余波を局員の皆さんに浴びせる事も無かったし。
「すっげ…」
「これが、オーバーSランク魔導師の力…」
他の局員さん達が驚く中
「悪いけど次のブロックに向かうからここら辺の事は任せてええかー?」
わたしは声を掛ける。
「あ、はい」
返事を聞いて次のブロックへ向かおうとすると
「遅くなってすみません」
わたし達以外の別人の声が届いた。
ん?この声…ユーリ?
「はやて、私達もお手伝いします」
「人助けなら僕にお任せだよ!」
「これはまた…想像してた以上に大規模な火災だな」
続いてシュテル、レヴィ、王様の声が。
「皆、何で?」
「何でも何も我等は今日防衛隊の訓練スペースで訓練してたからだ。他の防衛隊の局員達と一緒にな」
「ちなみに教導官は私です」
『えっへん』と言いたげに胸を張るシュテル。そういやシュテルも地上の教導官やったっけ。
なのはちゃんに対抗するみたいに教導官の資格取ったみたいやしなぁ。
後、なのはちゃんが『空のエース・オブ・エース』って呼ばれとるのに対してシュテルは『陸のエース・オブ・エース』って呼ばれとる。
「シュテるんの教導のせいで局員の一部がグロッキーな状態になってたもんね」
…まさか主力部隊が遅れたのってシュテルの教導のせい?
有り得るな。なのはちゃんが元になっとるんや。訓練と称して砲撃乱射しとったんやろなぁ…。
「はやて、何か失礼な事考えてませんか?」
スチャッ…
「滅相もございません!!」
ルシフェリオンをコチラに向けて来たので即答する。
「貴様等、いつまでもじゃれてないでさっさと救助活動を行うぞ」
呆れた表情を浮かべながら言う王様。
わたしはそのまま別のブロックで再びアーテム・デス・アイセスを使い、消火を行おうとした。
ドオオオオオオオオオオンンンンンンンンッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!
呪文を放つ直前に燃料タンクが大爆発を起こした。
突如の轟音と出来事にわたしはおろか、応援に駆け付けたシュテル達も含め、全員がタンクの方に目を奪われていた。
しかしいち早く我に返ったユーリがわたしに声を掛ける。
「はやて!!向こうの爆発は私達でどうにかしますから貴女は早く眼下の消火作業を!!」
「っ!!頼むわ!!」
シュテル達が頷き、飛んでいったのと入れ替わりになのはちゃん、フェイトちゃんがやってきた。
「はやてちゃん!今の爆発は…」
「確認したよ。今、王様達が対応しに行ってくれてるわ」
「ディアーチェ達が?」
「うん。さっき来た応援の主力部隊におったんや」
「「そうなんだ」」
納得した様子のなのはちゃんとフェイトちゃん。
「そういえばアリシアちゃんは?」
「その事なんだけど姉さんは爆発のあった区画の方に救助に行った筈なんだ」
て事はあの燃料タンクの付近におるっちゅー事かいな?
「アリシアちゃんの身は正直心配やけど、わたしはこの辺も消火せなアカン。なのはちゃん、フェイトちゃんも心配やったら王様達の後を追った方がええよ」
「…どうしようフェイトちゃん?」
「…私はレヴィ達の後を追うよ。姉さんが心配だし、爆発が起きる前に感じた魔力について2人は気付いてるでしょ?」
フェイトちゃんの言葉にわたしとなのはちゃんが頷く。
爆発が起きる少し前に勇紀君と……
アイツがまさか勇紀君に突っ掛かって戦闘になってタンクが爆発したんじゃあ…。
「(有り得る話や)」
そんな事を考えながらもアーテム・デス・アイセスの準備が出来、消火のために放つ。
3つの氷結弾が着弾し、空港の区画一部を凍らせていくが1つだけは
「あのアホ!!何消火の邪魔しとんねん!!」
「むぅぅ!!はやてちゃんの邪魔するなんて許せないですぅ!!」
氷結弾の1つが爆発のあった場所から脱出してきたと思われる
氷結弾を受けた
「……西条は何処行く気なのかな?まさか自分だけ帰るとか?」
「もしそうだとしたら、まだ火災は収まってないのに自分だけさっさと帰るなんていくら何でも許せないよ!!」
「全くや。わたし等の前からいなくなるのは嬉しいんやけど、この惨状放置して帰る普通?」
わたしとなのはちゃん、フェイトちゃんは何処かへ飛んでいった
が、やるべき事をするためなのはちゃん、フェイトちゃんは王様達の後を追い、わたしは再び消火作業に移るのだった………。
~~はやて視点終了~~
翌日……。
火災も鎮火し終え、今日は出火の原因を調査するため、空港に大勢の管理局員の姿があった。更に敷地外にはこの状況を撮っているテレビカメラとリポーターの人が多数。
空港の被害は原作以上。理由としてどっかの馬鹿が燃料タンクに引火させたから。死者が出なかったのが本当に良かった。
シュテル達は今日非番のため、来ていない。来ようとしてたのだが、せっかくの休日に仕事をさせるのもアレだろうし。昨日は家にも帰って来なかったからなのは、フェイト、はやて、アリシアの宿泊してるホテルにお邪魔してるのだろう。
「…で、ここが火元と思われる場所なんですね?」
「はい」
俺達が目をつけたのは昨日くまと戦った場所の側……倉庫のあった場所である。
「ここには輸入されていた物を保管する倉庫がありました」
「保管されていた物の中に自然発火する様な物はあったんですか?」
「いえ…その様な物は無かった筈です」
「…補完物のリストはありますか?」
「はい。これです」
俺はリストを受け取るとざっと目を通す。
見た所、怪しい物は何一つ無い。
「可笑しな物が混じってはいないですね」
俺と共にリストを覗き込んでいる局員さんの言葉に俺も小さく頷く。
「少なくともここに記載されている物には……ね」
「……三佐は密輸物があったとお考えですか?」
「十中八九間違い無いかと」
何つーか…一緒にいる局員さんは年上なんだから敬語使わなくても良いんだけどねぇ。
俺の方が階級は上だからだろうけど。
「それよりも問題はあの場で俺が戦った正体不明の人物の情報についてです」
言うまでも無く、くまの事である。
「何者なんでしょうね?」
「さあ?今回の火災を引き起こした容疑がありますから、上の方に報告して指名手配して貰いますけどね」
ま、簡単に見付かったら苦労しないんだけどねぇ。
局員さんが俺から離れ、別の場所へ移動したのと入れ替わる様に
『ユウキ…今少し宜しいですか?』
「ん?」
突然ディスプレイが現れた。
「シュテルか。おはよう」
『おはようございます。ミッドは良い天気ですね』
「だねぇ。で、どうしたよ?」
『ええ…実ははやての事なんですが…』
はやて?
そう言えばシュテルの後ろにはやての姿がチラッと映る。
『んぐ!!!んぐぅーーーーー!!!』
…何かバインドで縛られてるんだが?口元も封じられてるため何を言いたいのか分からない。
「シュテル、何ではやては縛られてんの?」
『はやては『地上本部の対応が遅すぎる』とか言ってたので黙らせました』
あー……原作でも言ってたよねそんな事。機動六課設立のきっかけが今回の一件な訳だし。
しかし地上の統制システムは結構改善した結果、原作では1時間以上掛かってやってきた主力部隊が今回は45分程…15分は確実に短縮できたというのに不満があるのかはやての奴は。
『『本局所属の魔導師ならもっと早く現場に駆けつけて消火作業が出来るのに』とも呟いてましたね。他にも地上側に対する不満をグチグチと言ってたんです』
「…ほぅ…」
俺は目を細め、シュテルの言葉に耳を傾ける。
曰く『上層部は承認するだけやのに、何モタモタしとんねん』とか『コッチの現状軽視しとるやろ』とかetcetc…。
「……HAHAHA。地上所属の局員さん達も必死に頑張ってたんだけど、
俺は笑顔を浮かべて笑ってるけど、目は笑ってないと自分でも分かる。
『んーーーーー!!!!んんーーーーーーーー!!!!(捏造や!!今の説明のほとんどはシュテルの捏造なんやーーーー!!!!)』
凄い速度で首を左右に振っているはやて。まるで『そんな事言ってない』と言わんかの様だ。
『はやてには何らかの罰を与えるべきかと(ふふふ。これでユウキのはやてに対する好感度はガタ落ちですね)』
「そうだなぁ……はやてにはえっちぃお仕置きでもしてみるか?」
『『『『『『『ええっ!!?』』』』』』』
一斉に聞こえてくる声。シュテルとはやて以外の面子も起きていたのか。
『ゆ…ユウキ。その言葉には一体どの様な意図があるんですか?』
シュテルの声が若干震えている様な…気のせいか?
「え?精神的に追い詰めたり辱めを十分に与えるならえっちぃお仕置きが効果的だと思うんだけど?」
流石にR-18的な事はせんよ。………興味はあるけどな。
『…………んふぅ~~~(お仕置き…勇紀君のえっちなお仕置き…き、既成事実…にに、妊娠…にゅにゅにゅ、入籍……)//////』
はやてさん?何故に頬を赤らめて期待の眼差しをコチラに向けられているので?ちょっと鼻息も荒いし。
まさか『お仕置きされたい』なんて思って無いよね?君、Mじゃないよね?
『ユウキ……』
「ひっ!!?」
地獄の底から響いて来る様なシュテルの声に身を竦ませる。
シュテルの瞳から光消えてるやーん。
『今言った事は冗談ですよね?』
「えっと…」
『ジョウダンデスヨネ?』
「勿論ですサー!!!」
俺は最敬礼する。
『せっかくだ。その刑罰の執行役はあの塵芥にやらせるのはどうだ?』
俺とシュテルの会話にディアーチェが割り込んでくる。
えっちぃお仕置きを西条にやらせるとは残酷な案だ。先程とは一転し、はやてはガチで泣きながら必死に首を振って嫌がっている。
そういや西条の奴、どこまで飛ばされたんだろうなぁ?
後程、西条のデバイスの発進信号をキャッチした局員が向かった先はミッドの端だった。
発見された西条は何故か氷漬けだったという。
……何があったんだ?
~~くまさんの能力で別世界まで飛ばされた場合の西条貴志(その1)~~
ここはミッドチルダや管理局が管理している管理世界とは違う別世界。
そこへ突如氷漬けの男が空から落ちてきた。
空から落ちた物体を確かめにやってきたこの島の住民達は
「「「「「「「「「「ウホッ、いい男♪」」」」」」」」」」
全員が同じ感想を漏らしていた。
ちなみにここに集まった住民全員、血の繋がりはないが全く同じ顔をしている。
「この男はどこから来たんだ?」
「何で氷漬けなんだ?」
「そんな事より助けてやろうぜ」
「そうだな。救助後は俺の体温で温めてやらないと」
「俺も手伝う」
「俺も俺も」
住民達は一斉に氷を溶かし、男の救助を試みる。
そして救助された男はその後、どうなったのか知る由は無い。
男が飛ばされた島……それは『漢の性地』『ガチホモの楽園』と言われる王国が存在し、この島に流れ着いた男は国中の住民に食われると言われている忌むべき島であり、世界貴族…天竜人の権力ですら通じず、海軍及び世界政府も決して手を出さない事で有名な王国……『アベバッカ王国』と呼ばれているのだった………。
~~くまさんの能力で別世界まで飛ばされた場合の西条貴志(その2)~~
そこは…1つの平行世界であり、数十年に渡る地球外起源種と人類との戦いが繰り広げられている地球であった。
誰もいない荒れ果てた荒野に氷漬けの男が落ちてきた。
しばらくすると、その氷漬けの男に近付く人間では無い集団があった。
そう……この集団こそ人類の宿敵『
股間から発射されるレーザーで瞬く間に人類の航空戦力を無力化した『光線級』、強靭な体躯で突撃攻撃を中心とする『突撃級』、女性を文字通りに、男性を性的に食らう『戦車級』等、種類は様々である。
……が、ABETAの顔だけは種類に関わらず、阿部さんソックリなのである。
「「「「「「「「「「……………………」」」」」」」」」」
ABETAは氷漬けの男を発見すると即座に行動し出した。
ガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリ
数体の戦車級ABETAが氷をかじり出す。
徐々に氷が無くなっていき、後一歩で男が解放されるぐらいまでの薄さになるとABETAは男を担いで自分達の住処である『ハイヴ』に帰還する。
ABETA達は気に入った男を『ハイヴ』に連れ帰り、性的に食いまくりながら、男を孕ませて自分達の仲間を増やすという習性があるのだ。
連れ去られた男がどうなったのかは誰にも確かめる術が無かった………。
~~くまさんの能力で別世界まで飛ばされた場合の西条貴志(その3)~~
ここは天使、堕天使、悪魔といった種族に加え、ドラゴン、妖怪、ヴァンパイア等も生息している平行世界の地球。
「どうだ?いい加減に堕ちて俺のモノになるか?」
「んぎいいいぃぃぃぃぃぃっっっっっ!!!!!!」
男に組み伏せられ、現在お尻が大変な事になっている1人の少年がいた。
この少年、氷漬けの状態で突如この世界にやって来た。
そんな氷漬けの少年を2人の男が発見し、一目見て
『『うおおおっ!!?な、何て良い男なんだ!!!』』
惚れ込んでしまった男の1人……『
少年も応戦したのだが、あっという間に負けてしまい、現在はお尻を貪られているのである。
「うっ……俺も徐々に限界が近付いてきた。一気にイカせて貰うぜ♪」
『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!』
「ぎいいああああぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっ!!!!!!!」
一誠の腕に装着されている籠手から機械的な音声が響くと同時に一誠が腰を激しく振り出す。
少年のお尻を貫いている一誠の息子さんが凄い勢いで膨れ上がる。
少年は激痛に苛まれ、悲鳴を上げる事しか出来ない。
「受け取れ!!俺の……ドラゴンブラスタアアアァァァァァッッッッッ!!!!!!!」
そして一誠の息子さんから放たれるドラゴンブラスター。
成す術も無く、受け止めざるを得ない少年は一誠が欲望をぶちまける直前に気絶しており、声を上げる事は無かった。
「ふぅ…」
しばらくして息子さんを少年の尻から解放する。
「やっと終わったか。次は俺の番だな」
そこへ響く第三者の声。
声の主は男。声色は一誠と全く同じ…というより容姿が瓜二つである。一卵性双生児と言われても納得する程だ。
唯一一誠と違うのは彼の背に光翼があるというぐらいか。
そして彼こそが少年に惚れ込んだもう1人の男である。
男はすかさず気絶した少年の尻を襲う。
「んぎいっ!!!」
立派にそびえ立つ男の息子さんの挿入で再び意識を強制的に目覚めさせられる少年。
「俺は阿部一誠みたいに痛い思いはさせないから安心しな」
『DivideDivideDivideDivideDivideDivideDivide!!!!』
またもや機械的な音声が響くと、少年の尻穴がみるみる縮んでいく。
「どうだ?穴が縮めば縮む程、俺との密着感が増すだろう?」
「んぐおおおぉぉぉぉぉぉっっっっ!!!!」
最早雄叫びの様な言葉しか発せない少年。
「さあ…見せてやるぜ。この俺『タカカズ・ルシファー』のテクってやつを」
そこに少年の意思は無く、ただひたすらに貪られ続ける。
一誠とタカカズにとっては至福の、少年にとっては地獄の様な時間はまだまだ続く。
彼等がその後どうなったのか………それは当人達にしか分からない………。
~~キャラクターステータス~~
NO.0003
レヴィ・長谷川
LV 81/ 999
HP 7100/7100
MP 660/ 660
移動力 9 空 S
運動性 180 陸 A
装甲 1100 海 B
照準値 140 宇 -
移動タイプ 空・陸
格闘 212 命中 193 技量 182
射撃 185 回避 220 防御 177
特殊スキル 援護攻撃L2
見切り
気力+(回避)
インファイトL7
戦意高揚
連続行動
~~あとがき~~
くまさんの人気ぶりにビックリの作者です。
第百八話の読者の皆さんのコメントには『カマバッカ王国へ飛ばそう』と言った意見が自分の予想通りにきてました。
だからこそ敢えて飛ばしませんでしたけど。
自分は良い意味でも悪い意味でも読者の皆さんにとって予想外だと思われる内容を考えるのが好きなんです。
西条からすればカマバッカ王国に飛ばされた方がマシだったかもしれませんがね(笑)。
そしてくまさんに飛ばされただけであり、消火作業を自分の意思で邪魔した訳じゃ無いのに原作キャラに勘違いされ、好感度が下がる。これが自称オリ主クオリティなのです(笑)。
まあ、西条の未来は自分的には第九十五話のHAPPY ENDで確定しており、今回くまさんに飛ばされた結末はあくまでIFの内容ですのであしからず。
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神様の手違いで死んでしまい、リリカルなのはの世界に転生した主人公。原作介入をする気は無く、平穏な毎日を過ごしていたがある日、家の前で倒れているマテリアル&ユーリを発見する。彼女達を助けた主人公は家族として四人を迎え入れ一緒に過ごすようになった。それから一年以上が過ぎ小学五年生になった主人公。マテリアル&ユーリも学校に通い始め「これからも家族全員で平和に過ごせますように」と願っていた矢先に原作キャラ達と関わり始め、主人公も望まないのに原作に関わっていく…。