No.658975

【獣機特警K-9ⅡG】新星、ここに誕生す【交流】

古淵工機さん

マリちゃん誕生の瞬間。
カンサイ育ちの血が騒いだテムナさんがとんでもないことを…!!

■出演
マリ:http://www.tinami.com/view/658756

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2014-01-31 00:05:47 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:842   閲覧ユーザー数:769

ここは、ラミナ市内にあるロボット開発センター。

ANCFのレンジャーであるマイ、ナディ、シンディとその指揮官ミランシャ、

ラミナ消防署の署長であるラウル、そしてRS隊の隊長であるマリア、

その姉にしてラミナ署署長のエルザ、その娘のベルタ、およびK-9隊隊長のクオン、

そしてどこで嗅ぎつけたのかラミナ警察署生活警備課のミウとテムナが見学に訪れていた。

「で。どーでもいいけど…なんでミウさんとテムナさんまでついて来てるのさ」

呆れ顔のクオンに対して、テムナは胸を張って答える。

「そら決まっとるやん!ロボットのみんながどないな風に生まれるか、一度見てみたかったんや!!」

「言い出したら聞かなくてさ…何しでかすかわからないからあたしもついてきたってワケよ」

…クオンも、今回ばかりはミウに同情せざるを得なかったであろう。

 

「さ、着いたわよ。今ちょうど組み立てをしている最中だけど」

テレジア博士の案内で一行がたどり着いたのは、大きな一枚ガラスで仕切られた部屋。

そのガラス窓の向こうでは、ちょうど人の形をした機械が組み立てられている。ロボットだ!

「わぁ、すごぉい…ママもあんなふうに生まれたんだ…」

と、思わず声を上げるベルタ。

「ああ。しかし改めて見るとこうやってまた一人新しいロボットが生まれる瞬間に立ち会うと言うのも感慨深いな…」

と、エルザもただそれにうなづく。

「ラウル署長」

ふいに、マリアがラウルに尋ねる。

「ん、なんだい?」

「今組み立ててるロボットって、もしかして以前署長が言ってた」

「ああ、その通りだ。そこにいるマイちゃんをモデルにした災害救助ロボットさ」

「う…あ、改めて堂々と言われると恥ずかしいですね…」

 

その言葉を受けて思わず赤面するマイに、ナディとシンディが追い討ちをかける。

「どうしたマイ、顔真っ赤。カミナリ豆みたいだ」

「ホントだこりゃ赤い!」

「ふ、ふええぇっ!?」

さらに顔を赤くして目を回すマイ。慌ててミランシャがナディとシンディを制止する。

「ちょっと!やめなさい二人とも!」

「それにしても、なんやゴテゴテした機械ばっかりやねー」

「仕方ないよ。そのための設備なんだから」

と、目を丸くしているテムナにクオンが語りかける。

「…じゃ、私はほかのロボットの組み立てを見てくるからじっくり見学しててちょうだい」

そう言って部屋を立ち去るテレジア。

 

しばらくして、ミウはテムナに早速釘を刺す。

「テムナ、あんまりあちこちイジるんじゃないわよ」

「わーかったわーかったて…ん?」

ふと、テムナは近くにつながれているマイクを見つけた。

(何やろこのマイク…あかん!こんなトコにおもむろに置かれてもうたら…オーサカ育ちの血が騒いでまう…!!)

マイクを前に不穏な動きを見せるテムナ。

 

「それにしてもあんな機械むき出しの機体が、数時間後にはマイちゃんそっくりになってるんですよね!なんかドキドキしちゃいます!」

「ああ。完成の暁にはRS隊に早速配備を…」

と、ラウルとマリアが話しているその時であった。

 

「あー、あー、本日ラミナはよう晴れましてェ…」

振り返ると、近くにあったマイクを握って何やら喋っているテムナの姿があった。

「テ、テムナさんっ!?」

「おいおいおい!すぐにそのマイクを離せ!!」

「何や盛り上がってええ時に。マイクがあるんやったら何か話してみたくなるやろ?えー、ご機嫌どないでしょーかっ」

と、なおも高らかにマイクに向かって話しながら歩き回るテムナだったが、つい周りが見えなくなっていたのか、足元のコードに足を引っ掛けてしまった。

「うわっ!?と、と、止めてぇ!」

「わぁっ、テムナそっちは…ぶげっ!!」

バランスを崩しミウにぶつかるテムナ。その衝撃で今度はミウまでもが倒れ、ラウルに、ミランシャに、エルザにぶつかっていく。

「わぁぁぁ!一体どうなってるんだ!」

「コードがもつれて動きが!!」

「ちょっ…そんなに押されたら!!」

最後にぶつかって倒れたのはマイ。その肘のぶつかった場所…。

それは、ロボットの起動ボタンだった…!

 

「一体何事なの!?」

ああ、なんとタイミングの悪いことだろう。

騒がしい物音に気づいて、テレジアが入ってきてしまったのだ。

テレジアは、部屋の中の様子を見て目を疑った。

 

「あなたたち、一体なんてことをしてくれたの!!」

「ほら、だから言ったじゃない…」

「うわあぁぁぁ!?ウチのせいや!どないしよぉぉ!!」

一同がてんやわんやの騒ぎをしていると、ガラスの向こうのロボットがゆっくりと起き上がった。

そのロボットはまだフレームやアクチュエーター、電子頭脳ケースが露出したままだったが、

『顔』のカバーはすでに組みつけられており、その顔立ちはマイをそっくりそのまま写したような形状である。

『…ピピッ・カチカチカチ…な、なんやのもう。うるっさぃなぁ…』

と、眠たそうにまぶたを上げるそのロボット。その姿を見て、一同は驚きの声を上げる。

「…て、テムナさんのカンサイ弁が…」

「インプットされちゃった…?」

 

そんな騒ぎも露知らず眠たそうに瞼をこすっていたロボットは、ゆっくり立ち上がると元気よく声を発する。

『あ、皆さんおそろいでどうもー、ただいま誕生しました新型ロボット…って完成してないですやん!?フレームむき出しのホネホネやないですか!?イヤぁー!!』

と、カンサイ系のツッコミを聞いていると、一同からは笑みが浮かんだのであった。

テレジアはひとつため息をつくと、一同にこう言った。

「ふぅ…たいした悪影響が出てないから良かったようなものの、今度は気をつけてよね。…特にテムナさん!」

「は、はい…スンマセン…」

やがて最終組み立てが始まった。

まだ内部メカがむき出しだった顔以外の頭部も、やがて耳がつき前髪がつき、その容姿はますますマイに似ていく。

ふいに、その組み立ての様子を見ていたマイが、ロボットに声をかける。

「…ねえ、ロボットさん」

『んー…あ、アンタがウチのモデルになった子やね、確か名前はマイ・シューティングスターやったっけ?』

「ええ。ロボットさんはRS隊に入るんでしょ?」

『せやね。ただ学生ってことになってるみたいやし、ガッコではアンタと同じクラスっちゅうコトになるな』

「そうなんだ…あ、そうだ!」

と、マイは手を叩くとテレジアに相談を持ちかける。

 

「博士。この子の名前、わたしに付けさせてくれませんか?」

「まあ、この子のモデルになったあなたにはその権利があるわ。素敵な名前を付けてあげてちょうだい」

 

その言葉を受けたマイは、ふたたびロボットのほうに向き直ると、その口を開く。

「…マリちゃん」

『…マ・リ…?』

「…あなたの名前はマリ。マリ・メテオールよ。よろしくね」

『…ネームデータ・インプット完了…っと。ウチの名前はマリ…マリ・メテオール…おおきに!ステキな名前やね!!』

と、満面の笑顔を作るマリ。その身体は、腕と脚の外装パーツが取り付けられ、あとは尻尾が取り付けられるのを待つばかりであった。

ナディも、シンディも、ミランシャも、マリアも、そしてベルタも、その『誕生』の瞬間を固唾をのんで見守っていた。

 

「…ロールアウト前に起動しちゃったってのもなんかアレだけど…」

「こうして動いてみると、さっきまで単なる『モノ』だったのが一人の『少女』として命を吹き込まれたのだな…」

クオンとエルザは、感動にその瞳を潤ませていた。

『いやぁ、しっかしマイちゃん見てるとまるで双子の姉ちゃんみたいやわ…』

「そ、そうかな…」

マリからの言葉に、赤面するマイ。

「うん。見れば見るほどそっくりだよ。性格は真逆っぽいけどw」

「マイ、いい妹できた!めでたい!!」

シンディとマイも、新たな仲間の誕生に喜びの声を上げる。

 

『…マイ姉って呼んでええかな?』

「もっちろん! それにしても見れば見るほどわたしにそっくりだわw改めてよろしくね!マリちゃん!」

『こちらこそよろしゅう!マイ姉!!』

マイとマリは、お互いに満面の笑みを交わした。

 

かくして、災害救助ロボット、マリ・メテオールはロールアウトした。

その後彼女は予定通り、RS隊の隊員番号2番を授かることになったのはご存知の通りである。


 
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