No.658306

機動戦士ガンダム異聞〜旭日の旗の下に〜第6話

今回は前後編の前編です。

2014-01-28 08:18:18 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:1787   閲覧ユーザー数:1768

これまでのあらすじ

 

 

 

 U.C.0079年1月3日。地球から最も遠い宇宙都市サイド3とサイド4はジオン公国、プラントを名乗り、地球連邦政府に対し独立戦争を挑んできた。開戦から僅か1ヶ月で両陣営は人類の総人口の約半数を死に至らしめた。そして、ジオンとザフトは地球降下作戦を発動させ、3月中に地球の3分の1を占領下に置き、膠着状態に移行した。

 

 この時、中立の立場をとった大日本帝国はMS開発計画である「V作戦」を発動、本土防衛の要として、MSを開発、量産、配備が進んだ。

 

 時同じくして、地球連邦軍もMS開発計画「G計画」と宇宙軍再編計画である「ビンソン計画」を発動、反撃の準備をしていた。

 

 U.C.0079年12月上旬。サイド7宙域にて試験航行をしていた紺碧艦隊は、サイド71バンチコロニー「ヘリオポリス」に向かうザフト機動部隊を発見、警戒体勢に入っていたが、ザフトはジンを発艦させ、ヘリオポリスに向かわせた。だが、それはザフトの陽動作戦であり、本来の目的はヘリオポリス内で開発中の連邦軍新型モビルスーツの強奪だった。紺碧艦隊司令前原は、ヘリオポリス内にアレックスとジム・クゥエルを潜入させた。

 

 

第6話 ヘリオポリス崩壊前篇

 

 

薩摩パトロール艦隊旗艦八咫烏型強襲揚陸艦2番艦「薩摩」艦橋

 

「ヘリオポリスに急行せよ。ですか?」

 

 艦長椅子の沖田十三准将は、モニターの高杉大将から指令を受けた。その内容は、ヘリオポリスの避難民救助であった。

 

『そうだ。現在高野大臣は、アスハ代表と会談中の大高総理に今回の事情を説明している』

 

「しかし、あそこには紺碧艦隊がおります。彼等でも救助活動は行えるはずですが」

 

『だが、紺碧艦隊の艦数でも、ヘリオポリス全住民を収容する事は難しい。だからこその君達だ。幸い、君の艦隊はサイド7に一番近い位置にいる。今から最大船速で急行すれば間に合うはずだ』

 

 

 

 薩摩パトロール艦隊の戦力は八咫烏型の2番艦である薩摩を旗艦に、高雄型重巡洋艦2隻の艦隊戦力、機動戦力は、ジム・コマンド宇宙戦仕様2機、ジム2機、ジム・キャノン2機と、高雄型に搭載されている77式艦上航宙戦闘機「宙式電征」6機であった。

 

 

 

「わかりました。直ちに我が薩摩パトロール艦隊は、これよりサイド7に急行します」

 

『うむ、頼むぞ』

 

 通信を終えると、沖田は直に指揮に移った。

 

「全艦に通達!航路をサイド7に向け最大船速!」

 

 薩摩パトロール艦隊は、進路をサイド7へ変更し、最大船速で急行していた。

 

 

 

 

 

 

サイド7、1バンチコロニー「ヘリオポリス」内部

 

 イ601から発艦した安室と唯衣は、ザフトに探知されないよう、迂回進路を取り、ヘリオポリス内部に潜入した。

 

「これは酷いな…」

 

 安室達が目にしたものは、戦火に焼かれたヘリオポリスの都市だった。因みに、安室達が見ている映像は、イ601に送られていた。

 

『富嶽より富嶽1番、並びに富嶽2番、そちらから連邦のモビルスーツは見えるか?』

 

 通信長の問いかけを聞くと、安室は唯衣の乗るクゥエルにモールス信号でそれを伝えると、クゥエルは1時方向を指さした。そこには、かすかだが先程半蔵からの映像で映っていた機体があった。だが、半蔵の見せた映像の時と違い、その色は灰色だった。

 

「富嶽1番より富嶽、MSを発見。だが先程と色が違う、拡大投影の写真を送る」

 

 安室はコンソールを操作し、頭部のサブカメラを使いモビルスーツを拡大投影し、撮影、画像は直ちにイ601に送られた。

 

『富嶽より富嶽1番。写真を受け取った。これより高解像して検証する。引き続き偵察活動を続行せよ』

 

「富嶽1番了解」

 

安室は通信を切ると、クゥエルに近づき、接触回線で話しかけた。

 

「篁大尉。民間人は確認できるか?」

 

『モビルスーツの足下に技術士官と思われる女性一人、民間人を6人確認、男性4人、女性2人です』

 

 唯衣は、カメラを超望遠モードでMSの足下にいる7人の人影を確認していた。そうか、と安室は答えると、偵察活動を再開しようとした、その時だった。

 

「……!」

 

 その時、安室は3つのプレッシャーを感じ取った。ニュータイプの感というべきだろうか、一つは幼さを感じ、もう一つはどす黒い憎しみを、最後の一つは嘗ての強敵と同じプレッシャーを感じた。

 

「この感覚は…シャア?ララァ・スン?嫌違う…誰だ…?」

 

 安室は考えるのを止め、偵察を続行した。

 

 

 

 

 

 

イ601富嶽号艦橋

 

 その頃、前原は送られた写真と半蔵からの映像を比較していた。先程までトリコロールだった機体が今は灰色になっている。何故そうなるのか、前原は頭を回転させた。そして、ある予想に行き着いた。

 

 

 

もしや連邦はミノフスキー・イヨネスコ型核反応炉の開発に成功していないのではないのか?

 

 前原の予想は当たっていた。この当時、モビルスーツの動力はバッテリーが基本であった。確かに核動力ならば性能を飛躍的に増大させる。だが、プラントである発見がされたのだ。ニュートロンジャマーの存在である。この微粒子は核分裂反応を抑制する効果があり、当初ジオンで開発されていた核分裂炉搭載のMSの開発は凍結し、MS用バッテリーを使用したMSが主流となったのである。連邦のG計画も例外ではなく、試作機の全てが新型のMSバッテリーを搭載した高性能機であった。ここが、日本のガンダムと連邦のGの違いであった。

 

 

 

 前原が結論に行き着いたと同時に、薩摩パトロール艦隊がこちらに向いつつあるとの暗号電文を入手した。

 

 頃合いだな、前原がそう感じたその時だった。

 

「司令!富嶽2番から緊急連絡!「我、ザフトト交戦状態ニ有リ」以上です!」

 

「くっ!覚悟はしていたが、こうも早く見つかるとはな!」

 

 前原は悔しそうに呟いた。

 

 

 

 U.C.0079年12月、今、日本の努力が試されようとしていた。

 

 

キャラ設定

 

 

大日本帝国

沖田十三

初出:宇宙戦艦ヤマト

概要

 帝国宇宙軍准将。薩摩パトロール艦隊司令兼強襲揚陸艦「薩摩」艦長。紺碧会メンバー。前世では戦艦大和に乗艦しており、天一号作戦で大和と共に戦死した。

 


 
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