No.657151

機動戦士ガンダム異聞〜旭日の旗の下に〜第2話

第2話です。尚、この世界の日本は俗に言うチート国家です。

2014-01-24 08:25:15 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:4350   閲覧ユーザー数:4270

U.C.0079、6月1日、静岡県。富士陸軍演習場。

 

 富士演習場に置いて、ある試験が行われようとしていた。それは、5月にロールアウトした中距離支援型モビルスーツのプロトタイプ。RX-77「ガンキャノン」の総合性能評価試験が行われていた。

 

 標的は75式戦術装甲車両「ガンタンク」3両。

 

 ガンキャノンの装備は、試作品のルナ・チタニウム合金製のシールドと、79年式10サンチ機銃、両肩の二連装240mm底反動キャノン砲、頭部の79年式バルカンであった。

 

 対するガンタンクは、両腕部の73年式4連装機関砲と両肩の二連装74式16サンチ滑空砲、車体キャタピラ部分の12,7㎜機銃である。

 

 観覧席には、内閣総理大臣大高弥三郎ほか、軍務大臣高野五十六元帥、統帥本部長東郷平八郎元帥、帝国軍最高司令官山本権兵衛元帥、連合艦隊司令長官高杉新作大将など、軍高官や内閣官僚が集まっていた。

 

 試験は順調に行われ、機動性、火力、耐久性のテストの結果、機動性に若干の鈍さはあるものの、中距離支援型としては高性能を発揮していた。

 

「これが我が軍のモビルスーツか!」

 

「凄い性能だ!これならジオンやプラントにも遅れはとらんぞ!」

 

 閣僚たちが様々な意見を言う中、レイ博士はモニターにガンキャノンに近い形状の機体の設計図が映し出された。

 

「既に動力をバッテリー駆動に換装した量産タイプの開発を三菱重工経由で進ませております。また、対MS戦を想定した主力モビルスーツの量産試作タイプの開発も順調に推移しております。」

 

「レイ技術大尉。その試作MSのテストは何時行うのかね?」

 

 高杉の質問に対し、レイ大尉はモニターにカレンダーと航路図、並びに世界地図を表示した。

 

「試作1号機は来月上旬、遅くても下旬にロールアウトし、サイド6の開発部が所有する試験場で地上戦の実験を行い、2号機、3号機の試験が完了し次第、9月中旬に就役する『八咫烏』型強襲揚陸艦に積み込み、ルナツーにて無重力環境下でのテストを行った後、富士演習場にて総合テストを行います」

 

 レイ大尉の説明が終わると、大高が立ち上がり、教壇の前に立った。

 

「これで、我が軍最初のモビルスーツが誕生しました。しかし、これは始まりにすぎません。いずれジオンとプラントも、更に高性能な新型モビルスーツを開発してくるでしょう。ですが、それだけで我々が屈するわけにはいきません!日本の未来の為に!明日の為に!」

 

 

 

 この3日後、大本営を通じて、日本がモビルスーツの開発に成功したことが発表されたのである。

 

 

 

 

地球連邦軍本部アラスカ 執務室

 

「先を越されたな…」

 

 レビルは、報告書を見て呟いた。この時、レビルは大将に昇進し、連邦軍総司令官に就任し、ハルバートンを主任とした、「G計画」を進行させていたのである。

 

 

 

 G計画。劣勢を挽回する連邦軍必勝の策である。ルウム戦役によって、モビルスーツの有効性を悟ったレビルは、鹵獲したザク、ジンを徹底的に分析、ジオンとザフトのモビルスーツに対抗するための量産試作タイプのモビルスーツを開発するというプランである。この計画に連邦の一部の将校は徹底的に反対する。しかし、レビル側に意外な賛同者が現れた。敵対関係のアズラエルである。彼はG計画を支持し、計画に必要な資金を援助すると言ってきたのである。言うなれば、「敵に塩を送る」ような行動だが、レビルは「今は派閥同士で争っても仕方ない」と、反対する勢力を押し切り、G計画を強行したのである。

 

 

 

「過ぎたことを言っても仕方ありません。あちら側にはあちら側の事情があるのでしょう」

 

 執務室のソファに座る一人のアズラエルが語り掛ける。それに対しレビルは不機嫌になり、執務椅子に座った。

 

「…で、我らが連邦産業理事がここに何の御用で?」

 

 アズラエルは微笑を浮かべながら、ビジネス脳を展開させた。

 

「なに、ちょっとしたお願いですよ。現在進んでいるG計画で研究されている秘匿技術…あれを日本側に渡そうと思いましてね」

 

「…技術交換で日本のノウハウを手に入れる魂胆ですな。だからといってG計画の技術をむざむざ渡してよいのですかな?」

 

「いずれ秘密はばれるものです。それなら信頼できる国(パートナー)に渡した方が賢明ですよ。総司令」

 

 アズラエルはかのアズラエル財閥の御曹司であり、セールスマンとしては優秀な人間である。軍人であるレビルには分からない世界だが、少なくとも、日本側の技術は欲しいのは自分も同じだった。結局、G計画の技術は日本側に提出されるのである。

 

 

 

 

軍務省 会議室

 

「やはり連邦側が技術提供を申し込んできたな…」

 

 高野は頭を抱えて呟いた。連邦が兵器技術の交換を提案したのである。連邦側の給与は、ローエングリンやラミネート装甲、PS(フェイズシフト)装甲、ミラージュコロイドの付与を提案したのである。どれも量産には不向きな技術である。

 

「で、連邦軍がお望みのものは?」

 

 この発言に、秘書はファイルを開き、答え始めた。

 

「モビルスーツのOS、核融合炉、装甲技術…以上です」

 

「全部は渡せんな」

 

 高野はそう言うと、レイ大尉が挙手した。

 

「MSのOSは供与しても問題ありません。恐らく連邦は戦闘中にザクを始めとしたジオン側のOSを手に入れている可能性があります。私としては、連邦側が給与しているミラージュコロイドは、手に入れても損は御座いません」

 

 高野はその発言に耳を傾け、決断を下した。

 

「よし、OSの一つや二つはくれてやろう。君、陸奥外相にこれを渡してくれ」

 

 高野は秘書に書類を渡した。秘書はそれを受け取ると、退室した。

 

 

 

 結果、連邦軍はガンキャノンのOSを手に入れ、日本はミラージュコロイド技術を手に入れたのである。

 

 

 

 

U.C.0079 7月上旬 ルナツー

 

 ルナツー。大日本帝国が、サイド6建設の為に、位置確認用にアステロイドベルトから持ってきた小惑星である。見た目は只の小惑星だが、実はここには、大日本帝国最強の部隊。紺碧艦隊の秘密基地なのである。

 

 

 

 紺碧艦隊とは、太平洋戦争開戦前に海軍が結成した潜水艦隊である。この艦隊の構成員は、全て公式では戦死と認定された兵達で構成されており、その存在も軍では最高機密となっており、他国からは「X艦隊」と恐れられている。X艦隊の名の由来は、太平洋戦争において米国が名付けたコードネームから来ている。現在は伊700型潜宙空母と呼ばれるステルス艦を中心とした宇宙戦力を有している。そしてそれを束ねるのが、紺碧艦隊司令官、前原一誠中将である。

 

 

 

ルナツー基地 司令官室。

 

 前原は、高野からV作戦のモビルスーツの無重力環境下運用試験護衛の任務について聞かされていた。

 

『紺碧艦隊は万が一に備え、八咫烏型強襲揚陸艦をルナツーまで護衛し、運用試験中は、宙域の警戒を行ってほしい』

 

「分かりました。高野大臣。ところで、ミラージュコロイドを搭載した『伊900型潜宙母艦』の件についてですが…」

 

『うむ、伊900はMS運用、並びに大気圏内航行用の改修を行うため、そちらへの配備は2ヶ月半遅れる』

 

そうですか・・・。前原は呟くが、ルウムの二の舞よりはマシと思い、通信を切り、部屋を出た。目の前には、漆黒で塗装された。自分の座乗艦があった。

 

 

 

 

 

 

キャラ設定

 

大日本帝国

前原一誠

初出:紺碧の艦隊

概要

 紺碧艦隊司令官。紺碧会メンバー。書類上ではU.C.0070年に死亡認定されているが、これはジオンと連邦の戦争を想定した高野が前原を紺碧艦隊の司令に任命したためである。情報収集のために、たまに世界中を回っている。前世では実戦投入されぬまま終戦を迎えた悲劇の潜水空母「伊400型」の艦長だった。

 

高杉新作

初出:紺碧の艦隊

概要

 連合艦隊司令長官。紺碧会メンバー。前世ではミッドウェーで沈んだ空母赤城にいた。宇宙軍連合艦隊旗艦「長門」並びに連合艦隊旗艦「武御雷」の艦長も兼任。

 

 

地球連邦

レビル

初出:機動戦士ガンダム

概要

 連邦軍総司令官。G計画を推進している。コーディネイターとの共存を唱えたシャラマン氏の教え子でもあった。

 

ムルタ・アズラエル

初出:機動戦士ガンダムSEED

概要

 ブルーコスモス盟主にして連邦産業理事。アズラエル財閥の御曹司で、ビジネスとなるとその才能をフル回転させるスーパーサラリーマン。連邦軍内部でも強い発言権を有し、レビルから「アラスカのモグラ共のリーダー」などと毛嫌いされている。

 


 
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