No.656267

九番目の熾天使・外伝 ~ライダー戦国大合戦~

竜神丸さん

第2話

2014-01-20 18:25:41 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1263   閲覧ユーザー数:712

「いなくなっただと? 六人共?」

 

「あぁ。こなた達によると、マジでそうらしいよ」

 

「しかしロキやディアーリーズ達はともかく、まさかデルタさんまでいなくなっちまうとは…」

 

楽園(エデン)会議室にて二百式達は、こなた達からの連絡でディアーリーズ達が空間の裂け目に飛び込んで姿を消してしまった事を聞かされていた。あのデルタですら姿を消したというのだ、彼をよく知るメンバーからすればとてもではないが驚きを隠せるものではない。

 

「miri、支配人達とは連絡取れたか?」

 

「てんで駄目だな。支配人もkaitoも、全然通信に出やしねぇ」

 

支配人とkaitoの二人とも、依然連絡は取れないまま。今までは無かった筈の異常事態に、一同は頭を捻らざるを得ない。

 

「…にしても、その空間の裂け目ってのは一体何なんだ? あのモンスター達を出現させているのとは違うもんなのか?」

 

「分かんないんだよなぁ。こなた達の話だと街中に変な結界が張られて、何故か魔法が使えなかったらしい」

 

「魔法が使えなくなっただと? AMFじゃないのか?」

 

「ただのAMFくらいじゃアイツ等の魔法を打ち消す事は出来ないし、通常のAMFにはそんなドでかい結界を張るような効果までは備わっちゃいねぇよ。それに魔法が使えないのなら、ディアーリーズやハルトだって変身なんて出来ない筈だぞ」

 

「同じ魔法なのに通常の魔法は出来なくて、ライダーの魔法は何故か使えるって事か……そんな事ってあり得んのか?」

 

「ちなみにアキちゃんも、咲良ちゃんのおかげでオーズには変身出来たらしい。何故かは知らんが」

 

「おいおい、まさかライダーの能力しか使えないって言うんじゃないだろうな? そんな面倒臭い状況は流石に嫌だぞ俺も」

 

「…!」

 

『ライダー』という単語に竜神丸が一瞬だけ反応するが、すぐに何も無かったように平静を装う。

 

「何にせよ、空間の裂け目に消えたメンバー六人と連絡が取れないメンバー二人、どうにかして見つけ出す必要がある。その魔法が使えないという結界は流石の私にも不可解だが…」

 

「その不可解な結界、確認出来るかも知れねぇぞ」

 

Unknownの台詞をmiriが遮る。

 

「? どういう事だ?」

 

「たった今、その妙な結界の反応が地球の海鳴市に出やがったからさ」

 

「「「「「!?」」」」」

 

会議室の空気が、また更に緊迫したものに変わるのには数秒もかからなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、空間の裂け目に消えた六人のメンバーは…

 

 

 

 

 

 

 

「…なぁ」

 

「何だ」

 

「…何処だここ?」

 

「知らん、俺に聞くなそんな事」

 

あれから一同は、何処かも分からないような薄暗い森の中を歩き続けていた。空は何故か様々な色がグニャグニャに混ざっているかのような異様な状態になっており、先程から森の中では何の生物とも遭遇出来てはいない。

 

「あぁ畜生、何も考えずに飛び込んだのが迂闊だったかなぁ。あの妙な結界の中に入ってから魔法も魔法以外の能力も全然発動しねぇし、これじゃ((楽園|エデン)に帰る事も出来ねぇ」

 

「でも何故か、ライダーの能力は使えるんだよなぁ。何でだろうな?」

 

okakaは黒いドライバーを、ハルトはフレイムリングを取り出す。

 

「私だって分からないわよ。ブルーローズは全然反応してくれないし、召喚魔法も全然使えないし、正直嫌になるわ」

 

「だが、アキちゃんもオーズには変身出来た……どういうこった?」

 

「それが分かれば僕達だってここまで苦労はしていませんよ…」

 

「…だよなぁ」

 

魔法などの能力が使えない中、ディアーリーズとハルトはライダーの能力を問題なく使用出来た上、アキも咲良から借りたオーズの能力を発揮する事が出来た。

 

まるで、ライダー以外の能力が全て拒絶されているかのように(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

ロキ達が頭を捻って考えている時。最後尾を歩いていたデルタは一人、ある違和感を感じていた。

 

(妙だ……先程から、凄い身体が軽く感じる…)

 

彼の身体はコジマによって、酷く汚染されている筈。なのに今の彼は、その汚染自体が無かったかのように身体が健康な状態になっているのだ。

 

(魔法だけでなく、コジマによる身体の汚染も消えたのか? …仮にそうだとすれば)

 

デルタは服のポケットから取り出したゾルダのカードデッキを見つめる。

 

(クライシス……まさか、こうなる事を予測していた上で私にこれを…?)

 

 

 

 

 

 

 

時間は、数時間前に遡る…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「デルタ」

 

「? 何でしょ…ッ!」

 

楽園(エデン)最上階、バルコニー。

 

そこでデルタは、クライシスからゾルダのカードデッキを投げ渡される。

 

「これは、確か支配人さんの…?」

 

「少しばかり、支配人から借りさせて貰ったものだ。次に戦闘に参加する時は、そのカードデッキで変身して戦うと良い」

 

「私がライダーに? どういう事ですか、クライシス」

 

流石のデルタでも、すぐにクライシスの意図を察する事が出来るほど万能ではない。コジマの汚染で全力では戦えない身体になりつつある彼だが、それでも管理局の魔導師部隊を一人で殲滅する事くらいなら容易に出来るのだ。それなのにスペックが比較的高いゾルダのカードデッキを渡すなど、デルタからすればクライシスに無用な心配をされているような気がしてならないのだ。

 

「理由はいずれ分かるさ。お前は次の戦闘以降、しばらくはそれを使わなきゃいけない状況に陥っていくかも知れないのだからな…」

 

「…?」

 

「とにかく、何が何でもそれは持っておけ。これは……親友である私からの頼みだ」

 

「!」

 

それだけ告げた後、クライシスはフッと姿を消す。バルコニーにはデルタだけが残り、風が静かに吹いている音しか響いてこない状態になる。

 

「…まぁ、一応ありがたく受け取ってはおきますよ」

 

クライシスの言いたい事がイマイチ理解出来なかったデルタだったが、もしもの事も考えて一応持っていく事にした。

 

何にせよ、自分の親友がそこまで言って用意してくれたのだからお言葉には甘えておこう……そう心の内に留めながら…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、現在に至るのである。

 

(全く……クライシスめ、こうなるならこうなるって、予め言ってくれれば良かったものを…)

 

相変わらず分かりにくい親友だ。そう思いつつ、デルタはゾルダのカードデッキを服にしまってロキ達の後に続いていく。

 

「…お、何か見えたぞ」

 

その時、先頭を歩いていたokakaが何かを見つけた。彼が指差した方向には、最初に飛び込んだ時と同じ空間の裂け目だった。

 

「何だ、また裂け目か?」

 

「どうする? 明らかに危険そうな匂いもしてるが」

 

「…どの道、今の私達には他に帰る方法がありません。いつまでもこんな場所を彷徨っているよりは、進んでみるのも良いかも知れませんね」

 

「あ、おいデルタさん!?」

 

空間の裂け目に、デルタが真っ先に入って行ってしまった。残された五人は顔を見合わせる。

 

「どうする? デルタさん先に行っちまったけど」

 

「…確かに、デルタさんの言ってる事にも一理あるな。たとえこの先がどれだけ危険だとしても、可能性があるのなら俺はそれに賭けてみたい」

 

ロキも同じように空間の裂け目へと入っていく。

 

「僕達も行きましょう。やらずに後悔するより、やって後悔する方がまだ良いでしょうし」

 

「ま、結局それ以外は思いつかないしな。俺も行くとしよう」

 

「私はウルの行く先まで付いて行くだけよ」

 

ディアーリーズ、ハルト、アキも順番に空間の裂け目へと入っていく。

 

「…やれやれ、ポジティブな連中ばかりで何よりだよ」

 

okakaは苦笑しつつ、空間の裂け目へと突入するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地球、海鳴市…

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、あれがその空間の裂け目かしら?」

 

「まぁ、どう見てもそうにしか見えませんよねぇ」

 

「…また分かりやすい場所に出来てるな」

 

「あまりに分かりやす過ぎて、逆に不気味でもありますけどね」

 

Unknown、朱音、二百式、miri、蒼崎、竜神丸、げんぶ、ルカ、Blazの九名は、無人の神社にて空間の裂け目を発見していた。ガルム、aws、FalSigは楽園(エデン)の留守を任されており、もちろん戦闘狂であるZEROには何も知らせてはいない。

 

「さて、見つけたのは見つけたで良いんだが…」

 

miriは自身がよく使用する戦闘服を身に着けようとする。しかし…

 

「ッ…駄目だ、俺の戦闘服もまるで機能しねぇ」

 

「俺もだ。魔法がまるで使えん」

 

「…私も、テレポートや神刃(カミキリ)が使えませんね」

 

やはり、能力だけでなく一部の強化服なども機能を果たしてはくれないようだ。特に、今回一番影響が出ているのは…

 

「う~ん……何かいつもよりやる気が出ないなぁ~……コジマ成分が足りない気がするなぁ~…」

 

そう、他ならぬUnknownだった。一応普通に動けてはいるものの、彼は先程から何処となく落ち着かない状態でいるのだ。

 

「…朱音さん」

 

「えぇ。アン娘ちゃんですら異変が生じているとなれば……やっぱり、今回一番役に立ちそうなのは」

 

「…そんな一斉に見るな、怖いから」

 

メンバー達が同時にげんぶを見据え、げんぶはジロジロ見られる事で若干引いて見せた。

 

「やはり、ライダーの能力だけはまともに機能しているようですね。となれば一人一つ、ライダーシステムはほぼ確実に必須になるかと」

 

「全員、ちゃんと用意出来てるわね?」

 

「「「「「OKでーす」」」」」

 

全員、それぞれライダーシステムの準備は完了しているようだ。ちなみにどのライダーシステムも、支配人から無断で借りたものである。

 

「それじゃ、時間もあまり無駄には出来んしな。とっとと向かってみるとしようぜ」

 

「あ、ちょっと待ってくれ」

 

Blazが手で制する。

 

「何だよBlaz、せっかく人が意気込んでたところで」

 

「いや、意気込んでるところ申し訳ないんだが…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「ギシャァァァァァァ…!!」」」

 

「「「グルルルルル…!!」」」

 

「「「ギギギギギギギギ…!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺達の事、歓迎してくれる奴等がいるみたいだぜ?」

 

「「「「「…!」」」」」

 

神社や神社の近くにある大木の物陰から、何体もの怪人達が姿を見せた。メンバー達は一斉に戦闘態勢に入る。

 

「熱烈大歓迎ってところか?」

 

「良いねぇ、そういうの大好きだぜ俺は」

 

≪Stund by≫

 

Blazは一本の刀剣を取り出す。するとBlazがいる足元の土からサソリ型コア“サソードゼクター”が姿を現し、彼の右手に収まる。

 

「変身!!」

 

≪Henshin≫

 

刀剣“サソードヤイバー”にサソードゼクターがセットされ、Blazは鎧を纏った戦士“仮面ライダーサソード・マスクドフォーム”へと変身する。

 

「しゃあっ!! 一丁やってやらぁっ!!」

 

気合いを入れつつ、サソードは怪人達に向かって突撃していく。

 

 

 

 

 

 

「Blazの奴、随分と気合い入ってるな」

 

「元気なのは良い事だろうよ。んじゃ俺達も負けずにっと」

 

二百式とmiriはそれぞれ紺色、青色のカードデッキを取り出し、地面の水溜りに向ける。すると彼等の腹部に銀色のベルトが出現し、装着される。

 

「「変身!!」」

 

変身ポーズを取った後にカードデッキがベルトに差し込まれ、二百式は西洋の騎士を模した戦士“仮面ライダーナイト”に、miriは猛虎を模した戦士“仮面ライダータイガ”への変身を遂げる。

 

「俺の邪魔をする奴は、全員叩き斬るのみ…」

 

「覚悟しな、怪物共!!」

 

ナイトは剣型の召喚機“ダークバイザー”を、タイガは斧型の召喚機“デストバイザー”を構え、向かって来た怪人を斬り倒す。

 

 

 

 

 

 

「やれやれ、面倒なのはあまり好きではありませんが…」

 

「まぁまぁ竜神丸、思い切って行こうじゃないの!」

 

竜神丸と蒼崎が右腕にブレスレットを装着すると、何処からか銀色と銅色のカブトムシ系コア“カブティックゼクター”が飛来。銀色のタイプは竜神丸の手に、銅色のタイプは蒼崎の手に収まる。

 

「「変身!!」」

 

≪≪Henshin≫≫

 

カブティックゼクターが装着され、竜神丸はヘラクレスオオカブトを模した銀色の戦士“仮面ライダーヘラクス”に、蒼崎はケンタウルスオオカブトを模した銅色の戦士“仮面ライダーケタロス”への変身を遂げる。

 

「さぁ、実験の時間です」

 

「我が魂は、旅団と共にあり…!!」

 

ヘラクスは冷徹で落ち着いた声で、ケタロスは何故か旅団に忠実な僕のような口調となって、迫り来るワームサナギ体を一体ずつ相手取っていく。

 

 

 

 

 

 

「グルァッ!!」

 

「おっと…レイキバット!」

 

『むん!!』

 

「ガァッ!?」

 

ルカに襲い掛かろうとしたムースファンガイアを、一匹のメカコウモリ“レイキバット”が体当たりによって叩き落とす。

 

『んむ、今回のパートナーは支配人ではないのか?』

 

「あぁごめん。今回は色々事情があって、支配人さんは今いないんだ」

 

『そうか……まぁ良いだろう。では行こうか少年、華麗に激しく…!!』

 

ルカがレイキバットを掴むと、彼の腹部に何重もの鎖が巻かれ、それがベルトとして実体化する。

 

「変身…!!」

 

『ヘンシンッ!!』

 

ベルトにレイキバットが取り付けられ、ルカはイエティを模した氷の戦士“仮面ライダーレイ”へと変身して見せた。

 

「凍えろ……そして砕け散れ!!」

 

レイは掌から強力な冷凍弾を放ち、何体かの怪人を氷付けにする。

 

 

 

 

 

 

「うぅ~ん……駄目だ、やっぱイマイチやる気が出ないや。私は帰るとし―――」

 

「あら、何処に行く気なのかしら……ア・ン・娘・ちゃ・ん?」

 

「イエス、マムッ!!!」

 

コジマの効果が消失した影響でやる気を失くしていたUnknownだったが、朱音がドスの利いた声で呼びかけた途端にシャキッと姿勢を正して敬礼する。やはり地位的な意味でも、Unknownよりも姉の方が断然強いのだろう。

 

「何時までもだらけてないで、私達もいくわよ!」

 

「うぅむ、本調子ではないが仕方ない…」

 

二人はそれぞれバックルを取り出し、ケルベロスが描かれているカードをバックルに装填。それを腹部に装着し、バックル部のゲートを展開する。

 

「「変身ッ!!」」

 

≪Open up≫≫

 

Unknownと朱音の前方に緑色と赤色のゲートが出現。それぞれゲートを潜る事でUnknownは“仮面ライダーランス”、朱音は“仮面ライダーラルク”に変身した。

 

「よし決めたぞ……コジマが無い分、お前等で八つ当たりしてやるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!!」

 

「アン娘ちゃん、急にやる気出たわね……まぁ良いけど♪」

 

ランスは槍型の武器“ランスラウザー”を、ラルクはボウガン型の武器“ラルクラウザー”を構えて怪人達の迎撃に移る。

 

 

 

 

 

 

「さて、俺も行くとしよ…ッ!?」

 

先に変身したBlaz達に続こうと前に出るげんぶだったが、その直後に彼の腹部に“オルタリング”と呼ばれるベルトが出現した。げんぶの意思に関係なくだ。

 

「「「「「キシャァァァァァァ…!!」」」」」

 

「ッ…アンノウンか…!!」

 

そんなげんぶに対し、複数のアントロード達が手斧や小型メイスを構えて迫ろうとしている。

 

「変身しろって事か……ならば仕方ない」

 

げんぶはすかさず後ろに下がり、左腕を腰に回し、右手を一回前に突き出してから再び後ろに戻す。

 

「スゥゥゥゥ…」

 

静かに息を吐きながら右手をゆっくり前に出していき…

 

「…変身!!」

 

オルタリングの両腰にあるスイッチを素早く同時に押し、げんぶの身体が光り出す。そして光が収まるとそこにはげんぶではなく、二本の角を持った黄金の戦士“仮面ライダーアギト・グランドフォーム”の姿があった。

 

「「「「「キシャシャシャシャシャシャッ!!!」」」」」

 

アギトの姿を見たアントロード達が、一斉に駆け出す。

 

「…ハァッ!!!」

 

掛け声を上げてから、アギトは襲い来るアントロード達を迎え撃つのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、ロキ達はというと…

 

 

 

 

 

 

 

 

「…何じゃこりゃ」

 

とある平地に辿り着いた、メンバー六人。その全員が唖然としていた。

 

何故なら…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」」」」」

 

「「「「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼等の目の前では、軍と軍による大きな戦が繰り広げられていたのだから。

 

「撃てぇぇぇぇぇぇっ!!!」

 

「「「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」」」

 

「衛生兵、衛生兵ーっ!!」

 

「捨て置け!! 目の前の敵を打ち砕けぇっ!!」

 

「「「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」」」」」

 

平地のあちこちにバズーカによる砲撃が飛び交い、大砲を備えた装甲車が平地を駆け、一人の兵士が機関銃を乱射し、戦はより激化しようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…おいおい、何で戦が?」

 

「知らん、だから俺に聞くなっての」

 

崖の上から、戦で荒れ狂う光景を見渡しているメンバー六人。いざ空間の裂け目に飛び込んだら、何故かその先にはこんな戦場があったのだ。驚かない方が逆におかしいだろう。

 

「ね、ねぇ……もしかして私達、タイプスリップしたんじゃ…」

 

「いや、それにしては色々突っ込み所があり過ぎるな。何でこんな時代にバズーカや装甲車、それに機関銃なんてあるんだよ。種子島銃ならまだしも」

 

「それに、一番異常な光景が映って見えますしね。全員見てみなさい、あそこを」

 

「「「「「ッ!?」」」」」

 

デルタの指差した方向を見て、五人は驚愕する。

 

 

 

 

 

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

「せりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 

 

 

 

 

何と、仮面ライダーまでもがこの戦に加わっていたのだ。

 

片方はトランプのエースを模した金色の戦士“仮面ライダーグレイブ”。もう片方はサメ、クジラ、オオカミウオの特徴を持った海の戦士“仮面ライダーポセイドン”。

 

その二人の仮面ライダーが、それぞれ武器を交えて戦っている。そしてよく見ると、両方の軍が掲げている旗にはそれぞれグレイブとポセイドンの紋章も描かれている。

 

「仮面ライダー同士で、戦っている!?」

 

「おいおい、こりゃ一体どういう訳なのかねぇ…!!」

 

目の前に広がっている異様な光景に、六人はしばらく眺める事しか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは異世界、戦獄(センゴク)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仮面ライダーや武将達が日々戦乱に明け暮れる、混沌の世界だった。

 


 
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