No.650416

超次元ゲイムネプテューヌ 3dis Creators_022

新年が明けてしまいました。
心にぽっかりと穴を開けたまま。
これは試練なのかもしれません。
私達にとっても、彼女達にとっても。

2014-01-01 00:12:07 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:1045   閲覧ユーザー数:1031

 

 

 

 

 

 

 

第2章 ニュー・フレンズ

 

 

 

 

 

C022:届かない声

 

 

 

 

 

 

○リーンボックス・第3階層・噴水広場・庭園部・昼前

 

 

    モコのジャケットの奥のミニスカートの奥の”あれ”が潜水艇のそれに近い望遠レンズごしに見えたらしい地中のトリックが地面をめくって飛び出してきた。

 

トリック「ごっちそうさまあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

    その時のモコ、トリックに対し背を向けていたので急な事に驚く。

 

モコ「もっこ!?」

 

    トリック、その勢いに任せてずいずいずいずい巨体を猛スピードで引きずり、モコ(えもの)にせまる。

 

トリック「そしてそのままモコたんにだ~いび~~~~~んぐっ!!」

 

    モコから見て、トリックの全貌が視界から洩れてしまうほどに近づくと、溢れんばかりで有り余る唾液をまとわせた自らの舌を思い切り伸ばす。

 

モコ「おぉ……っ!!?」

 

    モコ、戦慄に背筋をゾッと冷やし、身体を動かせずただその舌が降りてくるのを待つしかない。

    すると、遠くからガキ大将が歌うように、叫び散らすダミ声が聞こえてくる。

 

ネプテューヌの声「ろおぉぉぉりんぐすたああぁぁぁぁぁぁぁぁとッ!!!!」

 

    その叫び声と共にネプテューヌがロケット頭突きでやってきて、トリックの頭に激突した。

 

ネプテューヌ「ああぁぁうちッッ!!!」

 

    COUNTER HIT

    OWN DAMAGE

 

トリック「ぬごおぉぉっ!!!?」

 

    そして命中したことで失速し、残った勢いで前方に回転しながら倒れ込む。

 

ネプテューヌ「ぶっはぁっ!?」

 

    男の子一人がネプテューヌの下敷きに。

    痛めた身体をさすっているとそれに気付きはっとなる。

 

ネプテューヌ「……あぁーっ! ごめんね!?」

 

    急いでどいて平謝り。

    トリックもトリックで痛みをこらえ、文字通り青ざめている頭まで届かない手で頭を抱えているつもりになっている。

    ネプテューヌが吹っ飛んできた方向からやってくるネプギア、ノワール、ブラン、ベール。

 

ネプギア「モコちゃん!」

 

    周囲にまだロムラムを含む子供達がすやすやと気持ちよさそうに眠っている中、ネプギアがモコの元へ走りだす。

    ネプギア、そのままトリックの側にいるモコをトリックから引き離すために、手をつないで距離をとる。

    トリックと距離を取った所でしゃがみ込むネプギア。

 

ネプギア「怪我はない!?」

 

    モコ、首を縦に振る。

 

モコ「うん。だいじょーぶ」

 

    怒り心頭に達してトリックに突っかかるブラン。

 

ブラン「テメェ……よくもロムラムに汚ねぇベロつけやがったな!?」

 

    顔だけを女神達に向けるトリック。

 

トリック「ぬぅぅ……ふんっ! 吾輩の一点の汚れもなく輝く舌と、貴様等の性根(しょうね)を比べるでない! 反吐が出る!!」

 

    ノワール、精一杯の侮蔑の念をトリックに向けたその視線に込める。

 

ノワール「どのへんをどーゆー風に見たら汚れなく見えるのかしらねぇ、その便所で出しっぱなしのハエのたかってそうな排泄物みたいな舌が!!」

 

    トリックもかんかんに怒って女神達を罵倒する。

 

トリック「そこまで言うか!! だから性根が汚いといったのだ!!」

 

    Nギアを懐から取り出してから、そのNギアの画面から鞘を抜く様に剣を取り出し構えるネプテューヌ。

 

ネプテューヌ「汚いっていう方が汚いんだよーだっ!! だいたい舐めまわすなんて変態とかロリコンとか通り越して、もうっ、ホラーだよホラー!! 妹欲しがるベールみたいな目してるし!!」

 

    ベール、ネプテューヌのセリフを聞いた瞬間、顔を真っ赤にしてあたふた取り乱しながら反論する。

    取り乱し方がその容姿に見合わずどこかぶりっ子的。

 

ベール「わ、わたくしをあんなゾンビゲームのゾンビと一緒にしないでくださいまし!! あんな醜く品の欠片もない愛で方なんて、わたくしは断じて認めませんわ!!」

 

    トリック、女神達から湧き出る暴言の押収に、熱い怒りがこみ上げ震えが止まらない。

 

トリック「ぬうううぅ、言いたい放題いいおってぇ……ッ!!」

 

    自らの内に燃え上がる怒りの熱を一気に吐き出すように鼻息を吹き出し、自らを落ち着かせる。

 

トリック「ふんっっ!! まぁよい。姿を見られたならばバトルだ。来いババア共!」

 

    ネプギアと共に距離を置いた位置にいるモコ、トリック達の様子を見て首をかしげる。

 

モコ「どうするのー?」

ネプギア「モコちゃんは危ないからここにいて?」

 

    そう言って自分もNギアから急いで武器を取り出すネプギア。

    そしてトリックの元へ走りだす。

    ネプテューヌ達、トリックを取り囲み追い詰めるように並び立つ。

 

ネプテューヌ「みんな! まだ第2章だけど、敵幹部ぱぱーっとやっつけちゃおう! いっくぞぉーっ!!」

 

    各員、武器をトリックに向けて構え勝負の体勢を見せる。

    すると彼女等を箱型に囲むように光が線形状を描き、「ENCOUNT:GATCHINKO WARS」と書かれた帯がその周囲を円で囲む。

    やがて帯が高速で回転しだし、一気に収束するとそこにはもうネプテューヌ達の姿はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○リーンボックス・噴水庭園(バトルフィールド)・昼前・<ガチンコウォーズ>

 

    エンカウントが成立し、バトル専用のフィールドへと転送される一同。

 

  プレイヤーチーム/前衛:ネプテューヌ、ノワール、ブラン、ネプギア  後衛:ベール

  相手チーム/トリック・ザ・ハード

 

トリック「吾輩の姿を見たな!? もう、帰れないぞぉ~?」

 

実況「さぁ始まりました! ガチンコウォーズ・ボスバトル! マジェコンヌ四天王の一人、トリック・ザ・ハードとの対戦だ! この所泣かず飛ばずどころか墓穴を掘りこんでいる我らが四女神は、ここで意地を見せることができるのでしょうか!」

 

ノワール「墓穴を掘りこんでるって何よぉ!!」

 

    どこにいるとも分からない実況の発言に突っかかるノワールだが、ベールに軽くたしなめられる。

 

ベール「もう始まってますわよノワール」

ノワール「ぐぬぬ……!」

 

    納得のいかないノワール、まずは彼女のターンで、すぐさまトリックの腰元にまで走っていく。 いきなりSP技を使う。

 

ノワール「手始めにレイシーズダンスよ!」

 

 

        『レイシーズ・ダンス』

 

 

実況「ノワール! 巨体を前にひるまず踊る!!」

 

    フェンシングのような突きの後に一閃、そしてその勢いのまま回転しX字に斬りつけトリックを浮かせるような中段の回し蹴りを放った後、

 

ノワール「でいやぁっ!!」

 

    助走とホップをつけたバタフライツイストでの最後の一撃。

    その場からピクりとも動かないトリック。

    着地と共に自分のターン終了。

    すかさずネプギアがトリックの右足まで迫る。

 

ネプギア「はぁっ!」

実況「ネプギア! 足に食らいつき、相手に隙を与えない!」

 

    膝にとび蹴りを放ち、着地と同時に同じ方向に二度斬りつける。

 

ネプギア「てやぁっ!!」

 

    肩手首を返した十字斬りを二度繰り返し、

 

ネプギア「やぁっ!」

 

    ぐるんと大きく身体を回転させて袈裟斬り。

    最後に剣戟の乱舞をお見舞いしようとすると──

 

ネプギア「音速剣! フォーミュラー──」

トリック「汚い手で触るな!!」

ネプギア「きゃあっ!?」

 

    COUNTER HIT

    トリックが自身の巨体を回してネプギアを手で弾き飛ばす。

 

実況「おぉっと!? カウンター成功!!」

 

    ネプギアがノックバックでかなり後ずさる。

    ネプテューヌ、どこともつかない天の実況に向けて。

 

ネプテューヌ「うそぉっ!? 敵もカウンターあり!?」

実況「ありなんです! ボスクラスの戦闘ではエネミーにもカウンターのルールが適応されます!」

ネプテューヌ「……あっ、わたしのターンだ! とぉう!」

実況「ネプテューヌ! 背後を取りに行った! 狙いは尻尾かー!?」

ネプテューヌ「そのとーり!!」

 

    ネプテューヌ、大きく振りかぶって尻尾を剣で叩きつける。

 

実況「やはり尻尾キター! 尻尾に剣を叩きこんだ!!」

ネプテューヌ「うりゃぁー! うりゃぁー! うりゃあー!!」

 

    わざとオーバーに振り上げて同じ動きでぶっ叩く。

 

ネプテューヌ「どっせえい!!」

トリック「やめんかぁっ!!」

ネプテューヌ「いったぁっ!?」

 

    COUNTER HIT

    ネプギアにしたようにネプテューヌも手で振り払い弾き飛ばす。

 

実況「カウンター連続成功! 迂闊には近づけないか!?」

ブラン「フンッ! カウンターがなんだ! できないくらいに潰してやるぜ!!」

 

 

        「ブラン<女神化>→ホワイトハート」

 

 

WH(ホワイトハート)「変態に居場所はねぇこと教えてやる!!」

実況「ブラン! 女神化を決行! 真正面へと突っ込む!」

 

    WH、迷わずトリックの舌めがけてアックスハンマーを振り下ろす。

 

WH「うらぁッ!!」

トリック「んぐおあっ!? 舌! 舌を狙うとは卑怯な!」

WH「うるせぇ!!」

トリック「ふがぁっ!!」

実況「問答無用で舌を押しつぶす!! 絶大なパワーだ!」

WH「ブチ割れろっ!!」

 

    飛び上がり回転を利用して最後の一撃。

    トリックの舌が思わずV字に折れ曲がる。

 

トリック「※☆▲*☆▲※くぁwせdrftgyふじこlpn──ッ!!?」

実況「舌がVの字を描いたー!! そして角まで落ちたー!! 相当なダメージのようです!」

 

    トリック、もう目が白く文字通り白目をむいてしまっており、更に自慢の(?)角までぼとっと落ちた。

    いまだに声にならない声を洩らし続けるトリック。

 

トリック「ぅぉぉぉぉぉぉぉ……っ」

実況「さぁ! プレイヤーはターンが終了! トリック! どう反撃に出る!?」

 

    自身の舌を手でさすりたいが舌の先まで手が届かずもどかしさを感じつつも、握り拳を作って女神達に対する怒りを再燃させて白目を戻し眼をギョロと向ける。

 

トリック「吾輩の大事な舌があぁぁぁぁ……お仕置きだべぇ!!」

 

    トリックの尻尾から一瞬で電撃がまとわれ、重量を感じさせない速さで振り上げる。

    そして自身の身体を地面を掘りこむほどの全力でスピンさせて的確に女神達に尻尾の鞭を打ち始める。

    まずはネプギア、首元を叩かれそのまま崩れ落ちるように倒れ込む。

 

ネプギア「ぅあっ!!」

 

    ノワール、腕を突きぬけるように叩かれて横に吹き飛ばされる。

 

ノワール「くぅっ!!」

 

    WH、肩から切り裂く様に叩かれ膝を突く。

 

WH「ぐあっ!!」

 

    ネプテューヌ、平手打ちをするように顔を叩かれる。

 

ネプテューヌ「だっぱぁっ!!?」

実況「トリック! 電気鞭のように尻尾をふるう!!」

 

    更に、ネプギアの身体に尻尾を巻きつける。

    巻きつける合間にも電気が流れているのでしびれと痛みが身体の中に入ってくる。

 

ネプギア「うっ!? うぐっ! うあっ!!」

実況「更に尻尾で巻き上げ! 絞めつける!」

トリック「ふんっ!」

実況「そして放り投げた!!」

トリック「そおれっ!!」

 

    ネプギアを器用に上空へ放り投げた後タイミングを見計らって右手でネプギアをはたき落とす。

 

ネプギア「きゃあああっ!! あぁぁ……ッ!!」

 

    ガラス質の草原が割れ散り、下に積もっていた緑色の流体のようなデータ群が噴水のように吹き上がる。

 

ネプテューヌ「ネプギア!!」

WH「野郎……ッ!!」

 

    WH、特に憎悪をこめてトリックに目を向ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実況「さぁ! ターンが一巡しました! ネプギア! 大ダメージを受けているぞ! プレイヤーチーム! 作戦はどうする!?」

 

    CHANGE

    後衛のベールがネプギアに駆け寄ってくる。

 

ベール「ネプギア! 交代ですわ!」

実況「戦士交代! ネプギアに代わり、ベール! リーンボックスの意地を見せたい!!」

 

    ベール、ネプギアの前に立ち、槍を構える。

 

  プレイヤーチーム/前衛:ネプギア→ベール

 

実況「プレイヤーチーム! 最初の攻撃はノワール!」

ノワール「ケリをつけてやるわ!」

 

    ノワール、腕を十字に組んで気合を入れるように勢いよく開き、女神化を行う。

 

 

        「ノワール<女神化>→ブラックハート」

 

 

BH(ブラックハート)「チリ一つも残してやらないんだから!!」

実況「BH! 早々に飛び上がって高速回転斬り!!」

 

    その独楽(こま)のようなプロペラのような回転斬りがトリックを削るように攻めていく。

 

トリック「ぬほおおおっ!!」

 

    回転を止めて、刃に毒をまとわせ突きの構え。

 

BH「ヴェノムフェンサー!!」

 

    ストレートで殴りつけるように3回。

    そして身体をしならせてためた力を込めてフックのようにもう一撃。

 

トリック「おがあぁぁっ!?」

 

    トリックがのけぞっている余所でベールが女神化をスタンバイしている。

 

ベール「言い残した言葉は、もうありませんわね?」

 

    ノワールと同じ動作、しかし淑女の品というか、女性であることを意識したような、なだらかで優雅な動きで女神化を完了する。

 

 

        「ベール<女神化>→グリーンハート」

 

 

実況「ベール! 負けじと女神化を行う!!」

 

    槍をひとしきり振りまわした後構えをとる。

 

GH(グリーンハート)「あっても、もう耳に入れる余裕はありませんわ! はぁっ!!」

トリック「がはっ!?」

実況「GH! まずは槍を突き刺した!!」

トリック「この年増め……ッ!」

GH「それが最後の言葉ですの?」

 

    突き刺した槍を90度回し、えぐるように取り出した後、回転して薙ぎ払うように斬り払う。

 

GH「えいやぁっ!!」

トリック「おぐあああああああっ!!」

 

    K.O.

    トリックが物理法則を無視して後方に思い切り吹っ飛ぶ。

 

実況「ここでKO! GHがとどめをさらったー!!」

 

 

 

○リーンボックス・第3階層・噴水広場・庭園部

 

    ドーム状をした緑色のバリアーが大きく広がり、天井から割れて消えていく。

    中から見えるのは満身創痍のトリックに、余裕そうに武器を構えるBH、WH、GHの三名と、ダメージを負ってモザイクノイズを走らせているネプギアに肩を貸すネプテューヌ。

    退屈で座っていたモコがその様相を見つけ驚く。

 

モコ「もっこ!?」

 

    トリック、見るからにバグを起こしていると分かるほど身体にモザイクノイズを走らせて、全力疾走をさせられた後の中年男性の如く息を切らしている。

 

トリック「はあぁぁーはあぁぁーはあぁぁーや、やは……しぇ、しぇあが、はあぁぁー」

 

    一方で、拳を握りしめ、胸の奥から込み上がる喜びと快楽に似た開放感が先ほどまでの怒りを塗りつぶして、思わず顔をほころばせるBH。

 

BH「まずは……四天王一人目……ッ!!」

 

    トリック、三人の殺気に怯え必死に言葉を発する。

 

トリック「ちょっ!! ちょっ、わて! うぉちつけっ!! い、いく、いくらなんでも、かんぶかいじんが、こんな、はやくに……」

 

    しかし上手く舌が回らない。

    WHとGHも、勝利を確信したかのような笑みを浮かべる。

 

GH「それはよくあることですわ」

WH「だから素直にブッた斬られろぉ!!」

 

    WHが巨大なアックスハンマーを担いでトリックの方へ飛び出す。

    そして一回転で横に薙ぎ払う。

 

WH「オラァッ!!」

トリック「ぷふぁぁっ!?」

 

    軽くだがトリックを吹き飛ばす。

    転がる勢いで起き上がるトリック。

 

トリック「くぅっ……!」

BH「よそ見してんじゃないわよ!!」

 

    BHの飛び上がってのから竹割りが間髪いれずに入る。

 

トリック「ごほぉ!!」

GH「せいっ!!」

 

    GHが槍を振り上げてトリックを上空へ浮かせる。

 

トリック「ぼああっ!!」

 

    後頭部が地面に吸い込まれて仰向けに倒れてしまう。

 

トリック「あひぃっ!!」

WH「いつまでも進歩しねぇロリコンが!!」

 

    WHがまた打ち上げる。

 

トリック「ぎやああ!!」

 

    またしても転がるトリック。

 

BH「汚物のたまり場に帰りなさいこのウン○マン!!」

 

    BHが殴り飛ばすように剣をふるう。

 

トリック「ぶえああ!!」

 

    またしても転がるトリック。

 

GH「美的感覚の腐ったAI持って、恥ずかしくありませんの!?」

 

    GHが力を込めて槍を突く。

 

トリック「なびゃああ!!」

 

    またしても転がるトリック。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

BH「あなたの存在が恥よ!!」

トリック「ふるぁああ!!」

 

    BHには斬りつけられ、

 

GH「埋立地で埋まってなさい!!」

トリック「あぐああ!!」

 

    GHには薙ぎ払われ、

 

WH「家畜にする価値もねぇ!!」

トリック「ごべああ!!」

 

    WHには叩き飛ばされる。

    また仰向けに転がってしまい、恐怖におののいて声をあげながら、身体を起こせない中必死に逃げようとじたばたするトリック。

 

トリック「うぼあああー! うぼあああー! た、たすけ……」

クランカの声『トリックしゃま、定時連絡が滞っているでしゅ。一体どうしたでしゅか?』

 

    いい所にクランカからの通信が入る。

    トリック、じたばたする中、声を振り絞って助けを求める。

 

トリック「クランカぁっ!! 頼む!! 助けてくれ!! 転送してくれ今すぐぅ!! 」

クランカの声『そちらの位置が上手く把握できないでしゅ。少し待ってほしいでしゅ』

トリック「そんなぁっ!!?」

 

 

 

BH「復活したこと詫びなさい!!」

トリック「がるぁああ!!」

 

 

 

WH「テメェから無駄なもん取ったら何が残るってんだよ!! あァッ!?」

トリック「むぎゃああ!!」

 

 

 

GH「責めて森の肥料にでもおなり!!」

トリック「ばぼおお!!」

 

 

 

WH「さっきから胸糞悪い声あげてんじゃねえ!!」

トリック「らあべああ!!」

 

 

 

GH「誰も助けになんて来ませんわよ!!」

トリック「まぶああ!!」

 

 

 

GH「菌が移って消毒しきれませんのよ!!」

トリック「でぇばああ!!」

 

 

 

BH「いつまで転がってんのよ!!」

トリック「はひいい!!」

 

 

 

WH「とっととぶっ壊れろ!!」

トリック「ばだああ!!」

 

 

 

GH「いい加減ネタが切れてきましたわ!!」

トリック「はっぱあああ!!」

 

 

 

    BH、息を整え感情を抑えようとするが、止まらない。

 

BH「もう二度と……もう二度とっ!!!」

 

    剣を思い切り振り上げたその瞬間。

 

 

 

 

 

子供の声「いたいよぉ……」

 

 

 

 

 

    痛みをこらえながらも必死に痛みを訴える子供の声が耳に入り、我に返って、振り下ろそうとした手がピタリと止まる。

    WH、GHも武器を持って突撃しようとした所を、声が聞こえて踏みとどまる。

 

BH「……っ?」

WH「……?」

GH「……?」

 

    耳を澄ましてみると、たくさんの子供達が泣いている声が聞こえてくる。

    聞けば聞く程、それはうねる怨念が呪ってくるかのように唸って聞こえてくる。

    声がだんだん鮮明に聞こえて来て、静止した体勢のまま震えだけが止まらずに上手く動かない。

 

BH「……」

 

    BH、振り下ろそうとした剣を持つ腕と呼吸が小刻みに震えている中、恐る恐る首だけで振り向いてみる。

 

 

    モザイクノイズを走らせて倒れたまま動かない子供もいれば、腕や足、お腹を押さえて痛みで泣いて声を出している子供もいる。

    その様子を見て、目を見開いて愕然とするBH。

    震える手が静かに下ろされ、身体もゆっくりとそちらへ振り向ける。

 

BH「……」

WH「……」

GH「……」

 

    WHとGHもその様子を見て、目の前の光景を疑うように食い入る。

    呼吸の震えを止めようとしても止まらぬまま、目の前の状況を整理しようとするBH。

    すると視界に未だ息を大きくしながら不安そうに見つめ座り込んでいるネプギアと、顔を真っ青にして震えあがっているネプテューヌ、そして涙目のモコが見えてくる。

 

モコ「ぅぃ……」

ネプテューヌ「あ、あば、ば……ばば……」

 

    三女神が呆気にとられているとトリックの身体が球体のバリアーに包まれ浮き上がる。

 

トリック「はっ!? よ、よかった!! 助かったー!!」

WH「あっ!!」

 

    WHとGHがこれに気付いて振り向いたが、WHが手を伸ばそうとした時にはその球体が一気に縮小してはじけ飛んでしまう。

    つまりは消えた。

    静かに手を下ろすWH。

    子供達の混沌とした泣き声がやまぬ中、GHと共にもう一度ゆっくりと現実の惨状と向き合う。

    ネプテューヌが、震えながらも言葉を発する。

 

ネプテューヌ「みんな……怖いよ?」

 

    その言葉を聞いて、BHの手から剣がゆっくりとすり抜けるように落ちる。

    そしてそのまま力なく膝を崩し、覇気も生気も消え変身まで解ける。

 

ノワール「……」

 

    後の二人も変身が解け、三女神はただ呆然とその場を見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 
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