No.647004

真・恋姫―†無双―二つの呂旗―

ユウヤさん

第十九話になります。
戦いは終盤に向かっています。
どうなる蜀!
ちなみに誰か死人を出した方がいいですか?
そこんところどうしようか迷ってます。

2013-12-21 22:19:56 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:6215   閲覧ユーザー数:4760

真・恋姫†無双―二つの呂旗― 第十九話「定軍山」

 

 管理者のみんなが帰ってから少しして国境の簡易偵察を終えた愛紗と愛羅が帰ってきた。

 

 一刀「愛紗、報告を。」

 

 愛紗「はっ。呉との国境付近では特に問題は見られませんでした。問題は桃香様が平定した益州、今は蜀ですね。その国境付近では不審人物が多く目撃されています。装備が長期の物では無かったのでやむを得ず詳細を調べずに戻ってきたのです。」

 

 月「ご苦労様です。愛紗さん、愛羅さん。お疲れでしょう。今日はごゆっくりお休みください。」

 

 二人「は。」

 

 そのまま愛紗と愛羅は謁見の間を後にした。

 

 一刀「さて、そうなると調査の為に人員を出さなきゃならないんだけど・・・?」

 

 月「そうですね。報告書によると不審人物の目撃例は6か所ですか。」

 

 詠「それなら二人一組で計12人の将を使って調査させましょう。」

 

 一刀「そうだね。それじゃ配置は華琳達に任せようか。俺は呉の方に用があるから今回の件には携われない。」

 

 詠「分かったわ。それじゃ華琳に頼みましょう。私から話しておくから。」

 

 一刀「ああ。頼むよ。」

 

 恋「一刀・・・気を付けて。」

 

 一刀「ああ、任せておいてよ。」

 

 そのまま俺は護衛に幽香と星、軍師に亜莎を引き連れ呉へと向かって歩き出した。ちなみに亜莎は捕まった後紅母さんと琥珀さんに良い酒の肴として弄ばれたそうな・・・哀れ亞莎。

 

 

 

 少し時はさかのぼり、此処は蜀の成都。その軍議の間。

 

 諸葛亮「それでは軍議を始めます。」

 

 その一声でその場に居た全員が王である劉備とその両脇に控える軍師諸葛亮、鳳統へと目を向ける。部屋に居るのは劉備、諸葛亮、鳳統、張飛、さらに益州平定の時に仲間にした黄忠、厳顔、魏延、成都陥落時に降った、張任、呉班、呉蘭、雷銅である。

 

 鳳統「まずは蜀国内の情勢です。紫苑さん報告をお願いします。」

 

 黄忠「ええ、国内は安定していますわ。賊もかなり数が減ってます。」

 

 鳳統「ありがとうございます。民の方はどうですか?」

 

 黄忠「ほとんどは桃香様をたたえる声が多いですね。しかし・・・」

 

 鳳統「国境ですか・・・」

 

 黄忠「ええ、新漢王朝・・・その発展を近くで見てる分我等に対して反感を持つ人がいますわ。」

 

 魏延「なんだと!?桃香様の理想を理解できない奴等が!!」

 

 黄忠の報告を聞き怒りを露わにする魏延、しかしそれを見ていた厳顔が魏延を叱る。

 

 厳顔「黙れ焔耶。国境の民は向こうの町を見て向こうの方がいいと判断した、それはこちらの政治がまだ行きとどいてない証拠じゃ。儂等がまだ未熟と言う事だ。」

 

 諸葛亮「そう言う事です。とはいえ、向こうのやり方はまさしく覇道のそれ。我等が主のやり方とは相反する物です。」

 

 劉備「でも、向こうをどう討ち果たすか策はあるの?」

 

 鳳統「正直兵も将も質は向こうが上です。なので呉との同盟を持って兵数を、策を持って将を補いたいと思います。」

 

 劉備「将を補うってどうするの?」

 

 鳳統「はい。国境に細作を放ち敵の偵察を確固撃破するんです。勿論全部を倒すことはできません。なので一か所に絞って敵将を討ちます。一人でも討つことができれば敵の士気は大きく下がる事でしょう。」

 

 劉備「それって・・・だまし討ちって事?」

 

 鳳統「これが現実です。こうしなければ彼らとの差は埋まりません。」

 

 劉備「朱里ちゃん、どうかな?やれそう??」

 

 諸葛亮「そうですね。雛里ちゃんの策で何とかなるでしょう。唯一つ問題が。」

 

 劉備「問題?」

 

 諸葛亮「呉との同盟です。呉王孫権さんは董卓軍の呂北さんと何かしら仲がいいと思われるので・・・そこが心配です。」

 

 この発言に疑問がある方がいるだろう。しかし呂北と孫家の内情はまったくと言っていいほど伝わってはいないのだ。なぜかは不明である。

 

 鳳統「そうですね・・・愛紗さんもその事はまったく話してくれませんでした。」

 

 諸葛亮「まあ、情報を漏らさないように言われていたのかもしれないよね。雛里ちゃん。」

 

 鳳統「そうかもしれないね。朱里ちゃん。」

 

 劉備「それでも呉との同盟はしなきゃならないよね。」

 

 二人「はい。」

 

 二人は劉備の一言に同意を示す。

 

 諸葛亮(もしだめなら・・・南蛮とその繋がりで山越の兵力を合わせて物量で呉を呑み込むしかない。)

 

 鳳統(もし呉との同盟が成らなかったら降伏を含めた話し合いをしなきゃならないよね。)

 

 諸葛亮と鳳統、その考えの違いを知る人間は蜀には一人もいなかった。ここに蜀の見えざる二つの派閥がひっそりと発生したのだった。

 

 

 愛紗の報告から数日後、詠は華琳に状況を報告し半数の調査を依頼した。華淋は三羽烏、春蘭季衣コンビ、秋蘭流琉コンビに偵察を指示し自身は割り当てられた城の防衛に徹する事になった。

 

 以降沙耶視点

 

 沙耶「ふう、これでよしっと。」

 

 朝。今私は警邏の最中だ。お兄ちゃんとの鍛錬の成果もあってか大抵の人(副将クラス)には勝てるようにはなった。沙耶警備隊の隊長として街の人からとても信頼されている。そこに秋蘭さんが流琉ちゃんを引き連れてやってきた。

 

 秋蘭「沙耶、警邏か?」

 

 沙耶「秋蘭さん、流琉ちゃんお疲れ様です。・・・その格好、どこかに出かけるんですか?」

 

 流琉「はい、定軍山に偵察に行くんです。」

 

 沙耶「偵察?秋蘭さん達直々にですか?」

 

 秋蘭「ああ、どうやら複数の場所に怪しい集団を確認したらしいからな。華琳様が半数を受け持つ事になったのだが、そのひとつに私達が当たる事になったのだ。」

 

 沙耶「そうなんですか。気を付けて行ってらっしゃい。」

 

 秋蘭「ああ、行ってくるよ。」

 

 流琉「行ってきます。」

 

 その日の夜、私は何の気もなしに警邏を終え、城に戻ってきました。

 

 華琳「お疲れ様、沙耶。どうだったかしら?」

 

 沙耶「はい、特に問題はなかったです。」

 

 風「それは重畳なのですよ~。それにしても国境の不審な集団ですか~。私は策の気がするのですが・・・」

 

 華琳「そうね、それが判らない一刀じゃないでしょう。その防護策として呉に向かった訳だからね。」

 

 風「ですね~」

 

 沙耶「そう言えば、秋蘭さんに会いましたよ?確か定軍山でしたよね。」

 

 華琳「そうよ。凪、真桜、沙和で一か所春蘭、季衣で一か所よ。」

 

 沙耶「何もないといいんですけど――――――あれ?」

 

 華琳「どうしたの?」

 

 あれあれ??まって、秋蘭さんが定軍山??えと・・・あれ、なんだろう。引っかかる、何かが引っかかる。なんで?秋蘭さん・・・定軍山・・・

 

 沙耶「秋蘭さんは夏候淵さん・・・」

 

 華琳「そうよ?今さら何?」

 

 沙耶「夏候淵・・・定軍山・・・蜀・・・・・・・・あ、あれ?まさか・・・痛う!?」

 

 華琳「どうしたの!?」

 

 沙耶「あう・・・・」

 

 ドサリ

 

 そこで私の意識は途切れる事になった。

 

 --------------------------------------

 

 沙耶「・・・ん。」

 

 桂花「沙耶?沙耶!?誰かある!」

 

 警備兵「は。」

 

 桂花「華琳様を呼んできて。」

 

 沙耶「け、桂花さん?あれ・・・私。」

 

 桂花「突然倒れたのよ。二日も目が覚めないからどうしたかと思ったわ。」

 

 沙耶「ふ、二日!?――そ、そうだ!桂花さん、秋蘭さんの所に救援を・・・このままじゃ秋蘭さんが!!」

 

 桂花「え?そ、それって??」

 

 華琳「どう言う事?」

 

 沙耶「華琳さん!定軍山と夏候淵って歴史では・・・うぅ!?」

 

 華琳「・・・桂花、確か恋が昨日来てたわね。恋に頼んで定軍山まで行ってもらって。兵は追っ付け振り当てるから・・・そう言えばあの犬と同じ名前の馬が来てたわね。あれを恋に与えなさい。」

 

 桂花「は!」

 

 華琳「・・・沙耶、それ以上歴史の事は考えないでいいわ。その症状・・・何故かしら。分かるわ。」

 

 沙耶「・・・分かる?」

 

 華琳「何故かは分からないけどね。あなたが未来から来た人間で歴史に関しての事を言おうとするとそれを阻害するかのように苦しみ出す。なら理由は歴史にあるのでしょう。だから考えないように、そして言わないようにしなさい。」

 

 沙耶「は、はい。」

 

 華琳「大丈夫よ。恋が行くんだもの。」

 

 そう、恋さんが行くなら大丈夫・・・大丈夫なんだから。

 

 

 定軍山、秋蘭と琉流はそのふもとの邑に来ていた。

 

 秋蘭「流琉、このあたりで情報を集めよう。」

 

 流琉「はい。」

 

 秋蘭「とは言え、此処に来る途中までにあらかた情報はそろったんだがな。」

 

 流琉「今日はその情報の真偽を此処で確認しましょう。」

 

 秋蘭「そうだな。」

 

 流琉「ひとまず情報を整理しましょうか。」

 

 秋蘭「そうだな。」

 

 秋蘭と琉流は道中集めた情報を整理し始めた。一つ集団は少数の騎馬である事。一つは定軍山の周辺を嗅ぎまわってる事。一つは手練らしきものが一人率いている事だった。

 

 秋蘭「ふむ、高確率で蜀だろうがしかし・・・手練が率いてると言っても蜀の手練と言ったら張飛ぐらいしか思いつかんのだが・・・」

 

 流琉「愛紗さんからの報告書ですと他に黄忠、厳顔、魏延、呉蘭、呉班、雷銅と行った武官が多く参入したようです。」

 

 秋蘭「黄忠?噂に聞く弓使いか。一度でいいから勝負したいものだな。」

 

 流琉「もしその人ならいい機会になりますね。」

 

 秋蘭「ああ、ひとまず明日邑で確認をとってからだな。」

 

 流琉「はい。」

 

 こうして邑の中で秋蘭と琉流は情報の合わせ作業をこなす事となった。正直数日かかると思っていた確認作業はその調査開始当日に確認が終わってしまった。村人曰く定軍山で何やら街道に細工をしている様だとのことだ。確かに漢中を抑えるのには定軍山はもってこいの場所になる。そこで秋蘭はその細工を破壊する事を決めたのだった。

 

 秋蘭「ふむ、ここ数日定軍山を調査したがこれと言った細工は成されていないようだが?」

 

 流琉「そうですね。兵の方も収穫はないそうです。これは偽報ですかね?」

 

 秋蘭「そうかもしれん。これなら撤収しても問題ないだろう。」

 

 流琉「はい、それでは―――」

 

 トス、トス

 

 兵「が!?」

 

 兵「うぅ!?」

 

 秋蘭「!?これは、敵襲、敵襲ー!」

 

 流琉「く、皆さん急いで隠れてください!幸い此処は森の近くです。木を盾にして隠れてください!!」

 

 秋蘭「く、まさか伏兵とは。弓と言う事はやはり黄忠か?」

 

 流琉「秋蘭様、急いで撹乱したほうがいいのでは!?」

 

 秋蘭「ああ、そうだな。流琉、兵を取り纏めて撹乱しつつ邑まで引け。私も一部の兵をまとめて同じように撤退する。」

 

 流琉「はい!」

 

 こうして秋蘭は確認の取れてない所属不明の部隊と戦う事になるのだった。

 

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 時は遡り沙耶が秋蘭の危機を告げてすぐの事。

 

 恋「・・・・おなか減った。」

 

 ねね「恋殿~。肉まん、桃まんたくさん買ってきましたぞ~」

 

 恋「ねね、よくやった。」

 

 ねね「恋殿の為ならこれぐらい造作もないですぞ!」

 

 そんなやり取りをしていると城の方角から桂花がかなり急いで駆けてきたのが判った。

 

 恋「・・・桂花?・・・・どうしたの??」

 

 桂花「はぁ・・・はぁ・・・れ、恋・・・秋蘭が・・・定軍山に向かったんだけど・・・たぶん蜀の罠。い、命が危ないって・・・華琳様が・・・」

 

 恋「!?」

 

 ねね「な、なんですとー!」

 

 桂花「すぐ厩舎に行って。赤兎馬を受け取って行きなさい!」

 

 恋「・・・セキト?」

 

 桂花「あなたの犬と同じ名前の馬よ!気性は荒いけどあなたなら大丈夫よ!!ねね。あんたは兵を纏めなさい。恋には急いで向かってもらわなきゃならないの。」

 

 ねね「わ、分かりましたぞ!恋殿、急ぐのです。もし・・・もし秋蘭殿が死ぬことがあれば皆悲しみますぞ!と、とくに・・・一刀殿が!!」

 

 恋「!?・・・・桂花、ねね。此処は任せる。ねね、肉まんは二つもらってく。」

 

 ねね「はいですぞ!」

 

 恋(・・・・・・・・・・秋蘭、無事でいて――!!)

 

 その瞬間土煙を上げて厩舎に駆けて行く恋その速さは尋常ではなかった。ねね達が城につく前に恋は赤兎馬を駆ってすれ違って行った。その姿は飛将軍に相応しき様相だったとねねが桂花と共に証言している。

 

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 定軍山内森の中で秋蘭は流琉と合流していた。なぜか。敵の兵の伏し方がうまく、兵がことごとく黙殺され合流せざるを得なかったのだ。

 

 秋蘭「くぅ・・・まさかこれほどの兵を隠していたとは。」

 

 流琉「周辺住民はおそらくお金か何か掴まされていたのかもしれません。」

 

 秋蘭「そのようだな。」

 

 秋蘭達の駐留した邑は流琉の言った通り劉備軍により一部有力者が金に釣られ偽情報を流していたのだ。邑の人間はそれを信じ、商人などに話していたのだった。

 

 黄忠「よくお分かりになりましたね。」

 

 秋蘭「!?」

 

 流琉「誰ですか!?」

 

 その声がする方に向くと木の陰から紫の髪の妙齢の女性が出てきた。

 

 黄忠「劉備軍が将の一人、黄忠ですわ。」

 

 秋蘭「貴様が黄忠か。」

 

 黄忠「あなたは?」

 

 秋蘭「董卓軍所属、夏候淵。」

 

 黄忠「あら、曹操配下の神弓と謳われる夏候淵殿とは・・・これは大物が釣れましたわね。」

 

 大物。そう言われ秋蘭は笑みをこぼす。

 

 秋蘭「ふ、大物とは言ってくれる。貴殿こそ大物だろうに。」

 

 そして・・・

 

 黄忠「あらあら、(わたくし)はそこまで大物じゃありませんよ?」

 

 本来、黄忠には禁句である一言を発した。

 

 秋蘭「く、くくく・・・いや、“歳”が大物だろう?」

 

 瞬間、黄忠の時間が止まった。

 

 黄忠「な!?ふ、ふふふふ・・・死にたいようね?」

 

 秋蘭「もとより生かして返すつもりなど無いのだろう?これは間違いなく我等の失策。ならばこそ、将一人でも道連れにすればよい事。」

 

 そう、これは秋蘭決死の策。相手は女性、しかも妙齢で話し方から少しばかり若造り臭がすると秋蘭は感じていた。故に怒らせ隙を作ろうとしたのだ。だが・・・

 

 黄忠「あら、私一人だと御思いですか?それは浅はかですわ。」

 

 秋蘭「何?」

 

 流琉「秋蘭様!危ない!!」

 

 ひゅひゅ!

 

 秋蘭「な!?」

 

 どど!

 

 流琉「あう!?」

 

 秋蘭「る、流琉ぅ!!」

 

 そう、弓を扱う将は一人では無かったのだ。後ろから放たれた矢が秋蘭に襲いかかる中、琉流は秋蘭をかばい右肩と右腕に矢を受けてしまう。

 

 流琉「しゅ、秋蘭様、ご無事で・・・よかった・・・」

 

 秋蘭「く、流琉。」

 

 流琉「お逃げください、秋蘭様。」

 

 秋蘭「出来るか!?そこぉ!!!」

 

 ひゅ!

 

 どどどどど!!

 

 刹那。敵の気配を察知した秋蘭は一射で五本の矢を放つ。

 

 厳顔「ほほう。なかなかの腕だのう。紫苑よ、お前といい勝負が出来るかも知れんぞ?」

 

 黄忠「冗談はよしてちょうだい。こんな小娘と同等なんて勘弁してほしいわね。」

 

 秋蘭「く・・・」

 

 厳顔「ははは!歳の事を言われて気が立ってるのは分かるがそれで相手の実力を過小評価するのはまだ未熟の証拠じゃろうて。」

 

 豪快に笑って黄忠を窘める厳顔。明らかに二人から意識を外していた。そこに隙を見つけた秋蘭は黄忠に向かって矢を放つ。

 

 秋蘭「はぁ!」

 

 ひゅひゅ

 

 ドドドド!ドドドド!

 

 2射8本。秋蘭の連続撃ちの技の一つである本来1射に纏めて射る物をあえて分割する事で狙いを分ける効果を持つ。黄忠はそれをうまく回避するが厳顔は反応できず射線上にもはや木があるため援護も出来なくなってしまったのである。

 

 厳顔「し、しまった!?」

 

 黄忠「桔梗、何やってるの!?」

 

 秋蘭「まだまだぁ!!」

 

 秋蘭は流琉を背に弓を射る。体制は最悪、されど狙いは完ぺきである。威力は落ちたが黄忠のいる場所に的確に矢を当ててくる。黄忠は一度退く事を余儀なくされたのだ。

 

 秋蘭「今のうちだ!」

 

 こうして一気に森を抜け開けた場所に秋蘭は出てきたのだ。本来こういった開けた場所は良い的になるが、流琉を背負ってる以上今は速度を優先しなければならなかった。しかし・・・

 

 どどど!

 

 足元に刺さる矢に反応しつい足を止めてしまったのである。

 

 秋蘭「く・・・」

 

 黄忠「逃しませんよ。あなた達を討てばこれからの戦いが楽になりますから。」

 

 厳顔「そう言う事だのう。」

 

 秋蘭「・・・そうか。なら刺し違えてでも一人は屠らなければな。」

 

 そう言って秋蘭は流琉を地面に寝かせた。そして弓を構え黄忠と厳顔に対峙した。しかしこれもまた秋蘭の予想が外れてしまうのだ。二人だと・・・思ってしまっていたのだから。

 

 魏延「夏候淵!隙ありぃぃぃぃぃ!!!」

 

 秋蘭「し、しまった!!」

 

 ズドーーーーーーーーーーーーン。

 

 

 沙耶「・・・・え??・・・あ、うぅ・・・あぁぁぁ!!」

 

 華琳「沙耶!?ど、どうしたの!?」

 

 沙耶「あ・・・華琳さん・・・い、いきなり頭が・・・いた・・・く」

 

 華琳「まさか・・・」

 

 桂花「か、華琳様・・・さ、沙耶の手が!?」

 

 華琳「こ、これは!?」

 

 沙耶「す、透けてる?あ、あはは。華琳さん、もしかしたら歴史を変えるって言うのはこういう事かもしれません・・・」

 

 華琳「・・・・沙耶。あなた、消えるの?」

 

 沙耶「分かりません。・・・でも、これがいいのかもしれません。だって・・・私達はどうしたってこの世界では生きる事ができませんから。」

 

 華琳「・・・そう。仕方ないのね。」

 

 桂花「華琳様・・・」

 

 華琳「・・・少しは踏ん張りなさい。最低でも大陸が統一されるまで待ちなさい!」

 

 沙耶「・・・わ、かりました・・・私、頑張ります!」

 

 華琳「そうよ。その意気よ。あなたのお兄さんも、一刀も頑張ってるのだから。」

 

 沙耶「うん。」

 

 

 秋蘭「・・・・・・・・?い、痛くない?確かに不意を突かれて・・・・」

 

 恋「・・・・秋蘭。・・・・大丈夫?」

 

 秋蘭「恋?どうして恋がここに居るのだ??」

 

 恋「沙耶が気付いた・・・・流琉、怪我してる?」

 

 秋蘭「ああ、私をかばって矢を受けてしまったんだ・・・」

 

 恋「・・・そう・・・こいつら・・・許さない!!」

 

 黄忠「誰?相当の手誰と見るけど・・・3体1よ?」

 

 恋「3?違う・・・4人居る。・・・・出てこい。お前も含めて相手してやる。」

 

 張飛「うにゃ~ばれてたのだ。紫苑、こいつは呂布なのだ。」

 

 厳顔「呂布だと!?なるほど・・・このような細っこい娘があの飛将軍だとは・・・世も末だのう。」

 

 魏延「は!このような輩、私の鈍砕骨で叩きつぶしてやりますよ!」

 

 厳顔「いや、お主さっきはじかれて追っただろうに・・・」

 

 魏延「あ、あれは油断したからです!」

 

 多少のコント交じりの会話の中、恋の怒りはもはや最高潮に達していた。黄忠達はそれで恋の武が粗くなると踏んでいるのだろうがそれは誤りだったとすぐに直感する。

 

 恋「・・・恋の大切な仲間。大切な家族。それを傷付けた。お前たちは許さない。此処で死ね。」

 

 恋はすぐにその怒気を闘気に変え4人にもろにぶつけてやる。

 

 黄忠「な!?」

 

 厳顔「ぬぅ・・・」

 

 張飛「うにゃぁ!?す、すごい殺気なのだ・・・う、動けないのだ。」

 

 魏延「あ、あう・・・」

 

 厳顔「まずい、焔耶の奴当てられて完全に腰が引けておる。」

 

 黄忠「ま、まさかここまでだなんて。」

 

 4人はさらに衝撃を受ける事になる。次の恋の言葉によって・・・

 

 恋「一刀は恋より強い。一刀は恋より怖い。仲間を、家族を、大切な人を傷付けられたのを知ったら・・・もしかしたら誰にも止められない。蜀に・・・血の雨、うぅん、血の川が流れだす。」

 

 4人「!?」

 

 恋「でも大丈夫。お前たちはそれを見る事なく終わる。さあ・・・覚悟しろ。」

 

 瞬間。恋は赤兎馬から飛び降りそのまま4人の中央に落ちる。

 

 ちゅどーーーーーーーん!

 

 威力は爆撃のそれと同じくらいだろう。4人は堪らず吹き飛んでしまう。主に降りられた赤兎馬はすぐに秋蘭の傍に寄りなんと騎乗を促す。

 

 秋蘭「の、乗れと言ってるのか?」

 

 赤兎馬「ぶるるるる」

 

 秋蘭「・・・流琉だけを頼む。恋がいかに強くとも遠距離から攻撃されればひとたまりもない。わかるな?」

 

 赤兎馬「・・・ぶるる」

 

 秋蘭「分かってくれたか。なら行け!」

 

 その一声に赤兎馬は反応し流琉を乗せ駆けて行く。

 

 秋蘭「さて・・・黄忠、厳顔。恋を相手取りながら私も相手取ってもらおうか!この夏候妙才。今心底頭に来てるのでなぁ!!」

 

 

 次回

 

 恋「こいつは連れてく?」

 

 沙耶「お母さん。私・・・」

 

 一刀「蓮華。頼めるかい?」

 

 静夏「これは・・・」

 

 第二十話『対価』

 

 歴史を変えた対価はなんなのだろう。少女たちの最後の戦いはすぐそこまで来ている。

 


 
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