No.642473

【MGSD2nd】負けないで【交流】

古淵工機さん

絶望に打ちひしがれても、諦めないで立ち上がって。
大丈夫、あなたは一人じゃないから。

これ(http://www.tinami.com/view/642259 )とこれ(http://www.tinami.com/view/642262  )の間みたいな何か。
■出演

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2013-12-03 22:34:58 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:830   閲覧ユーザー数:797

とある港に、一人の少女が座り込んでうつむいていた。

魔法少女・小栗はじめ…こと、小栗甲だった。出るのはため息ばかり。

 

(妾は…いったいどうすればよいのじゃ…?)

頬をひと筋、ふた筋、涙が伝う。脳裏にリフレインするのはホーリーリボンに敗北を喫したあのときのこと。

そして、それからというもの、ずっと繰り返される悪夢。

そんなどうしようもない絶望感に打ちひしがれている甲の背後から、聞き覚えのある声が聞こえた。

「探したよ、甲ちゃん」

「だっ、誰じゃ!?」

振り返るとそこには、魔法少女リリカル・ヴィーボこと、都井明美が立っていた。

 

「…お、お主もなのか…お主も妾を笑いに来たのか…?」

俯いたままの甲の声に、明美は答える。

「何言ってるの!こんなところで一人でいたらカゼ引いちゃうよ。ほら、親御さんだって心配してるよ」

「…すまぬが放っておいてくれんかの?笑いたければ笑うがよい。どうせ…妾は負け犬…」

と、再び涙を流す甲の横に、明美はそっと座りこう言った。

 

「…事情はどうあれ、悩んでるんだったら相談に乗るよ。どれだけ力になれるかわからないけど…」

「そ、そうか…では、戯言だと思って聞いてくれぬか。実はな…」

甲はひとしきりの事情を話した。明美はそれをしばらく黙って聞いていた…。

「…と、いうわけなのじゃ…まったく滑稽な話じゃろ?もう妾の居場所なぞ…」

「…そんなことないよっ!!!」

突然、明美は勢いよく立ち上がり叫んだ。これにはさしもの甲も驚きを隠せなかったようだ。

「…ど、どうしたのじゃ急に!?」

「確かに、バトルで負けたときはすっごい悔しいよ。わたしだって悔しい。ちょうど今の甲ちゃんみたいな感じになっちゃったこともあるんだよ、でもね」

目を丸くしたまま硬直している甲に、明美はさらに続ける。

「…知ってる?今から6年前にやってた『おまかせっ!ヴィーボちゃん』にも似たような話があったんだけど…」

その話の内容はこうだった。

事件解決に奔走するこのアニメの主人公…ヴィーボだったが、行く先々でライバルのベルミーの罠にかかり散々な目にあってしまう。

 

しかもそれだけならまだしも、彼女の友人・相川ナナミたちに迷惑をかけてしまい、プリンセスとしての自信を失ってしまう…という内容だったのだ。

「…でもね、そんな風に打ちひしがれていたヴィーボちゃんの目の前に、泥んこになったままのナナミちゃんが来て、そっと抱きしめてある台詞を言ったんだ」

「?」

「…『ヴィーボちゃん、元気出して。ヴィーボちゃんが落ち込んでるとわたしまで暗い気分になっちゃう。確かに今日はいろいろつらいことばっかりだったかもしれないけど、ヴィーボちゃんならきっと大丈夫だから。わたし、信じてるよ』ってね。そのシーンを見たときはもう、感動で涙が止まらなかったよ」

「…そ、そのアニメの話がいったい…」

「それだよ。今の落ち込んでる甲ちゃんを見てると、その話の中で落ち込んでるヴィーボちゃんみたいでさ…見てるこっちまで暗い気分になっちゃう…」

明美はさらに続ける。

 

「私自身も、負けて悔しい思いをしたときにはこの話のことを思い出してみるの。するとなんだか元気が出てくるんだよ。このままじゃ駄目だ、悩んでる暇があったら立ち上がって、立ち向かって、やれるだけやってみなきゃって」

「あ、明美殿…」

「…だから立って。どんな相手に負けたって、そんな失敗したっていい。また立ち上がって、何度でも何度でも頑張らなきゃ。あなたは一人じゃないんだから、さ」

手を差し伸べる明美に、甲は涙ながらにこう言った。

「……すまぬ、こんな妾のために、ここまで親身に付き合うてくれるとは…!」

「何言っちゃってるの甲ちゃん。困ったときはお互い様でしょ」

「そうじゃな…それでひとつ、ついでに頼まれてはくれぬか?」

「頼みごと?いったい何?」

甲はたちまちのうちに変身し、魔法少女・小栗はじめとなる。

 

「…明美殿、妾はいまこそ自分を磨かねばならぬ。どうか稽古をつけてはくれぬか?」

その言葉を受けた明美は満面の笑みで答える。

「OK!いつでもいいよ。ただちょっと待ってて。着替えてこなきゃいけないから!」

「ふふ、着替え終わったらいつでも来るがよいぞ」

 

そう言ってテントを用意し、着替えを始める明美の様子を見ていた小栗はじめの表情に、もう迷いの色はなかった…。


 
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