No.640545

真・金姫†無双 #51

一郎太さん

とりあえず、生存報告。

2013-11-27 23:53:23 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:14523   閲覧ユーザー数:9463

 

 

 

 

#51

 

 

流石にメイド服の妹たちをこれ以上他の男たちの眼に触れさせたくはない為、他所行き用の服に着替えさせる。店で着る黒の上下ではなく、彼女たちが好んで着用する、黄色を基調とした服だ。

 

「この服久しぶりかも」

「基本的に仕事着で買い出しやら何やら出かけてるしね」

 

着なくなって久しい服に懐かしさを感じる地和と人和。彼女とは対照的に、残る長姉は困ったような顔で服の胸元を引っ張っていた。

 

「ちょっと胸がキツい気がするよー」

「ひぃっ!?」

 

ギンッ! と音がしたかと錯覚する程の視線で、妹たちは姉を睨む。波才が怯えの声を上げた。

 

「ちょっと! また大きくなったの!?」

「姉妹なのに、不公平……」

 

ズカズカと姉に詰め寄る妹2人。瞳には妬みと嫉みの色。しかしながら、カラカラと笑いつつそれを受け流すのは、流石は姉の性格と言えよう。こんな言葉を口から放つ。

 

「だって、お兄ちゃんに大きくしてもらったし」

「そうなの!?」

「姉さんばかり、ずるい」

 

その台詞に、地和と人和の視線は一刀へと移る。そして詰め寄る先も。

 

「いやいやいや、嘘を吐くな。まだ天和には手を出してねーよ」

「『まだ』って事は、これから手を出すつもりなの!?」

「兄さん、私にも……」

「兄妹仲がよろしいんですね」

「いやいやいや、月ちゃんも大概ぽわわんな性格してるっスね……」

 

義兄に抱き着く妹2人。相変わらず笑い続ける長姉。その仲睦まじい様子に微笑みを洩らす月。呆れの溜息を吐くパシリ。

 

要するに、いつもの彼らだったり。

 

「いやいやいや! パシリってなんすか!?」

 

 

 

 

 

 

そんな訳で、やって来たのは城を挟んで街の反対側の区画。亞莎と店を構えてからも、こちらにはあまり来た事はない。しかしながら、街の反対側とはいえ、人の集まる通りだ。自分たちが住む地域と比べても、似通った部分は多々ある。

そんな事はいいとして。

 

「――あそこだな」

「そだねー」

 

目的の店をすぐさま見つける事が出来た。それも当然である。どうやって着色したのか定かではない、ピンクや黄色といったカラフルな外観。入り口の前には長蛇の列。ウチ以外にアレほどの列が出来る店なんて、想像もつかないし。

 

「でも何か変よねー」

「何処がっすか?」

 

ポツリと呟いた地和の言葉に、波才が反応する。気づかないのか、コイツ。

 

「相変わらずアタイにはキツイ当たり方っすね」

「あ? テメェ、クビにしてやってもいいんだぞ?」

「勘弁してくださいよ」

「兄さん、波才さんを虐めたら駄目」

「はーい」

 

人和に窘められた。それはいいとして。

 

「見てみろ、波才。店から出てくる客の顔を」

「出てくる客っすか? …………なんで暗い顔してるんすかね」

 

俺たちが疑問に思った点。それは波才の言う通り、利用を終えた客の表情にある。ある者は絶望の顔で、ある者は涙を零し、ある者は生気を感じる事すら出来ない。

 

「ちょっと情報収集してくるか」

「情報収集、ですか?」

 

おっと、月はまだ長沙では新参だし、予想がつかないのかもしれない。

 

「あぁ。月だって経験してるだろ。俺たちが開いた屋台で飯を食った客たちは、どんな顔をしてた?」

「えっと、皆さん満足そうな笑顔でしたよ?」

「その通りだ。だが、この店は違う。俺たちの店を脅かす程の存在なのに、出てくる客の表情は(ネガティブ)の要素を多分に含んでいる。それなのに、こうして行列が出来ているという矛盾。その理由を知らなければ、この店に勝つ事なんて出来ないさ。それに、月にはまだ教えてなかったが……」

「?」

 

俺は言葉を切り、波才に視線を向ける。

 

「商売で一番大切なのは?」

「そりゃ、情報っすね」

「その通り」

「あぅ…」

 

俺の教えをしっかりと覚えている波才の頭を撫で、

 

「お兄ちゃんずるい! 私もー!」

「兄貴、私だってしてよ!」

「兄さん……」

 

天和たちに抱き着かれながらも、月へと視線を向け直す。

 

「孫のおっさんだって言ってるだろ。敵を知り、己を知れば――って」

「なるほど……」

 

納得だと頷く月は可愛く、抱き着いてくる妹たちは柔らかかった。

 

 

 

 

 

 

という訳で、情報収集に向かう訳だが。

 

「はいはーい! 私、お兄ちゃんと一緒に行きたいでーすっ」

「あっ、ズルい! ちぃだって!」

「姉さん達、落ち着いて……」

 

俺が動こうとするや否や、天和が自薦、地和が追随し、人和が疲れの溜息を吐く。さて、どの娘を連れていこうかというところだが。

 

「まぁ待て。今回は月とだ」

「へぅ…私ですか……?」

「「えーっ!」」

 

俺の言葉に、天和と地和が不満の声を上げる。月は『へぅ…』と戸惑いを隠せない。

 

「お前達は、この街じゃ有名人に過ぎるからな。絡まれて身動きが取れなくなってもメンドクサイ」

「今こうして通りに居るってのにすか?」

「黙らっしゃい!」

「べびっ!?」

 

余計な事を抜かした波才を殴り飛ばす。

はっちゃんは特殊な訓練を受けているので、この後スタッフが美味しく(^ω^)ペロペロ

 

「それに月にも、もっと商売のいろはを教えたい。今回は我慢してくれ」

「はふー、お兄ちゃんがそう言うならいいよ」

「あぅー、店に戻ったら埋め合わせはしてもらうからね」

 

2人を撫で、控えめに服の裾を引っ張ってきた人和の頭も撫でる。サラサラの髪が気持ちいい。

 

 

 

 

 

 

そうした経緯があり、俺は今、月と2人で行動中だ。とはいえ、最初の場所からそれほど離れている訳でもない。何故なら、目的は情報収集だからだ。

 

「くっそー! 今日もハズレだった!」

「お前はいいじゃねーか。一度は見た事あるんだろ?」

「そりゃそうだけどさぁ――――」

 

すれ違う男の2人組が、何やら愚痴を零しあっている。

 

「どうだ、月。今の会話から、何か分かるか?」

 

すれ違った男たちと十分な距離をおいたところで、隣を歩き、俺同様に会話を聞いていた月に話を振る。

 

「へぅ…日によって、お店で提供する内容が違う事くらいしか……」

「十分だ。俺だってそうだしな」

「へぅ……気持ちいいです」

 

一度目の『へぅ』は困惑の色。二度目の『へぅ』は、喜びの色。月の頭を撫でたからだ。

 

「もう少し集めてみるか」

「はぃっ」

 

元気よく返事をする月に気分を高揚させつつ、これまた店から出て来た3人組の男たちの方へと向かう。目的は無論、会話を聞く為だ。

 

「お前、嘘吐いてんじゃねーよ!」

「おかしいなぁ。俺の計算だと今日のこの時間に丁度出てくる筈なんだけどなぁ……」

「もう一度情報を統合し、計算し直した方がいいんじゃないか? ただでさえ――――」

 

こんな感じ。

 

「どうだ、月?」

「……難しいです。ごめんなさい」

「まだまだこれからだ。気にしなくていいんだぞ?」

「へぅ…」

 

困った顔の月を再び撫で、俺は言葉を続けた。

 

「情報が少なすぎるが、2組とも同じような会話をしている。そこから予想を立てるしかないだろうな」

「予想、ですか?」

「あぁ。月がさっき言ったように。あの店は、日によって提供する『何か』の内容が異なる。そして、男たちはある出し物を目的に、あの店に足を運んでいるらしいな」

「出し物、ですか?」

「その通り。そして、その出し物の内容も、答えは分かっている。月にだって分かるはずだ。思い出してごらん」

「えと、えぇと……」

 

頬に手を当てて考え込む月。この間も店から出て来た男たちの会話は耳に入って来るし、その催し物の内容も聞いていた筈だ。だが、人気の店との噂と男たちの表情の理由を上手く結び付けられないらしい。

ま、俺もだけど。

 

「んじゃ、行ってみるか」

「はーぃ」

 

そういう事になった。

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

という訳で、数か月ぶりの投稿。

 

 

いや、一郎太自身も作品の内容を覚えていないという……ね。

 

 

今日知ったんだけど、29日に家族〇画の新しい(?)のが出るみたいっすね。

 

 

大好きなんだけど、絵が変わり過ぎててワロタ。

 

 

あと、声優も変わり過ぎ。

 

 

少なくとも寛は若本さんだろjk。

 

 

内容は変わらずとも、新しい絵で見てみたい気もする。

 

 

どうしようかな。

 

 

そんなこんなで、#51でした。

 

 

次がいつになるか分かんないけど、完結はさせるぜ。

 

 

ではまた……いつか。

 

 

バイバイ。

 

 

 

 

 
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