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真恋姫†夢想 弓史に一生 第九章 第四話

kikkomanさん

どうも、作者のkikkomanです。

今話は第九章第四話となってます。

いよいよ始まる反董卓連合戦。

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2013-10-20 00:00:02 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:1471   閲覧ユーザー数:1315

 

 

~桃香side~

 

 

「平原の相、劉備です。兵五万を連れて連合に参加しに来ました。」

 

「劉備殿、遠路はるばる御苦労様です。皆さんの陣はこちらになりますので付いてきてください。」

 

 

そう言って、金ぴかの鎧をガチャガチャと鳴らしながら男は先頭を歩いていく。

 

私たちもそれに遅れないように付いていき、自分たちの天幕へと到着した。

 

 

「ふぅ……。とりあえず到着した……。」

 

 

固まった筋肉を解すように肩を揉んでみるが、全くと言っていいほど揉むことが出来ないほどに固まっている。それだけ、私は緊張して肩に力が入っていたのだろう…。

 

 

「さて……直ぐに軍議が始まるって言ってたっけか……。じゃあ、朱里ちゃんと一緒に行ってこないと…。」

 

 

天幕の入り口を出ながら、今回のこの戦について考える。

 

 

今回の連合軍は袁紹さんが発起人として、都で暴政をしている董卓さんを皆で倒そうと呼び掛け、集まったものだ。

 

都で暴政を働いているなんて……そんな事を許せるほど私もお人好しではないし、悪を倒すと言う大義名分があるために、この連合軍は正式に認められた討伐軍であって、董卓さんは逆賊なのだ…。

 

逆賊を打ち倒すのは平和な世の中のために必要な事。

 

だから、今回の戦は私たちが勝たなければいけない。

 

勝って平和な世の中を作らなければいけない……。

 

 

「きっと、聖さんもそう言うよね……。」

 

 

自分の目指すべき目標である聖。

 

彼は今回の戦をどう見ているのか………。

 

 

「きっと聖さんのことだから、この連合軍に参加してるよね……。それなら後で、この事について色々と聞いてみようかな……。」

 

 

そんな事を考えていると、朱里ちゃんが酷く険しい顔をしながら私の顔を覗き込んでいるのに今頃になって気付いた。

 

 

「わわっ!!? 朱里ちゃん!!! ごめん、今まで気付いてなくて……。」

 

「そうかな~って思ってました……。考え事ですか?」

 

「うん、この戦の事。」

 

「……………。」

 

「この戦、勝とうね!! 私たちの名のこともそうだけどさ。都で暴政をしてるのなんて許せないよ!!」

 

「…………そう……ですね……。」

 

 

何とも歯切れの悪い返事をする軍師様に、心配になる私。

 

 

「どうしたの、朱里ちゃん……。何か心配なことでもあるの…??」

 

「えっ!? ………はわわ。そんな顔していましたか? すいません。少し考え事をしていまして……。」

 

「そうなんだ。朱里ちゃんの考えていることだもんね、私には分かるわけないか……。でも、もし私にも力になれるようなことがあれば相談してね。」

 

「はい………。」

 

「さて、じゃあ軍議に行こうか!! この同盟に参加しているだろう人の顔を知っておかなくちゃ!!」

 

「そうですね……。それでは行きましょうか!!」

 

 

二人並んで、劉備軍からは桃香と朱里が軍議に赴くのだった。

 

 

 

 

 

~雪蓮side~

 

 

袁術に連れられて集合場所に着いた私たちは、聖の存在について確認していた。

 

 

「徳種聖殿ですか…?? え~まだ来ていないようですね……。」

 

「そう。助かったわ、ありがとう。」

 

 

一目で袁紹軍の兵士だと分かる鎧を揺らしながら、答える兵士に手を振って別れ、自軍の天幕に戻る。

 

 

天幕には既に呉の重鎮が集まっていて、私の帰りを待っていた。

 

 

「おかえり、雪蓮。その顔だと、彼はまだ到着してないみたいね…。」

 

「えぇ。軍議が始まる前に問い詰める予定だったのだけれど……。」

 

「仕方ないわね……。それは後回しにして、今回の方針を決めましょう。」

 

「ん…? それは普通、全体の軍議が終わった後に決めるものじゃろうが…?」

 

「そうなのですが………あの袁紹のことです。またとんでもない方針を打ち出すに違いない…。軍議に割かれる時間を考えれば、今の内に決めておく方が合理的だと思われます…。」

 

「それもそうね……。じゃあ、今回の戦についてだけど………基本は私たちの名を売るようにすればいいのよね?」

 

「そうだ。私たち孫呉の名を売ることが第一条件であることを忘れないでほしい。その為にも、砦を一つ落としたり、敵将を打ち取るなどの目覚ましい実績が必要になるわけだ。」

 

「成程…。じゃあ、私は前線で暴れて良いのね?」

 

「…………本来なら止めるところなのだが……今回は状況が状況だ……。最前線で戦うのは許可するが、無茶をするんじゃないぞ。」

 

「分かってるって♪ ちゃんと思春と明命も連れていくから。」

 

「そうしてくれ。じゃあ、私は軍議に出てくるから、くれぐれもどこか勝手に出歩いて問題を起こさないように…。」

 

「ぎくっ!? ま……まさか、そんなことするわけないじゃないのよ……。」

 

「ほぉ~……。では、祭殿。雪蓮のこと頼みましたぞ。」

 

「ふっ……了解した。」

 

「穏。一緒に付いてこい。」

 

「分かりました~!!」

 

 

 

呉の陣営からは冥琳と穏と呼ばれる女性が軍議に参加する。

 

 

残された天幕の中で、私はふといやな予感を感じる。

 

 

「何だろう……。何か良くないことが起ころうとしている………。でも、それは何…??」

 

 

あくまでいやな予感がするだけなのだが、大体決まってこういう時はよくないことが起こるに決まっている。

 

 

「どうした、策殿?」

 

「祭。何だか嫌な予感がしてたまらないのよ……。」

 

「ほう……。策殿の勘は当たりますからな、何か良くないことが起こるのやもしれん。」

 

「今回は、少しばかり慎重に行動した方が良さそうね……。」

 

 

言い知れぬ予感に、不吉な事の前触れを感じる雪蓮なのであった。

 

 

 

 

~華琳side~

 

 

「…………そう、まだ来てないのね。」

 

「はい…。どうやらその様です。」

 

 

天幕にて、他の君主が来た事の報告を聞いているのだが、その中に彼の名前を発見することは出来なかった。

 

 

「……あまりにも来るのが遅いと言うことは、彼はこの戦に参加しないのでは…??」

 

「そうね……この前の孫堅との一件で、彼は世間に大いに名前を売ったから、今はその対処で大変だと言えば、秋蘭の言うことも分かるわ……。」

 

「そうに決まってますよ。あの年中発情鬼畜変態男の事ですから、この戦の重要性を分かってないに決まってます。だから、華琳様。あの男のことなんて考えるのはお止めください!!」

 

「……………。もし、桂花の言う通りに彼がこの戦の重要性に気付いてないと言うなら、それは私の買い被り過ぎだったと言うだけの話……。それならこれからの事を考えればいいだけだわ……。しかし、もし彼がこの戦の重要性を知った上でのこの遅刻だと言うのなら……………。」

 

 

その場の空気が一瞬にしてピリッとしたものに変わる。

 

もし分かった上での遅刻だと言うのなら、その利点は?? 

 

何の準備が必要だったと言うの……??

 

考えれば考えるほどに深みにはまる思考……。

 

この答えは、彼にしか出すことが出来ない……。

 

 

「とにかく………今は情報がないのだから仕方ないわ……。私は軍議に行ってくるから、桂花は一緒に来なさい。秋蘭は私のいない間に何か起こったらその対処をするように……。」

 

「「御意!!」」

 

 

曹操軍からは曹操と桂花の二人が軍議に赴いた。

 

 

 

~連合軍side~

 

 

「今回は私の呼びかけにこれだけの方がお集まりくださり誠に嬉しく思いますわ。そして今ここに、反董卓連合軍の発足を宣言いたします。皆さん、よろしくお願いしますわね。」

 

 

連合軍の一番大きい天幕内では、今まさに全体軍議が始まるのだった。

 

 

「それでは、まずはここに居る皆さん同士の親睦を深めるためにも………自己紹介を行いたいと思うのですが?」

 

「良いんじゃない? 連合軍である以上、連携相手の顔と名前が分からないなんて困るだけだし…。」

 

「……私の言いたい事を代弁してくださるとは流石は華琳さんですわ。」

 

「お褒め頂きありがとう、麗羽…………。」

 

「それでは、まずは私から……。四代に渡って三公を輩出している名門袁家にして、河北を治めている袁本初と言いますわ!!!! 皆さん、どうぞよろしくお願いしますわね。お~ほっほっほっ……。」

 

「姫の護衛をしてま~す!!! 文醜で~す!!!!!」

 

「…袁紹様の側近の顔良です……。」

 

 

各諸侯がここから順番に自己紹介をしていく。

 

 

「次は………私で良いのかしら??  陳留刺史の曹操よ。後ろに居るのは軍師の荀彧。よろしくね。」

 

「平原の相をしています、劉備玄徳です。後ろは軍師の諸葛亮です。よろしくお願いします。」

 

「幽州の公孫瓉だ。皆、よろしくな。」

 

「涼州の馬超だ。母の馬騰が忙しいために代わりとして来た。」

 

「わらわは袁術。名門袁家の出身じゃ。後ろに居るのが張勲と客将の孫策の所の周瑜じゃ。」

 

「周公瑾です。生憎孫策は今はこの場に居ませんが、代わりに私がご挨拶させていただきます。」

 

 

その後も数名が自己紹介をしたところで一周する。

 

 

「それでは……これで以上『……あの…。』………どうかしたんですか、劉備さん。」

 

「急にすいません……。ここに集まった人で連合軍は全員ですか………??」

 

 

桃香の質問に対し、曹操、冥琳の二人は反応を見せる。

 

そう、彼女たちにとっても疑問であったのだ、彼がこの場にいないことが……。

 

 

 

桃香の質問に、袁紹はめんどくさそうにしながらも答える。

 

 

「そうですわね………。ここに居る皆さんで全員のはず…………あらっ?? そう言えば、もう一人参加の意思を示した方がいたはずですが………。何と言いましたかね……斗詩さん?」

 

「はい、え~っと………徳種聖さんですね………。」

 

 

顔良がそう答えると、先ほどの三者は顔を綻ばせる。

 

桃香は良かったと、曹操は当り前だと、そして冥琳は機会が訪れたと……。

 

 

「この軍議の場に来ていないなんて………まったく、集団意識を持てない人ですわ……。そう言う人が連合に居るとそれだけで瓦解する危険性があると言うのに………そう思いませんか、皆さん。」

 

 

聖が来ていない事を理由に、自分の発現の確かさを求める袁紹の発言に、皆からは苦笑の笑いがこぼれる…。

 

 

「そして、この連合軍には必要なことがありますわ!!!」

 

「必要なこと………?? もったいぶらなくて良いから、早く言いなさいよ…。」

 

「ぐっ……。まぁ、良いですわ。この軍に必要な者、それはこの軍を導く総大将ですわ!!!」

 

 

袁紹の発言に呆れたような顔をする面々。

 

結局のところ、自分が総大将をやりたいがために遠まわしにこの話題にもってきたのだ。

 

 

「勿論総大将と言う名誉な役職をやるからには、それなりの力と功績を持ったような優秀な方でなければいけませんわ。それこそ、名家の出身とかそういう箔がある方がやるのがいいと思うのですけど……。」

 

 

しかも、自分から総大将をやりたいとは言わない口ぶりが無性に腹が立つ。

 

しかし、それをむやみに言うことも出来ない。

 

言い出せば、推薦したという名目で先陣を任されることだろう。

 

 

普通ならば先陣と言うのは一番名を上げるには絶好の機会である。

 

しかし、それだけ被害も大きく、今回の様な関の攻略であることを考えれば、捨て駒的な扱いである。

 

損な役回りを誰もがしたくないがために、言い出せずに会議が難航しているのだ……。

 

 

「誰か、やってくれる人はいらっしゃいませんかね……??」

 

「………。もう……いいかg『お~す!!!! みんな集まってるかな…。』………えっ!?」

 

 

いい加減我慢の限界がきたところで、桃香が発言しようとしたところ、急に天幕を捲りながら男が一人会話に入ってくる。

 

 

「んっ………。あなた、どこのどなたですの……。」

 

「俺か? 俺は徳種聖って言うんだが……連合軍の軍議はここで良いのかい?」

 

「聖さん。」

 

「……まったく、遅いのよ…。」

 

「………ようやく来たか…。」

 

 

聖は一度皆の顔を確かめた後、改めて自己紹介を始める。

 

 

「徳種聖だ。よろしく頼む。」

 

 

すると、無視されたと考えたのかそれとも自分よりも目立っている聖が気に食わないのか、袁紹は突っかかり気味に聖に尋ねる。

 

 

「それにしても………あなた随分と生活がゆっくりですことね………。さらに、遅れて軍議に入ってきて、謝りの言葉も言わないなんて……それとも、あなたの所ではそういう習慣がないのかしら?」

 

 

皮肉たっぷりに話す袁紹は、俺への優越感で顔がほくそ笑む。

 

だが、今の聖にとってそんなことはどうでも良い。

 

果たすべき目的の為に、今は話を進めるのが肝心だ。

 

 

 

「そうだ、さっきから聞こえていたが………総大将は袁紹、君がやればいいじゃないか…。」

 

「えっ……。あらっ……そうですか……そう言われてしまったら…。」

 

「良いんじゃないかしら? あなたもやりたいでしょうし……。」

 

「やりたいとは言ってませんが………そこまで仰るなら私、袁本初がこの軍の総大将をさせていただきますわ!!」

 

 

笑い声と共に、大きく威張るようにして言う袁紹に、苦笑いとようやく終わったと言う安堵の気持ちで拍手する一同。

 

 

「それでは、総大将が決まったところで………徳種さん、あなたには遅刻した分を取り返させてあげるために、この戦の先陣を任せて差し上げますわ。どう? 光栄なことでしょう?」

 

 

高笑いを上げながら言う袁紹に対して、厄介事を押し付けられた聖に憐れむ視線を向ける一同。

 

しかし、聖は笑っていた。

 

 

「あぁ……。その事なんだが………。」

 

 

ちょうどその時、こことある所の二か所で同時に同じ言葉が発せられるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弓史に一生 第九章 第四話    連合軍軍議  END

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後書きです。

 

 

第九章第四話となりました。

 

 

本当はこの後も書き続けていたのですが、少し長くなりそうだったのでここで切ります。

 

なので、話的には中途半端で終わっているかもしれませんが、ご了承ください。

 

つまりは、次話につながっているということなんですけどね…。

 

 

 

さて、麗羽については……あんな口調で大丈夫か……??

 

正直、あの手のキャラを書いたことがないので分からないです…。

 

だれかアドバイスをくれたら嬉しいな……。

 

 

 

 

次話はまた日曜日に・・・。

 

ではまた~!!!!

 


 
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