No.616840

【SS】懺悔【オリジナル】

・執筆時間30分(笑)細かい設定とかは敢えて公表しません。

2013-09-07 12:59:53 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:602   閲覧ユーザー数:602

空からひとひらの雪が舞う。

それを目にするまで、そんなに冷え込んでいる事に俺は気付かなかった。

 

空を覆う厚い雲。

昼か夜かも分からぬ薄暗い丘の上で俺は一人佇んでいた。

ボンヤリと空を見上げながら、この分では積もりそうにないなと呟く。

その言葉に返事をする者など、誰もいないと分かっているのに。

 

余りに沢山の事があった。

沢山ありすぎて大半の事は忘れちまった。

昔の鬱積した気持ちや破壊的な衝動……

それがどこからもたらされたのか、もはや俺にも分からない。

 

俺のやった事は間違いではない。

少なくても俺はそう信じたい。

だが、それを止めに入った“お前”も間違いではない。

俺はそうも信じたいんだ。

 

俺達は革命を起こし、俺達に自由をもたらした。

だが、それを成すには余りに犠牲が多すぎた。

お前はそれを警鐘していた。

だが、当時の俺にはそれが分からなかった。

隷属して生きる事など、死んでいるのと同様にしか思わなかったからだ。

 

視線を空から足元に移す。

ふもとには小さな町の明かりがチラチラと輝いている。

煙突から上がる煙は、そこに確かに人がいて、生活を営んでいる事を感じさせる。

 

その町にいる父親、母親と呼ばれる者達は覚えているだろうか?

その父や母と呼ばれる者の子供達に知る機会があるだろうか?

その昔、この丘は血に染まり、沢山の人間が死んでいったと言う事実を。

 

お前はそれを警鐘していた。

だが、当時の俺にはそれが分からなかった。

 

今ならもう少し、お前の話をちゃんと聞いていたかも知れない。

だが、何をするにも全てが遅すぎた。

失われた時間も、亡くした人間も、もはや取り戻す事が出来ない。

 

後悔しても仕方が無い。

なら、今からでも少し話をしようじゃないか。

今からでも遅くは無い。少なくても、俺はそう信じたい。

俺は腰につけていたボトルの栓を開けて天に向けて掲げる。中身は上物のウィスキーだ。

 

今夜は飲もうぜ……我が友よ……

 

 

その声に応える者は、もはや、誰も、いない……


 
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