No.616521

病みつき六課 お世話をする1日(早朝)

rikubさん

これは、彼を巡る物語
――― 自分の行動を邪魔されて、他人の 行動を邪魔する
――― これは、そんな物語
『人間を愛すること は必然だ』

2013-09-06 16:41:17 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:8287   閲覧ユーザー数:7939

俺のベッドに彼女は横になっている。

 

ピンク色の子供っぽいぶかぶかなパジャマを着ており、顔を赤くしながら俺を見ている。

 

俺はそんな彼女のサイズにあうぐらいの大きさになるまでたたんだ濡れたタオルを額に置く。

 

「気持ち良いです~」

 

彼女―――リインフォースⅡは言う。

 

俺がリインさんを看病してるのには理由がある。

 

―――理由がある

 

 

 

 

―――――

 

何時も道理シグナムさんとのランニングのために早く起き、ジャージに着替えて部屋を出ると俺の部屋の前で倒れていたリインさんと目が合った。

……えっ?

 

俺が驚きの余り声すら出さずにリインさんを見ていると彼女は言う。

 

「助けてください~」

 

今にも消えそうなぐらい小さな声を聞くと、とりあえず彼女を抱えて俺の部屋に迎えると、ベッドの上に寝かせた。

 

 

それが今日の始まりだ。

 

 

 

 

―――――

 

(というわけで、今日のランニングには参加できません)

 

俺が念話でシグナムさんに伝える。

 

(そんなのシャマルにでも任せればいいだろ

(貴様は私と共に居るべきだ

(それに、何故我が主ではなく貴様の所に出向いたのだ)

 

シグナムさんは念話越しでもわかるぐらい怒っている。

(この埋め合わせは何時かするんで、今日は休みにしてくれませんか?)

 

シャマルさんに見せるのもはじめは考えてたがリインンさんは俺に看病してほしいと言ってるため付き合うしかない。

 

(むぅ……埋め合わせか)

 

シグナムさんが少し黙ると直ぐに言う。

 

(明後日の夜は空けておけ)

 

それだけ言うとシグナムさんとの念話が切れる。

 

「どうだったですか?」

 

リインさんが俺に言う。

「今日は休みにしてもらいました」

 

「よかったですっ!」

 

 

笑顔でリインさんは言うと続ける。

 

「君の今日の仕事は全てキャンセルしてリインの看病をしてください!

「はやてちゃんには私が言っときますね

「君は1日中私の傍にいてくださいよ!!」

 

リインさんに俺は言い返す。

 

「流石に全部キャンセルは……」

 

「何でですか?」

 

リインさんは言う

 

―――俺の目を見ながら

―――はっきりと

 

「リイン以上に大切なことあるんですか?

君はリインのことを最優先してくれないんですか?

リインは君のことが最優先ですよ

はやてちゃんも大事ですけど―――

それ以上に君が大事です!

リインは君のことが好きですから

君はリインのこと嫌いなんですが?

リインはこんなにも好きなのに―――

「嫌いなんですが?」

 

 

リインさんが口を閉じると俺の目をじっと見る。

 

「えーと、1日中は無理だと思いますけど、昼までなら傍にいます。それでは駄目でしょうか?」

 

 

俺がリインさんに妥協してもらうよう頼んでみる。

 

「……今日1日はここにいてもいいですか?」

 

 

リインさんは風邪で赤かった顔を更に赤くしながら言う。

 

 

「大丈夫ですよ」

 

俺が言うとリインさんは笑みを浮かべる。

 

「えへへ、それならリイン我慢します!!」

 

嬉しそうに笑いながらリインさんは言う。

 

「早速はやてちゃんに報告しますね!」

 

……俺も報告しとくか。

俺は彼女に念話を送る。

 

(少しいいですか?フェイトさん)

 

俺の今日の朝は彼女―――フェイトさんの仕事の手伝いだ。

 

(どうかした?)

 

送って直ぐに返事が帰ってくる。

 

(朝の仕事なんですけど……)

 

(今日は私の手伝いだよ)

 

(実は―――)

 

 

俺はフェイトさんにリインさんのことを伝える。

 

(―――ですので、朝の仕事を休ませて欲しいんですけど……)

 

(駄目だよ)

 

短くフェイトさんが返事をすると、続ける。

 

(リインも大事だとは思うよ

(立派な六課の仲間だもん

(でも、何であなたがリインの看病をするの?

(普通はシャマルがするんじゃないかな

(あなたはリインをシャマルに預けて私の仕事を手伝うべきだよ

(―――傍にいて)

 

 

フェイトさんからの念話が止まる。

 

俺の返事待ちなんだろう。

(リインさんは俺に見てもらいたいって言ってますし、病人の我が儘ぐらいは聞いてあげたいじゃないですか)

 

この場合リインさんを人扱いするかどうかは割合だ。

 

(―――病人の我が儘ぐらい

(そうだよね、あなたが優しいのは今に始まったことじゃないもんね

(そんな優しいあなたが私は好きだよ

(何かあったら連絡してね、あなたの我が儘だったら私は何でも聞くから)

 

 

それだけ言われるとフェイトさんとの念話が切れた。

「はやてちゃんも今日はゆっくり休んでいいって言ってくれましたよ?」

 

「それは良かったですね」

 

 

俺が彼女―――リインさんを看病する1日が始まった。


 
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