No.613336

真・恋姫†無双 ~夏氏春秋伝~ Prologue

ムカミさん

初めまして、ムカミと申します。
このサイトの皆さんの恋姫作品に触発されて、自分でも書いてみようと思い、チマチマと書いていました。
飽きずにそれなりに書くことが出来ている為、投稿させて頂こうと思います。

趣味全開の人選だったりしますが、もし楽しんでいただけたなら幸いです。

2013-08-28 13:10:33 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:19309   閲覧ユーザー数:13852

 

 

 

 

 

 

 

 

※この作品には次の要素が含まれています。

 

 

 

 

・主人公(北郷一刀)の性能変化

 

・作者の自己解釈

 

・作者の自己設定

 

・オリジナルキャラ(許可を頂いた他の方のキャラも自分で作ったキャラも)

 

 

 

 

以上の要素を受け付けつけない方は、申し訳ありませんがご気分を害される前にブラウザバックを推奨します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

世の中には『物語』が溢れている。

 

紙に描かれ、本に纏められたものだけが物語というものでは無い。

 

人の思いの数だけ理想の『物語』が存在する。

 

その中でも似通った思いが多々集まり、世界を形成するに足る力を得る物語が存在する。

 

著名な物語であればその傾向はさらに強くなる。

 

世界を形成する力を得た『物語』は、自ずから世界の欠片を生み出す。

 

独自の歴史を刻み出す世界の欠片。

 

その欠片こそが、『外史』。

 

数多の人々が描いた思いの織り成す物語。

 

此度はその『外史』の一つを覗いて見よう。

 

物語の名は『三国志演義』。

 

欠片の名は『真・恋姫†無双』。

 

 

 

 

新たなる外史 ――――――――――――開幕――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

199X年 某日

 

 

北郷家に男児誕生す。

 

待ち望まれたその男児は、一刀と名付けられた。

 

後々、とある世界における重要人物となる男児。その誕生の瞬間であった。

 

 

 

 

時は流れ、一刀の波瀾に満ちた人生の第一歩が踏み出される。

 

 

 

200X年 某日 北郷剣術道場

 

 

 

北郷一刀14歳の夏。

 

 

 

気合を入れる声、竹刀同士がぶつかり合う音、床を踏み抜く音。

 

そんな音が周りから聞こえてくる中、一刀は一人の人物と向かい合い、竹刀を構えていた。

 

現在一刀は模擬試合中であるのだが、既に試合開始から10分が経過している。

 

先ほどまで二人は激しく竹刀を打ち合っていたのだが、突然両者距離を取り、現在に睨み合いの様相を呈している。

 

その状態のままたっぷり1分も経った頃、何の前触れも無く一刀の正面に相対していた男が踏み込んだ。

 

「だりゃぁっ!!」

 

男の本日最速の一撃が一刀に襲いかかる。

 

一刀はそれを受けようと竹刀を動かす。しかし、ほんの僅かに間に合わず、小気味よい音が鳴り響く。

 

「はっはっは!また俺の勝ちだな、北郷!これで何連勝だ?」

 

勝ち誇る男に一刀は打たれた箇所を押さえながら答える。

 

「やっぱり強いですね、藤田さん。確か僕の15連敗かと」

 

「そうか、もう15か。それにしても、師範は何でお前をそんなに目に掛けてるんだ?お前の師範代は、その、あれじゃないか?」

 

「さあ、なんででしょうね。僕にもさっぱりですよ」

 

師範--一刀の祖父--が一刀の才能を非常に高く評価し、目に掛けているのは最早周知の事実である。

 

そして、師範代--一刀の父--がそんな一刀のことをよく思ってないことも。

 

しかし、何故一刀の父が一刀のことをよく思っていないのか、その真の理由を知る者は一人もいなかった。

 

家族である一刀と祖父を除けば、の話ではあるが。

 

「また負けたのか、一刀。一番弟子が相手とは言え、情けない。今日はもういいから帰りなさい。ああ、夜の素振りはいつも通りにやっておけよ」

 

「はい、わかりました。では、失礼します」

 

一刀が試合に負けたのを目ざとく見つけ、そう言い放つ父。

 

そんな父に一刀は微塵も逆らう様子もなく従う。

 

それを見ていた少なくない数の門下生は、皆一様に心の中で、またか、とつぶやいていた。

 

「あちゃ~。何か悪いな、北郷」

 

「別に構いませんよ。いつものことですから。ではまた明日」

 

「ああ、また明日な」

 

そんなやり取りを軽く藤田と交わした後、一刀は帰路についた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「よお、藤田。また勝ってたな。それにしても北郷のやつ、いつもあと少しのところで負けてるよな。そろそろ藤田もちょっと危なくなってきてるんじゃないのか?」

 

「ん~、それがなあ…。いつもギリギリで勝ってる割には何故かこっちが負けそうな場面はほとんどないんだよな。北郷の剣術のスタイルもよくわからんし」

 

「北郷のスタイルは師範みたいな一撃決殺型だろ?まあ、師範程の早さは無いし、俺は直線型の動きには強いから避けられるけども」

 

「いやいや、どっちかと言うと技巧を凝らす師範代型だろう?フェイントを織り交ぜて攻撃を当てようとしてくるし、よ。俺はフェイントごと力で押し潰すけどな」

 

「ふーん。自分のスタイル見つけてないのか?」

 

「俺らよりも剣術やってる年数は長いはずだぜ?それこそありえないだろうよ」

 

「結局、わからん、ってことか?」

 

「…ああ」

 

一刀が帰ったあと、そんな会話が交わされていた。

 

しかし、その会話を聞いていた師範代の表情が険しくなっていくことに気づく者はいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「おっす、かずピー。なんや~?今日も途中で帰ってきたんかいな?」

 

「ああ、まあな。ほら、折角の夏休みなのに剣術の練習尽くめなんて気分が滅入るだけだろ?」

 

一刀が道場から出たところで一人の少年が声を掛けてきた。

 

この少年の名前は及川祐。聖フランチェスカ学園中等部における一刀の親友、あるいは悪友とでも言うべきか。

 

及川は一刀の返答に大きく頷く。

 

「そうやな~、確かにそうや!ってなわ・け・で。かずピー、明日一緒に遊びに行こ!夏休みなんやし、パーッっとプールにでも行こや!」

 

「ま、いいけど。どうせお前は女の子の水着見たいだけじゃねえの?」

 

「うっ…そうやで。なんか悪いか?健全な中学男子には水着に賭ける熱~い想いがあるに決まってるやろ?!」

 

一刀の指摘に一瞬詰まる及川。そして結局は開き直って自分の理論をまくし立ててくる。

 

そんな及川の様子に苦笑を漏らした一刀は改て諾の返事を返す。

 

その後も暫く及川と話した一刀は分かれ道で及川と別れ、今度こそ一人で家路につくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

夜。

 

一刀は日課の素振りを終え、風呂に入った後、睡眠に入ろうとしていた。

 

「爺ちゃんには悪いけど、もう俺には道場で勝つようなことはできないよ…」

 

今日の夕食時に祖父は一刀に質問を投げ掛けた。曰く”最近、調子が悪いのか?”。それに対し、一刀はその場では回答を濁した。

 

この呟きは質問に対するある意味での答えであった。

 

「まさか、父さんがあそこまでになるとは、ね」

 

苦笑を浮かべつつ独りごちる一刀。

 

その時、突然眩暈に襲われた。

 

一刀は踏ん張ろうとしたが、それは敵わず倒れていく。

 

まさに一刀が床に打ち付けられる直前、一刀は己の部屋に見たこともない鏡があるのを見た。

 

次の瞬間、一刀の体が光に包まれた。

 

光が収まった時、その場には誰の姿もなかった…

 

 

 

 

 

 

 

 

「あらん。今回のご主人様は随分と早く旅立つことになったのねん。何かと大変かも知れないけれど、頑張ってねん、ご主人様」

 

大小様々な結晶のような物が浮かぶ奇妙な空間。そこでとある人物が物語の始まりを察し、呟くのだった。

 

 

 

 

 

今ここに、まさに一刀の波瀾に満ちた人生が幕を開けたのである。

 

 

 

 

 
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